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俺が魔王の息子ってマジですか!?

作者:ユウスケ
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5話 思い出+どうやら子育ては相当なストレスのようです。(後編)

ーヨルダ視点ー

ヒルダに負けた私とイザベラ達は、焔王坊ちゃまの(仮)仕えになった。
とてもショックだったが、(仮)ならいつかまた、紅蓮様に仕えることが
出来るだろうと、前向きな考えで焔王坊ちゃまの世話をすることしたのだが・・・。

「ビエェェェェェ!!!」

ボォォォォ!

「「「きゃーーーーー!!」」」

焔王様はオムツが濡れて気持ち悪いのか、おなかがすいてしまったのか。
突然泣いてしまい、部屋が火の海に・・・。
そして、その光景を見て叫ぶ私達。
泣きたいのはこっちよーーーー!!
そんな事を心の中で叫んでいると突然、焔王坊ちゃまの部屋の扉が開かれた。
そこにいたのは・・・。

「熱いな・・・。」(ぎゃーーーー!超アチーーー!!消防車!消防車を呼んでくれ!!)

「「「紅蓮様!!」」」

我等が主、紅蓮様だった。
ああ、紅蓮様。このような状況でも冷静なお姿・・・さすがです!!
いつもどおり冷静な紅蓮様を見て感心する私。
他の二人も同じ事を考えているのか潤んだ瞳で紅蓮様を見ている。

「焔王、泣くな」(泣くな!もう泣くな!これ以上はヤバイんだよ!!泣き止んでくれーーー!!!)

「ビエェェ・・・・ダウ・・」

「「「坊ちゃま。紅蓮様。」」」

私達が紅蓮様に見とれていると、紅蓮様はいつもの声色で焔王坊ちゃまに話しかける。
すると、どうだろうか。
泣いていた、坊ちゃまは紅蓮様のお言葉に反応して泣き止んだのだ。
さすが紅蓮様!!


その出来事があってから、私達はどうしても坊ちゃまが泣いてしまいそうなときは
紅蓮様の所に転移する事にした。
決して、坊ちゃまを抱っこした私と、坊ちゃまを慰める紅蓮様の姿が夫婦のように見える
と思ったわけではない。
その時の写真とか、イザベラ達と三人交代制なんてないのよ!!









ー4年後ー











「ヨルダ、この写真の赤子は誰じゃ?兄上とヨルダの子か?
イザベラ達の部屋にもあったぞ」

「坊ちゃま!?」

私が4年前の紅蓮様と私の愛の結晶出来ちゃった写真(偽装)を眺めていると、
写真に写っている、私と紅蓮様の愛の結晶(偽)・・・じゃなかった。
焔王坊ちゃまが、いつの間にか隣に居て、私に話しかけていた。
どうやら、私が写真に夢中になっている間に坊ちゃまが私の部屋に入って来てしまったようだ。
・・・今度から鍵を掛けよう。

「それにしても、イザベラやサテュラ、ヨルダも部屋は多少の違いはあるが
ほとんど一緒じゃのう。天井も壁も兄上でいっぱいじゃ。
ん?この人形は・・・」

「さあ、坊ちゃま!!イザベラ達とお部屋でゲームでもしましょう!!」

「・・・そうじゃな!ゲームじゃ、ゲームじゃ!!」

焔王坊ちゃまが私の部屋の感想を言いながら、私の給料4カ月分でオーダーメイドして
作らせた。紅蓮様(8分の1フギュア:結婚式バージョン、ヨルダセット)に素手で触れようとしたので
慌てて話を振る。
すると、坊ちゃまはフィギュアよりも自分が大好きなゲームのほうが面白いと判断したのか、
すぐに食いついてきた。
こうして、紅蓮様人形に触れられることなく無事に部屋を出た、私と坊ちゃま。
部屋の事を紅蓮様にバラされないかと、一瞬悩んだりしたが
坊ちゃまはすぐに忘れるだろうと、悩むのをやめた。
正直、今だけは坊ちゃまの軽い頭に感謝した。

