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SAO ~冷厳なる槍使い~

作者:禍原
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SAO編
禍原さんの『SAOなんでも考察コーナー♪』
  第三回 『ユニークスキルについて その1』

 
前書き
この考察は、全くもって当たり前なことを、さも一大発見のように大げさにつらつらと書き連ねているものです。

私自身のただの自己満足ですが、この考察が少しでもSAO二次を書く作者の皆さんの何かの閃きになればいいなと思います。 

 
 はい。ということで、今回も始まります。

『禍原さんのSAOなんでも考察コーナー♪』

 どんどん ぱふぱふー♪

 第三回目のお題は《ユニークスキル》について、です。



 SAOには、普通に一覧から選んでスロットに入れるスキル、
 特殊な条件を満たすことによって解放されるエクストラスキル、
 そしてゲーム内に十種類しか存在しないという《ユニークスキル》という分類が有ります。

 原作で公開されているユニークスキルは二種類。
 主人公キリトの《二刀流》と、ラスボス茅場明彦=ヒースクリフの《神聖剣》ですね。

 ――と、まず此処で一度ストップをかけましょうか。

 皆さん勘違いしがちですが、実はこの『ユニーク』スキルという分類は、VRMMORPG《SAO》には――デスゲーム時代には《無かった》んです。

《二刀流》も《神聖剣》も、一般プレイヤーの間ではエクストラスキルという認識なんです。
 SAO時代ではキリトさんが「恐らく自分しか持っていないだろう」と考えて個人的に言っていた(※一巻 P173 参照)だけの名称であり、ユニークスキルという名称が本当の意味でSAOプレイヤーに定着したのは75層での茅場さんの発言「全十種存在するユニークスキル」からだったんですね。

 なので、作中で主人公にユニークスキルを持たせようとしたら、大衆の前では《エクストラスキル》と名乗り、でも主人公の考えでは自分ただ一人しか使い手が居ないことから恐らく唯一(ユニーク)なスキルだと思っている。
 ということにした方が不自然ではないと思います。

 いきなり作中で「これはユニークスキル《●●●》だ」なんて言うと、なんでそのスキルがSAO世界で唯一(ユニーク)だって確信しているんだ? あんたはゲームデザイナーですか、茅場さんなんですか? と突っ込みを入れられても仕方ないかもです。

 つまりは、《ユニークスキル》はデスゲーム時には《習得条件が不明なエクストラスキル》と呼んだ方が《原作的には自然》。ということなんですねー。


 さて。
 本題ですが、今回は既に登場しているユニークスキルとはどんなものなのかを改めて確認してみようと思います。


・ユニークスキル《二刀流》

 読んで字の如く、左右の手に片手剣を二つ装備した状態で戦うことが出来て、更に専用ソードスキルを持つスキルです。

 通常は、片手用の武器を装備させたら(もしかしたらアバター作製時に利き手を選べるのかも?)、逆の手にもう一本の片手用武器を持つとイレギュラーとみなされてソードスキルは発動しないらしいです。(※文庫二巻 心の温度 参照)

 通常はイレギュラーとなる両手装備をシステム的に可能にしてしまうという異常スキル。
 pspソフトのインフィニティモーメントでは、他よりも手数の多いソードスキルを多数習得するが、その分技後硬直が長いという特徴を持っていた。

 実際、原作で登場した以下のソードスキル、

・スターバースト・ストリーム:16回攻撃
・ジ・イクリプス:27回攻撃
※文庫一巻参照

 は、確かに他の片手剣の技よりも圧倒的に攻撃回数が多いですね。
 細い=軽い=速度が高いと予想される細剣スキルでも、今まで登場した中で最も攻撃回数が多いのは上位技スター・スプラッスュの8回。ALO版を含めても10回を超える攻撃回数の技を《多数》持つのは二刀流だけでしょう。

 上記以外で確認されている技というと、

・ダブル・サーキュラー:左右の剣をコンマ時間差で切りつける突進技

 みたいに二本の剣という利を活用出来る連撃技が、他にも多く設定されていると推測出来ます。

 他に推測出来ることというと、だいたいのゲームにあるだろう連続ヒットボーナスが思い付くでしょう。
 SAOに置き換えてみると、ソードスキルでの攻撃を間を置かず当て続けることで与えられるダメージ量が増えていく。これが正しいとするなら、わざわざ技後硬直が長いだろう多回数攻撃技を出そうとする考えにも納得出来ます。
 更にいうなら、それが一つのソードスキルでの連続ヒットボーナスのほうが、複数人数のソードスキルでの連続ヒットボーナスよりもボーナスが付く割合が高いのかもしれないですね。
 27回が最高だとしても、それがもたらす単一ソードスキルでの連続ヒットボーナスによるダメージ量は他の追随を許さないだろうと思われます。

 しかし、これだけみると、《二刀流》とはさも二つの剣を自由自在に扱う連続攻撃に特化したもの。と思われがちになると思います。

 実際に二本の竹刀を持って振り回せば解ることですが、両手に持った長物を連携して振るというのはかな~~~り大変です。逆手に持つ剣の長さや重みが邪魔になるからですね。
 ALOではシステム上可能だけどその扱いの難しさに断念したプレイヤーが多いそうですね。
 MHの双剣の動きを見ても解りますが、勢い良く二本の剣を振るにはどうしても大振りな動きになってしまいます。

