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Fate/magic girl-錬鉄の弓兵と魔法少女-

作者:セリカ
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無印編
  第十四話 出会いとは突然やってくる   ★

 その日は学校が終わると同時に外に駆ける。
 さすがに今日はすずかとアリサから間違いなく色々と聞かれる。
 かといって、なのはと二人で帰ろうものなら鬼ごっこが始まるだろう。
 ちなみにお昼は桃子さんがお弁当を用意してくれたので大変助かった。
 今日は執事のバイトもないので夕飯の買い物をして夜に備えるとしよう。

 そういうわけで一度、家に帰り、着替えを済ませ、買い物に出かける。
 ついでなので軽く海辺の方まで足を伸ばして、異常がないか眼で確認していく。
 その途中である匂いを感じ取った。

「……血か」

 死徒の身体になってから血臭にはかなり敏感になっているから気がつけたが普通では気がつかないだろう。
 風上だから俺が初めて夜を過ごした海鳴臨海公園のあたりか。
 そちらに歩みを向ける。

 公園の中に入ってすぐにフェイトと見覚えのある赤い狼、確かアルフと呼ばれていたか。
 その二人組が共に歩いているのが見えた。

 そして次の瞬間、アルフがこちらを向いて、警戒する。
 そのせいでフェイトもこちらを向いてしまって視線が交わる。
 フェイトはアルフの方に一度視線を向けて、驚いたようにこちらに視線を戻す。
 明らかに警戒している。

「……どういう事だ?」

 前回会った時にはフードも仮面もしていたからばれるはずはないと思ったのだが。
 何か見落としてる。
 ……狼?
 俺と同じということか。
 つまりは俺の匂いに狼であるアルフが反応したのだ。
 俺にも遠坂のうっかりがうつったのかもしれない。
 ため息を吐きつつ、フェイトとアルフに話しかけた。




side フェイト

 ジュエルシードの反応を探して、海辺の公園を歩いていると
 急にアルフが警戒する。
 その方向を見ると白い髪に赤い瞳の同じ年頃の男の子がいた。
 なんでアルフがあの子を警戒しているのかわからずアルフに視線を向ける。

(アルフ、あの子がどうかしたの?)
(あいつ、アーチャーと同じ匂いがする)

 アルフの言葉に身体が強張る。
 いつでも動けるように足を軽く開く。
 私の行動を見て、その男の子はため息を吐きながらこっちに向かってくる。
 先手を取らないと
 一気に踏み込もうとするけど

「こんな一般人のいる場所で戦うつもりか?
 そのような力を持っているのだ、多少自重することぐらい知っているだろう?」

 その言葉に踏みとどまった。
 確かに周りには一般人が多少ながらいる。
 その人たちを巻き込むわけにはいかない。

「とはいえ話をするにもここは人が多すぎる。
 どうだ? 君の家か私の家、どちらかで話をしないか?
 無論選択は君がすればいい」

 その子はそんな事を言うけど話す必要なんてない。
 だけど

「ちなみに話をしないというなら余計な危険を避けるためにこの場で排除させてもらう」
「っ! ずるいですね。初めから選択肢を狭めるなんて」
「私としても無駄な争いは好まんが色々思う事があってね」
「……なら私の家に案内します」

 相手の実力がわからないのだから少しでも自分の陣地の中を選ぶことにした。




side 士郎

 フェイトの案内され、海鳴市の隣の市までやってきた。
 なるほど、どおりでフェイトの魔力を全然感知しなかったわけだ。
 海鳴市から出てしまえば俺の感知結界外だ。

 ちなみにフェイトの家に平然とついて行っているのにも理由がある。
 なのはの家を見ても結界も何も張っていなかった。
 となるとフェイトの家にも結界の類を張っていない可能性が高い。
 仮に張っていても家に入る前に解析をかければ結界の有無はわかる。

 で辿りついたのは高層マンション。
 案の定というか認識阻害の結界も張られていない。
 部屋に入り、ソファーに腰掛ける。
 それと同時に狼が人になった。
 いや、耳や尻尾など名残は残っている。

