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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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無印編 破壊者、魔法と出会う
  4話:舞い上がる吸血鬼と意外な出会い

 
前書き
 
遅くなりました。第四話です。
  

 
 



あのグロンギとの戦闘から早数日。なのははユーノと共にジュエルシード集めに奮闘し、現在では五つのジュエルシードを集めていた。
因に二つはこの間のやつで、一つは元々ユーノが持っていたもの、もう一つはプールで覚醒したもの。

そして五つ目は………

〈 Stand by ready 〉
「リリカルマジカル!ジュエルシード、シリアルⅩⅩ(20)!封印!」
〈 Sealing 〉

今まさに封印されたところだ。

「ハァア!」
「ふっ、でぇりゃ!」
「ガァ!?」

雄叫びと共に後ろからくる拳をよけ、振り向きながら膝蹴りをくわえる。それを食らったマスカレイドドーパントは飛んで地面に転がる。

「たく…切りがねぇ!」
〈 Gun mode 〉
「はぁ!」
「「「ガァァ!?」」」

俺はライドブッカーをガンモードに切り替え、俺の周りにまとわりつく雑魚共にぶっ放す。食らった者共は火花を散らしながら倒れていく。

「ラスト!」
〈 FANAL ATACK RIDE・de de de DECADE! 〉

音声と共にホログラム状のカードが複数現れる。

「食らえ!」
〈 Dimension blast 〉

俺はそれに銃を向けて引き金を引く。ライドブッカーから放たれた銃弾はカードを通るにつれ大きくなり、雑魚の群れに命中する。それと同時に雑魚共は爆発し、消えていく。

「ふぅ…これで、終わりだ」
「ディケイドさん、お疲れ様です…」
「あ、あぁ…」

ライドブッカーをしまい手をはらうと、ジュエルシードを封印したなのはがこっちに来て労ってきた。

「それより大丈夫か、嬢ちゃん」
「あ、はい…だいじょうぶ…です……」

俺も心配してそう声をかけた。それに対しなのはは明らかに疲れた顔をしてそう答えた。

「それじゃユーノ君、帰ろうか…」
「あ、うん…」
「…………」

なのはは服を元に戻し、杖をそのまま引きづりながらゆっくりと校庭を出ようとする。だが少し歩かないうちになのはの体は前のめりに倒れかける。

「おっと…」
「な、なのは!?」

俺はなのはに近づき体を支える。ユーノも心配そうになのはに近寄ってくる。

「す、すいません……」
「…大丈夫じゃねぇじゃねーかよ」
「は、はい……」
「……送っていこう。家はどこだ?」
「ふぇ…!?」

俺はなのはを立たせ、ライドブッカーから一枚のカードを取り出しドライバーにセットする。

〈 ATACK RIDE・MACHINE DECADER 〉

すると俺達の前に灰色のオーロラが現れる。それが少し移動すると、そこには一台のバイクが出てくる。

「すごい…」
「さ、行くぞ」

俺はなのはを抱え現れたバイク、マシンディケイダーに向かって歩く。そしてなのはを乗せ、ディケイダーにまたがる。

「おいフェレット、乗らなくていいのか?」
「あ、はい!」

俺はユーノにそう言うと、急いでなのはの体に上ってしがみつく。
俺はそれを確認した後、ディケイダーを発進させる。

「す、すいません…」
「いいから、道を教えろ」














夜の海鳴市をマゼンダ色のバイクが走る。そして、なのはの家の少し手前でバイクを止め、なのはをおろす。

「後は自分で行けるな?」
「あ、はい……」

ディケイダーは再び灰色のオーロラを通り消えていった。

「それじゃ、俺はこれで…」
「あの…」

俺はそう言って夜に紛れて去ろうとするが、ユーノに呼び止められる。

「…どうして、僕たちに協力するの?」
「……奴らが、現れるからだ」

『奴ら』、俺が先程戦ったマスカレイドドーパントを含め、オーズのクズヤミー、ウィザードのグール、電王のモールイマジンナなど、グロンギとの戦いの後のジュエルシード関係の事件が起きる度、現れてはジュエルシードを寄越せと言ってくるのだ。

「あの異形の怪物たちのことですね」
「あぁ…」
「あの者達は…何なんですか?」
「…俺も、わからない」

否、奴らが何なのかは解っている。だが、なぜあいつらがこの世界に存在するのか。なぜあいつらがジュエルシードを追い求めるのか。グロンギの事件からず~っと寄越せ寄越せとうるさい奴らだが、理由がずっとわからないままだった。

