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ドラゴンクエスト5~天空の花嫁……とか、

作者:あちゃ
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第4話:前払いでお願いします

(サンタローズ ~ アルカパ)

きっと村に一人残して危険な事をされるのが不安なんだろう……
「アルス……今朝早くに薬が届いた為、ビアンカ達はこれからアルカパに帰るのだが……女性2人だけでの道中は何かと危ない。送って行こうと思うから、お前も来なさい」

選択権無し。
勿論拒否などはしませんが、原作とは随分違った対応ですなぁ。
でも、もっとショックだったのは『え、コイツも来るの!?』って感じのビアンカの表情だ。

俺の所為で昨日はママさんが泣きながら平謝りしてたし、随所で俺は『ビアンカの為』を連呼してたし……
嫌われてるかな俺?
大丈夫だよね……これから胸キュン事件が勃発するよね!?
一緒に猫ちゃん(ベビーパンサー)助ければ、恋心特盛りになってくれるよね!?

でも道中は『危ないから私が手を握ってあげる』と言って、ずっとお手々握々状態だった。
やっぱりビアンカは優しいなぁ……可愛いし良い匂いだし柔らかいし……早く嫁にしてぇ~! そして早く初夜を迎えてぇ~!



(アルカパ)

ビアンカが握ってくれてた右手で、今すぐにもシコりたい俺だが、取り敢えずビアパパのダンカンさんの様子を窺ってます。
感染(うつ)るから近付かないでくれ」
とのダンカンさんのお言葉を素直に聞き入れ、数歩下がった所でビアンカの尻を眺め続けます。

疲れたフリして床に寝転がり、スカートの中を覗いちゃっても良いかな?
どんなパンツ穿いてるか確認しちゃっても、子供のする事だって笑ってくれるかな?
演技力が問われる行為だ……慎重に機会を窺わねば!

「アルス……暇だったらアルカパの町を見学してきなさい。町の外に出ないのであれば、自由にしてて構わないから」
ビアンカの足下と周囲の様子をキョロキョロ見ていたから、暇を持て余していると勘違いされ父さんに散歩の許可を与えられた。

何か病人を前に暇を持て余すのってダメな気がする。
全然心配してない感がバリバリ出ちゃってる気がする。
チラッとビアンカを見ると、白い目で俺を見据え“最低なガキね!”って感じを醸し出してる……

でも言い訳が出来ない。
だって本当はビアンカのパンツを覗く計画を考えてたなんて言えないじゃん!
だからションボリしながら黙って部屋を出て行く俺ちゃん。

「ほらビアンカも一緒に行っておやり。アルスが迷子にでもなったら大変だからね」
ビアママが情けないガキを心配し、あり得る未来を防ぐ為に娘さんに子守を言いつける。
可愛い顔が盛大に歪むビアンカ……ヤバイ、泣きそうだよ。


それでも優しいビアンカは、俺の手を握り町の案内をしてくれる。
優しいビアンカの柔らかい手の感触に全神経を注ぎ込んでいた為、観光案内は記憶に残らない。
ずっとビアンカの顔や身体を眺めていた。

だから突然走り出したビアンカに驚く!
手を握ったままであったが、何かを発見し猛ダッシュする。
イベントの進行合図だと理解したのは、俺の目の前に変な猫を苛めるガキ2人が現れてからだ。

「ちょっとあなた達! その猫ちゃんが可哀想でしょ……今すぐ放してあげなさい!」
この事件が俺にとって大切でなければ、ビアンカとのデートを邪魔するクソガキとクソ猫に殺意を燃やしているのだが、戦闘の不得意な俺にとって貴重な戦力になるベビパン(ベビーパンサー)は重要だ。

「な、何だよビアンカ……コイツ面白い声で泣くんだよ。ビアンカも一緒に遊ぼうぜ!」
間違いなくこのガキ等もビアンカに気があるのだろう。
突然現れ自分たちの行為を否定され、見るからに狼狽するガキ共……

「いじめちゃ可哀想だよ……その猫さんを放してあげてよ」
俺は好感度アップの為、ビアンカの意見に乗っかりガキ共の行為を否定する。
チラッとビアンカを見たら、俺の意見に満足そうに頷いた。良し!

