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ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、

作者:あちゃ
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第8話:子供だけど子供騙しに騙されない

(レヌール城)

信長(エリック)に言われた通り、城の地下にあるキッチンへ松明を取りにやって来た俺達。
恐いから本当はスドー君を先頭に進みたいのだが、どうしても俺の後ろを付いてくる状況にしかしてくれない。
静かな城内を移動する度に“ズズズズズ……”と音を出されるのは恐いんだよね。

代わりにビアンカが張り切って先頭を歩くから、男の俺は形無しです。最初からそうだったと言われれば返す言葉もないんだけどね。
お墓に閉じ込められた事により、完全に恐怖心が吹き飛び姉御肌と言うか……男勝り感が否めないのは心配だ。
希望の隊列とは真逆ではあるが、事態が進んでいるので気にしない様にする。

キッチンで幽霊コックに料理をさせてるガイコツ等も、最初は俺とビアンカを見て身構えてたけど、後から現れたスドー君を見て『何だ……コイツ等も死者か。随分自己主張がハッキリしてるから、生きた人間かと思ったぜ』って攻撃してこなかった。

つまり城内に入ってからの戦闘は0。
スドー君のお陰ですね。
でも……幽霊って、ハッキリ見える奴の方が自己種等してるって事なのかな?
信長(エリック)はともかく、貞子(ソフィア)も割かしハッキリ見えてたけど……

「あったわ……王様が言ってた松明を見つけたわよ!」
どうでも良い事を考えてたらビアンカが松明を見つけてきた。
こう言うイベントアイテムは、俺が見つけないと好感度上がらないよね……ダメだなぁ俺。



さて、松明も手に入れたし、暗闇を歩ける様になったし、ボスの所まで行こうと思います。
そして、ここからは俺ちゃんの出番ですよ!
遂に活躍出来る原作知識……戦えない為、周囲の人々(特にビアンカ)に白い目で見られてきましたが、俺ちゃんの誇る原作知識を駆使し、鮮やかに『親分ゴースト』を倒し、人々(主にビアンカ)から憧れの眼差しを浴びたいと思います。

「ふぇふぇふぇ……こんな夜更けに人間の子供が何用かな?」
いかん、考え事(基本妄想)してたら何時の間にかボス戦直前。
姉御肌(男勝り的)なビアンカが猪突猛進する(アホ罠に引っかかる)前に、会話の主導権を俺が握らないと!

「ぼ、僕達はこの城で悪さをするオバケを退治しに来たんだ!」
俺ちゃん声がファルセット(裏声)。ビビっているのでファルセット(裏声)
だって相手のビジュアルが恐いんだモン! ムンクの“叫び”見たいなビジュアルで恐いんだモン!!
よし俺の中ではムンク(親分ゴースト)に決定だ!

「ふぇふぇふぇ……随分と勇ましい子供だのぅ……どれ、ワシがお前等にご馳走してやろう。もうちょっと近くに来るといい」
「いえ、遠慮します。知らない人から物を貰っちゃダメって言われてますから」
でもビビってられないから、精一杯勇気を振り絞って会話を続けます。
ビアンカが突出しない様に……

「ふぇふぇふぇ……何じゃ、ワシが恐いのか? 臆病なガキ共じゃ!」
「な!? こ、恐くなんて無「はい、とっても恐いです。特に顔が!」
侮辱され怒りのままに怒鳴ろうとするビアンカを押しのけ、俺は本心を語り主導権を握り続ける。

「ちょっとアルス! 私は恐くなんてないわよ!」
「ビアンカは黙ってて! アレを恐くないって、感覚おかしいよ!」
近付いて奈落の底へヒュ~ストンなんてご免な俺ちゃんは、騒ぐビアンカを叱咤して黙らせる。
結果さえ出せば嫌われないよね!?