「そう、ですか…」
「あの、私も…」
「そろそろ戻れ。親が心配する」

ユーノがそう言って顔を垂らす。なのはがそれに続いて何か言おうとしたが、時間が時間なので、俺も急いでその場を去る。
















「ふぅ…」
〈昨日はお疲れ様でした〉
「ほんとだよ。あれ以上あの場にいたらどうなっていたことやら…」

俺はそうぼやきながら布団の上に寝っ転がる。
現在は一夜明けた日曜日。ジュエルシードの事件が起きてから、ようやく気の抜ける朝だ。

〈今日はどうしましょう?ジュエルシードを探しましょうか〉
「ん~?いや、今日はなのは達に誘われててな。今日はそっちに行くつもりだ」
〈ですが…〉
「確かにジュエルシードにあいつらが出てくるのは厄介だ。だけど、一般人を襲うようなことをしてないから、今は大丈夫だと思う」

そう言いながら布団から起き上がり、外へ出る準備を始める。

「トリス、行くぞ」
〈了解です〉










現在海鳴市の河川敷。なのはの父、士郎さんがコーチ兼オーナーをしているサッカーチーム、『翠屋JFC』の試合を、なのは達三人と一緒に見る約束をしていたのだ。

「さて、応援席も埋まってきたことですし、そろそろ始めますか!」
「ですな!」

そしてホイッスルと共にキックオフされ、試合が開始された。

「がんばれ~!」
「みんな~がんばって~!」

ほどなくして、翠屋の十番がセンタリングを上げ、ゴール前にいた七番がボレーシュートを決め一点が入る。

「やったぁ~!」

すると今度は相手側の攻撃。ドリブルで切り込んできた一人のシュートが放たれる。そのシュートは翠屋の三番の頭を超え、翠屋のゴールの左端へとまっすぐ飛んでいく。

「ふっ!!」

だがそれを見事な横っ飛びで翠屋のゴールキーパーがキャッチする。

「「「「おぉ~!!」」」」
「キーパーすご~い!」
「ほんと~」
「見事だね、あれは」

その後、後半でさらに一点をくわえ、2-0で翠屋は無事勝利を収めた。

「お~し、みんなよくがんばった!いい出来だったぞ、練習通りだ!」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「じゃ、勝ったお祝いに飯でも食うか!」
「「「「「「「「「「いえ~い!」」」」」」」」」」

気前よく、士郎さんの誘いでサッカーチームの全員は翠屋で飯を食べることに。それと共に、俺達四人も翠屋で一服することになった。

「それにしても、改めて見るとこの子、フェレットとちょっと違わない?」
「そう言えばそうかな?動物病院の先生も、変わった子だねって言ってたし…」
「へ~、そんなこと言ってたのか」
「あぁ、えっと、ちょっと変わったフェレットってことで!ほらユーノ君、お手!」
「きゅっ!」

アリサやすずかの言葉になのはは焦るようにそう言い、ユーノに芸を指示する。するとユーノは自らの左手をなのはの手にのせた。

「おぉ~!」
「かわい~!」
「賢いかしこ~い!」

その行動がかわいかったのか、アリサとすずかはユーノを撫で回し始めた。それを見たなのはは少し苦笑いしていた。
すると翠屋からサッカーチームの面々が出てくる。どうやら解散のようだ。

そのとき、ジュエルシードの気配を感じた。しかもかなり近い。どうやらなのはも感じたらしく、慌てて反応のする方向を見た。俺も横目で確認すると、そこにはサッカーチームのゴールキーパーの子がいた。その子にすぐマネージャーの子もやってきて、一緒に歩き出した。

(あの子が…だが、公に動ける立場じゃねぇし…)
[どうしましょう、マスター]
[どうもこうも、俺から動く訳には…]

「さて、じゃあ私達も解散?」
「うん、そうだね」
「あ、そっか。今日は二人とも用があるんだよね」
「お姉ちゃんとお出かけ」
「パパとお買い物!」
「いいねぇ。月曜日にお話聞かせてね」
「お、みんなも解散か?」

そうこう考えていると、アリサが荷物を持ち立ち上がった。すずかも自分の荷物を持ち、立ち上がる。するとそこに、他の人達を見送った士郎さんがやってきた。

「あ、お父さん!」
「今日はお誘いいただきまして、ありがとうございました!」
「試合、かっこ良かったです!」
「あぁ、すずかちゃんもアリサちゃんも、ありがとな応援してくれて。帰るなら、送っていこうか?」
「いえ、迎えにきてもらいますので」
「同じくです!」
「そっか…」

