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ソードアート・オンライン ~白の剣士~

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リズベット武具店

「おーいリズー?いるかー?」

シオンはあのあとアスナの家を用事があると早めにあとにし、そのあとは転移門を利用して四十八層主街区“リンダース"に来ていた。
そこのところに建っているのが水車が目印の“リズベット武具店"である。
そこの店主をつとめているのは若い女の子のリズベット。みんなからはリズの愛称で親しまれている。
そんなシオンもここの常連で武器の手入れ、製造はここでやってもらっている。

「あ、シオン。いらっしゃい!」

「どうだ?調子の方は?」

「まぁまぁかな。それよりも何の用?」

「ああ、剣の方はどうなってるかなーって。あとほいっ、差し入れ」

そう言ってシオンはリズに茶色い紙袋を手渡した。

「あんたの剣の方は順調よ。それよりもなにこれ?」

「グラタンパン。味は保証する」

「へぇー!あんたが作ったんだ」

「まぁな」

「それじゃあ、今度いただこうかな♪」

「ああ、感想期待してる」

そう言いながらシオンは自分の剣をリズに渡した。
その剣は濁りのない純白の剣だった。

「つー訳でコイツの手入れ頼むわ」

「はいよ。ちょっと待っててね」

そう言ってリズは奥の作業場に姿を消した。
シオンは待っている間、店内をうろうろしていたがしばらくしてリズのいる作業場に向かった。
作業場には回転砥石で剣を研ぐ音だけが聞こえる。そこには真剣な面持ちで向かっているリズの顔があった。シオンは邪魔しては悪いと思い、静かにその姿を見守ることにした。
しばらくしてリズは剣を研ぐのをやめ、剣の表面をじっと見たあとその剣を鞘に収めた。

「これでよし、ってうわあ!!」

「おう、おつかれ」

「あ、あんたいつからそこに!?」

「わりと数分くらい前だけど。やっぱり集中しちゃうと相変わらずだよなリズって」

「う、うるさいわね!しょうがないでしょ!」

「まあいいや、ありがとな。とりあえず、今日の攻略でだいぶ前に進んだからな。そろそろ武器の手入れ、しとかないとな」

シオンは受け取った剣を肩にかけながら言った。そして回転砥石の隣の作業机の上に置いてあるライトイエローのインゴットを見た。

「これからか?」

「うん、まあやるだけやってみるわ」

「見ていってもいいか?」

「いいわよ。ついでにできたら試してみて」

「りょーかい」

リズはインゴットを炉のなかにいれ、焼いている間に準備に取りかかる。しばらくしてインゴットが焼き上がると、ヤットコで取りだし、金床の上においた。
そしてハンマーを大きく振りかぶり、赤く焼けた金属を叩きはじめた。
作業場には金属特有の音だけが響く。ひたすらその音を聞きながらシオンはリズの姿をじっと見ていた。


もう、どのくらい叩いただろうか。
そう感じるのを忘れてしまうくらいの時間が経っていた。
その時、インゴットがまばゆい光を放つ。

「ついにきたか!」

シオンは待っていたかのように期待の声をあげた。
インゴットは輝きを増しながらその姿を変えていく。次第にそれは一本の剣となって姿を現した。刃はインゴットの色のように透き通ったイエロー。柄は少々黒みを帯びた銀。そして、 鍔には赤い宝石のようなものが埋め込まれていた。
リズがワンクリックしてウィンドウをみる

「えーっと、名前は“リュミエール・アルモニー"。キリトと同じでまだ情報屋の名鑑には載ってないみたい

そう言ったリズはシオンに剣を手渡した。
受け取ったシオンはその剣をその場で軽く振った。そのあとシオンは口元に笑みを浮かべ、

「うんいいよ。今までのなかで最高の剣だ」

「ホントに!」

「ああ。これなら明日は楽勝だな」

シオンは剣を新しい鞘に収めると、それをウィンドウに収納した。

「ありがとなリズ。お代は・・・」

「いいわ、お代はこのグラタンパンで許してあげる」

「かたじけない」

シオンはリズに向かって合掌して時計を見ると、すでに8時をまわっていた。

「やべ、もうこんな時間か。悪いなリズ、こんな時間まで付き合わせちゃって」

「別にいいわよ。私も満足のいく剣を作れてよかったし」

「そうか、ならよかった。それじゃあ、おやすみ」

「うん、気をつけてね」

シオンは「ああ」いい、手を振りながら店をあとにした。
そのあとシオンは自分のねぐらに戻り、アイテム整理をしたあと眠ることにした。そして、床につこうとしたところでキリトからメッセージが届いた。

『明日の午前九時、七十四層の主街区ゲート広場に来てくれ。ボス部屋を探したい』

シオンはキリトからの珍しい誘いに少し戸惑ったがOKの返事を出し、そのまま床についた。

「今日はいろいろあったな~。まぁ、その方が退屈しなくていいけど」

しかし、シオンは引っ掛かっていた。それは今日、アスナの護衛としていたクラディールのことだった。
それでも気にしてもしょうがないと思い、シオンはそのまま目を閉じ、眠り、意識を手放した。






 
 

 
後書き
はい!リズも登場して次は七十四層の攻略です!

ではでは! 
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