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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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無印編 破壊者、魔法と出会う
  11話:響け、鬼の魂

 



戦艦アースラへの搭乗。それは、アースラの艦長であるリンディさんが開いた会議でアースラに乗っているクルー達に伝えられた。因に俺達の立場は、ジュエルシードの発見者、ユーノの協力者、ということになっている。

会議後、俺となのはとユーノはまたあの部屋に呼び出された。まぁ、内容はわかっているけどな。

「まず三人に、ジュエルシードの回収に協力してくれたお礼を―――」
「そんなこたぁどうでもいい。さっさと本題に入れ」
「ふふふ、せっかちねぇ」

御託を並べてから話を進めようとするリンディさんだったが、話を聞くのが面倒なのですっ飛ばした。

「聞きたいのは俺のことだろ?さっさと終わらせて一眠りしたいんだ。ファイズのアクセルフォームまで使って少し疲れてるんだ」
「じゃあまずは……あなたは一体何者なのかしら?」
「ふ、いきなり簡単な質問だな」

先程よりも若干真剣な目で聞いてくるリンディさん。まぁ、ここで答えるならアレだろ。


「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」

シーーン……

「………それは答えになってないぞ」
「五月蝿いぞクロノ。軽い冗談だ」

決め台詞が沈黙で終わった事に俺は少し慌てる。なんで沈黙なんだよ。たく……

「まぁまずは、ディケイドについて話していこうか」




「仮面ライダーディケイド、それは様々な並行世界のライダー達の力を使う事ができる仮面ライダーだ」
「その様々な並行世界のライダー、というのは君が度々姿を変えていたものだ
ね?」
「あぁ、そうだ」
「では、仮面ライダーってのは一体何なんだい?」
「……今度は結構深い質問に入ったな」

そんなクロノの質問に腕を組んで右手を顎にあて考える。
この世界は俺の前世の世界で物語だったものだ。勿論、仮面ライダーと言う物が存在する訳もなく、説明するには難しいものだ。

「…概念としては、人々を守る存在だと思っている」
「じゃあ僕たち管理局と同じなんじゃ」
「いや、明らかに違う」

クロノの言葉をキッパリと切り捨てる。それを聞いたクロノとリンディは顔を若干しかめ、なのはとユーノは微妙な顔をした。

「確かに人々を守る存在ってところは共通している。だが、明らかに違うところがある」
「…それは一体?」


「―――己の正義を貫き通したんだ、彼ら仮面ライダーは」


その台詞は、部屋全体に響く。他の四人は意外に言葉を発してこなかった。俺は腕を組み背をいすに預けながら続ける。

「俺が知る仮面ライダーは、自分の守りたいものの為に…貫きたい正義を胸に戦った」

―――自らが闇になろうが、他人の笑顔を守る為に
―――大切な人の居場所を、人間の未来への可能性を守る為に
―――願いが何でも叶えられる状況でも、それを求める戦いを止める為に
―――支配されていく世界を変える為に
―――人類の滅びの運命を変える為に
―――鍛えた体で襲いかかる妖怪達を倒す為に
―――たった一人の妹を救う為に
―――自分達が過ごす時間を消させない為に
―――世界中の人々の音楽を愛し、それらを守る為に
―――自らが育ち、愛した町の平和の為に
―――絶対に後悔しない為、自分の手で守れる人を守る為に
―――紡いできた絆と仲間と共に、学園の平和の為に
―――そして絶望を希望に変える為に

「それぞれ敵も、自分の目的も違う。だが、それぞれが自らの正義で戦ったんだ」
「じゃああなたが使っているカードは?」
「それもこれから見せる」

リンディの問いに短く答え、右腕のトリスを皆に見えるように俺の少し前に出す。

「トリス。ディケイド、クウガ、龍騎、ファイズ、カブト、キバ、フォーゼのカードを」
〈 All right 〉

腕輪の状態のトリスの宝石部分からカードが数枚出てくる。それを左手で取り、机の上に置く。

「あ、これ私が捕まった時の!」
「これはさっき局員の皆を気絶させたものだね」
「これらが今まで俺が変身した仮面ライダー達だ」

するとリンディさんがディケイドのカードを取る。その顔は実に理解しがたいという風だった。

「これ、本当にあなたの魔法?」
「…と、言いますと?」
「だって…普通じゃあり得ないもの。変身魔法にしても、別の姿になるなんて…」

[…って言ってるが]
[仕方ありませんよ。これはあなたを転生させた神が作り上げたもの。ご都合設定そのものですから]
[おい、それをお前が言っていいのか?]