なんかこの会話聞くと、すずかとアリサがお嬢さんってことを思い出せるんだよな~。

「なのはと士は、どうするんだ?」
「う~ん…お家に帰って、のんびりする」
「俺は少し町をぶらりと歩いて、それから戻ります」
「そっか。父さんは家でひとっぷろ浴びて、それからお仕事再開だ。一緒に帰るか、なのは」
「うん!」
「士君は遅くならないようにな」
「はい」














「あれ…だな……」
[どうしますマスター?奪い取りますか?]
「そんなことしてみろ。犯罪者扱いされかねないだろ」

俺はゆっくりと歩道を歩く二人を後を尾行している。あの男の子がジュエルシードの一個を持っているのは間違いない。となると、どうやって奪うかってことだが。

[それを言うなら、この尾行も犯罪扱いされかねませんよ]
「…………」

トリスの言葉を俺は無視し、そのまま尾行を続ける。
すると二人が交差点にさしかかり、赤信号の為歩みを止める。

「しっかし…あれをどうするつもりなのかね、あの子は」
[あの二人いい感じですから…プレゼントにでも使うのではありませんか?]
「それはねぇだろ…。いや、可能性としてはあるのか…」

そして、二人は何か話し始める。すると、男の子が鞄の外ポケットに手を突っ込み、何かを取り出す。それは青い、菱形の石だった。

「っ!ジュエルシード!まさかほんとにプレゼントにするとかじゃ…!」
[マスター!]
「わかってる!」

俺は急いでビルの陰から出て、二人の元に向かう。だが相手の女の子は、既にジュエルシードに触れようと手を伸ばしていた。

(くっ、間に合わない!)

だが………

バチィ、バァアン!
「うわぁ!?」
「きゃっ!」

不意に響く雷鳴と共に、二人の足下に火花が散る。そして男の子の手にあったジュエルシードが宙に舞う。俺は驚いて足を止め、急いで宙に舞うジュエルシードを目で追う。そして落下してくるジュエルシードをキャッチする。

ジュエルシードに何もないことを確認すると、二人の向かいの歩道を見る。
そこには、黒い体に胸部から頭部にかけ、同じ顔がヒトデのように並んでいる異形の怪物がたたずんでいた。

「そこのガキ共!持っているその石を渡せ!」
「「ヒッ……」」
「二人共、そこからはなれて!」

ヒトデの怪人は脅すようにそう言い、二人はその場に倒れてしまう。俺は叫んで避難させようとするが、どうやら自分の身に降り掛かる恐怖によって、俺の声が聞こえないらしい。

