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なのは一途のはずがどうしてこうなった?

作者:葛根
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第三十三章 やはり、誰も喋らない



左鎖骨完全骨折、右上腕骨不完全骨折、右肋骨4番5番複雑骨折及び左肋骨7番完全骨折。
切り傷多数。やけど多数。刺し傷少々。数えるのをやめた。
さらに、魔力消費による衰弱。
早い話が、左鎖骨折られて、右腕ヒビ入って、肋骨折られた。
後は、魔力の使い過ぎと言う感じ。
魔力は2日あれば回復するんじゃね。
管理局広報部は、襲撃に対して俺の武勲によって戦術的勝利したと声たかだかに言い回っている。
本部と六課は半壊。
被害を最小限に留めた不敗の名将として、使われていると思う。
管理局員の人的被害は機動六課新人の動きと俺を助けにきた後、なのは達が上手く立ちまわって被害は少なかったらしい。
らしいというのは、なのは達と協力して8人の戦闘機人を退けた辺りで魔力尽きて落ちた。
悔しいけど、これ、初落ちなのよね。
頭の皮膚を切って血まみれで、バリアジャケットもボロボロ状態で死んだかと思ったと泣き怒りされた。
それも、なのはを一番に順番に、フェイト、はやて、シャマル、シグナム、ヴィータ、ティアナとスバルとギンガのセット、エリオとキャロのセットと、泣き怒りは一度に済まして欲しい。
ヴィータは、なんか変なおっさん、つまり、ゼストに告られたらしい。
普通に断った、というか、キモイとか言って断ったらしいが、相手が落ち込んだ状態だけど突撃されてアイゼンを壊されたって悔しがってた。
リインは知らん。なんか気絶したらしい。肝心な時に使えない奴のレッテルを貼った。
ザフィーラは、よくわからん。
聞く話によると市街で超防御して堅牢さから賢狼として銅像を建てようとか言われてたらしい。
たぶん冗談だろう。
ヴァイスはヴァイスで、途中まで射撃絶好調だったけど、紫髪の幼女にビビって逃げたらしい。
蟲と幼女は苦手っすとか言ってた。俺を見習って身を張って重症を負って入院すればいいのに。
重症とは言え、シャマル先生付きっ切りで回復魔法かけていけば一週間後くらいには治るらしい。
功労者手当の休暇だぜー!
……、はぁ。



トーレは熟考する。
自分を含め、まさか1人相手に8人で挑めという侮辱を撤回する。
ウーノとクアットロの過大評価だと思っていたのだが、なかなかどうして正確な評価であった。
近接、中距離、遠距離と揃い踏みで挑んだのだが、ついぞ勝利はできなかった。
運も実力の内ならば、相手の実力は計り知れない。
8人、誰一人無傷はいない。
撤退の決定打は援軍の出現だったが、1人相手に苦戦だった。

ミウラ・ケイタ。
見切りの速さと戦闘の柔軟性が高い。
そして――、状況を作るのが卓越している。
見切りの速さは異常だ。
二、三度攻撃を交わして、こちらの妹達の攻撃特性を見抜いた。
連携の甘さを見抜かれて、近接戦重視で相対された。
その為、遠距離は味方を巻き込まないように撃てないようにされた。
どうにか近接戦から離脱して遠距離砲撃をしたのならば、高速の転移魔法でチンクが犠牲になった。
本来命中するはずのミウラ・ケイタとチンクが入れ替わり、チンクがディエチの砲撃を食らった。
さすがにチンクは防御したのだが、そのあと姉妹喧嘩だ。
みっともない。
ディードはディードで、先行し過ぎてウェンディの邪魔になっていたし、オットーのプリズナーボックスをこれまた身代わりのチンクが受けて閉じ込められてたし。
セッテのブーメランブレードを掴みとるという離れ技を見せつけれられてセッテは落ち込んだ。
ウェンディに至っては、ライディングボードが攻撃、防御の起点となるのを早々に見抜かれて、バインドでひたすら動きを止められていた。
私の攻撃もウェンディのライディングボードをチェーンバインドで操られてガードされる始末。
敵の道具までも使い防御、牽制、己の魔法で捌き、攻撃と本当に厄介な相手だ。
それでも、味方の援軍が来るまでにクリーンヒットは幾つかあった。
しかし、斬られようが、爆破を受けようが、殴られようが、表情ひとつ変わらなかったのは、称賛に値する。
戦闘中、焦るという事がどんな結果を導くのか分かっているのだろう。
姉妹の中で損傷が酷いのが、チンクだ。
恐ろしい事に、姉妹の中で見た目は幼いながらも、影響力があると見たのだろう。
だからこそ、身代わりの盾として味方同士で傷つけさせた。
次は自分が盾に使われるかもしれない、という考えと、これ以上チンクを傷つけたくないという考えを植えつけさせて、攻撃に躊躇をもたせる嫌らしい手だ。

そして、その躊躇をミウラ・ケイタは見逃さなかった。
私は右腕を捻って折られ負傷、ディエチは背後からの砲撃で肩を抉られ負傷、ウェンディは自分のライディングボードで殴りつけられ打倒、ディードは、上空からの双剣振り下ろしを紙一重で躱されて挟撃しようとしたオットーに激突。二人の激突の先にいたセッテに玉突き事故で三人負傷。
アレは、見事としか言えない。
ノーヴェは普通に殴られて昏倒寸前。
チンクは身代わりでだいぶ傷を受けていた。
戦闘状況を良く読み、軌道先に誰がいて、どのスピードでどの位置にいるのか把握し、相打ちさせる状況を作られたのだ。
こちらの練度が低いわけではない。
相手の練度が高すぎたのだ。
それでも、誰一人こちらが落ちなかったのは、ミウラ・ケイタがチンクを盾に攻撃を躊躇させた事で、攻撃の威力が弱まったからであろう。
おそらくだが、長期戦に持ち込み援軍に望みをかけていたのだと思う。
戦慄が走る。
ミウラ・ケイタ……、初めから私達に勝つ心算はなかったのだ。
それも、援軍が来ない可能性も含めて己の命を対価にこちら全員の消耗を狙った。
消耗の先、きっと誰かが私達に相対して倒してくれるだろうと望みを繋いだのだ。
それを戦いが終わって気付くとは……、やば、惚れた。

トーレはこの日、初めて自慰をした。



色々な初めて。
配点:(トーレとミウラ・ケイタ)



マジメに書いていたはずが、最後の最後で手が……。
 
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