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転生者達による神世界開拓記

作者:三島 渓山
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真・恋姫
  第十六話






 皆元気かな?永巡お兄さんの時間だよ……ってちゃうわ!



 「お兄さん……大丈夫ですか?」

 「ん?あ、ああ……気の迷い、なんだ。ただそれだけなんだ……」

 「?」



 気を取り直してと……今俺達は中国にいる。俗に言う三国志の時代にだ。移動方法は徒歩から馬に変わったので一日で進める距離も増えた。しかし、サクラは未だに慣れないらしく、俺の体におんぶ状態。本人曰く、「股が痛い」と。アイシアは逆にスピードを上げようとするスピード狂だ。



 「永巡よ、あそこで砂埃が舞っているぞ」

 「砂埃?」



 魔法で目を強化し、砂埃が待っている方向を見据える。建造物が見える事から村だと推定出来る。



 「行ってみようではないか」

 「……厄介事だと思うけどな」

 「それはそれで余は楽しむだけだ」

 「お兄ちゃん……?」

 「ちょっとスピード上げるぞ」

 「うにゃっ!?」

 「お兄さん、Let's go!」



 赤兎馬の如く速度を上げる馬。境界を弄ってあるのでそこら辺にいる普通の馬ではない。走行中にサクラの悲鳴が聞こえたが気のせいだろう。



 「これは……」



 火の手は上がっていない。村人の死体もなく、最悪の事態ではないようだ。だが、すすり泣く様な声がひそかに聞こえてくる。



 「……おや、これはこれは珍しい。何もない村に何の用ですかな?」

 「旅の途中、砂埃が待っていたので立ち寄ってみた。いったい何があったのだ?」

 「黄色い巾を被った連中が武器を片手に襲い掛かってきてのう……食料と若い娘を連れ去っていきおった」



 黄色い巾……黄巾党の時代か。劉宏が帝の座にいると聞いたから三国志だと思ったが、まさかこの時代か。さっさと日本に行かなかったから変なイベントに巻き込まれちまったぜ。



 「永巡よ、まさか見捨てるなんて言うまいな?」

 「……まさか。爺さんや、その黄巾達はどこに行ったんだ?」

 「あちらにある山に砦があるのじゃが……まさか?」

 「ちょっくら人助けでもしてきますわ」

 「……儂に止める権利はありません。しかし、一つだけ約束してくださりませぬか?」

 「何だ?」

 「無事に帰って来てくだされ。老い先短い爺に重荷を背負わせんでくれよ?」

 「……了解!」



 爺さんの指差した方向に馬を走らせる。馬は高価だから有っても少数……故に移動速度も遅い筈だ。砦に入られる前にケリをつける!



 「流石余が認めたマスターだ!それなれば我が剣技をとくとご覧に見せよう!」

 「お姉さんノリノリだね~!よ~し、あたしも張り切っちゃうよ~!」



 ネロは張り切っている。アイシアは高揚している。サクラは……死んでいる(笑)勿論、比喩表現だが魂の尾が出かかっている所を見ると、危ない所まで来ているな。



 「うにゃ……お腹が減って力が出ない」

 「それは早朝日曜アニメのヒーローの台詞だ!エロゲーのヒロインが言う台詞じゃねえ!」



 青セイバーなら言いそうだが。あれだけ食って何も変わらないなんて勝利すべき黄金の剣(カリバーン)の呪い恐るべし。



 「見えたぞ永巡よ!」

 「どうするのお兄さん?」

 「どうするって……突撃しかないだろ?」



 実は何も案がなかったり……テヘ☆



 「突撃だな?では行くぞ!」

 「お兄さん仕込みの棒術、その身に喰らわせてあげる!」

 「皆、頑張ってー……」

 「ネロは荷馬車の解放を最優先だ。あれに村娘達がいる筈!」

 「了解だ!」

 「俺が右から攻めるからアイシアは左から攻めろ!」

 「うん!」



 更にスピードを上げるネロ。左右に回り込む俺とアイシア。流石に黄巾も気づくが遅過ぎたな!