「ワシは思っている程怖くないから、もうちょっとこっちへ近付いておいで」
なおもムンク(親分ゴースト)は俺達を誘き寄せようと話し続ける。
だが俺はそれを無視し、銅の剣を使って床を叩き始める。

(ゴッ……ゴッ……ゴッ……コン!)
皆が不思議そうな目で見詰める中(スドー君は無表情)、音の違う場所を発見する俺。
(コン……コン……ゴッ……ゴッ……ゴッ……コン)
軽い音(コン)が落とし穴だと思われるので、そこを回避しムンク(親分ゴースト)が座る玉座の真横に到着する俺達。

近くで確認すると、玉座の手すり部分にスイッチが見えた。
多分これを押すと落とし穴が開き、上に乗っている奴を奈落へ落とすのだろう。
ムンク(親分ゴースト)も“何故バレたのか?”と驚き顔だ。だがその顔が凄く恐い(泣)

「え、えぇ~い……礼儀を知らぬガキ共じゃ! 目上の者に対し横から話しかけるとは何事じゃ! しょ、正面に回って話しかけよ!」
完全に動揺しているムンク(親分ゴースト)……
俺からは話しかけてないのに、ムチャクチャ言ってくる。

「ヤダよ……だって落とし穴に落ちたくないモン!」
核心をつく俺の一言。
更に驚愕の表情を浮かべるムンク(親分ゴースト)。そしてその顔は恐ろしい。

「な、な、な、何を言ってる……お、落とし穴なんて此処にはないよぉ!」
「でもコレ……スイッチでしょ?」(ポチッ)(ガコン!)
見え見えな動揺で罠の存在を否定するムンク(親分ゴースト)に対し、俺は手すりのスイッチを押す事で対応する。

「ほら……スイッチ押した途端、落とし穴が開いたよ。あなたの正面に居たら、僕達は落とし穴に落ちてたよ。こんな間抜けな罠に引っかかる奴居ると思ってたの?」
「何故だ……何故この落とし穴の存在を知っていた!?」

あぁそうか……知ってた理由が必要になるのか。
何て言おう……原作知識とか言うのは拙いよなぁ……
隣でビアンカも知りたがってるし……格好いい事言っちゃおうかな。

「僕達はここへ来る前に、地下の台所に行ったんだ。其処ではガイコツ達が大きなお皿に料理の準備をしていた……とても普通の食材が乗るとは思えない。で、食材は人間……それも子供だろうと考えたんだ」
そこまで言うと一旦間を置き、大きく開いた落とし穴を見る。

「だ、だが……それと落とし穴と何の関係がある!?」
「オジサン馬鹿だろ! あの大皿の位置は、オジサンが座ってる玉座の前の真上なんだよ! オバケ達に怯えていても、僕は周囲の状況をちゃんと見ているんだ! オジサンが今にも押したくて手すりのスイッチを撫でてたのも、ちゃんと見てたんだよ!」

一応言っておくがハッタリだよ。
こんな暗闇の中じゃ、地下の大皿との位置関係を測るなんて出来ないし、恐怖でそこまで気が回らない。
でも出来る男っぽくて格好良かっただろ、今の俺って……

「くっ……」
ムンク(親分ゴースト)が悔しそうにスイッチを押そうとしてた自分の指を睨んでる。
どうやらハッタリ効果絶大だ(笑)

「僕はオジサンと違って臆病なんだ。オバケは恐いし、地下に居たガイコツも恐い。今だってオジサンの事が恐くて仕方ない。でもね……馬鹿ではないんだよ。オジサンと違ってね!」
イェ~イ……言ってやったぜ! 戦えない俺に出来る最大の攻撃、それは皮肉だ!

