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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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後日談3 生徒会選挙、会長の思い 

さて、チビッ子やギアーズ姉妹が帰っていった次の日………

「あん?何だか騒がしいな………」
「そうですね、何かあったのでしょうか………」

星達と登校してくると下駄箱の掲示板にたくさんの人が。
何だか嫌な予感が………

「おっ、相変わらず仲が良いなお前ら」
「ああ圭か。はよ〜」

クラスメイトの小林圭が部活のジャージ姿で話しかけてきた。
恐らく野球部の朝練だろう。

「で、実際どうなんだ?」

「ん?どうって?」

「いや、掲示板見たんだろう?」

「いや、来たばっかだからまだ見てないけど………」

「じゃあまだ知らないのか………」

そう言って人混みを見る圭。
何だろう、いつもはもっとハッキリしてる奴なのに………

「まあ取り敢えず掲示板を見てみろ」

圭に言われて掲示板を見てみると………

『生徒会長候補、有栖零治』

「へぇ〜俺が会長ね………って!?」

「レイ、生徒会長に立候補したの?」

「いやいや、全く身に覚えが………」

「いいではないか、既にレイの事を会長と呼んでいる者もいる事だし」

「いや、夜美………」

「むしろ他に会長と言われても選べないだろう。それほど零治は目立ってしまった」

夜美の代わりに答えたフェリアの言う通り、大分目立ってる………

「まあ最終的にレイが決めることですので私達は何も言いません。ですが………」
「僕達はレイに会長をやってもらいたいかな」

そんなライの言葉に夜美もフェリアも頷いた。

「………何でだ?」

「だってレイが会長やってくれたら学校がもっと楽しくなりそうじゃない!!」

「そうだな、我もそう思う」

「私もです」

「私もだ」

楽しいか………

「………まあ考えてみるよ」

そう言って取り敢えずこの話を終えた………







さて、その後の時間は有名人みたく多くの生徒に話しかけられた。
誰もが頑張ってくださいとか、応援しますと声をかけてくれた。

「期待されてるな………俺」
「何の話や?」

廊下の窓側の壁にもたれ掛かっていると目の前にはやてが現れた。

「生徒会選挙の事だよ」
「零治君の人気凄いで〜!学校全体が零治君が会長だって決定しとるような雰囲気になっとるし」
「………だよな」

まあ百歩譲って会長になることは別に良いと思っている。
ただ、問題なのが期待が高く、期待に答えられるかという不安が大きい。

「全く、全てはノリではやてとバカやろうとして水無月会長に会ったのが始まりだったんだよな………」
「そうやね………まだあれから4ヶ月程しか経ってないんやな」
「ああ、俺も1年くらい前に感じるよ」