 私も人に言われて気付いたのですが、本来二刀流とは、片手で持つ楯というものが無かった日本で、楯の代わりに剣をもったのが最初ではないのかという説があるらしいです。
 それを証明するように、剣道の二刀流では、片方で相手の攻撃を受け、または弾いて逆手で攻撃する戦法が一般的ぽいです。
 使い方が楯と似てますね。
 楯よりも守れる範囲は狭いですが、その分状況に応じて左右どちら側でも攻撃出来る。大振りがしにくいため一撃に威力はないが攻守に優れたスタイル、というのが《二刀流》本来の真骨頂なのかなと思い直しました。
 文庫三巻のキリト対ユージーン戦でも、二段パリィなど防御にも適していることを証明しています。

 そして一撃の威力がなく、また左右の剣の連携による連続攻撃が本来難しいことも、ソードスキルというシステムアシストを用いることで、短所を逆に長所としてしまいました。

 プレイヤースキルによる二本の剣での防御、ソードスキルによる超連続攻撃、SAOの《二刀流》に隙はありません。正に唯一無二のスキルに相応しいといえるでしょう。



 そして次に、《二刀流》の習得条件について。
これはヒスクリさんが『全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者』と明言していますね。

 しかし、ここで疑問に思った方も居るのではないでしょうか?
 いくらスキル熟練度は一から育てると言っても、もし《二刀流》が両手用武器を愛用しているプレイヤーに発現してしまったらどうなるんだろうと。
 今まで散々両手用の武器一筋で、レア物だって手に入れたのに、それは両手用だから《二刀流》じゃ使えないよぅ!! な~んてことになった可能性もあったんではないかと。

 いやいや、それもなくはないですが、私が考えるに可能性は低いと思います。

 ――キーポイントは《反応速度》ですね。

 それは《目で見てから体が動く神経伝達速度》とも言い換えられると思います。


 例えばですが、巨大な盾を持ち重い防具をガチガチに纏った壁プレイヤーに物凄い反応速度が必要あるでしょうか?

 ――いいえ。彼らに必要なのは敵の強烈な攻撃を受けきるという強固な覚悟でしょう。


 槍などの長物を持ち、前衛の後ろから阻害系スキルを放つ後衛プレイヤー(サチみたいな)は物すんごい反応速度を必要とするでしょうか?

 ――いいえ。彼らに必要なのは前衛の邪魔をせずに効果的に敵の阻害を行うタイミングを見極め、そこに的確に突く冷静沈着さです。


 両手剣や戦鎚、戦斧のような叩き伏せるが如き一撃を放つだろう武器を扱うプレイヤーは物凄い反応速度を使う場所はあるのでしょうか?

 ――いいえ。彼らに必要なのはやられる前にやるという先の先を狙う一歩踏み込む裂帛の気迫、度胸でしょう。


 全く使わないというわけではないですが、上記は反射神経を最も必要とする戦闘スタイルとは言えないのではないでしょうか。

 では、一番反応速度を必要としそうなプレイヤーというと、どういった戦闘スタイルが考えられるのか。

 私の考えとしては、小型盾を持つ片手剣士(盾剣士)、細剣使い、盾無し片手剣士、短剣使いなど。《速度重視プレイヤー》や《ソロプレイヤー》が可能性が高いと考えます。
 敵の攻撃を避ける、攻撃に合わせる、これが最も戦闘で反応速度を必要とする行動だと考えます。
 そして最もその行動を取るだろうと思われるプレイヤーのスタイルが上記です。
 更にそんな彼らのスタイルに合うだろう装備も勿論、重量のある防御力重視ではなく、軽量の速度重視な装備でしょう。威力が高いだろう両手用武器も、その威力と引き換えに長い技後硬直を課せられるとしたらソロプレイヤーや速度重視プレイヤーにとっては倦厭する者も少なくはないと考えます。

 ――刹那の選択が戦闘に大きく関わりを持つ戦闘スタイル。

 それが反応速度を最も必要とするスタイルであり、だからこそ盾無し片手剣士のソロプレイヤーであるキリトさんが《二刀流》を手に入れたのも偶然じゃなかったと考えました。

 もしかしたら、短剣二刀流や、シミター二刀流なんていうのもあったかもしれませんね。
 ただ、インフィニティモーメントでは《二刀流》は斬撃属性のソードスキルばかりだったから、刺剣二刀流や細剣二刀流とかは出来なかったかもしまれせん。
 他にも、カタナスキルは両手用武器っぽいので、本当の意味での二《刀》流は出来なかったのかもしれませんね。もしかしたら小太刀みたいな片手用の刀もあるかもですが。



・ユニークスキル《神聖剣》

 SAOのゲームデザイナーにして唯一無二の管理者、SAO世界の絶対神とも呼べる茅場さん。
 誰かも言っていましたが、自分の持つスキルに《神聖》なんて名付ける茅場さんマヂパネェっす。
 さて、次はそんな中二ネーミング炸裂な《神聖剣》について考えてみましょう。

