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魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~

作者:雪月花
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第16話『看病と謝罪』

 side高町なのは









 ホテルアグスタでの事件の後処理を終えた私たち隊長陣はカズマくんが運び込まれた病院の担当医の部屋に来ていた。


なのは「それで、カズマくんの様態はどうなんですか?」

医師「命に別状はありません。身体外部の損傷も軽傷です」


 それを聞いて、私たちはホッと胸をなで下ろす。だけど、医師は「ですが…」と言葉を続けた。


なのは「ですが…なんですか?」


 この先の言葉は聞きたくない…とても、嫌な予感がするから。


医師「意識が戻らないです」


 それを聞いた瞬間私には次の言葉が出てこなかった。


フェイト「……このままだと、カズマはどうなるんですか?」


 私の代わりに一緒に来ていたフェイトちゃんが尋ねる。


医師「このまま、二度と目が覚めない可能性もあります」









 魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
 第16話『看病と謝罪』









 担当医との話しを終えた私は一人カズマくんの眠る病室に来ていた。椅子に座りジッとその顔を見る。


なのは「……カズマ……さん」


 そう呟いて彼の頬をソッと撫でた。








 sideカズマ・キサラギ







 目を覚ますと白い天井が見えた。


カズマ(……何処だろう、ここは…?)


 そのまま、目だけを動かし当たりを見渡す。そして、自分がどうなったのかをよく思い出してみる。すると、ここは何処なのか簡単に分かった。


カズマ(ああ、病院か。そりゃそうだよな、ティアの魔力弾が直で当たったんだから………よっと)


 痛む身体を起こす。すると、スースーと近くから寝息が聞こえた。見てみると、腕を枕にして寝ているなのはさんが目に入った。


カズマ(なのはさん?まさか、ずっと俺の看病をしてくれていたのか?)


 そう思いながら、少し当たりを見回すとそこにはおそらくなのはさんが使っていたであろう寝袋もあった。


なのは「スー……スー……」

カズマ「………」


 …………ヤバイ、寝顔が可愛いすぎる。無防備すぎて、なんかこう思いっきりギュッて抱きしめたくなるような感じだ。普段が結構しっかりとしているからなぁ、このギャップはヤバイ。


カズマ(……でも、少しだけ…)


 なのはさんの頭に手を置き優しく撫でる。綺麗でサラサラしていて、いつまでもこうしていたいと思った。しかし―――


「―――っ!?」


 頭から、手を放した。突然頭に電気が走ったような衝撃がした。


カズマ(……なんだ、今のは…)

なのは「………う~ん……カズマ……くん?」


 なのはさんが目を擦りながら身体を起こす。
寝ぼけているのか焦点が微妙に合っていない。


カズマ「おはようございます。なのはさん」

なのは「うん………おはよう………ってええぇぇ!?」


 どうやら、頭も目が覚めたらしく俺の姿を見て驚きの声を上げた。恐らく、自分の寝顔&寝起きを見られた事に気が付いたんだろう。可愛い反応するなぁこの人は…。


なのは「い、いつ起きたの!?」

カズマ「え~と……少し前です。それより、なのはさん。ここ病院なんであんまり大きい声は出さない方が……」


 俺の言葉にハッとして両手で自分の口を覆う。


なのは「……ごめんなさい……」


 そのままの状態で謝った。なんだろう、この子どもっぽい反応を見ていると少し意地悪したくなると思うが実際はしない。いや本音を言うとしたいよ、したいけどグッと堪える。それが大人のマナーだからだ。


なのは「そ、それより、身体の方は大丈夫なの?」

カズマ「ええまあ、起き上がれる程度ならなんとか……あはははぁ……いててててっ」


 笑った瞬間身体に痛みが走った。


なのは「ほら、無理しないで横になって」

カズマ「は、はい…」


 なのはさんが俺の身体支えて横に寝かせてくれる。


なのは「それじゃ、はやて部隊長に報告してくるから」

カズマ「はい。あ、なのはさん。行く前に聞きたいんですけど…」

なのは「なに?」

カズマ「俺ってどれくらい寝てたんですか?」

なのは「う~と、確か三日くらいかな…?」


そう言い残し、なのはさんは病室から出て行った。


カズマ(そんなに、寝てたのか……俺。通りで身体が硬い訳だ…)


―――コンコン

そのすぐ後、ドアが控えめにノックされた。俺が「はい」と言うと少し間を空けてからゆっくりとドアが開いた。


カズマ「……ティア」


 そう、そこに立っていたのはティアだった。ゆっくりとこちらに歩き出し、ベッドの横に立つ。


ティア「ごめんなさい!!!」


 そして、勢いよく俺に向かって頭を下げた。


カズマ「べ…別に気にすんなって。ほら、この通りピンピンしてるし!」


 勢いよく身体を起こしたせいでまた再び痛みが走るが気付かれないように、平然を装う。


ティア「でも、あたしはあんたを―――」

カズマ「だから、気にすんなって言ってるだろ」

ティア「でも―――」

カズマ「だあー!!」


 ――――ムニュッ!!


ティア「ふぇっ!?」


 あまりにも諄いのでティアの両頬を引っ張った。


カズマ「いい加減にしろっ!俺がいいって言ってんだから、素直に聞いてればいいんだよ!!わかったかっっ!!!」


 コクコクと頷く。それを見た俺は「よし」と言い頬から手を放した。


カズマ「……ったく。最初から素直に聞いてればいいんだよ」

ティア「だ、だからって頬を引っ張ることないでしょ!恥ずかしい……」


 頬をさすりながら、顔を少し赤く染め(恐らくつねっていたからだろう)て言う。


カズマ「ははは、まあなんだ、これでお相こって事でお互い水に流そう……な」

ティア「うん……ありがとう…」

カズマ「ん?なんか言ったか?」

ティア「ううん、何でもないわよ。あたしは帰るからあんたはしっかり寝ときなさいよ」

カズマ「はいはい。スバル達にもよろしくな」

ティア「ええ。それじゃ」


 軽く手を振ってティアは部屋を出て行った。ドアが閉まるのを確認してから、再び倒れるようにベッドに横になって身体の痛みで悶えることになってしまった。









 side白凰









白凰「また……あの夢ですか……最近多いですね」


 ベッドから身体を起こしバトルスーツに着替え始める。カズマ・キサラギに逢ってからというもの同じ夢を見るようになりました。
よくは覚えていないのですが内容はおそらく同じ物。唯一覚えているのは燃えている建物の中で私の手を引く男の子の存在。そして、その男の子は決まって同じ言葉を私に言う。


白凰「お前は絶対に俺が守るから……か」


 ポツリと呟く。その言葉がとても懐かしく感じるのは何故でしょうか。なんかこう、胸の中が暖かくなりとても安心できる。そんな気がします。
原因は全く分かりませんでした。クアットロさんやウーノさんそれにドクターにも話してみて色々検査をしてみましたが不明。


クアットロ『ハクちゃん。起きてる?』


 すると、突然クアットロさんから通信が入った。私はいつもと変わらないように装う。


白凰「はい、いま起床しました。これから訓練ですがなにか用ですか?」

クアットロ『前々から言っておいたあなた専用の武器がやっと出来たのよ。だからそれを取りにラボまで来てくれないかしら?』

白凰「わかりました。5分後ぐらい伺います」

クアットロ「それじゃあ、待ってるわ~」


 通信が切れて私は「ふぅ~」と一息つく。どうしてか、クアットロさんは昔から苦手です…。


白凰「とりあえず、ラボに行って専用武器を受け取りましょう」


 ようやく私のISが使える、これでドクターの役に立てるようになります。
 
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