| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

『八神はやて』は舞い降りた

作者:羽田京
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
  第9話 旅は道連れ世は情け容赦してくれない

 
前書き
・ガールズラブ、ボーイズラブはありません。

 

 
 バイサーを倒した翌日。
 兵藤一誠は、木場祐斗、八神はやての傍にいた。
 約束通りオカルト研の部室で、昨日の説明してもらうために、だ。
 ところが――


 放課後の教室は異様な熱気に包まれていた


(……どうしてこうなった!?)





 話は少し前にさかのぼる。


 帰りのHR(ホームルーム)が終わり、クラスメイトたちは、そそくさと席から離れていこうとする。
 その最中、廊下から呼び声がかかった。
 どうやら、先にHRが終わっていたようで、彼は教室の扉の前で待っていたらしい。
 とくに、珍しい光景ではなかったといえる。ありふれた日常だ。

 
「やあ、二人とも。待っていたよ」

 
 その声の主が、女生徒に人気のイケメン男子でなければだが。
 

 しかも、声がかかった人物も大問題だった。
 なにせ、駒王学園の三大お姉さまとして名高い女生徒と、悪名高い変態だったのだから。
 浮いた噂を聞かない美男美女の二人に、変態を加えた3人組。
 奇妙な組合せを前にして、クラスメイトたちが面喰らうのも仕方がないといえよう。


 木場祐斗は、その容姿や言動から、クール系なイケメンとして女生徒に支持されている。
 しかしながら、女性に興味を示さないとして有名だった。数多の女生徒が撃沈している。
 イケメン王子である。


 八神はやては、三大お姉さまの一人である。
 ボーイッシュな性格、女性に優しく、凛々しい姿。
 一部の百合百合しい女生徒に熱狂的な信者をもつのも道理だろう。
 さらに、男性に興味がない、と本人が公言している。
 とはいえ、特定の女生徒と親しいわけでもなかった。


 兵藤一誠は、エロ魔人であり、変態として、女生徒から嫌悪されている。
 おっぱい紳士を自称するオープンな変態である。
 男子生徒には妙な人望があるが、女生徒からは、倦厭されていた。
 つい先日も、他校の女子に告白されたと騒いでいたが、振られたと噂されていた。


――――最近、木場祐斗と兵藤一誠が一緒にいる姿が、よく目撃されるようになったらしい


 掛け算好きな女生徒の間では、攻守のポジションについて、熱い議論が交わされている。
なお、木場祐斗は、寒気を感じるようになったという。
 その話題の人物たちが、ボーイッシュな性格で有名なお姉さまと接触した。
 しかも、イケメン王子こと木場祐斗が、女生徒の帰りを待つなど、入学以来初めてに違いない。
 変態紳士こと兵藤一誠にしても、八神はやてはからは、避けられている節があった。
 三大お姉さまこと八神はやてに至っては、いつも女生徒に囲まれ、木場祐斗と兵藤一誠とは、絡みが一切ない。


 実は、接点がない理由は、原作への影響を恐れて、木場祐斗や兵藤一誠といった原作キャラとの接触を、八神はやてが、控えていたことに起因している。
 だが、周囲からは、「面識のない男女3人が、急にお近づきになった」という事実しか分からない。
 

 以上が、教室で渦巻く異様な熱気の正体である。


「ここは『今来たところだよ』というのが、男子のあるべき姿ではないかな?」

「それはすまなかった。僕はそういった男女の機微には疎いものだからね」


 他人なんて知ったことねえ、と無視しているのか。
 あるいは、注目をうけることに慣れているのか。


 廊下で待つイケメン男子こと木場祐斗。彼と相対する三大お姉さまこと八神はやて。
 お似合い――――ルックスや学内の評判という意味で――――の二人は、気にした様子もなく会話を続ける。
 そんな彼らの傍らで、変態こと兵藤一誠は、周囲から向けられる好奇の視線にさらされ戦慄していた。
 事情を知らぬ人間がみれば、なんとも不可思議な光景だった。  


「ふむ。ならば、なぜ迎えに来たんだい?それともまさかデートのお誘いなどと、言い出さないだろうね?」

「面白いことを言うね。もし、ここで『実は、デートの誘いに来た』といったら、どうするつもりだい?」


 ――――なぜ、平気な顔をしながら、地雷のような会話にいそしむことが出来るのか


 兵藤一誠としては、すぐさまオカルト研の部室に向かいたいところだった。
 だがしかし、せめて要らぬ誤解や邪推をなんとかしないと、大変なことになるだろう――――主に彼自身が。


 教室には緊迫した空気が漂っている。
 誰もかれもが疑問をもてど、とても口を挟める状況ではない。
 必然的に、皆が彼らの会話に意識を集中することになる。


「兵藤くんと三人でデートかい?なんとも、不健全なお付き合いだな。兵藤くんはどう思う?」

(おい、なんてこと言いだすんだ!)