リンディさんの言葉を聞いて、俺はトリスに念話を送る。しかし、どう説明した物か。

[以前考えたものでよろしいのでは?]
[…あれか…行けるかね…]

少し覚悟を決めてる為、一息入れる。そしてじっとこちらを見ているリンディさんに向け、口を開く。

「…まぁ、俺の『レアスキル』とでも言っておこうか。詳しい事は言えないがな」
「あら、話してくれないの?」
「できるだけ、と言った筈だが?」

俺の答えを聞いたリンディさんはこちらを睨んでくる。俺も負けじと睨み返す。
すると一回顔を下げ、すぐに上げる。

「…じゃあこのカードがあなたの魔法の発動の切っ掛け、と考えればいいのかしら?」
「まぁ、そんな感じで考えてくれればいい」

手に取っていたカードを俺に返しながら言うリンディさん。その顔は少し納得いかないというものだった。まぁ理解しがたいのはわかるが。

「もういいか?さっきも言ったが、俺は疲れてるんだ」
「えぇ、わかったわ。ジュエルシードの位置特定はこちらでするから、場所がわかったら現地に向かってもらいます」
「「はい」」
「怪人が見つかったら士君にね」
「うぃっす」

















それから数日。結果からいうとなのははジュエルシードを一個封印するのに成功。組織絡みになると以前より行動が楽らしい。
かくいう俺はというと――――

「はぁあ!」
「ガァァ!?」
「ふっ、そこ!」
「グゥ!?」

目の前にいる怪人達を斬りつける。
アースラの官制から指示を受け、向かった先には怪人達の群れという状況だった。さすがに驚くが、すぐに変身し対応する。

「くっそ、邪魔なんだよ!」
〈 Gun mode 〉
「はぁぁ!」
「「「ガアァァ!?」」」

ライドブッカーをソードモードからガンモードへ切り替え周りに群がる怪人達へ放つ。怪人達は火花を散らし地に倒れる。

「まだまだぁ!!」

それでも俺に襲い掛かる怪人達に蹴りやパンチを与え、弾丸を放つ。









「やっぱりすごいね彼は」
「あぁ。あれでまだ力を隠しているのだから恐ろしい限りだよ」

アースラの一室で士の戦闘を見るクロノと一人の女性、エイミィ・リミエッタがそう会話する。

「彼が着るスーツはだいたいAクラスの魔力で構成されてる。相当な攻撃じゃないと彼に傷ひとつつけられないよ」
「それまた恐ろしい事実だ」

映像の先で拳を振るう士。だが途中でその映像にノイズが入り始める。

「どうしたんだ?」
「あれ?何だろ。システムは通常に作動して……まさか通信妨害!?」
「何でそんなものが!?」
「私だってわかんないよ~!?」

そうこうしている間にもノイズは広がり、完全に士の姿は見られなくなった。








「くっ、邪魔だっちゅうの!」

襲い来る怪人達をなぎはらう。だが、いくら斬っても何処からかわいてくるこいつらに、いい加減飽きてくる。

「くそっ、きりがない…!」

その時、


「―――――ぁ…ぅ…―――」
「――――ェ………ィ…―――」


「っ!今誰かの声が……誰かいるのか!?」

声が聞こえた方向をみると、群がる怪人達の隙間から、また別の場所で群がる怪人達を見つける。
俺はそれと同時にそこを目指して押し進める。






「くっ、このままじゃ…!」
「マズいよフェイト…倒しても倒しても…!」

怪人達が取り囲む中心には、サイズフォームのバルディッシュを持つ黒衣の魔導師、フェイトと、人間状態のアルフがいる。
取り囲む怪人達には二人の攻撃は通っているが、完全に倒せる程のダメージが通っていない為、倒れても再び立ち上がっての繰り返しだった。

