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ワンピース*海賊と海軍、七武海と白髭。

作者:斎藤海月
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第一部
縮まる距離。
  二人だけで(二匹アリ)

ナミたちと別れた直後にレオンとマールの足で


麦わらの一味が船を留めた場所まで戻るのに二日ぐらいはかかると近くにあった一つの中舟と、


蛆虫(エース)が乗ってきていたらしい可笑しな姿をした舟を中舟の後ろにロープでしっかりと付けると砂漠大国が小さくなっていく姿だけを見つめながら


リノ「・・・・・・」


眉間に皺を寄せた。


・・・いや、かなり問題がアリすぎて可笑しいだろ。


レオンとマールは疲れて眠ってるみたいで今、起きているのはあたしとコイツぐらいだった。


コイツはコイツで何か平和ボケした顔してるけど・・・


リノ「・・・可笑しいだろ」


エース「ん?どした?」


リノ「・・・はぁぁぁ・・・」


エース「何で俺の顔見て重い溜息付くんだよ・・・」


リノ「あのさぁ?何で自分の舟があんのに、この舟に乗るの?」


エース「んー?・・・何でって、俺が使ってるこの舟は立って移動する奴で座れないだろ?

それに・・・せっかくリノと一緒にいるんだしよ、一緒に舟に乗りてェーじゃん」


・・・・・・・いやいや、〝じゃん〟とか言われたって


<気持ち悪い>という目でしか見れないんだけど。


リノ「出てけ。気持ち悪い」


エース「素直になれって」


リノ「これが本音だけど」


エース「はぁ・・・まあ俺ァ・・・結構、楽しいから良いけどな」


楽しい?何処が←


あたしは最悪なんだけど。まじで←


リノ「・・・・・・ねえ」


エース「ん?」


リノ「・・・・あたしといて…楽しいの・・・?」


エース「楽しいぜ?」


リノ「・・・・・・」


嘘っぽい表情なんか全くない笑顔を浮かべて、


あたしを真っ直ぐ見る。それに即答って言うのもだけど・・・


リノ「・・・怖く、ないの・・・?」


エース「最初はちょびっとだけ怖かったけどなぁ」


リノ「・・・・やっぱりか」


やっぱりみーんなそう言うよね。


エース「やっぱり?お前ェ…人の話は最後まで聞くもんだろ」


リノ「は?」


エース「俺が言ってんのは…あの街でお前が落雷を出現させた時だけ。

んで今は・・・リノの事、好きだと思ってるぜ」


リノ「あーはいはい、お世辞をどうもありがと」


エース「お世辞じゃねェーよ」


いやいや。行き成り好きとか言われてもあたしの答えは変わらないし←


蛆虫を好きになるのは絶対にない事だもん←←


ていうかなんでそこでふてくせるんだよ、おい((


エース「俺ァ・・・嘘は、つかねーよ」


リノ「・・・悪いけどあたしの気持ちは変わらない。

男を好きになる事も、男と親しく馴れ合う気はない」


エース「だったらマルコはどうなんだよ」


リノ「え、マルコ?」


・・・・・・行き成りマルコ(アホ鳥)の名前を出すのもどうかと思うけど((


リノ「マルコは・・・んー・・・なんだろ。

一言で言えば・・・腐れ縁みたいな、そんな感じ?」


エース「アイツも男だぜ?なのに矛盾してねェーか?」


リノ「あー大丈夫。一度もマルコを男として見て事無いから((キリ」


エース「・・・・・・・・」


え、何か黙っちゃったんだけど((


・・・・・・これぞ、嫉妬って奴!?


ニョン婆から聞いてたけど、へー、これが(棒


でもまあほんとにマルコだけは男として見た事は無いけどなぁ


ずっと「鳥」として見てたし←


鳥とか男以外の関係ってなれば、多分、兄かなぁ?ってあたしは思うけど←


だってさ、ずっと心を閉じてたあたしに話し続けてくれたのってマルコだし


あたしに色んな事を教えてくれたのってマルコだからそれ以上の関係は無いけど・・・←


リノ「だからまあ・・・女を狙うならそこら中にきっと良い女もいるでしょうし」


エース「……ねェーよ」


リノ「・・・・・・・・」


エース「・・・俺が好きになったのは、リノだからこそだ・・・」


・・・・・・何で顔を赤くしたんだよ、オイ←


さっきと今を合わせても普通に好きとか言ったのに?!


