魔法少女リリカルなのは 月光の軌跡
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原作前 時の庭園で
第1話 アルフとの出会い
前書き
完結してないのに続編って…とりあえず最初辺りは龍皇の軌跡の面影はありませんけどね
「ん、ふぁあ、朝か」
カーテンの隙間から差し込む太陽の光に目を覚ます
時計を見ると6時を少し回ったくらいだ
少年はベッドからおり、着替える
「よしっと」
少年は鏡の前で自分の服が乱れていないかなどを確認し、部屋の外に出る
顔を洗うために洗面所へと向かって廊下を歩いていると18才くらいの女性が歩いてきた
「おはよう、リニス」
「あ、おはようございます。月斗さん」
2人は軽く挨拶をかわし、すれ違う
その後、月斗と呼ばれた少年は顔を洗い、ひとつの部屋に向かって歩き出す
コンコン
「フェイト、起きてるか?」
返事はない。月斗は一切の躊躇無く部屋の扉を開け、中に入る
「フェイトー、起きろー」
そう言いながら部屋のカーテンを全て開ける
「んん…、あれ、月斗?」
「お、起きたか。フェイト、もう朝だぞ。どっか調子悪いとことかあるか?」
「うん、無いよ」
そう言ってフェイトはベッドからおり、着替えを始める
月斗はフェイトの着替えを見ないようにと部屋の外へ出る
上谷 月斗、彼はこの物語の主人公で転生者である
彼はフェイトのお世話役といった役目をおっており、この光景はいつものことである
「月斗、できたよ」
フェイトが着替えを完了させて部屋から出る
「ナイスタイミング。さっきリニスから念話で朝食が出来たってきた」
2人は並んで廊下を歩き、中庭へと向かった
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その日の晩は雨が降っていた
狼の鳴き声が辺りに響いた
フェイトは1人、雨に打たれながら外に出ていた
「フェイト、何してんだ。もう寝る時間だぞ?」
「あ…月斗。どうしよう、この狼、なんだか様子がおかしいの。近くに、群れの狼がいたのに」
「ん?」
月斗が見ると額に宝石があり、オレンジ色の体毛をしている子供の狼がいた
その子狼は弱っているようでクウン、クウンと鳴いていた
「ちょっと待て、今リニスを呼ぶから」
そう言って月斗は念話で呼びかける
『リニス、少しいいか』
『あ、月斗。フェイトを知りませんか? どうも部屋にいなくて』
『フェイトなら今、俺と一緒に外にいる』
『外!? こんな天気にですか!?』
『そうだ、今からこっちに来てくれ』
『分かりました』
しばらくして、リニスが走ってきて、フェイトの前にいる子狼を診る
「額に宝石がついている。この辺り特有の種類ですね」
「なんだか様子が変なの。近くに、群れの狼が何頭かいたのに弱ってるこの子をほったらかしで」
「コイツ、病気にかかってるみたいで俺1人の判断だけで屋敷にいれことは出来ないからリニスを呼んだんだ」
「そうですか…分かりました。屋敷の中に連れて行きましょう」
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「月斗の予想どうりこの子は感染性の病気にかかってます。感染性の病気が群れに広がらないように発病した固体は群れを追われるんです。群れに戻ってこないように何頭かが見張りをするんです。
幸い、ほかの動物には移らないようです」
「念のために消毒をしておいた」
月斗が救急箱を片付けながら言う
「…この子、助けられない?」
「この病気は鯨飲不明の死病で、治療法は見つかってないそうです」
リニスはこの病気の記述がある本のページをめくる
「えーと…発病から死亡まで、早ければ一昼夜」
フェイトは子狼に視線を移す
「この子、どうにかして助けられない?」
「フェイト…残念だが「この子!」…」
「この子、私を呼んだの。“誰でもいいから助けて”って、私の目を見て、“助けて”って…」
フェイトは涙を浮かべて子狼を見つめる
『リニス、使い魔契約をすれば仮初とは言えど肉体の命は維持できる。フェイトにこの契約をさせれば…』