「何だよチビ! うるせーんだよ……俺達が何をしようが勝手だろ!」
「勝手じゃないわよ、弱い者イジメをするなんて最低よ! 今すぐ猫ちゃんを放してあげなさい!」
好意を寄せる女に“最低”と言われるのは辛い……
ガキ共はかなり怯み目を合わせあう。

「じゃ、じゃぁレヌール城のオバケを退治して来いよ……そうしたらこの猫をあげるよ」
どうしてそう言う話になるのか解らないが、猫解放の言質は取った。
しかし、ここでただ『イエス』と言ったのでは俺の計画に支障がでる。

「分かったよ……レヌール城のオバケを退治してくれば良いんだね。でもその間、猫さんはどうするの? また苛めるんだったらダメだよ。絶対にオバケは退治してくるから、先に猫さんを放してあげてよ!」
そして俺の戦力にしてくれよ!

「はぁ? ダメだよ馬鹿! オバケ退治が先だ。猫を放すのはその後だよ」
「でもその間、猫さんを苛めるんだろ!? 可哀想だよ……今すぐ放してあげてよ!」
世話する手間を引き受けてやるから、俺の戦力に組み込ませろ!

「苛めねーよ! お前等がオバケ退治をしてる間、俺達もこの猫を苛めたりしねーよ! だからこれ以上ガタガタ言ってねーで、サッサとレヌール城にオバケ退治しに行けよ!」
行ける訳ねーだろ……こっちは戦いが不得意なんだ。
ビアンカが戦闘に加わるったて、後方からの魔法戦がメインだろ……前衛が必要なんだ。

「僕達は絶対にオバケを退治するから、先に猫さんを解放してよ……既に君たちに苛められて、猫さんは怯えてるから、これ以上苛めなくても一緒に居るだけでストレスがかかっちゃうよ。そんなの苛めてるのと同じじゃんか! 絶対……何があっても絶対にオバケを退治してくるから、先に猫さんを解放してあげてよ……お願い」

(ポカリ!)
「うるせー、お前等のオバケ退治が先だ! 出来もしない条件に、何で俺達が従わなきゃならないんだ!? いいから黙ってあっち行け馬鹿チビ!」
殴られた! 父さんには殴られた事ないのに……

「うわぁ~ん!!!!」
そっちがその気なら俺も容赦はしない。
大泣きをし事を大袈裟にする……そして大人が集まってきたところで、純真無垢な俺の涙ながらの訴えを披露する。

そうなればガキ共は有無を言わせず悪者扱いされ、大人の権力(ちから)ずくで(ベビパン)を手放す事になるだろう。
ふっふっふっ……我ながら恐ろしい計画だ。

だが……大人が集まる気配がない。
ただ俺が馬鹿みたいに大泣きするだけ……
段々大泣きするのにも限度を感じてきた。

「アルス、もう泣かないで。私と一緒にレヌール城のオバケを退治しに行きましょう」
優しく俺の頭を撫で、この場から離れようとするビアンカ。
サンタローズであればこんな事にはならないのに……
都会の人達って冷たいよな!

「良いあなた達! 絶対に猫ちゃんを苛めてはダメよ! 私達は直ぐにでもオバケを退治してくるのだから、その間は優しく世話しなさいよ!」
「うるせー早く行けよブスビアンカ!」
何だとクソガキが!?

「ビアンカはブスじゃない! 謝れ馬鹿デブ!」
今のままだって美味しく頂けそうな可愛いビアンカに対し、あまりにも失礼な事を言う馬鹿ガキに怒りを感じ、思わず叫んでしまった俺ちゃん。

「なんだと馬鹿チビ!?」
しかし馬鹿ガキも俺の言葉に激怒し、拳を握り締め向かってくる。
年齢も体格も腕力も向こうの方が上だろう……その恐怖の所為で思わず身を縮めてしまう俺。

「わっはっはっはっはっ……ビビってやんのこのガキ。こんな臆病者にオバケ退治が出来る訳ねーよ」
ムカツク……ベビパンが大きくなってキラーパンサーに成長したら、あのガキを脅かしに来てやる。
目の前でキラパンを牙剥き出し状態にし、ジリジリと躙り寄らせビビらせてやる!

つーか結局、オバケ退治の報酬前払いはダメだった……
どうすんだよレヌール城は……
ビアンカ一人に負荷をかけてしまうんじゃねーの?



 
 

 
後書き
この主人公は考える事がセコイ。
個人的には素敵だと思うね。 
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