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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』

作者:零戦
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第二十二話






――1941年六月、東京――

「それではトーゴー大臣。ジャパンは門の周りを固めていると言う事かね?」

「簡単に言えばイエスですな」

 東條内閣の外務大臣を務めている東郷茂徳は日本に来日したハル国務長官やドイツ、イギリス、ソ連の駐日大使らと会合をしていた。

「失礼ではあるが、ゲートは国際的に各国で守るべきではなかろうか?」

「ほぅ、我が日本の東京に軍を派遣すると? それは宣戦布告ですかな?」

「ッ………」

 東郷外相の言葉にソ連駐日大使は口をつぐんだ。なにせソ連は門の情報を欲しかったがそれは他国もである。

「貴国が中国のような事をしないと保証はあるのかね?」

 ハル国務長官はそう東郷外相に問う。ハル国務長官が言っているのは支那事変の事であった。既に中国大陸にいた陸海の部隊は全て満州に引き揚げていた。

 日本軍が撤退した事により、国共合作をしていた中国国民党と中国共産党の間で不穏な空気が流れはじめていたのだ。日本という敵を追い出した事により中国は再び内戦の道へと歩もうとしていた。

「先に発砲してきたのは中国側です。まぁ今はそれは関係ありませんが、今回の事を戦訓にして無駄な事はしないと約束します」

「……ならば構わない」

 日本が暴走するような事はしないと判断したハルはそれだけにしておいた。そこへドイツ特命全権公使のヒュットマンが口を開いた。

「それにしても日本は面白い贈り物をしてくれましたな」

 ヒュットマンの言葉に他の駐日大使等は苦笑いした。ヒュットマンが言っているのはゴブリンやオーク、炎龍の鱗である。

「いやなに、銀座事件で多数の捕虜をしたのはいいが食糧が厳しいので他国へ贈り物したまでですよ」

 東郷の言葉に大使達が笑い出す。特地の情報が中々日本が開示しない中での受け渡しであったので各国の研究者達は大喜びである。

 特に炎龍の鱗は各国の軍人には顔を蒼白させるのは十分であった。これによってドイツはアハトアハトを搭載したティーガーが史実より早くに登場するといった出来事もあった。

 無論、それは日本でもあり前面装甲を七五ミリにして二式七糎半戦車砲二型を搭載した二式中戦車(史実の三式中戦車に追加装甲を施した戦車)、ドイツからティーガー戦車を購入してそれを元にアハトアハトを搭載した四式中戦車(史実の五式中戦車。史実ではアハトアハトは搭載してません)が登場する事になる。

「トーゴー大臣、率直に申しますと我々もゲートについてはよく知りたい。武官の派遣を申請したい」

 イギリス駐日大使はそう東郷に言う。他の大使もイギリス駐日大使の言葉に頷いている。

 東郷は予め予想していたのか、少し苦笑しながら口を開いた。

「武官の派遣は我々も予想していましたので。今は準備中です。その代わり、武官は此方のルールに従ってもらいます」

 東郷の言葉に大使達も頷いた。

「武官は各国二人までとし、武器の携帯は護身用の拳銃しか認めません。違反すれば罰金として十万ドルを請求します」

「……法外過ぎではないのか?」

「我々は武官の安全と信頼を考えてで言ったまでです。それに違反しなければ問題はありません。そうでしょう?」

『………』

 東郷の言葉に大使達は渋々と頷いて了承するのであった。


 一方、特地では新たな派遣航空部隊が到着していた。

「此処が特地……か」

「なに感傷に浸っているんだ坂井?」

 同僚である西沢一飛曹が坂井一飛曹に声をかけた。

「いやなに、これまで大陸にいたけど見知らぬ土地に送られたからな」

「まぁそれもそうだろうが慣れが必要だ。慣れれば大した事じゃないはずだ」

「そう言う西沢はどうなんだ?」

「まだ慣れてないな」

 二人はそう言って笑いあう。二人は横山保大尉率いる交代派遣部隊として特地に移動していた。

 機種はそれまでの九六式艦上戦闘機ではなく、四月に量産が開始された新型の零戦三二型である。

 零戦三二型は若干のエンジントラブルがあったが問題は無かった。

 なお、この零戦もそうだが陸海の航空部隊の機銃弾は互換性がないので双方で使用する事は出来ない。

 この結果、陸海は協議をして航空機銃の共通化をする事が決定した。

 この共通化は陸軍の一式十二・七ミリ固定機関砲であり、零戦も後の五三型から搭載されるようになった。

「それより聞いたか? 炎龍って奴は零戦の二十ミリでも効かないみたいだぞ」

「あぁ、遭遇した陸さんが二十ミリを撃ったらしいが貫く事は出来なかったみたいだな」

「だとすると炎龍とやらには陸さんの野砲くらいしか通用しないんじゃないのか?」

 二人はこそこそとそう話している。

「なに、龍と空戦が出来るんだからいいじゃないか」

「それもそうだな」

 二人はそう言い合った。なお、特地派遣航空隊は炎龍を考慮して戦闘機は全て新型機へと更新していた。

 海軍航空隊は零戦二一型四二機、零戦三二型十二機、九九式艦爆三六機、一式陸攻二七機である。陸軍航空隊は九七式戦闘機五四機、隼九機、九九式襲撃機三六機、九七式重爆二七機が新たに集結していた。

 特地であるがゆえに出番があると思いきや、中々出番が無かったりする。

 だが、そんな航空部隊にも帝都爆撃をする大役を任される事態にまで発展するのであった。






 
 

 
後書き
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