「驚いたな。まさかこれほどの使い魔を使役しているとは」
「ふふん。フェイトは優秀なんだよ」

 俺の驚きに気を良くした元狼の女性がにやりと笑う。
 まあ、その話は後にするとして

「さて、自己紹介しておこうか、前回はアーチャーと名乗ったが、本名は衛宮士郎。
 士郎と呼んでくれ。で名前ぐらいは教えてくれるのかな?」
「フェイト、フェイト・テスタロッサです。こっちは」
「フェイトの使い魔のアルフだよ」

 フェイトとアルフか。
 二人とも戦いの中での会話で名前は一応知っていたが、やはりこう名乗ってもらえるといいものだ。

「さてフェイトとアルフ、さっそく本題に入る前にだ」

 俺はフェイトに静かに視線を向ける。
 それにアルフも警戒してか腰を上げて、一歩前に出る。

「フェイト、まずは服を脱げ」
「…………は?」
「…………え?」

 ん? なぜか二人が固まった。
 そして、フェイトは一瞬で真っ赤になる。

「え、え、えと……」

 真っ赤になった状態で視線を彷徨わせ、挙動不審になってしまった。
 どっちかというとこれがフェイトの素のようだ。
 恐らくは前回会ったときは感情を抑えていたのだろう。
 こちらの方がかわいらしい。

「いきなり何を言ってるかこのエロガキ!!」

 跳びかかってきたアルフを軽くあしらい。

「傷があるだろう。血のにおいがする」
「「っ!!」」

 俺の言葉にフェイトとアルフも固まった。
 どうやら覚えはあるようだ。
 もっともだからといって素直に従う気はないようだが。

「力づくで脱がされるのと、自分で脱ぐのどっちがいい?」

 しばらくフェイトは真っ赤になったまま落ち着かずキョロキョロして

「……自分で脱ぎます」

 微かに聞こえるぐらいの声で返事をした。
 それにしてもいまさらだが結構まずかったな。
 異性に裸を見られれば恥ずかしいのは当たり前なのだが、傷の方を優先して、完全に失念していた。
 もっともフェイトが恥ずかしがっているのが……何とも言い難いが悪くないと思ったり…………俺の思考も歪んできたか?
 今は気にしまい。

 そして、フェイトは上を脱いでその脱いだ服で前を隠して顔を真っ赤にしている。
 とりあえず謝るのは後だ。

「では背中を見せてくれ」



 静かに頷いて、背中を向けてくれるが酷い。
 見覚えのある傷だ。
 恐らく鞭だろう。
 裂傷がいくつもある。
 下手をすれば傷が残りかねんぞ。

「アルフ、薬の類はあるのか?」
「こっちの世界のなら多少はあるけど」

 アルフが差し出したのは市販の傷薬や消毒薬。
 多少の傷ならこれでもいいがこの裂傷では治りきれん。
 宝具なら完全に治癒させることもできる。
 だがその場合膨大な魔力がなのは達に察知される可能性もある。
 いや、躊躇う必要もない。
 魔力が察知されるのなら洩らさなければいい。

「―――投影、開始(トレース・オン)

 手に握るのはアゾット剣。
 いきなり武器を握った俺にフェイトが身体を固くし、アルフが今にも跳びかかろうとするが関係ない。
 アゾット剣を床に置き

「―――Anfang(セット)

 アゾット剣を中心に結界を展開する。

「これって……」
「簡易の結界だ。短い時間だが魔力が外部に漏れること防ぐだけの単純なものだがな。
 そのまま楽にしろ。傷の治療をする」

 眼を閉じて、自分の内面に潜る。
 投影できぬはずがない。
 なにせこれは授けられた俺の体の一部となったモノなのだから

「―――投影、開始(トレース・オン)

 そして、俺の手には光輝く鞘が握られた。




side アルフ

 訳がわかんない奴。
 それが士郎の感想。
 公園で敵意を見せたかと思ったら、部屋に来てフェイトの傷を見てる。
 もっともいきなり服を脱げはないけどね。

 士郎がフェイトの傷を見ながら何かつぶやく。
 そして、次の瞬間には宝石がついた短剣が握られていた。
 フェイトと士郎の位置が近すぎる。
 私は下手に動く事も出来ずに士郎を睨むだけ。
 だけど、私の心配も無意味だった。
 士郎は短剣を床に置き