かなり可笑しいよねちょっと…((


エース「・・・これでも・・・駄目かよ」


リノ「?!」


―――ギュっ


気付けば船の真ん中で抱きしめられていた。


・・・・・一瞬の事で何がどうなったのかは分からなかったけど、


本当に一瞬過ぎて…(((


リノ「・・・っ・・・放して・・・」


エース「・・・っ」


生身の、上半身を着ていない身体があたしから離れると


・・・エースは、帽子を目深く被った


リノ「・・・・・・その気持ちと言葉だけは受け取っておく。

あたしを・・・好きになってくれてありがと」


エース「っ・・・」


リノ「けど、あたしは・・・人を簡単に信じない。特に・・・男は」


さっきまで俯いていたエースが、驚いた目であたしを見る


多分頭か心の中で〝何で?〟って思ってるんだろうね


エース「・・・何でだよ・・・」


リノ「・・・砂漠の国へ入る前、あたしに名前で呼べって言った時の言葉覚えてる?」


エース「? 俺が、お前に呼んで貰えなきゃ生きてる意味ねェーだろって言ったあの言葉か?」


リノ「そう。・・・・あたしは何となく・・・・エースはあたしと同じ過去を持ってるのかな?って思ったけど全然違った」


エース「どういう事だ?」


リノ「・・・人ってさ生まれて来る時に、愛されて生まれて来るでしょ?

・・・・・・でもね、あたしは・・・・あたしだけは・・・違う」


エース「?!」


リノ「・・・」


あの時の事を思い出さないように真っ青な空を見上げると、


頬を伝って涙が溢れるのが分かった。


絶対に誰にも話さないって誓った過去の秘話。


絶対に馬鹿にされるからって思ってた


リノ「・・・あたしは、エースの父親と母親が誰なのかも知ってるしその人たちがどれだけ偉大な人たちかも知ってる」


エース「?!」


リノ「それに・・・エースが、すっごく苦しい状況だったのに元気に、両親から愛されて誕生したのも知ってる」


エース「な・・・んで・・・それを・・・」


リノ「・・・ジジイが教えてくれた。白髭のジジイが」


エース「親父が?!」


リノ「・・・そう。何であたしに電話でそんな事を言ってきたのかは分かんないけど・・・

本当、ふざけた話だったよ。電話の途中で毎回毎回笑うし・・・」


・・・・・・ジジイが電話を掛けて来る時は、絶対に一度も会った事無い火拳のエースって奴の話だと分かってた。


だからあえてジジイが電話してきそうな時間帯をちゃんと調べて電話を無視するようになって、


エースの事さえも知らなくなった。


でも指名手配書にも、新聞にも、大仏男がよく口にしてたから名前は覚えたんだ


リノ「本当に、あたしを心配して電話をしてんのか・・・それともアンタの自慢話だけをする為にか・・・本当、訳分かんなかった

・・・でもさ、ある日、ジジイがどうしてアンタの話ばっかするのか分かった日があった。

ジジイが酒の飲みすぎだかなんだかで身体を壊したって聞いた時、マルコがさ・・・

あたしに言ったんだ。〝親父が電話で火拳のエースの話ばかりする理由は、お前ら二人がかなり似てるからだ〟って言ってたのを今でも覚えてるよ」


・・・・・本当、バカげた話。


あたしとそいつの何処が似てんだよ、って逆ギレしてすぐに電話を切ったけど


リノ「・・・今、思えばあたしとエース、アンタは違う・・・

・・・あたしとアンタに共通点は無い」


エース「っ・・・」


・・・・・・・あたしとエースに共通点はない。


共通点なんて、ない。


海軍に拾われるまではあたしには憎悪と殺意、この両方しかなかった。


レオンたちがあたしを信じてくれるようになった時からあたしは少しずつ変わっていったけど


あたしの人生をめちゃくちゃにしたのは、紛れもなく〝男〟という名の生き物。


リノ「あたしはずっと独りだった。レオンたちが信じてくれるって言ってくれる数分前まではずっと・・・独りだった。

・・・虐待されて、罵声を浴びせられて・・・信じたくても信じれなかった。

あたしを産んでくれたアイツらを少しでも愛そうって幼い頃のあたしはずっと考えてた

信じてた、信じて、信じて・・・けど、あたしは騙された」


そこまで言った時、


あたしは自分が泣いてるのに気付いた。


憎悪の塊の涙か、それとも悔し涙か、空虚さの涙か・・・


よく分からなかった。


エース「リノ・・・っ」


名前を呼ばれて、下げていた頭を上げると


―――ギュっ


今日までで何度目かは分からないけど、


今までで一番強くあたしを抱きしめていた


・・・ずっと思ってた。


一度はこうして、抱きしめて欲しかった


偽りでもいいから抱きしめて欲しかった。


血の繋がった兄じゃなくても一度でも一緒に笑いたかった


けど、理由も分からないままそれはただの夢に終わったんだ


・・・・・あたしが辛かった時、優しく頭を撫でてくれたマルコとは違って


エースは力強く抱きしめてくれた


エース「・・・言ってくれてありがとな・・・リノ」


リノ「っ・・・っぅう…」



レオン『・・・・・リノ』


マール『・・・リノもようやく、昔の事を吐き出したか』


二人が、あたし達の話を聞いていたとも知らずに


あたしは初めて男の腕の中で泣いた。


・・・この時に、あたし自身が一番理解していたと思う。


人間不信だった心が、少しは軽くなったのかもって 
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