「くそっ……、おいそこの怪物!お前が欲しいのは、こいつだろ!」

俺は手に持っていたジュエルシードを怪人に見せるように掲げ、そう叫ぶ。するとようやく俺の存在に気づいたように怪人は向き直す。

「貴様…それをおとなしく渡せ!」
「そう言われて、おとなしく渡せる立場でもないのでね!」

俺は怪人の言葉にそう言って、ジュエルシードをズボンのポケットへしまう。そして、そこからはなれるように走り出す。

「待て小僧!」
「待てと言われて、待つバカはいないだろ!」
















「待てと…言っているだろ!」

奴は俺を追いかけながらそう叫び、体の中央にあるエレクトロコアが電気を発生させ、俺に向かって稲妻を発射する。

「くっ、どわぁ!?」

雷の直撃は免れたが、その衝撃の余波で俺は吹き飛ぶ。俺はうまく受け身をして俺に対するダメージを軽減させる。

「くっ……」
「さぁ小僧、その石を渡せ!そうすればこれ以上――」
「ふぅ、言ってくれるじゃねぇか…」
「何?」

俺は怪人の言葉を遮りながらそう言い、立ち上がる。

「言っただろ、おとなしく渡せる立場じゃないと…シースターファンガイア!」
「っ!?貴様、何故俺の名前を…!」

俺の言葉に同様を隠せない様子で、声を上げる。それに対し、俺は周りに人がいないことを確認し、袖をまくり右手首をあらわにする。

「さぁ、聞かせてもらうぞ…お前らがこいつらを求める理由を!」
〈 Stand by Ready 〉

俺の声と共に手首に付いていたトリスがディケイドライバーへと変わり、俺はそれを掴み腰に当てる。そしてディケイドライバーからベルトが俺の腰にまかれる。

「貴様、それは…!」
「お、これを見ただけで解るとは…俺も随分有名になったもんだな。ま、あんまうれしくはないが…。変身!」

俺はそう言いながらカードを取り出し、ドライバーへと入れ回す。

〈 KAMEN RIDE・DECADE! 〉
「やはり…ディケイドか!」
「あぁ。さ、行くぞ!」
〈Sword mode〉

音声と共に姿を変えディケイドに変身する。シースターファンガイアの一言にそう言い、ライドブッカーをソードモードへ変え、シースターファンガイアへ走り出す。

「はは、私から目的を聞き出すだと?寝言は寝ていえ!」
「寝言かどうか、確かめてみろよ!」

俺はそう言いファンガイアに切り掛かる。だがその攻撃をヒラヒラとかわしていく。

「ふっ、はぁ!」
「はっは!当たらんな!」
「くっ……」

そして俺のある一撃が奴の横で空を切ると、奴は俺の腹に拳を当てる。そしてエレクトロコアから発生した電気をよろめきながら後退する俺に放つ。

「はぁ!」
「がぁぁ!」

その電撃で俺の体から火花が散り、そのまま俺は地面に転がる。

「ディケイドとはこんなものか?」
「…早まるなよ。まだまだお楽しみはこれからだぜ……」

シースターファンガイアの言葉に俺はそう言いながらゆっくり立ち上がる。そしてライドブッカーから一枚のカードを取り出し、指でトントンと叩く。

「ファンガイア相手には、こいつが一番だ」

その取り出したカードをドライバーへと入れ、発動する。

〈 KAMEN RIDE・KIVA 〉

ドライバーから響く音声と共に、俺の装甲がヴァンパイアをモチーフにしたものへと変わり、頭部の仮面もジャック・オ・ランタンのような目のものへと変わる。

「キバの姿か…」
「そうだ。それじゃ、行くぜ!」

俺の変化にそこまで動揺する様子を見せないシースターファンガイア。俺はそれを気にすることなく、両手を少し広げながら走り出す。

「はぁあ!」
「ふっ、せぁ!」
「ぐっ、はぁあ!」

向かってくる俺に向かって突きを繰り出す。俺はそれを受け流しながら裏券を放つ。それを食らうが、奴は怯むことなく拳を突き出してくる。
そしてそのまま防いで攻撃しての応酬が続く。

「お前らは一体何なんだ!?何故お前らはジュエルシードを狙う!?」
「貴様に言うことなどない!」

拳を打ち合いながらも質問する。だが奴はそれに答えてくれなかった。

「それじゃあ、残念だ。はっ!」
「ぐっ」
「はっ、はっ、はっ、せやぁあ!」

それに対し俺はお返しと言わんばかりに連続で拳を繰り出す。それを食らったシースターファンガイアは地面に転がる。

「くっ…」
「さぁ、どうなんだ!お前らは一体なんだ!」
「ふっ…我々のことを知ったところで、何になる」
「少なくとも、お前らのしようとしていることを止める」
「ふ、貴様などに出来る訳がない」
「出来るかどうかは、俺が判断する。てめぇが決めることじゃない」

それを聞いたシースターファンガイアは、何を思ったか立ち上がりながらしゃべり始めた。

「いいだろう。我らは「大ショッカー」!世界を支配し、思いのままにする為、ジュエルシードに眠る力を求めているのだ!」
「何?」

ジュエルシードの力?あの暴走する力をか?

「ふざけるな!あんな危険なもんを扱うなんて!」
「それが出来るのがショッカーなのだ!」

そう言って奴は電撃を放つ。俺はそれを転がりながら避ける。

「あれ?アタシいつの間にこんなところに……ってなんやあれ!?」
「?な…!」

その時、不意に聞き慣れない声がその場に響く。俺が声のした方向を見ると、そこには車いすに乗った女の子がいた。

(なんでこんなところに…。しかもこのままじゃ…!)