そう思えてくる程、色々とあった4ヶ月だと思う。

「もう会長を会長と呼ぶことは無くなるんやな………」

「だな………」

そう思うと寂しくなるな………
それに………

「なあはやて」
「何や?」
「俺に会長、務まると思うか?」
「むしろ零治君以外の人間で代わりが務まる者がおらんと思うで」
「そうか………」










『生徒のお呼び出しを致します。2年A組有栖零治君………』

放課後、さっそく会長に呼び出しをくらった俺。

「零治、決まったのか?」

そんな俺に声をかけてきたフェリア。
その隣にはアリサとフェイトが居る。

「ん?まだ微妙」

「アンタもハッキリしないわね………」

「こればっかりは軽はずみに決められないんでな」

「でも私も零治が会長になってくれたら嬉しいんだけどな………もっと学校が楽しくなりそうだし」

フェイトもそうか………

「確かにね、1年の時の生徒会長の学業最優先ってスローガンも悪くないと思ってたけど、水無月会長になってこっちの方が良かったって思えるわね」

1年の頃、そんなスローガンあったのか………?
まあいい、取り敢えず行かないとな。

「サンキューフェイト、アリサ。じゃあ俺行くな、帰り遅くなるかもしれないからよろしくフェリア」

「ああ、分かった」

俺はフェリアに伝言を残し、教室を後にした………










「いらっしゃい零治君」

「会長………」

生徒会室に着くと会長はいつもの様に会長の椅子に座っていた。
会長以外には誰もいない………

「今日呼んだのは1つだけハッキリさせたかったから。零治君、君は生徒会長になる気はある?」

「俺は………」

「これは最終確認だと思って。今なら引き下がれるわよ?」

「………」

「嫌々ならやらなくていいわ。自分でやるという意識を持ってないならやらない方がいい」

今までとは違い、いつも以上の真剣な表情。
無理やり薦めて逃げられなくすると思ってたんだけど、流石に自己を尊重するよな。

「俺は………やります。沢山の人が俺を応援してくれているのにその気持ちを踏みにじれない」
「そう………やっぱり零治君はかっこいいわね」

安心したのか椅子に深くもたれ掛かる会長。

「実際キツ目に言ったけど零治君がやるって言ってくれなかったらまた去年みたいになっちゃう所だったから安心したわ」
「去年………?」

さっきアリサが言ってた学業最優先の事か?

「分からない?今年と違って雰囲気が違うでしょ?」

分からないと言うより全く覚えが無い………

「そう言えば零治君は今年の夏休みに入るまで先生方のブラックリストに入ってたんだっけ………」
「えっ!?」

初耳なんですけど………
確かになのは達の動きを多少把握出来るようにと聖祥に通ってたから真面目に通ってなかったけど、まさか目をつけられていたなんて………

「実は未だに零治君を危険視する先生はいるのよ。まあシャイデ先生の発言や今年の生徒会の手伝いなんかで結構評価を改めてる先生は多いんだけどね」

………もしかして俺を手伝わせてたのってその為?

「まあそれは置いといて、実は去年の生徒会長は学業最優先と言って行事を半分程減らしているのよ」

半分も!?
去年は行事に積極的に出ていなかったから全く気がつかなかったが、よくもまあそんな事を………

「零治君がサボってるから知らないだけで、球技大会もましてや3送会も無かったんだから!!………まあそのおかげで余った予算で色々出来たんだけどね」

会長………

「因みに零治君は中学校で大事な事って何だと思う?」
「大事な事………?」

普通に考えれば勉強だろう。
どの高校にいくかで、将来の幅が変わる。だけどそれ以上に大事な事があると俺は思う。

そう思うと学業最優先ってのは間違っていないと思う。
だけど………

「俺は中学校で大事なのは学校生活だと思います」

「勉強じゃなくて?」

「確かに勉強は大事です。今の頑張りで将来の幅が広がると言っても過言じゃ無いですから。だけど聖祥中学校は私立ながらも地元の人が多く、小学校から中学生に上がる人も多いです」

「零治君、何が言いたいの?」

「要するに勉強よりも友達や思い出を作ることが大事だと思うんです。これから先、大学行く人も仕事で都内に行く人もふるさとは此処になるんです。その時に出来た友達や思い出はこれから先も大事になってくると思うんです」