「こ、このガキぃ!(ツルッ!)あ、あぁぁぁぁ………(ぐちゃ!)」
俺の皮肉が効果的だったらしく、激怒のあまり勢いよく立ち上がったムンク(親分ゴースト)……
だが目の前が落とし穴だと言う事を忘れてたらしい。

立ち上がったのと同じくらいの勢いで落ちて行く。
そして最後に鈍い音……
穴の底は暗くてよく見えないが、ガイコツ達の声が聞こえてくる。

「お、おい! 親分が落ちてきたぞ!」
「何だって!?」
「親分、大丈夫ですか!?」
「おい、返事しねーぞ……」
「ま、まさか……」
「親分がやられた! 逃げろー!!」

確かコイツ等は魔界でもはみ出し者だったと思う。
はみ出し者と言っても、弱いから仲間に入れて貰えず、弱い者同士で連み更なる弱い者を苛める馬鹿連中だ。
そんな連中でも親分と呼ばれる奴は、その中では一番強いのだろう。

その一番強い奴が()られたとなれば、手下共は恐くて逃げ出すしかないだろう。
元々人望があった訳でもないのだろうし、復讐心に燃えて襲ってくる奴は居ないはずだ。
居たら困るなぁ……

気が付くと目の前に信長(エリック)貞子(ソフィア)が現れていた。
貞子(ソフィア)の存在感にガチ泣きそうになったが、グッと堪えて奴等の反応を窺う。
すると……

「よくぞ目障りな連中を追い出してくれた、礼を言うぞ!」
信長(エリック)が偉そうな態度で礼を言ってくる……これって礼か?
「これで……静かに……寝れる……」
貞子(ソフィア)の方は小さい声で喜びを表してる……でも怖い。

確かこの後……と言うか、本来なら中庭(?)の墓の前まで俺達を連れて行き、そこでお礼して貰うんだったよね?
なのに今はまだ真っ暗な玉座の間。
中庭(?)に連れて行く気配無い……

「これでお二人とも静かに寝れますね」
ビアンカが和やかに話しかける……
すると二人は黙って消えてしまった。

イレギュラーなスドー君が居るから、幽霊チックな空中移動は無しなのか?
まぁ良い……あとはゴールドオーブを手に入れれば、此処でのイベントは終了だ。
だから松明をビアンカから受け取り、周囲を探してみました。

「あら、これは何かしら?」
すると原作同様ビアンカが何か(ゴールドオーブ)を発見し、俺に見せてくれる。
流石女性は光り物に目敏く反応する。

「何だろうね……凄くキレイだ」
何だか解ってるが惚ける俺ちゃん。
説明が面倒だからね。

「きっとオバケ退治のお礼よ! アルスの作戦で親分を倒したのだから、これはアルスが貰ってよ」
「え、でも……薬草とかはビアンカがお小遣いから出して買った物でしょ? これはビアンカが貰うべきじゃ……」
はい、勿論本心じゃありません。イベントアイテムなのだし、貰わない訳にはいかないのだけど……一応こう言っておかないとね!

「それは大丈夫よ。ここへ来るまでに何度か戦闘をしたでしょ……その時に敵が落としていったお金は全部貰っちゃってるから、親分を倒して貰ったこれはアルスが貰って良いのよ」
なるほど……確かに戦闘では何の役にもたってないし、(ゴールド)は全部ビアンカの物だろう。

「じゃぁ遠慮無く……」
申し訳なさそうにゴールドオーブを受け取り、完全に誰も居なくなったレヌール城から脱出する。
すると何時の間にか日が昇っており、爽やかな朝になっていた。

「拙い……私達が町を抜け出し、レヌール城まで来てた事がバレちゃうわ!」
あぁそうか……子供なんだし、勝手に町を抜け出しちゃ怒られるのか。
血相を変えたビアンカに続き、急いでアルカパまで戻る俺達。

まぁ間違いなく大人に叱られるだろう。
父さんにも怒られるだろう。
とても心配だが、今はそれどころではない。

スドー君の事を何て説明すれば良いのだろう?



 
 

 
後書き
アルス君の大活躍により、親分ゴーストは倒されました。
しかしながら、この倒し方でビアンカの好感度は上がるのでしょうか?
今後どうなる事やら…… 
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