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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな再会は流石の俺も予想外だろ

7月7日 今日のラッキーアイテムはリップクリーム。ジェーンさんが貸してくれた。

親方!空から人参が!

朝、目が覚めて廊下を歩いていると旅館の敷地内に3~4メートルくらいの人参が降ってきた。人参の中からはぼわっと天才お姉さんの篠ノ之博士が出てきた。おいっす。お久しぶりっす。挨拶したんでそのハグ止めてもらえますか谷間に堕ちて窒息死しそうなんすけど!?
あとちょっとおりむーが来るのが遅かったら天に召されるところだった・・・


そして博士は箒ちゃんの誕生プレゼントと称して例の新型IS「紅椿(あかつばき)」をこしらえていた。すげー赤けーかっこいー二刀流だー。だがいきなり専用機とか持ってこられたせいで箒ちゃんは若干「お、おう・・・」みたいな感じで引き気味だった。専用機欲しかったのかと思ってたけど違ったのか?
性能テストはそりゃもう見事なもんだった。飛び交うミサイルをばっさばっさと切り伏せて箒ちゃんもちょっぴり爽快感からか笑っていた。人間やっぱり笑顔が一番やね。

そして恒例のISコアとの会話。渾名はひねりなくツバキでいいよね。
箒ちゃんの専用機となるべくして一から作られた新参コアで、精神年齢低めのちょっと自尊心が強い子だ。しかしそれも子供が背伸びしてる印象を受けて微笑ましくもある。箒ちゃんとはこれから交友を深めたいと思っている反面、彼女からは戦闘訓練中にもかかわらず振り切れない迷いが感じられるという。・・・こりゃ深刻だな。


と、ここで緊急連絡。なんとメリケンとイスラエルの共同開発IS「銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)」ちゃんがパイロットを乗せたまま暴走、何故かIS学園がそれを処理することになったらしい。
詳しい事は分かんないけど学生にそんなこと任せんな、と上の人に言ってみたらかなり顔が引き攣ってた。オウカ曰く今のあの人は博士お気に入り?の俺と篠ノ之博士本人の意見で板挟み状態らしい。仕方ないのでさっさと解決してあげようと「直ぐ楽にしてあげる」と笑顔で言ったら画面越しに泡吹いて倒れた。解せぬ。あとなんか織斑先生が「グッジョブ!」みたいな顔しとる。あの人嫌いだったのかね。


出陣じゃー!狼煙を上げよー!!

出撃者はおりむーと箒ちゃん、ついでに俺。箒ちゃんとツバキがIS界最高の速度でおりむーを福音ちゃんまでデリバリーして、おりむーとヴァイスが止めを刺す完璧な戦法!俺も後詰めで出撃するということになった。
他の皆はISの速度的に追いつけないが、展開装甲によるパッケージ交換なしの高速機動形態移行が可能な俺なら追い付けるらしい。つくづくリューガさんはすげぇ。究極ロボとか持ってそう。


出撃前にもかかわらず顔が曇っている箒ちゃん。いつも訓練ではこの上なく気合が入っている彼女らしからぬ態度におりむーも一抹の不安を抱えているようだ。

そしていざ出撃しようとした矢先、事件は起こった!!何と太平洋上で所属不明IS2機が戦闘行為をしているというのだ。誰と誰が戦ってるのかは知らないけど放っておくわけにはいかないよね!しかもそのIS達は戦いながら福音ちゃんの移動コースに近づいていて、このままだとブッキングの四つ巴になってしまうらしい。そこで役割分担。
まとめて2機同時に相手に出来るオウカが戦闘中のISを引き受け、残りの二人が予定通り福音ちゃんを止める。完璧な作戦だ!

「じゃ、俺行ってくるわ」
「あ、真田・・・いや、ゴエモン」
「?」
「任務が終わったら・・・話がある」
「何か死亡フラグっぽいよそれ。まぁちゃんと帰ってくるからそっちもちゃんと帰ってきてね?」

了解してお空へ。腰にある袴っぽい感じの装甲板が外れて後ろのスラスターと連結、長距離移動用のブースターパックの完成だ。全身全霊マッハゴー!!
皆の驚く顔を笑顔に変えるため・・・俺は往く!!