「なるほどね………」

「だからこそ、俺は中学校生活は皆で楽しく過ごして欲しい。勉強も大切だけどそれ以上に大切な絆を得ることが出来るのだから………」

そう言うと会長は納得した表情で頷く。

「やっぱりそうね」

「?何がですか?」

「前から思ってたんだけど零治君とそして桐谷君は思考が大人なのよね。今の零治君の考えもまるでこの先を経験したような言いぶりだったし」

………ヤバイ、確かに言い過ぎた様な気がする。

「そ、それは気のせいですよ。ただ、俺はそう思っただけなので………」
「………まあ良いわ。そして改めて言わせてもらうわ零治君」

そう言って俺の両手を掴む、会長。

「この学校をよろしく頼むわね。皆に最高の中学校生活だったって思わせられるような学校を創って頂戴」
「………はい!」

俺は力強く、先輩の手を握り返した………











さて、あっという間に時間は過ぎ、とうとう演説の日がやって来た。
その後も結局俺以外の立候補者は出ず、俺だけが会長に立候補という形になった。

ただ、先生達の提案で俺が会長に相応しいかどうか、全校生徒の前で演説し、それから投票で6割取れれば決定という形になった。

「………ふう」
「流石に緊張してる?」
「ええまあ。人の前に立つのは慣れないので」

今俺は講堂のステージ裏にいる。
今までとは違い、今回は体育館ではなく、講堂を使っていたりする所が更に緊張させている。

『それでは生徒会会長立候補、有栖零治君の演説です』

「じゃあ行ってきます会長」

「ええ、頑張ってね零治君」

先輩に見送られ、俺はステージへ向かった。













パチパチパチパチ!!!
俺が出てくると一斉に拍手が巻き起こる。
大きな拍手に迎えられ俺はステージ中央のマイクへ向かった。

体育館でやったときよりも景色が違う。
………呑まれるな零治。

そう自分に問いかけ、マイクの前に立つ。

『この度、生徒会会長に立候補した有栖零治です』

そう言うと生徒から歓声があがる。

『あんまり丁寧な言葉を使うのは苦手なので、ここまでとさせていただきます』

批判はあるだろうが、自分のやりやすいスタイルでやらせてもらう。

『取り敢えずみんなに言いたいのは1つだけ。なあみんな、今年の行事は楽しかったか?』

そう問いかけると楽しかったー!と答えてくれる生徒が。
ノリかもしれんがありがたい。

『そうだよな、俺もとても楽しかった。これも全部前会長、水無月会長のおかげだ』

そう言うとまた歓声が上がった。

『だが、去年は逆に学業優先として行事が減らされたらしい。………らしいと言うのは俺が真面目に行事に参加してないから把握してなかったんだが………』

そう言うと一部の生徒から「不良が生徒会長やるのか!!」なんて声が上がってきた。
………まあサボっていたのは事実だし、そこは否定しないが不良は無いだろう。

『だが、そんな俺でも今年は学校行事にも率先して参加するようになったし、皆も去年よりも断然楽しかったろ?』

そんな俺の言葉に否定の声は無い。

『そんな学校にしてくれたのは水無月会長であり、俺に学校を楽しくさせてくれたのも会長だ』

まあ星達も一緒に学校に来れるようになった事もあったり、桐谷や加奈が転生してきたりと色んな理由はあったが、会長のおかげで随分と変わった中学生活を過ごせた。
良くも悪くも結果的には楽しめたし、相談事にも乗ってくれた会長には感謝してる。

『そんな会長に俺は心から感謝してるし、会長のやって来た事を引き継いで行きたい。それが俺の立候補の理由だ。ハッキリ言って俺が何かを変えるなんて思ってないし、出来るとも思ってない。だからこそ俺は前会長の意思を継ぎ、自分の力で出来る事をやっていこうと思う………こんな俺で良ければ、是非会長をやらせてくれ!みんな、俺と一緒に最高の中学校生活にしよう!!』

そう言って一歩下がり頭を下げた。
そして頭を上げると。

ワアアアアアアア!!!
パチパチパチパチ!!!

大きな歓声と拍手で講堂は包まれた。
俺はそれを受けながらステージ裏に消えていった………

「終わりましたよ会長」
「………いいえ、もう私は会長じゃないわ。たった今からあなたが会長よ零治会長」

そう言って笑顔で握手を求める先輩。

「………まだ投票は終わってないですけどね」

そう言って俺は握手を返した。









「入りづらいな………」

投票は各クラスの教室でやるため、投票が終わるまで会長室に待たされた俺は静かにお茶を飲みながら過ごし、時間になったので自分の教室に戻ったのだが、扉の前で立ち尽くしてしまった。

「何でこんなに静かなんだよ………」

転生前の中学時代なんか、投票終わったら速攻で騒いでたけど、この静けさは何だ!?
そう思い、扉を開けるのを躊躇していたが………

「………何時までもこうしてるわけにはいかないか………」

と覚悟を決め、扉を開けた。

「あっ、やっと来たわね零治」

中に入るとシャイデが教卓に手を置き、反対の手で俺を教卓の方へ手招きする。

………何か嫌だなぁ。

いつも騒がしいクラスが静かすぎるのにも引っかかるし、シャイデの笑顔も結構怖い。
一体何をされるんだ俺?

「もう、いいから来なさい!」

少し張った声で言われ、教卓の方に進む。

「あの………何の罰ゲームですかこれ?」

「罰ゲーム………?」
「何を言ってるの零治君?」

頭おかしいんじゃないの?って顔で俺にそう言うアリサとなのは。

「零治君、違うよそこにいるのは………」

とすずかが言いかけた所で放送が流れた。

『選挙管理委員会からのお知らせです。本日の選挙の結果をお知らせします。………賛成票が8割を越えましたので、2年A組有栖零治君を生徒会長に任命します!』

放送を聞いた後、学校の教室から歓声が一斉に上がった。

「な、なんだこりゃ!?」
「それほど零治が期待されてるって事よ。私達だけじゃなくね」

そう言われてクラスを見てみると、みんなが自分の事のように喜んでいる。

「頑張りなさい、みんな真剣に投票してくれたんだから………」
「ああ………」

そうだな。こうなったら先輩に負けない楽しい学校にしてやる!!