「―――Anfang(セット)

 一言言葉を紡ぐ。
 それだけで世界が変わった。
 結界。
 だけど術式も魔法とは全然違う。

「これって……」
「簡易の結界だ。短い時間だが魔力が外部に漏れること防ぐだけの単純なものだがな。
 そのまま楽にしろ。傷の治療をする」

 結界の効果がわからず、士郎に視線を向けたら当たり前のように答えた。
 確かに簡易結界だろう。
 だけど術式が魔法と比べるもなく細かい。
 ただ結界の外と中を遮るだけのモノ。
 私が結界の呆けている間に士郎が目を閉じて

「―――投影、開始(トレース・オン)

 今度ははっきりと言葉を紡ぐ。
 それと同時に凄まじい魔力を放つ、光輝く物体がそこにはあった。
 武器……ではないみたい。
 盾でもない。

 士郎はその物体を静かにフェイトに押し当てる。

「うくっ!」

 フェイトが呻いたので痛いのかと思ったら違う。
 フェイトの傷がどんどん消えていってる。
 それもあと一つ残さず、まるで最初からなかったように
 そして、その光るモノはフェイトを纏うようにフェイトの中に吸い込まれた。
 あまりにも幻想的な光景に私もフェイトも呆然としてしまう。

「これでいい。向こうを向いてるから服を着てくれ」
「は、はい」

 そういい、士郎は背中を向ける。
 フェイトは未だ驚きながら服を着始めた。

 フェイトの傷を治してくれたのは心から感謝している。
 だけどますます理解できなかった。
 士郎が一体になんのために動いているのかが。




side 士郎

 フェイトも服を着直したので、改めて話を始めることにしよう。

「まずはじめに恥ずかしい思いをさせてすまなかった」
「いえ、傷を治してもらいましたし」

 まだ若干顔が赤いが、感謝された。
 さてここからはまじめな話だ。

「さて、私から君たちに二つ質問がある」

 俺の言葉にフェイト達が体を硬くする。
 それと同時にフェイトの表情も一気に引き締まった。

「仮に質問に答えたとして、なにか私達に利点があるとは思えませんが?」

 フェイトの拒絶の言葉。
 まあ、当然の言葉だろう。
 しかしこれも想定内。

「気付いていないのか? あの街、海鳴市の結界を」
「ふん。それがなんだってんだい。誰が張ったか知らないけどあんなもの私達の邪魔には」
「それはそうだろう。あれは単なる感知結界だ。別に入るモノを阻むものではない。
 あとあれを張ったのは私だ。私の領域で不穏な動きを察するためにな。
 これだけ言えば私が言いたいことはわかるな」

 フェイトも俺の言葉に難しい顔をしている。
 アルフは理解しきれなかったのか、不思議そうな顔をしている。
 俺が言いたいことは簡単なことだ。
 俺の領域、といっても自分でそう言っているだけなのだけど。
 そこであからさまな魔術、フェイト達にとっては魔法の行使をしたことを特別咎める気はない。
 俺が知りたいことは事の一つが

「貴方の領域に勝手に侵入してまでジュエルシードを確保する理由と私達が貴方の敵か、という事ですか?」
「そうだ」
「あの白い子は黙認しているのにですか?」

 白い子?
 ああ、なのはのことか

「あの娘とも一度話したことがある。その中で敵ではないと判断したため黙認しているだけだ。
 もっとも一般人に対する秘匿行動が欠如していたのでな。
 これ以上秘匿出来ない場合は外敵と判断すると警告はさせてもらったがね」

 フェイトはどう答えるべきか悩んでいるようだ。
 無理もない。
 素直に話せば黙認されるかもしれないが、一歩間違えばこの場で戦いになりかねないのだ。
 どう答えるかは悩むだろう。
 そして、答えを出したのかゆっくりと口を開いた。

「まず私達は貴方がジュエルシードの回収を黙認するなら敵対する意思はありません。
 あと理由は答えられません」

 ……妙だな。 
 この子は頭がいい。
 この状況で理由を答えない方が危険という事はわかっているはずだ。
 答えずに俺が納得しなければ海鳴市に入ることすら危険が及ぶぐらいの事は理解しているはずだ。
 それでも答えないという事は