「はぁあ!!」
「ガァッ!」

襲いかかってきた怪人をバルディッシュで斬りつける。

「っ!フェイト、後ろ!?」
「――――えっ…?」

だがそれが先程から続いたせいか、集中力が切れ始めていた。そこへ背後からの急襲。フェイトは対応に遅れる。

目の前の出来事に思わず目をつぶる。
だが、すぐに来る筈の痛みが感じられない。不思議に思い目を開けると………

「ガァァ!?」
「…たく、危ねぇことしやがって」

そこには銃を回す仮面ライダー、ディケイドがいた。







「大丈夫か?二人とも…」
「ディケイド、お前!」
「っておい!危ねぇって!」

テスタロッサに襲いかかる怪人を撃ち、前に出たはいいが、いきなりアルフに襲いかかられる。

「あ、アルフ!?」
「アンタ、フェイトを捕まえにきたんだろ!アンタと白い子が管理局側についた事は知ってるんだ!」
「その考えは浅はかだぜアルフ。俺となのははお前達を捕まえることに関しては、なんの権限もない」
「何!?」

テスタロッサがアルフをなだめるが、やや興奮状態のアルフ。まぁ、言いたいことはわかるが。

「それよりお前ら、少し下がってろ。後は俺が…」
「でも…!」
「いいから!下がれって!」
「「「ガァアア!!」」」

しゃべってる間にも襲い来る怪人達。くそ、少しは会話させてくれ!

〈 Sword mode 〉
「だぁりゃあ!!」

ライドブッカーを剣にし、なぎはらう。だが視界の端に、大きな影が見える。
俺はすぐに横に飛ぶ。するとそこに、大きな何かが通る。当然、そこにいた怪人達も殴り飛ばされる。
転がった体を急いで起こし、剣の状態のライドブッカーを目の前の敵に向ける。

「…さすがにお前が出てくるとは思わなかったよ。化け蟹さんよ」
「■■■■■■■■■■■――――!!」

目に映った影は、巨大な蟹の姿をした妖怪。魔化網の一体、化け蟹だ。

「何だいありゃぁ!?」
「巨大な蟹だと思ってくれりゃあそれでいい。しかし厄介だ。アイツを倒せるのは……」

俺はそこで一旦言葉をきり、一枚のカードを取り出す。

「清めの音でしか倒せないからな」
〈 KAMEN RIDE・HIBIKI 〉

取り出したカードをしゃべりながら挿入し、発動。すると俺の体に紫色の炎がともる。

「え!?」
「お、おい!?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!」

後ろの二人が心配する中、上げた左腕で炎を振り払う。そのときの俺の体はディケイドではなく、紫色の体に鬼のような仮面をしたライダー、「響鬼」に変わっていた。

「また別の姿!?」
「さぁ、まだまだ行くぜ!」
〈 ATACK RIDE・ONGEKIBOU REKKA 〉

さらにカードを使用し、俺の手に『音撃棒 烈火』を出す。そしてその棒に意識を集中させ、炎をともす。

「はぁ!」
「■■■■■■■■■ーーー!?」
「す、すごい…!」
「あの巨体を圧倒している…!」
「もう一丁!」

炎をともした烈火を振るい、火炎弾を化け蟹に放つ。化け蟹はよろめきながら後退する。

「時間がねぇんだ、一気にいくぞ!」
〈 FINAL ATACK RIDE・hi hi hi HIBIKI! 〉

カードの使用と共に飛び上がる。そして飛び上がる途中、俺の手に『音撃鼓 火炎鼓』が現れる。化け蟹の背中に落下する途中に音撃鼓を投げ、化け蟹の背中に貼付ける。
そして着地と同時に両手に持つ烈火を振り上げる。

「音撃打、豪火連舞(ごうかれんぶ)の型!!」

叫ぶと同時に持っている烈火を右、両方、左、また右と連続して振り下ろし、化け蟹に清めの音を叩き込む。

「■■■■■■■■■■ーーー!!?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

俺の連打に悲鳴のようなものをあげる化け蟹。だがそれは俺の集中力を削ぐ程のものでもなく、そのまま連打を続ける。

「ラストォォ!はっ!!」

そして最後に振り上げた両手を勢いよく振り下ろし、とどめの一撃を与える。化け蟹はそれを耐える事なく、あっけなく爆散する。

「「……………」」
「ふぅ、俺の仕事も終わった事だし。おいお前ら、大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です」
「ていうか、あんたアタシ達を捕まえなくていいのかい?」
「さっきも言ったが、俺にそんな権限はない。もとよりお前らを捕まえる気もないしな」