 今の今まで、除け者にされていたはずなのに、最悪のタイミングで話題を振られて固まる。
 彼は、いつもの明るさが見る影もなく冷や汗をかいていた。
 クラスメイトたちから向けられる、様々な感情――――興味、嫉妬、敵意など――――は、見えない重荷となって、彼を押し潰さんとしている。
 特に、エロ仲間たちからの視線は、憎悪どころか殺意まで感じられるありさまだった。


「い、いやあそうですネ。八神さんのような女性なら大歓迎デスヨ?」


 彼は、無難に返答した――つもりだが、まったく状況は好転していない。
 とにかく、居心地の悪さをどうにかしてほしい気持ちで一杯だった。


「そうかい?まあ、冗談は置いといて――」

(ってオイ、冗談なのかよ!?)

「――木場くんが、誘いに来るとはね。グレモリー先輩に気を使わせてしまったかな?」

「ああ。一応、旧校舎は一般生徒が立ち入りできないからね。僕が案内役を仰せつかったのさ」 

「なるほどね。では、喜んでエスコートされるとしようか。だが、兵藤くんについていけば、済む話ではないかな?」

「僕もそう言ったんだけどね。部長曰く『ゴシップを避けるために必要な措置』らしい」
 

 ゴシップを避けるためのはずが、ゴシップをつくっている。
 実は、この事態をリアス・グレモリーは想定していた。
 兵藤一誠に対するちょっとしたいたずらのつもりだった。
確信犯である。


 彼が、なんとか弁明しようにも、雰囲気が許してくれそうにない。
 彼にできることはただ、嵐が過ぎ去ることを祈りながら、待つだけであった。
 普段ならば、美人と会話する木場に対して呪詛の一つでも送るところだったが。


『グレモリー先輩に頼まれた木場裕斗が、兵藤一誠と八神はやてを迎えに来た』

  
 すでに、事実が明らかになっているにも関わらず、好奇の視線は霧散しない。
 滅多にない組み合わせに興味津津なのだ。
 

(い、生きた心地がしねえッ…!) 

「――なるほど。確かに得心がいったよ。現に、クラスメイト達は噂話に忙しいようだしね」

「オカルト研究会の部室に誘うだけだと言うのに、大げさすぎるとは思うけどね」

「まあ、ゴシップ云々を置いておいても、キミがボクを誘う構図は、とても珍しい。仕方ないさ」

「そうかもね――」


 その後、しばしの間、歓談する二人。
 ときおり、兵藤一誠のほうにも話題が振られるが、彼は生返事しかできなかった。
 なんというか、もういっぱいいっぱいだった。
 盛り上がる二人の会話。
 比例して高まる教室の緊張。
 それぞれが、ピークに達したそのとき――――


「――おっと、少々話し込んでしまったようだ。早く行こう。ついてきてくれ」

「ああ。キミとの会話はなかなか楽しかった。つい話し込んでしまったよ。兵藤くんには、すまないことをした」

「い、いや、いいんだ。八神さんと俺は、グレモリー先輩に頼まれた木場に迎えに来てもらった『だけ』なんだからな!!」


 渦中の一人、兵藤一誠は、ようやく解放されると喜んだ。
 と同時に、釘をさす発言も忘れない。
 かくして、残念そうな、安心したような、ゆるんだ空気が教室を漂う。
 ようやく彼は安堵することが出来たのであった。


(ハーレムを目指すなら、これくらいの注目は流せるようにならないとな。嫉妬されるのは間違いないだろうし)


 なんだかんだで、平常運転な彼だった。
 少々の苦難では、へこたれない姿は、まさに「漢」であった。
 とは、クラスメイトの一人(変態)が後にした証言である。 
 

 
後書き
・この作品はエロ控えめです。
・安藤さんのハイスクールD×D二次創作「Irregular World」リスペクトです。ISSEIさんマジかっけー。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