「誰か大切な者の願いか」
「っ! なんで」

 集めること自体は自分の意志だが、その目的は第三者のためという事。
 それにあの鞭の傷跡。
 フェイトがなんの抵抗をせずにあれだけの傷を受けるという事は考えにくい。
 恐らくあの傷跡をつけたの者がフェイトにジュエルシードを集めさせている者。
 さらにフェイトぐらいの年齢の子供があれだけ傷つけられても言う事を聞いているとなると恐らくは

「君を動かしているのは父親…………いや、母親か」

 母親といわれた瞬間、フェイトの表情が微妙に動いた。
 なるほど、予想通りだな。
 もっとも母親がこの場にいない今、理由を聞くことすらできない。

「ならば理由はこれ以上聞かないし、ジュエルシードの回収も黙認する。
 だが君もあの街で行動するなら一般人に対する秘匿はしてもらう」

 俺の言葉にフェイトが安堵し、表情が少し緩む。
 フェイトの母親に対するコンタクトに関してもこれから考える必要はあるか。
 とその時

「士郎っていったね。あんたの質問には答えたんだ。
 私達からの質問にも答えてくれるんだろうね」

 急に口を出したのはアルフ。
 恐らくは前回会った時の魔術行使についてだろう。

「構わない。もっとも答えられる範囲だがね」
「なら答えてもらうよ。あんたの魔法。あれはなんだい?」

 フェイトもアルフと同じように俺の魔術に興味がるのだろう。
 眼がじっとこっちを見つめている。

「そもそもの前提が間違っているのだがね。あれは魔法ではなく魔術だ」
「え?」
「は?」

 俺の言葉に二人は意味がわからないとばかりに固まっている。
 まあ、無理もないだろう。
 あまりにも違いがある。

「フェイトは魔導師だな?」
「え? は、はい。ミッドの魔導師です」

 いきなりの俺の質問に戸惑いながらも頷く。

「俺は魔術師。昔から裏の世界に存在する魔術技術を行使するものだ」

 俺の言葉にアルフが立ち上がり睨みつける。

「バカなこと言うんじゃないよ。この世界に魔法技術なんて」
「アルフ。それは決めつけだ。
 現に私というのが存在する。もっとも他に魔術師がいるのかといわれれば知らないがね」

 俺の言葉にアルフは納得できないが反論できないようで渋々と腰を下ろした。
 それにしても妙だな。
 なのはと一緒にいたイタチもそうだったが、フェイトもミッドの魔導師と言った。
 そしてアルフはこの世界と言った。
 まるで自分達が別の世界の人間のようにこのことも確認する必要はあるな。

「では貴方はジュエルシードをどうするつもりですか?」
「回収する意思のある者がいるのだからその者達が回収するというのなら止めない。
 だが一般人対する秘匿が不可能になる場合や危険が及ぶ場合は破壊する」

 俺の発言にフェイト達は眼を見開いて固まっている。
 それほど驚くようなものか?

「あれを破壊できるのかい?」
「多少不安定ではあるが、あれぐらいならまだ何とかなるレベルだ」

 当たり前のように答える俺を本当に人間かというような眼で見ているアルフ。
 まあ、当然の反応かもしれないが、聖杯に比べれば魔力は少ない。
 一つぐらいなんとか出来る。

「あとはこちらからの個人的な要望だが、君が言っていた白い子。
 あの子の前ではアーチャーと呼んでほしい。
 いずればれるだろうが、わざわざ教える必要はない」
「わかりました」
「あいよ」

 俺の個人的な要望にはあっさりと頷いてくれた二人。
 さてここからだ。

「それとフェイト、先ほどミッドと言ったが、君は別の世界の人間か?」
「え? は、はい。正式にはミッドチルダという次元世界の出身です」

 なんだかおかしな話になってきた。

「フェイト、次元世界とはなんだ?」
「えっと……様々な世界が並行世界として存在、歴史を重ねているものかな」

 並行世界?
 いや、フェイトの話だと第二魔法の並行世界とは根本的に考え方が違う。
 俺の世界でそんな話は聞いたことない。
 機会があればそちらの世界の事を調べる必要もあるかもしれないな。
 今はこの世界以外に別の世界が存在しているという事を理解していればいい。