「ヨルダ!早く、イザベラ達を呼びに行くぞ!!」

「はい、坊ちゃま」



ー10分後ー

私が坊ちゃまの言葉に笑顔で答えた10分後。
サテュラ、イザベラを捕まえ・・・ではなく、誘い。
ゲームをするため、焔王坊ちゃまの部屋に向かう為、
廊下を歩いたのだが・・・。
前方に紅蓮様を発見した。
ヒルダと、ちっちゃいピンク・・・いや、あれはレイミアさんの・・・。
そういえば、週刊紅蓮様通信(150円)にレイミアさんが忙しい時に
面倒を見ていると、書いてあった。
ん?ヒルダもこっちに気づいてきたのか目が合った。
ヒルダはニヤリと笑い・・・・


「「「!?」」」


なんと、あのバカ女はレイミアさんの娘を真ん中にして手を繋ぎ、
レイミアさんの娘の余った手を紅蓮様に繋げさせたのだ!!
あれはまさに、日曜日の仲良し親子!
私とイザベラ達三人で悔しがっていると、ヒルダは目でこう言ってきた。

『フ、羨ましいか?』


こ、コロス!っていけない、いけない。
紅蓮様が目の前に居るのだ(結構離れている)。
顔に出してはいけない。
それに、こっちには対抗兵器である焔王坊ちゃまが居られるのだ。
つまり、私・・・いや、私達のすることは・・・。
私とイザベラ達は一瞬のアイコンタクト会議を済ませ、坊ちゃまに話しかける。

「坊ちゃま。あそこに紅蓮様がいますよ」

「あら、本当ですわね」

「坊ちゃま、紅蓮様を誘って五人でトランプしましょうよ」

「おお!それはいい考えじゃ!兄上ー!!」


紅蓮様を発見した坊ちゃまが紅蓮様に向かって走っていく。
坊ちゃま!頑張ってください!
坊ちゃまならきっと、紅蓮様をゲームに誘えるはずです!!
私達の計画は・・・・・まず、坊ちゃまに紅蓮様をゲームに誘ってもらう。
そして、紅蓮様が世話をしているレイミアさんの娘はヒルダに任せる。
後は5人でゲームをした後、紅蓮様とあわよくば・・・。
な、計画だ。
その計画に気がついたのか、もしくは女の勘で何かをさっちしたのか、
ヒルダは近づいてくる、坊ちゃまを見て苦い顔をする。
ホホホホホ!行くのです坊ちゃま!!

ピタ!

『?』

なんということでしょう。
紅蓮様に一直線で向かっていった坊ちゃまですが、突然ピタリと止まってしまった。
これには、向かって来る坊ちゃまを見ていた紅蓮様や坊ちゃまに気づいていた全員が
何があったんだ?と、坊ちゃまを見る。
すると・・・。

「そ、そこの主!」

「な、何よ・・・?」

「な、なななな、名前!名前を言うのじゃ!!」

「ラ、ラミア」

坊ちゃまは紅蓮様と手をつないでいる、レイミアさんの娘に人差し指を向けて、
名前を聞いた。
レイミアさんの娘は坊ちゃまの押しに負けて、戸惑いながら名前を言う。
坊ちゃま・・・・まさか。
いや、まさかはいらない。
坊ちゃまは確実に・・・・。

「ラ、ラミア!ぬ、主を余の嫁にする!!」


「はあ!!?」


惚れてしまったようです。

レイミアさんの娘にプロポーズ?をした後。
坊ちゃまは素早い動きで自室に走って行く。
え?坊ちゃま!?
私達の計画は失敗して、自室に行ってしまった、坊ちゃまの後を追う。
そしてこの後、坊ちゃまは自室のイスに座り、とんでもない宣言をするのだ。

「ヨルダ!イザベラ!サテュラ!!余は、兄上をぶったおす!!」

「「「えーーーー!!」」」


「兄上は、幼い頃から頭がよく、ドラゴンを倒して町を救った英雄で、
ファンクラブもあると聞く!
つまりじゃ!その兄上を倒せばきっと!きっとラミアも余に惚れるに違いないのじゃ!!」


こうして、焔王坊ちゃまは私の恋のキューピットではなく、真逆の存在へとなってしまった。



どうしてこうなるのよーーーーー!!!