「おい、胴上げしようぜ!!」
「良いな!!やろうやろう!!」

とそんなことを思ってるとクラスの男共が胴上げをやろうと騒ぎだした。

「いいねいいね、やろうやろう!!」
「なら先ずは机をずらさねばな」

ライや夜美までも乗り気みたいだ。

「はいはーい、机は端に綺麗に並べて!!」

そしてすぐさま皆を指揮するアリサ。

「零治、私も上げるね!!」

「いや、フェイトも上げるのか?」

「うん!私も嬉しいもん!!」

いや、胴上げって女の子には不向きなんじゃ………

「じゃあ私が掛け声担当や!」

「いや、はやてだけは止めて!!メッチャ不安!!」

「何でや〜」

「星頼む」

「分かりました」

「ぶーぶー!」

うっさい子狸。

「では私も………」

「あの………イーグレイ?」

「何だ神崎?」

「イーグレイの背じゃ胴上げは………」

神崎の言葉にフェリアが固まる。
………確かに胴上げ時に男子に揉みくちゃにされそうだな。

「そうだな!!私は小さいもんな、ははっ………」

とそう言って隅っこで小さくなるフェリア。
こればっかりはどうしようもない。

「じゃあそろそろ逝こうか!!」

………あれ?はやてさん?何か言葉違くない?
そんな思いを書き消すように手際よく俺を抱き上げる男子達+ライとフェイト。

あれ?いつの間にライが?

「ほな、星ちゃんの声にあわせて………」
「行きます!わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

「わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

星の声の後に皆が声をだし、俺を持ち上げる。言葉通り、見ている者含めた皆だ。
胴上げって初めてだけど結構いいもんだなぁ………

「わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

結構高いな、後もう少しで天井に直撃………直撃?

「わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

「痛っ!?痛いって!!」

頭が天井にぶつかってるんだよ!!

「わ、わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

ちょっと星さん!?笑いながらって………あなた絶対確信犯だよね?
頭をぶつけられながらも回りを見ると皆笑っていた。
もちろんシャイデも。

くそっ、全員グルかよ………

「わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

「わっしょい!!」

「「「「「「「「「わっしょい!!」」」」」」」」」

くそっ、ちょっと慣れてきたよちくしょう………

「わ、くしゅん!」

「「「「「「「「「わ、くしゅん!」」」」」」」」」

「えっ!?」

頭をぶつけた後、いきなりの全員のくしゃみにより一瞬浮遊感を味わった後、

「ぎゃ!?」

思いっきり床に背中から落ちた。

「あはははははは!!大成功や!!」
「そ、そうですね。レイ、とても面白かったです」
「体張って楽しませるなんて流石だよ会長」

………なのはに笑われながら言われて少しカチンと来た。
せめてこの主犯は叩かないとスッキリしない。

「取り敢えずこれを提案した奴手を上げて!」

「「はーい!」」

と明るい感じで言ってみると手を上げたのがはやてとシャイデ。
………って!?

「アンタ仮にも先生だろうが!!普通止めろよ!!」

「いや、零治っていじられるとツッコミ面白いから………まあ星達にも了承を得たしね」

「星達は俺の保護者か!!」

「まあまあ………」

「お前も主犯だろうが!!」

「いひゃいいひゃい………」

はやての頬を思いっきり引っ張る。
涙目のはやてを見て、ちょっと可愛いと思ってしまったのは不覚だ………

「お前他人事みたいにこんな事してるけど、お前にも手伝ってもらうからなはやて」

「いいふぇ」

ん?
意味が分からないんだけど………
とそう思ってると少し頬を赤くして俺の手を払いのけた。

「いいでって言ったんや!!零治君がずっと掴んでるからちゃんと喋れなかったやないか………」

「ああ、すまん………ってそんな軽はずみに返事して良いのか?」

「何言ってんの!私だって会長には感謝してるんや!!私も学校を楽しくする手伝いをさせてもらうつもりやで」

やばい、何か逆に不安になってきたわ………

「まあ大船に乗ったつもりで期待してや!!」

泥舟の間違いじゃないのかとても不安だよはやて……… 
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