 「うお!?なんだこいつぎゃべ!?」

 「汚い口を開くでないわ!」

 「女だと!?」

 「えーい!」

 「ごぱっ!」

 「はっ!」

 「っだぁ!?」



 一瞬で三人を制圧、残る賊も叩き潰す!





 ~~~~~~





 「こんなものか?」

 「いや、ちゃんと殺しておこう。後が面倒だからな」

 「うぃ。アイシアは中の村娘達と話しつけて」

 「はーい」



 賊を死体すら残さぬように燃やした。ネロの初戦闘だったがどうしてなかなか。



 「……どうした永巡よ?」

 「いや、なに、その剣で人が斬れるとはと思ってな」

 「余も驚いておるがな。元々芸術作品として作ったもの、故に打撃程度にでも使えればよいと思っていた」

 「守護転生(セカンドリターン)の影響かな?」

 「その可能性が高い。あれがこれを武器と認識すれば切れ味も上がり、錆びずに済むであろう。被術者が若返るようなもの、そのぐらいの副産物があっても不思議ではあるまい」



 作成者である俺もよく分からない守護転生システム。半分寝てたからうろ覚えなんだよな。今見ようとしてもブラックボックス化してるから見れないし。



 「お兄さーん、早く帰ろうよー」

 「……早く帰るか」

 「そうだな。早く帰って湯浴みがしたい」

 「はいはい」



 俺達は今来た道を帰っていくのだった。





 ~~~~~~





 村に戻ればそれはもう大変な騒ぎだった。



 「娘が帰って来たー!」

 「食料もあるぞー!」

 「これで年を越せるー!」



 この頃は重税に飢饉のダブルパンチで苦しんでいた時期だっけ。だから黄巾党なんて出来たんだし。



 「ありがとうございますじゃ」

 「礼を言われるような事ではない」

 「それでもですじゃ。どうか素直に受け取ってくだされ」

 「……そうか」



 爺さんにここまで言われたのならしょうがないか。素直に受け取った後、爺さんの横に一人の少女がやって来た。



 「あ、あの!」

 「ん?」

 「こ、こら劉備!」



 ……劉備?劉備!?



 「私劉玄徳といいます。この度は助けていただきありがとうございました!」



 本当に劉備って名乗っちゃったよ。女の子が、ね?史実では男だって書いてあったのに。



 「いえ、当然の事をしたまでの事」

 「もしかして貴方達は天の御使いなんですか?」

 「天の御使い?」

 「都の占い師、管路が言っていた戯言じゃ。そのような人物などいないと言っておろうに」



 天の御使い……ここは恋姫の世界か。劉備がいるから真の方になるが。



 「私達は外来、遠く西の方から来た旅人ですよ」

 「そうなんですか……」

 「しかし、天か。其奴には関わり合いにならない方が良いな」

 「な、何でですか!?」

 「天とは国のトップ、頂上を表す言葉……今なら劉宏殿下がそれにあたる筈だ。未だ帝が健在なのに天の御使いと名乗る輩が現れれば反逆者として扱われるだろうな」

 「なるほど……」

 「……無駄に説法してしまったな。永巡よ、まだ陽も高い故に旅立とうではないか」



 まあもうこの村に用はないな。サクラもノックダウンしてるし、離れた場所であれをだしてやるか。



 「あ、あの!」

 「まだ何か?」

 「私もついて行っていいですか?」

 「劉備!?」

 「俺は構わんが」

 「余は賛成だ。美少女は増えれば増えるほどいい」

 「あたしも別にいいよ。お姉ちゃんが増えるのは良い事だしね」

 「爺さんは?」

 「……この子は正義感の強いじゃ。何時かは旅立つ、そう思ってはいたがこんなに早くとはの」

 「村長さん……」

 「儂にとって孫みたいなものじゃ。よろしく頼みますぞ」

 「了解した」



 こうして旅の一行に劉備が加わった。な~んか、助ける度に仲間が増えていくな。
 
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