「小娘め…目障りだ!」
「っ!?くそっ!」

それを見たシースターファンガイアは電撃を放とうと胸のエレクトロコアが帯電する。俺は急いで走り出す。

「消えろ!」
「っ!?きゃぁ!」

そしてコアから放たれる電撃。それを見た女の子は、頭を抱え目をそらす。
だが、その攻撃は少女には届かなかった。

「がああぁぁぁ!!」
「っ!?」
「何だと…!」

なぜなら、その少女の前に俺が入り込んだのだ。そして電撃は俺の胸に命中し、火花を散らした。

「くっ……!」
「あ、あの!大丈夫…ですか…!?」
「あぁ…大丈夫、だ」

火花が散った後、俺は片膝を付いた。少し顔を向け、少女にそう言って俺は前を向き直す。奴は悠然と立っていた。

「では今度はこちらから質問をしよう。何故貴様は人間など守る。その下等な生物を」
「下等…。そうだな、お前らファンガイアから見たら…いや、人間以外の者から見たらそうかもしれないな…」

シースターファンガイアの質問に、俺はゆっくり立ち上がりながらしゃべり始める。

「だがな…下等でも何でも、人は生きてるんだ!そんな簡単に、人の命を奪わせてたまるか!」
「ふん!そんなもの、所詮戯れ言だ!最終的にはお前も人の愚かさに気づくだろうよ」
「それでも俺は人を守り続ける!人が好きだから…守りたいから!」

俺の叫びを戯れ言と評し、奴は尚も人間を蔑むような言い方をする。

「これ以上の話は無意味だな。すぐに終わらせてやる!」
「くっ…!」

シースターファンガイアはそういい、再び胸のエレクトロコアを帯電させる。どうやら先程よりも伊威力の高いものを放つつもりらしい。前のものより帯電する時間と量が違う。

(く…ここで避けるのはマズい…。防ぐにも、俺はなのはのように防御魔法は使えねぇし……)

一か八か、と決断し俺は一枚のカードを取り出す。

「あの…」
「大丈夫。必ず、守るから」
「何で見ず知らずのアタシなんかを…」
「…さっきも言ったが、守りたいから、かな」

そう言って俺は取り出したカードをドライバーに入れる。

「死ねぇ!!」

入れるほんの直前、奴は溜めていた電気が放たれる。
そして………


〈 FORM RIDE――― 〉


ドガアアァァーーーーーーーン!!!
















雷と同等な威力を持つ電撃が命中し、火花と共に煙が被弾した辺りを覆う。シースターファンガイアはそれを見て鼻で笑う。

「ふ、ディケイドもこの程度だったか。これならば我々の敵でも……」

そこまで言うが、煙の奥に一体の人影が見え言葉を止める。

「ほぉ、立っていられるか。だが、それももう――」
「もう、何だって?」
「――何!?」

だがそれでもこれ以上しゃべらないと高をくくっていたが、その砂煙の方向から声が聞こえ驚く。

そして人影が腕を少し上げたと思うと、その腕は煙をはらうように横へ振り払われる。
そこにいたのは確かにディケイドが変身したキバだったが、どこか様子が可笑しい。そのキバの胸は紫色の壁のようなものに、左腕は青く、右腕は緑色になっていた。

「貴様、その姿は…!?」
「どうだ?『キバ・ドガバキフォーム』……出血大サービスってやつだ」

驚いているシースターファンガイアに、士は自らの体を観賞するように見ながら言う。その声は電撃を食らった筈なのに、そんなのへでもないとでも言うぐらい良い声だった。















「何とか、うまくいったな」

そんなことを言うが、やはり体的にはきつい。このような基本フォームの強化などの力はより多くの魔力を消費する。しかも今回がそれの最初の使用なのだ。体に影響がないとは言えない。

「…その、姿は……」
「悪いな、怖い目に遭わせて」

後ろで声がすると、少し涙目になってこちらを見る少女がいた。俺は不安にさせたと思い、そう言いながら手を挙げる。そして………

ポンッ

少女の頭に手を置き、安心させるように少しなでる。

「っ!?」
「だが、もう大丈夫だ。後は任せろ」

そう言って少女の頭から手を放し奴に向き直る。

「別れの言葉でも伝えたか?」
「その言葉、死亡フラグっていうんだぞ」

奴の言葉にゆっくりと歩みながら答える。

「ならばその死亡フラグ、折らせてもらうぞ」
「よく言うぜ、いつも最後にはやられる怪人風情が」
「何だと…!」

俺の一言を聞いたシースターファンガイアは、明らかに怒りを含んだ声を上げる。

「怒ったか?だがな…俺もお前に対して怒りが込み上げてきてんだよ!バッシャー!」

俺はそう言うと、右手を広げ横に突き出す。すると何処からともなく緑色の銃、『バッシャーマグナム』が現れ、俺はそれを掴む。

「てめぇにはもう、見せ場はないぜ!はぁぁああ!!」
「ぐっ、があぁぁ!?」

掴んだことを確認すると、それを構え走りながら引き金を引く。銃から放たれた弾は奴に命中し、火花を散らす。

「く、このぉ!!」
「ガルル!」

だがそれを食らったシースターファンガイアは怯むことなくコアに電気を溜め始める。俺はそれを見た瞬間、左手を広げ叫ぶ。するとバッシャーマグナムと同じように、何処からか剣が現れ掴む。鍔(つば)がオオカミの顔のような形の剣、『ガルルセイバー』だ。

