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ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

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フェアリィ・ダンス~両刃の剣と天駆ける龍~
  紅の翼をもつ飛龍

 
前書き
  

 
「さて、とりあえず初期値の確認をするか」

 コハクと合流したセモンは、自らのステータス画面を確認することにした。『自分を知ること』は大切である。

「そうね。《魔法》の存在はこのゲームで初めて触れるわけだし…」

 そう言ってコハクもステータスウィンドウを開こうとする。しかし…。

「あ、あれ?…おかしいわね。ステータスウィンドウは…」
「ああ、言い忘れてた。ALOのステータスウィンドウは左手で呼び出すんだよ」
「さ、最初に言ってよ…」

 
 今度こそ出現したステータスウィンドウを覗き込んだコハクの表情が、一瞬で凍りついた。

「ど、どうした?」
「ねぇ、セモン…シルフって、初期値はそんなに高くないのよね?」
「あ、ああ…」

 基本的にバランス型であるシルフは、ステータス値もひたすらバランス型である。

「でもさ、見てよ、これ…」

 コハクはステータス画面を可視モードにすると、セモンに見せてきた。


「…は?」

 
 それを見た瞬間、セモンの表情も凍りついた。


 そこにあったステータスは、あり得ない物だった。

 
 HPやMPはまだいい。初期値然としたそれだが、問題はスキル熟練度だ。

 
 両手用槍1000、片手用槍1000、体術870、料理1000、索敵1000、エトセトラ。


「何だこりゃ…」


 セモンも自分のステータスを開いてみる。案の定、そのステータスはめちゃくちゃなものであった。

 しかし。セモンは、どうもこのステータスに見覚えがあった。

 
 刀1000、片手剣1000、体術960、索敵1000、エトセトラ。


「「あ」」

 
 そう呟いたのは、同時だった。


「もしかしてこれって…」
「SAO時代の…ステータス値、なのか…?」


 そう。それは、今は亡きアインクラッドでセモン達が使用していたステータスデータそのものに違いなかった。


「…そういえば、ALOのメインサーバーはカーディナルの複製…つまりSAOのコピーってことか。同じキャラネームのせいで、データーの転写が起きた…?」
「そう考えるのが妥当ね」

 
 ひとしきりうんうんうなってから、結局はこのステータスでどうにかすることにした。むしろ、以前使っていたデータなのだから扱いやすい。

 
 と、言うわけで、まずは装備を整えることにした。いくらステータスが強力でも、武器が弱すぎればうまく戦うことはでいないだろう。それに、いくらなんでも初期装備のままは心もとない。





「さて、と…コハク…そろそろ笑うのやめろよ…」
「フフフ…あはははは!!だ、だって、セモンったら…女物の装備着せられかけるんだもん!!」
「いうなよ…やっぱり追加料金払った方がよかったかな…」

 そんなことをつぶやく。

 セモンが女物の装備を買わされかけつつも、二人が購入した装備は、セモンが若草色と白を基調とした、前開きの和服のようなベスト。肩の部分は、じんべえ、というのだろうか、夏用の浴衣の様になっていて、切れ込みのところを網目のように止めてある。

 武器は店で最も強力という刀。白銀の刀身をもつそれは、かつての愛剣、<草薙の剣><天叢雲剣>のようにずっしりとした手ごたえを感じさせてくれた。


 コハクの武装は、SAO時代のものとよく似た騎士装。肩の出た青い服に、銀色の胸当て。肩の部分に銀色の装飾がついている。

 武器はやはり店最強の両手用槍(ツーハンデッドスピア)。どちらかというと戦国時代に使われたという《長槍》に近いだろうか。スピアよりも刃が長い。


「さてと。まずは誰か案内してくれる人を探したほうが…」

 そこまで言いかけて、セモンは町が騒がしいということに気が付いた。

「ん?」
「何かあったのかしら」

 
 広場に戻る道の途中で、かなりの数のプレイヤーとすれ違った。

「なんだ…?みんなこんなにあせって…」

 そして広場。そこは…


 無残にも、破壊しつくされていた。


「何だこれは…」

 近くにいるプレイヤーに聞く。

「どうしたんだ。何があったんだ!?」
「も、モンスターだよ…町中に入ってくるなんて、あり得ないのに…!!」
「モンスター!?…一体…」


 その時、ずどぉん!!という爆裂音がして、数名のシルフプレイヤーがふっとばされてきた。彼らは地面に激突すると同時にアバターを四散させ、小さな緑色の炎となった。

 《エンドフレイム》だ。

 ALOでは、アバターのHPが0になると、このように小さな炎が残る。これに蘇生アイテムなり魔法なりを使うことで、アバターを復活させることができるのだ。

 
 そして彼らが吹き飛ばされてきた方には、どうやらそのモンスターがいるようだった。

 しかし。

 出現したモンスターは、セモンの予想を大きく上回った存在だった。

 
 真紅の双翼。同じく真紅の長い竜尾。
 
 両手には巨大な二本の大剣を握り、翼で少し浮いている。

 その髪は漆黒。切れ長の目は、破壊本能しか宿していないように見えた。


 その顔は――――誰よりもよく見知った顔の一つ。セモンがこの世界にやってきた理由の一つ。



「…ハザード」


 
 ハザード。京崎、秋也。

  
 

 
後書き
 お、お久しぶりです…やっとハザード君が登場だ…。

 と、言うわけでAskaです!いや~そろそろ10日ぐらいたつんじゃないでしょうかね。最後の更新から。
 
 本当は表紙絵も新調するつもりだったのですが…。

 …次はがんばります。もう少し早く。はい。 
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