この日から、私達は坊ちゃまを紅蓮様にあわせないようにする
努力が始まった。



1年後


「ラ、ラミア!余はこの間、オセロで兄上を倒したぞ!!」

「・・・」

自慢する坊ちゃまを、ジド目で一瞬だけ見て、無視をするラミア。
まあ、紅蓮様が坊ちゃまにわざと負けているのは皆知っているし、
ラミアは焔王坊ちゃまとゲームをした経験があるから、坊ちゃまの実力を
よく知っているからこの反応はしょうがないわね。
チラリと坊ちゃまを見る。
坊ちゃまは一方的で、わがままな子。
いちから世話をしていたから、かわいくはあるのだけど・・・。
正直とても残念な子ね。
今のままじゃ、とうていラミアを振り向かせる事なんて・・・。

「うっ!ううう・・・」

「坊ちゃま!ジュースですよ」

「ほら、坊ちゃま!ポテチ!大好きな薄塩味ですよ!!」

そんな事を考えていると、坊ちゃまが泣きそうになっていた。
おそらく、ラミアが無視をし続けたのだろう。
イザベラ達が必死に坊ちゃまをあやしている。
さて、私も・・・。
そう、イザベラ達の手伝いをしようとした時。

だっ!

「坊ちゃま!?」

「どうしたんスか!?」


焔王坊ちゃまが、走り出した。
イザベラとサテュラが呼び止めるが、無視して走る。
まさか・・・。

「イザベラ!サテュラ!追うわよ!!」

「ええ!」

「おう!」


焔王坊ちゃまを追う私達。すぐに捕まるかと思っていたのに、坊ちゃまは
小さい体を利用して、隠れたり、私達には通れない穴を通ったりとなかなか
つかまらない。
次元空間に隔離するしかないと思ったときにはもう遅かった。
忘れはしない、見覚えのある廊下。
かつて、私が通いつめた部屋に続く廊下。
そして、焔王坊ちゃまは思い出の部屋の扉を開ける。

バタン!

「兄上!余と勝負じゃ!!」

「焔王坊ちゃま!!?」

「さすがにまずいッスよ!!」

「紅蓮様に怒られますよ!!」

叫ぶ私達。
そして、私達の視線の先には・・・。
今は留守であってほしかった、お方。
紅蓮様が、ため息をつきながら私達の方に顔を向ける。
これ以上はマズイ!
私達は坊ちゃまを腕を掴み、退出させようと努力するのだが・・・。

「兄上!余と勝負じゃーー!!」

「坊ちゃま!勝負なら、このイザベラがいたしますから!!」

「そうですよ!なんなら私でも・・・!」

「紅蓮様、申し訳ございません!!すぐに出て行きますので!!
さあ、坊ちゃま。ヨルダ達とお部屋に戻りましょう!!」

わがままな坊ちゃまは言う事を聞いてくれない。
もう、この際力ずくで!
私は紅蓮様に謝罪した後、焔王坊ちゃまを坊ちゃまの部屋に転移させようと
するが・・・・。

どか!

「ギャピ!!?」

「紅蓮様に何してんのよ!!!」

「「「坊ちゃまーーー!!!?」」」

突然の乱入者、ラミアに邪魔をされる。
くっ!この小娘!!
殺気が漏れそうになるが、紅蓮様の前である事を思い出して耐える。

「坊ちゃま!?坊ちゃまーーー!!」

「フォルカス先生を呼べーーーー!!」

「ラミア!あなたは何て事を!!」

坊ちゃまの介抱はイザベラ達に任せ、私はラミアを怒る。
とても、ストレス発散には足りないがやらないよりはマシ。
これ以上何かあれば、殺気が漏れて殺してしまうかもしれない。

「ふん!紅蓮様に無礼な事ばかりする、そこのバカが悪いんでしょうが!!」

ブチ

たしかに、ラミアの言う通り。
私もわかっている。
普段の私なら注意する程度だろうが、今回はもう無理だ。
私は、我慢の限界を迎え、紅蓮様の前で殺気を放ちながら武器のモップを次元から取り出す。

「小娘。いい加減に・・・「いい加減にするのは、貴様だ」!?」

私がラミアを殺そうとモップを構えると、ヒルダが現れ、私の首の近くに剣を突き出す。
首と剣までの距離は数センチ。


「ヒルダ、貴女・・・。」

「ヨルダ、ラミアの言う通りだ。今回は焔王様が悪い。
それに、紅蓮様の御前で我を忘れるなど・・・どう責任を取るつもりだ?」

邪魔をしないで。
そう言おうとした時、ヒルダの言葉から紅蓮様の名前を聞いて冷静になっていく。
わ、私は・・・。
私は戸惑いながら、チラリと紅蓮様を見る。


「・・・」(必死に祈っているので顔に力が入っている)