『ですが、フェイトが使い魔を持つには早すぎます』
「この子…私の使い魔にしちゃ…だめかな?」
「「えっ?」」
「はやく一人前になりたくて、こっそり勉強してたの」
「じゃあ、知ってると思うけど使い魔を創るということは簡単なことじゃないんですよ」
リニスの言葉に月斗は続ける
「そうだ、使い魔を維持するために、術者は魔力を供給し続けないといけない。目的を限定して用が済んだら解除するのが一般的な使い方だ」
「でも、リニスは…」
「私はレアケースなんです。それに私だって「リニス」…いえ、何でもありません。とにかく、軽い気持ちで手を出したらいけないんです」
「軽い気持ちなんかじゃない。“助けて”って言ったんだ。だから…私が…!」
フェイトはまっすぐにリニスと月斗の方を見て言う
『リニス、フェイトが使い魔を持つことを許してやってくれ』
『っ!? 月斗までなに言ってるんですか!』
『たぶん…この子狼はフェイトにとって今の自分なんだ。親と離れて、孤独の中で助けを求める無力な子供…頼む、許してやってくれ』
「分かりました…いいですか? フェイト使い魔を創るにはまず、死亡直前か直後の動物を寄り代に、魔法で生成した人造魂魄を宿らせるというものです」
「つまり、実際のところは命を助けるわけでもなく、蘇らせるわけでもない。ここまでは分かるか?」
「うん」
「失った命を取り戻すなんて魔法は世界中を探しても無いんですから」
フェイトは真剣な様子でリニスの言葉を聴いていた
「フェイト、いくつか覚悟を。使い魔を持つということはたとえひと時でも、1つの心と作り物であっても1つの命と運命を供にするということです。契約で縛り付けない限り、使い魔にしたからと言って、絶対に服従させられるわけでもない。最悪、契約を解除するという形で命を奪うことになるかもしれない。その覚悟は…ありますね?」
フェイトは迷わず即答した
「では、仕度を…契約の内容は」
「後で考える。取り合えず、“仮契約”で。待っててね、すぐに助けるから」
フェイトは子狼を優しくなで、準備に取り掛かった
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「フェイト、準備は出来たか?」
「うん」
「最後に確認です。使い魔を作るというということはその命と運命を共にするということ。命を預かるということです。その覚悟は…ありますね?」
「うん」
フェイトは迷わずに即答する
「分かりました。それでは、はじめてください」
キイン
フェイトと子狼の足元に円形の魔法人が出現する
「わが元に、契約の証印を、契約の元、新たな命と魂を…」
オレンジ色の小さな玉が子狼に吸い込まれるようにして消えた
その瞬間
「っ!? 魔力が…吸われる…!」
「それが命の、魂の重さ! 維持を続ける限り、魔力を消費し続けます!」
「…っ! この力を糧に、新たな命を。ここに……!」
キイイン
いっそう強い光が辺りを包む
「はあ、はあ、はあ」
フェイトは地面に手をつく
「くうん」
子狼がフェイトの手をなめる
「やったな、フェイト、成功だ。早速懐かれてるな」
「あ…、えと、どうしよう」
「ほら、抱いてあげて」
「うん」
そう言ってフェイトは子狼を抱き上げる
すると、子狼はぺろぺろとフェイトの顔をなめる
「んん、くすぐったい、それに、あったかい、柔らかい…!」
「それが、命の温度です」
「リニス、このことはしばらくプレシアには黙っておいたほうが…」
「そうですね、もう少し状態が落ち着いてからでないと心配させてしまうかもしれませんし」
「うん、ありがとう。リニス、月斗」
フェイトはそう言って子狼をよしよしとなでる
『このことがプラスに働くといいんですが』
『大丈夫だろ、少なくとも、フェイトのこんな笑顔はしばらくぶりだ。いい方向に行くのは間違いないだろ』
リニスとフェイトの2人は子狼と戯れるフェイトを優しく見守っていた
後書き
サウンドステージ02 「風の向こうの記憶なの」 より
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