そう言いながら二人に近づく。その間にも俺は両手をベルトにかけ、変身を解除する。

「「え……?」」
「この姿を見せるのは初めて…いや、テスタロッサとは久しぶりと言った方がいいか」
「…士…?ほんとに…?」
「お、覚えてくれてたか。ありがたいな」

どうやらテスタロッサの方も俺を覚えていていたらしく、俺の名前を言う。

「フェイト、知り合いだったのかい!?」
「うん。あの温泉でジュエルシード探している時にあった子だよ」
「まぁそういうことだ。さて、折角顔を合わせたんだ。何か話さないか?」

少し口角を上げ、提案をする。二人は少し顔を見合わせたが、アルフがすぐにこちらを睨んできた。

「あんた、話をしようなんて…」
「あ、因にここで話した内容は向こうには言わないつもりだ。それに、お前らはジャマー結界なるもので向こうには発見されないようにしてるんだろ?」
「あ、あぁ。一応今アタシ達が会ってる事は向こうは知らない筈だよ」
「ならいいだろ。早速だが、俺からの質問に答えてくれ。できる限りでいいからよ」

そこで一旦言葉を切り、二人の様子を伺う。二人は再び顔を合わせ、しばらく考えるようなそぶりを見せる。何か念話でもやっているのだろうか?そしてテスタロッサがこちらを見てくる。

「うん、いいよ」
「じゃあ聞くけどよ、お前らがジュエルシードを探す目的が知りたいんだけど」
「それは……」

俺の質問に少し吃るテスタロッサ。やはり答えにくいか。

「いや、答えにくいならいいんだ。まぁ質問と言ってもこれぐらいか」
「じゃあアタシからしてもいいかい?」
「あぁ。勿論」

アルフの言葉に俺は頷く。

「アンタは何でアタシ達を守ってくれるんだい?」
「そりゃあ、お前らをほっとける程、俺自身が酷い人間じゃないからじゃないか?」

すんなりとそう答えると、アルフはう~んと唸る。そこまで考える事か?

「だって、アタシ達はアンタ達の敵なんだよ?」
「敵だとしても、顔見知りをそう簡単に見捨てられるもんじゃないよ」
「…じゃあ私の為に」
「そうともいう」

と、そこで俺は二人に背を見せる。

「ま、結局のところ、アイツらをほっとく訳にもいかないしな」
「確かにね。アレは魔導師がどうこうできるレベルを超えてる…」
「………そう、なんだ…」

俺の言葉に納得といったように頷くアルフ。だが、テスタロッサは若干不満そうにしていた。

「なんだテスタロッサ。そんな顔して」
「……なんでもない…」

やっぱり不満そうだ。俺、なんかしたか?

「まぁいいや。そろそろ俺は帰りたいんだけど…いいか?」
「あぁ。こっちが聞きたい事はもうないから」
「そうか。それじゃ、またな。アルフ、テスタロッサ」
「あぁ…」
「………待って…」

何もないだろうとそのままその場を離れようとした時、テスタロッサが呼び止めた。振り返るとアルフも少し驚いたようにテスタロッサを見ていた。

「…何、かな?」
「あの、ね。できれば…その…」

何か言いたいんだろうが、何やら言い出しづらいようだ。

「…言いたい事があるなら言えよ」
「あの…できれば、名前で呼んで欲しいな…て」
「名前?」

一瞬あっけにとられたが、すぐに思考をフル回転させる。名前…名前…名前…

「…テスタロッサじゃなくて、フェイトと呼んで欲しい、と?」
「……うん…」

若干顔を赤くしそう言うテスタロッサ。

「…うん、まぁいいか。よろしく、フェイト」
「うん!」

俺がそう呼ぶと明らかに顔をパァッと明るくし返事をするテスタロッサ、改めフェイト。

「それじゃあな」
「うん。それじゃ、士」

そう言って少し微笑みその場を去る。



  
 

 
後書き
 
プレシアやアインスをどうしようか、マテリアルズを出そうか、迷う今日この頃。
一応前者の二人はだいたい決まっているんですが、それが皆さんに受け入れられるかどうか……

マテリアルズに関しては今は考えていません。
こうして欲しい、こう書いて欲しい、こんなキャラだしたらどうだ等、何かありましたらコメントください。よろしくお願いします。 
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