 さて、結局夕飯の買い物もしていないがいい時間だ。
 そういえば

「二人とも食事はどうしてるんだ?」
「え、インスタントの食事とか……簡単な…………えっと」
「どうしたんだ? 続けてくれ」
「あう……」

 なんでだろう?
 急にフェイトとアルフが怯え始めた。




side アルフ

 士郎の個人的な要望に頷いてお互いに一息ついた。
 そんなとき士郎の視線が窓の外に向いた。
 結構いい時間だね。
 そんな事を思っていたら

「二人とも食事はどうしてるんだ?」

 と急にそんな質問をした。
 士郎の質問にフェイトが普通に答える。いや答えようとした。

「え、インスタントの食事とか……簡単な…………えっと」
「どうしたんだ? 続けてくれ」

 にこやかに続けてくれって言うけどその視線は明らかに笑ってない。
 下手にこれ以上発言したらマジで殺されそうだ。

(あ、アルフ、代わりに答えて)
(む、無理だよ。下手に答えたらマジでヤバイって)

 前回の戦闘がまるでお遊びのような威圧感。
 まずい。
 何が士郎の怒りの原因か知らないけどまずい。
 その中、急に士郎が立ち上がる。
 びくっ! と怯えるフェイトと私。
 そんな私達を置いて士郎は台所にいって、冷蔵庫の中身とゴミ箱の中を確認。
 確か冷蔵庫の中にはフェイトの菓子パンと飲み物。
 ゴミ箱にはインスタント食品だっけか。
 この世界の簡単な食料の食べ残しなんかが捨ててある。
 それを確認した士郎はなぜか大きくため息を吐いて、何かメモをしだす。
 そして

「フェイト、字は読めるか?」
「え? 簡単のなら」
「なら、これを近くのスーパーで買ってきなさい」

 そう言いながらメモとこの世界のお金を差し出す。
 フェイトも思考が追いつかないのか、お金と士郎の顔を何度も見ている。
 だけど

「フェイト」
「はいっ! 行ってきます!」

 名前を呼ばれただけでフェイトは全速力で外に駆けて行った。
 なんだかよく知らないけど、これでフェイトは大丈夫なはずだ。
 だけど私の目の前には

「さて、いくつか聞きたいことがある。もちろん答えるよな」

 有無を言わさない威圧感を放つ士郎が立っていた。




side 士郎

 まったくなんだこの食生活は。
 インスタントのスープや簡単な食事ばかり。
 明らかに育ち盛りの子供にとって栄養が足りていない。
 とりあえずフェイトは買い出しに行かせたからアルフに吐かせる。

「フェイトはほとんど食事をとってないな」
「う、うん。私が言っても食べてくれないんだ」

 やはりか、ゴミ箱の中に明らかに手をつけてないのがあったからもしやと思ったが、結構深刻ではある。

「あの鞭の傷も母親からのものだな」
「ああ、そうだよ。あのババア」

 明らかに苛立ちの表情で吐き捨てるアルフ。
 しかしアルフがフェイトの虐待をただ見ているとも思えない。

「アルフは止めれないのか?」
「フェイトも大丈夫って言って聞かないし、あのババアの扉は私じゃ突破できない」

 つまり手段さえあれば止めれる可能性はあるか。
 まあ、今回は特別だな。

「―――投影、開始(トレース・オン)

 聖騎士ローランが持ちし、決して折れず、切れ味の落ちないといわれた宝具、デュランダル
 それが鞘に入った状態で俺の手に握られる。
 それを聖骸布で包み、アルフに差し出す。

「これを使え、これなら大抵のものは叩き斬れる。
 だが使う時まで布を外すな。そうすれば魔力も漏れることはない」
「……いいのかい? これをあんたに向けるのかもしれないんだよ」
「それを使う時を間違えば俺は躊躇しない。そう言えばわかるだろう」

