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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第5章:導かれし者達…トラブルを抱える
  第10話:何か弟みたいッスね!

(ブランカ周辺)
ウルフSIDE

リュカさんが俺達(アルル・ハツキ・俺)に示してくれた事を、実力は下がるが俺がシン君達に見せて納得させる。
アルルやハツキが見たら『えっらそーに! アンタだってまだヒヨコじゃない!』って言われるだろうな(笑)

それでもリューノは大人しくなってくれたし、双子も改めて理解してくれて俺の立場も確立出来た。
なんせリューノなんかは、俺が戦う姿を目の当たりにした事がないから、父親に生意気な事を言う青二才にしか見られてなかっただろうから……

でも最大に俺を見る目が変わったのが、勇者様のシン君だ。
まるで尊敬する兄貴を見る様な目……
時折だが、俺がリュカさんやティミーさんにする目と同じ気がする。
なんか弟が出来たみたいで嬉しいぞ。
しかし厄介の事も併発する。

地図で見た限りブランカという城下町が近くにある。
多分、俺達の足で2.3時間くらいだろう……そこから来たリューノやシン君が言うのだから間違いない。

現在はまだ日も高く、ブランカへ言っても夕暮れには程遠い時間に辿り着くだろう。
町の宿屋で休んでから明日朝に出立する安全旅で行くのか、このままブランカを通り過ぎ、行ける所まで行って野宿をする急ぎ旅で強行するのか……
勇者であるパーティーリーダーに、決定権が託された。

父親に早く会いたいリューノは、少しでも先を急ごうと強行策を支持する……
魔法戦メインのマーニャ・ミネア姉妹はそろそろ魔法力切れの為、安全策で行く事を進める……
リーダーが決める事になり、困ったシン君は俺の顔を見詰めてくる。

個人的な意見を言えば、安全策を俺は進めるが……
俺の意見にパーティーリーダーがしたがっていては、リーダーとしての資質が育たない!
これはアルルを見れば一目瞭然だ!

リュカさんの欠点は、結局のところで我が儘を言う事だろう。
面倒事を避ける為、アルルが二度手間をしそうになると口を挟み、強引にパーティー方針を決めてしまうのだ。
あの時の冒険では、そのお陰で無駄が少なく意味ある旅が出来たのだが、アルルのリーダーとしての資質は育たなかった。
ヒステリックな姉ちゃんになっただけだ!

ミネアさんの占いを信じる限り、何れは全員が揃う事になっているみたいだし……無駄足を踏むかどうかを気にするのは止めた方が良いだろう。
それよりも、この若く経験不足な勇者を育てていったほうが後に有益だと俺は思う。

そう言う意味で、リーダーとしての資質が足りないのはティミーさんも同様だ。
巨大なる指導者のリュカさんが目の前に居る所為で、自らが難問を選択し解決する機会を逃してしまったのだと俺は思う。

国民達には権利を与え、自分等で歩む努力をさせるのに、やっぱり身内に甘い部分が出てくるんだなぁ……
数少ないリュカさんの人間ぽさだと思う。

ウルフSIDE END



(ブランカ周辺)
シンSIDE

どうしよう……
ウルフさんが俺と目を合わせてくれない。
俺が決めろって事だろうなぁ……

決められないよ……
“早くお父さんに会いたいの!”って叫ぶリューノちゃんと……
“疲れて戦えないわ”って色っぽく迫るマーニャさんとミネアさん……

どっちの意見も尊重したいし、どっちの意見を否定しても怒られそうだし……
強くみんなを説得出来るウルフさんが決めてくれれば良いのに……
どうすれば良いんですか!?

「あ、あの……ウルフさんの意見は……?」
「俺? う~ん、そうだねぇ……俺的には、マーニャさんが裸踊りをすれば良いと思うよ(笑) あ、オナ○ーショウでもOKね!」

「はぁ!? 何言ってんのアンタ!」「それじゃ何の解決にもならないでしょ!」
俺より先に文句を言ってくれたのはリューノちゃんとマーニャさん。
全然解決にならない事を言うウルフさんを大声で叱ります。

「何か解決を望むんなら俺に聞くなよ……俺は別に、エンドールへ帰るって選択肢でもOKなんだから……」
ダメだ……彼は道を示してくれても、決定はしてくれない。
勇者が……リーダーが決めるようにと、突き放してくる!

「……じゃぁ、今日はブランカへ泊まりましょう!」
「な、何よシン!? アンタ私の気持ちを解ってくれないの?」
やはりリューノちゃんが怒鳴ってきたか……

「ち、違うよリューノちゃん……俺は君の気持ちを知っているし、早く家族と再会できるように協力するつもりだ! でも、焦って取り返しのつかない事態になってほしくないんだ! 慌てて先に進んで、強敵が現れたらどうする!? 俺達が万全の体勢であれば勝てた相手でも、疲れ切った状態では負けるかもしれないだろ? “負ける”イコールそれは“死”なんだ!」

俺はリューノちゃんを説得しながら、チラッとウルフさんを見る。
彼は穏やかな目で見詰め、軽く頷いてくれた。
良かった……どうやら正解なのかもしれない。

「そ、そんなの……大丈夫よ! だってウルフが居るんだもん! 私達より遥に強いウルフが味方に居るんだもん!」
「そ、それは……そうだけど……でも……」

「リューノ!」(パシン!)
俺が口籠もって反論出来ないでいると、突然ウルフさんがリューノちゃんをひっ叩き、喚き散らす彼女を黙らせた!

「な……わ、私を殴ったわね!?」
「あぁ殴るさ! 本来は父親がやるべき事だろうが、此処にいないから俺が殴るさ!」
「お、お父さんが私を殴る訳ないじゃ「殴るよ!」
涙をボロボロ零しながら訴えるリューノちゃんの台詞を遮り、迫力のある大声で怒るウルフさん。

「お前は自分の父親を過小評価しているな! リュカさんは娘だろうが息子だろうが、悪いと思ったら迷わず殴る! 俺はそれを見てきたんだ……自分の都合ばかり言って我が儘を言うマリーを、リュカさんは躊躇わず殴った。そして冷たく見下ろし“最低な娘だ”と言い放ったんだ!」
流石、ウルフさんが尊敬する人だ……とても格好いい人なんだなぁ。

「さっきも言っただろ……俺は最強じゃないし万能でもない。強いと言ってもお前等達と比べてであって、それ以上の敵が現れれば簡単に負ける。エンドールで俺と再会した時、お前抱き付いてきただろ……その直後に俺の鳩尾に拳をめり込ませた! お前等より強い俺が、お前の一撃を受け蹲ったんだぞ! 不意を付かれれば俺だって負ける……そんな事をしてくる相手が居るかもしれないだろ!? 俺が一番最初に負けた後、疲れ切ったお前等だけで敵と戦って勝てるのか!?」

頬を押さえ涙を流しながら俯くリューノちゃん……
彼女はウルフさんの言葉に何も言えなくなっている。
俺は何も出来ず、ただ呆然と成り行きを見ていたが、ウルフさんが何かを目で合図してきた。

一瞬は解らなかったのだが直ぐに理解出来た俺は、リューノちゃんに寄り添い抱き締め、彼女を胸の中で存分に泣かしてあげる。
ウルフさん凄い……
美味しい所を全部俺に譲ってくれた!

シンSIDE END



 
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