今までに見た事のない顔で、紅蓮様は私を見ていた。
私は・・・どうなるのだろうか?
モップを消し、呆然と立ち尽くす。
もしや、捨てられるのだろうか?殺されるのだろうか?
それとも・・・。
私はもう、自分がどう処分されるか、そんなことしか考えれなくなっていた。
私は・・・。

「ヨルダ。」

「は、はい・・・」


紅蓮様に名を呼ばれ、返事をする。
しかし、ガタガタと体が震え始めて止まらない。
どんな処罰が下るのか?
紅蓮様の口の動きがゆっくり開く。
 




ついに・・・。





紅蓮様の口から・・・。





処罰の言葉が









「一週間の休みをとれ」





放たれ・・・・は?




「「「は?」」」



この場に居る紅蓮様以外の声と私の声がハモる。
当然だ。紅蓮様の言った内容は私が、この場に居る全員が思っていた以上に
軽すぎるのだ。
紅蓮様の言葉をもう一度思い出す。

『一週間の休みをとれ』

つまり一週間の謹慎。


「ぐ、紅蓮様?そ、それだけですか?」


私は混乱したまま、思わず紅蓮様にそれだけなのかと聞いてしまった。
すると、紅蓮様は・・・。


「では一ヶ月間だ」


「りょ、了解しました」


これ以上は無いぞ。みたいな感じで、謹慎期間を延ばしただけだったのだ。
それから私は紅蓮様の部屋から退出し、イザベラ達に謹慎処分の事を話した。

「そうですか、紅蓮様が・・・・」

「マジか・・・」

サテュラは私の予想通りの驚いた反応をしたが、イザベラは何かを考えている。

「もしかしたら・・・・」

「ん?なんだよ、イザベラ。なにかわかったのか?」

「そうなの!?イザベラ!」

どうやら、イザベラは何かわかったようで、サテュラも私も
イザベラに聞く。
早く教えて欲しい。

「なんてことはありません。つまり、そのまんま。
一ヶ月間休暇を取れって事です」

「「は?」」

サテュラも私もイザベラの言葉で間抜けな声を出す。
へ?休暇?謹慎処分じゃなくて?
さらに混乱する私。

「おい、どういうことだよイザベラ。謹慎処分じゃないのか?」


私よりも早く再起動した、サチュラが私の代わりに質問する。
どういうことなのだろうか?さらに謎は深まる。


「じゃあ、サテュラ。あなたが紅蓮様の立場で自分の侍女悪魔が普段はとらないような行動
をとったらどう思う?」

「それは、頭がおかしくなったか、仕事で疲れ・・・・!?」

「そういうことです」←(大正解)

サテュラとイザベラの会話で、イザベラが言いたいことは理解できた。
たしかに、紅蓮様なら・・・と思ってしまう。
本当に器の大きいお方だ。
あのような粗相をした私をお許しになったばかりか、休暇まで与えてくれるなんて!!
私は感動し、紅蓮様への好感度はMAXだったのだが、この事でインフィニティになった。
ああ、紅蓮様!私は何時でも・・・・。

「おい、ヨルダ。大丈夫か?よだれ出てるぞ」

「サテュラ、こうなったらしばらく戻ってこないわ。私も逆の立場だったらこうなっている
と思うし・・・。」


こうして、紅蓮様への愛を成長させた私は一ヵ月後、今まで以上に焔王坊ちゃまの
世話をすることになる。

全ては愛しい、紅蓮様のために!!


おまけ


緑髪のわがままプーさんのコメント

「兄上に勝負を申し込んだあの日から、ヨルダ、サティラ、イザベラの三人が
変わったのじゃ。始めはヨルダが今まで以上に余の世話をするようになり。
イザベラとサテュラが廊下で・・・。

「まさか、将を射ぬなら馬を射よ作戦!?」

「マジかよ!?」

などと、会話をしていた次の日。
二人も怖いくらい、余の世話をするようになった。
あの日、余は気絶していてよかったのかもしれん」

この後、焔王は紅蓮に勝負を挑まないようになったとか・・・。
 
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