 これをフェイトを助けること以外、例えばなのは達に向けたりすれば殺すと言っているのだ。
 だがアルフは俺の言葉に満足したように頷いた。

 さて、俺も準備を始めるとしよう。
 立ち上がり台所に向かう。

「何をするつもりだい?」
「フェイトに食材を頼んだからな。夕飯ができる様に道具を揃えておくよ」

 アルフに答えながら包丁や鍋、フライパンをどんどん投影していく。

「あんた、この剣もそうだけど一体どこから出してんだい?」
「俺が使えるのは転送系の魔術のみでね。この世界のどこかにある蔵から出してるだけだよ」
「へ~、なるほどね。
 しかしそこには鍋なんかも入ってるのかい?」
「外でも調理器具がいつでも出せるから入れておくと意外と便利だぞ」
「なんか使い方を間違ってる気もするけど」

 そんな会話をしている時、なにやらアルフが首を傾げ始めた。
 なにか不思議なことがあったか?
 術式が違う魔術と魔法だから十分ごまかせると思ったのだが

「いや、それ以前にあんた平然と準備してるけど、料理できんの?」
「ふ、その認識、すぐに改めることになる」

 アルフに不敵に笑ってやる。
 玄関から音が聞こえた。
 フェイトが帰ってきたようだ。
 さてお姫様を満足させる料理を作るとしようか。

 で完成したのは炊き込みご飯。、味噌汁、焼き魚に肉じゃが。
 さらにデザートには白玉粉に餡子をのせ、完全に和食である。
 そして三人で

「「「いただきます」」」

 手を合わせる。
 フェイトは恐る恐るといった感じで炊き込みご飯を口に運ぶ。

「ん、おいしい」

 フェイトの顔がほころび、アルフも待ちきれないばかりに食べ始める。
 それを見届けて俺も手をつける。
 うん、いい出来だ。

 結局、フェイトもアルフもきれいに食べきった。
 で食器を片付けているとフェイトが

「て、手伝います」

 と言ってくれたので頷き、一緒に片付ける。
 そんな中

「その、ありがとうございました」
「気にいってくれたならよかった」

 俺の言葉にフェイトははにかんだ様に笑顔を見せてくれた。
 しかしフェイトは良い子だ。
 対しアルフは満腹になったのか椅子に座ってだらけてる。
 少しは主人を見習えというのに

「うい~、満腹。士郎、今度は肉をお願い」

 しかも注文付きだ。
 まったく。

「アルフ、テーブルぐらい拭いとけ」

 台拭きを投げつける。

「しょうがないね」

 アルフもしぶしぶながらきれいにテーブルを拭いていく。
 なんだかんだでアルフも素直だよな。
 片付け終わった後、俺は新たに料理を始める。
 ちなみにシチューだ。

「今度は何を作ってんだい?」

 アルフが後ろから鍋を覗き込んでいる。
 その横にちゃっかりフェイトもいた。

「何って朝食の準備。さすがに朝は来れないからな」

 朝ごはんは一日の基本なのだ。しっかり取らないと

「よし、あとこれをしばらく煮込んでと。
 フェイト、サラダの準備もしているからシチューを温めて、パンと一緒に食べてくれ。
 アルフ、お前の要望に応えて鶏肉のソテーを準備しておくから朝温めて食べろ」

 幸いにも電子レンジなどはあるからなんとかなるだろう。

「あいよ」
「あなたにそんなことまで」

 アルフと特に気にしていないようだがフェイトは口調が固いな。

「敬語はなし。同い年なんだから」
「で、でも」
「…………」
「そ、その」
「…………」
「わかりま……わかった。士郎」
「よろしい」

 よし。押し勝った。

「夜は可能な限り夕飯の準備に来るからいる様に」
「でもジュエルシードとか」
「何か反論があるのかな? フェイト・テスタロッサ君」
「いえ、ありません」
「よろしい」

 フェイトが頷いたことに満足し、フェイトの朝食などの準備を続ける。

 さて、やることがなんか増えてきているが、まあ何とかなるだろう 
 

 
後書き
保存し忘れたのか、後書きが入っていなかったので追加~

続きはまた来週

ではでは。
 
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