 このスキルについて解っていることは非常に少ないと言っていいでしょう。

・ヒースクリフの装備していた楯と剣が関係している。
・防御に特化している。
・楯を振り回していたことにキリトさんが驚いていた。
・楯にも攻撃判定がある。
・挿絵で見るとヒスクリの十字楯の大きさはラージシールドとかタワーシールド並み。

 以上でしょうか。

 相手のソードスキル名を知る方法は、現状読者である我々には解りませんが、恐らく何らかの条件(何度も食らうなど)や特殊なスキルが必要なのかもしれないですね。敵が使っていたはずのカタナスキルの技名をキリトは知っていましたし。(※SAOP001 星無きアリア 参照)
 基本的にキリト視点で書かれているSAOでは、神聖剣のソードスキル名すら出てきていません。
 文庫一巻ではキリトに圧倒的なのはその防御力だ、とまで言わせました。
 第一次キリト対ヒースクリフ戦では、ヒスクリさんの盾は「左手に持った巨大な純白の十字盾」と書かれています。

 盾には大きく分けて二種類存在し、攻撃の邪魔にならない程度に軽く作られる小型の盾――個人戦用の盾と、戦列に並んで敵集団の突撃を跳ね返すために巨大で丈夫な防御のみに重点を置いた重い盾――集団戦用の盾があります。

 巨大な盾というと、本来は後者――集団戦用のいわゆる壁役の人たちが使う盾ですね。実際ヒスクリさんも最強の壁なんですが、対キリト戦を見る限り彼の場合は個人戦にもその防御力が適用されるようです。
 丈夫で大きな盾ほど当然重量があり、攻撃を受ける際は基本的に地面に置いて使用します。方形の巨大盾タワーシールドなどがその最たるですね。

 此処では仮に、ヒスクリさんの十字盾はタワーシールドに分類されているとしましょう。

《神聖剣》とは片手剣と、本来振り回すことを前提としていないタワーシールド系の大盾を、振り回すことが出来る? もしくは剣と盾を同時使ってに攻撃出来るスキル。(二刀流の片方の剣をタワーシールドにしただけ?)
 ソードスキルには当然、片手剣の斬撃と大盾の剛撃とを組み合わせた攻撃、または攻防一体、防御特化などの技が予測される。
 しかも、通常はその防御力に比例した重量ゆえに攻撃を受ける際には地面に置いて固定させなければならないタワーシールドを縦横無尽に動かせるということは、その場の状況に応じて、あらゆる方向からの攻撃をその高い防御力で瞬時に守ることが出来るというかなり凄いスキル。
 ただし、当然の如く必要筋力値は高く設定されていると思われますね。

 謎の多いユニークスキル《神聖剣》ですが、意外とそのスキルデザインのヒントは近くにあると考えています。

 そう、《スキルの名前》です。

《神聖》という言葉には、『尊くておかしがたいこと』という意味もあります。
『おかしがたい』とは『侵しがたい』、転じて『侵入させない』、というところから『鉄壁の防御』という意味を持たせたのではと考えました。

 誰にも侵されることの無い鉄壁を持つ剣。

 すなわちそれが、

   ――――《神聖剣》である。




 なーんちゃって。
 でもそれが私の結論ですね。


 しかし、上記の二つを見て皆さんはどう思いましたか?
 確かに二つとも非常に強力なスキルですが、言うほどデタラメなスキルではないと思いませんか?  むしろプレイヤースキルが無かったら逆に使い余すようなスキルだと思います。

《二刀流》は片手剣二本の装備可と二本剣ソードスキルの使用、《神聖剣》は大盾の攻撃判定ありと剣と大盾のソードスキルの使用(予想)。
 つまりは《片手用直剣スキル》や《細剣スキル》のような、装備武器に応じたソードスキルを使用出来るようになる《戦闘スタイルスキル》に分類されると思われます。

 ――ユニークスキル(イコール)チート性能。

身体能力(ステータス)アップは勿論のこと、超常現象的なことも起こせる――なんて、そう考える方は多いと思われます。ですが八巻『圏内事件』のP86でキリトさんが言っているように、私は茅場晶彦さんにはフェアネス精神があると思っていますので、そこまでバランスブレイクなものは造らないと考えます。

 理屈ありの強さ。あくまでもプレイヤースキル依存。システムという制限のある枷に準拠した技。
 それらの要素は確実に含んだ物であると思います。


 結論。
 私にとってユニークスキルとは……

『凄まじい性能の代わりに扱いが難しく、けれど使う人が使えば物凄いスキル』

 というものだと考えています。



 さて、以上で第三回目は終了とします。

 考察について指摘や質問、感想などがありましたら気軽にコメント下さい。
「ここの説明をもっとくわしく」、または「これについて考察して」などの依頼も受け付けます。まあ、後者については時間が許せば、なのですが……。 
 

 
後書き
次回は、名前しか知られていないあの四つのユニークスキルのスキルデザインを大考察! 『ユニークスキルについて その二』です。 
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