「はぁあ!」
「ふっ!」

ガルルセイバーを掴んだ一瞬で、奴は電撃を放ってきた。それを俺は跳躍することでかわす。

「はぁっ!」
「ぐっ!?」

そしてそのまま体を反転させ、左手に掴んだ剣を落下しながら奴の背中に振り下ろす。
そして着地と同時に剣を操り連続で攻撃を加える。

「くそぉ!」
「ふっ、はぁ!」
「ぐああぁぁぁぁぁ!?」

奴はその攻撃の中で一瞬の隙を見つけ、腕をこちらに振り抜く。だがそれをガルルセイバーで防ぎ、奴の腹にバッシャーで攻撃を加える。それを受けたシースターファンガイアは火花を散らしながら後退し、倒れる。

「まだまだ行くぜ!ドッガ!」

倒れながらも再び立ち上がろうとする奴を見て、俺は両手に持っていた武器を手放し、両手を挙げる。すると今度はそこに紫色の手のような形のハンマー、『ドッガハンマー』がおさめられる。

「はぁあっ!はっ、はっ!はぁっ!!」
「ぐわぁっ!?」

俺はそのままハンマーを振り下ろし、さらに突き、右斜めに上げ、右斜め降ろす。

「はぁあっ!!」
「ぐわあぁぁぁ!?」

降ろしたハンマーを今度は両手で横に振り抜く。食らったシースターファンガイアは火花を上げながら吹き飛び地面に転がる。

「さぁ、フィニッシュだ!」
〈 FINAL ATACK RIDE・ki ki ki KIVA! 〉

俺は持っていたドッガハンマーを放り投げ、カードを挿入する。
響く音声と共に俺は体を少し屈め、両手を顔の前で交差させる。そして顔を少し上げ、両手を広げると同時に体を伸ばし、右足を野球漫画のように高く上げる。

〈 Darkness moon brake 〉

さらに音声が響くと、周りの景色が月夜に変わる。そして右足に付いた鎖(カテナ)が断ち切れ、右足の装甲が羽根のように広がる。

「はぁぁっ、はぁぁぁぁぁぁああっ!!」
「があぁぁぁぁぁ!?」

俺は左足で飛び、体を反転させながら体勢を整え、シースターファンガイアに向けて飛び蹴りを放つ。
それを食らった奴は吹き飛び、地面に叩き付けられると、そこにキバの紋章が刻まれる。それと同時に奴はガラスが砕け散るように爆散した。













「ふぅ…。やっぱきついな、この手のフォームは」
「あ、あの…!」

俺はキバ・ドガバキフォームを解きながらそう言う。するとそこに車いすの少女の声がかかる。俺はその声がした方向に振り向く。

「…あぁ、悪い。こんな危ない目に遭わせて」
「い、いえ…」
「それから…このことは他言無用で」

俺は指を立て口のそばまで持っていきながらそう言うと、少女は少しあっけにとられたような顔をしてから、くすっと笑った。

「えぇ、そうですね。でも、言ったところで誰も信じてくれませんと思いますよ?」
「確かにな」

それを聞いた俺は一枚のカードを取り出し使用する。

〈 ATACK RIDE・MACHINE DECADER 〉
「それじゃ、俺はこれで」
「……あの!」
「…ん?」

銀色のオーロラから出てきたバイクに股がると、少女が声を上げた。

「失礼かもしれませんが…名前、教えてもらっても…よろしいですか……?」
「名前、か…」

俺は少し渋ったが、名前ぐらいなら良いだろうと思い、口を開ける。

「通りすがりの、仮面ライダー…ディケイドだ。覚えておけ」

そして俺はハンドルを握り、マシンを走らせその場を去る。

  
 

 
後書き
 
名付けて「無理矢理すぎる回」。
ほんとに今回は無理矢理すぎましたかね。意外な登場人物まで出して。

あ、シースターファンガイアの口調やキャラが違いすぎるのは突っ込まない方向で。
原因は私の知識不足です。ごめんなさい………

4/15修正&加筆
  
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