・・・・・・



《そろそろ戦闘宙域が視認できる距離に入ったんだけど・・・》
「言うなオウカ。この声、この気配・・・俺にも覚えがある」

どぉん、と言う爆音と共に次々に水柱の上がる海上を駆ける二つの声。

「やーだー!!ごえもんのところに行くのー!!」
「我儘言ってねぇで・・・とっとと捕まりやがれってんだ!!くそ、何で剥離剤(リムーバー)が利かねぇ!?」
「おねぇさんキライ!!もうあんな油臭い所二度と行かないんだからっ!!」

そこにいたのは所属不明機2機で計”3人”。ISコアも含めて”3人”。3人。

追い掛け回してるのは醜く顔を歪めて荒々しい言葉を吐く女の人。8本のマニュピレータだか何だかわからんものをくねらせながら執拗に相手を追いかけている。
そしてそれから逃げながらビームをぶっ放しまくっている黒くてゴツイIS。パイロットはいない。いや、正確にはそれらしき人物が乗っているのだが、ISコアに慣れ親しんだ俺には”その人物らしきものもISの一部であり付属品で、生きた人間ではない”事を理解してしまった。

つまり彼女は完全自立型な人間そっくりのアンドロイド的存在で、彼女自身がISのボディであり人らしく振る舞い感情を表現してコミュニケーションを図るための端末だ。おそらく戦闘時はあの姿、非戦闘時はあの少女の姿をした部分によって動くのだろう。

そしてあの声はまぁアレだ。クラス代表戦の時のIS、「ウツホ」で間違いない。

「あ!ごえもーん!!」
「こんな所でどうしたのウツホ?」
「お母さんからボディ作り変えてもらったから、ネットワーク辿って会いに来たの!!でも・・・途中であの厚化粧のおばさんに見つかっちゃって・・・」
「聞こえてんぞ小娘(ミンクス)!てめぇのISコアは元々あたしの組織の持ち物だったんだよ!!」
「もうなんなのよー!私はあんたたちのものなんかじゃないわよ!!私の邪魔しないでー!!」

声と同時にウツホの腕と肩部から同時にごんぶとビームが放たれる。熱量的に喰らったら一発戦闘不能どころか死亡もあり得る火力にウツホ以外の全員の顔が引き攣る。

「くそったれ!!サナダとか言うガキには近づくなって命令だし・・・覚えてやがれ!次は八つ裂きにしてコアを持って行くぞ小娘(ミンクス)!!」
「アンタなんかに攫われたりなんか絶対にしないよーだ!!あっかんべろべろべー!!」

どうもあっちのお姉さんはウツホの秘密には気付いていないようだ。最後まで微妙に会話がかみ合わないままお姉さんとISは去っていった。・・・おしゃべりができる有効範囲にギリギリで入らなかったから名前も聞けなかったよ。あとウツホ、何所でそんなの覚えたの?

「会いたかったよごえもん!オウカ姉ちゃんも!!」
《そのボディいいなーいいなー》
「色々聞きたいことはあるけど元気そうで何よりだ。とりあえずこっちについてきてね?」
「はーい!」


――この時俺は、久しぶりの再会もあって心のどこかで今の事態を楽観視してたんだ。
だから、次に入ってきた通信で、俺は心底肝を冷やした。また俺は、身近な人を失うのかと。





『ゴエモン!!早く来てくれ!任務は失敗だ!一夏が・・・一夏がぁ・・・!!!』
 
 

 
後書き
ツバキ・・・ちょっとだけエリート思想のある新参者。箒専用に作られているということを「自分は特別期待されている」と解釈し、戦闘では見ている側が微笑ましくなるほど張り切る。反面心のどこかに常に冷めた部分があり、その部分が自分や操縦者の不調を静かに見定めている。

ウツホ改めウツホ・ミンクス(名前に響きが気に入ったのか自分の名前にしてしまった)
褐色がかった肌に藍色のちょっとカールした長い髪。瞳の色は 顔には幼さが残るが身長は成人女性よりちょっと高いくらい。瞳の色は青。胸の大きさは普通くらいでこっそりゴエモンをほっとさせた。
戦闘形態はゴーレムを基に装甲のあちこちを削って軽量化を施しているが、重量以外のすべてのスペックが元のゴーレムより上昇している。 
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