転生者達による神世界開拓記
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東方
国譲り編
第十話
煉獄の終末火焔とはNARUTOのマダラがやったように巨大な隕石を一つ落とす魔法だ。相違点は炎を纏ってるか否かだが、些細な事だろう。重要なのはどれだけ殲滅したかだ。
「目算で半分以上か。予想以上に少ないな」
死体になったのがその半分の半分だ。つまり戦闘可能な奴が二分の一弱、死んでる奴が四分の一、気絶してる奴が四分の一強となる。それでも数では負けている謎。どんだけぇ~!
「大丈夫ですかー?」
「貴様……!」
「あっ、まだ生きてますね」
「不意打ちとは何たる不敬!何たる愚行!」
「悪いけどこれ戦争なのよね。大魔導転籍、24ページの魔法参照、詠唱開始」
往生際の悪い奴らに引導を渡すとしますか。
「紅蓮地獄!」
阿呆の戯言を余所に次の魔法を唱える。これは奴らの頭上から巨大な氷柱を複数落とす魔法だ。尖った氷が身を裂く事で付着する赤は正に名を体現するような恐ろしい魔法なんだ……自分で作っておいてなんだけどな。
「ぎゃああああああーーーーー!!」
「ぐほっ!」
「ぎゃびっ!?」
生き残った者も気絶した者も氷柱に貫かれて死んでいく。真下の湖が真っ赤に染まり、一部の神以外が満身創痍と息を荒げる。
「ふははははは!見ろ!神がゴミのようだ!」
「ム○カ大佐!?」
「これじゃこっちが悪役みたいですよ!?」
確かにそうかもしれん。いや、確実にそうだろう。
「こほん、これで貴方達を支えてた数の有利は消え去りました。まだやります?」
「……退くぞ」
「神奈子様!?」
「士気が下がったまま戦っても徒に被害を増やすだけだ」
「賢明な判断です」
「……追わぬのか?(ニヤッ)」
「気づいてるのでしょう?」
「ふっ、あれだけ消耗しておいてその涼しげな顔……腹ただしいを通り越して天晴れと言わざるに他あるまい」
そう言って去っていった八坂達。素晴らしい洞察力だ……大魔導転籍の燃費の悪さを察している。続いていれば負けていたのはこっちだっただろうな。
「……退いてった?」
「俺達弱小軍団が……?」
「さすが八意様だ!諏訪子様が認めただけある!」
「八意様!」
「「「八意様!八意様!八意様!」」」
……お前ら調子いいな。さっきまであんなに心配してたくせに。
「とりあえず帰るぞ」
「「「おーーーーー!!」」」
……もういいや。
~~~洩矢神社~~~
祝勝気分で帰ってきた部下達。そんな奴らを放っておいて諏訪子の下に行く。
「諏訪子はどうだ?」
「永巡様が言ってた通り、二日酔いで苦しんでいます」
「うー……うぷっ」
青ざめた顔で寝ている諏訪子。偶に吐き気が来るのは仕方ない事だ。
「取り敢えず経過報告。八坂達が攻めて来たけど追い払った」
「凄いですね」
「うー……」
「四分の三ぐらい兵数削ったけどまだまだたくさんいるかもしれない。それにここを諦めた訳じゃないと思うから近い内にまた攻めてくると思う」
徹底的に負けを認めさせるしか方法はないだろうな。
「向こうは驚いたでしょうね。神でもない人間?が地獄絵図を描くのですから」
「人間?って……」
種族・魔法使いだから事実だけど扱いが酷くないか?
「いえ、全く」
「地の……心の声を読むなよ」
「諏訪子様よりましでしょう?」
「……それを言われると何も言えないな」
「うー……うぷっ」
「あー、また吐きそうになってる」
魔法で治してやろうか。何かこっちまで吐き気を催してきそうだし。
「何ですかそれ?」
「魔道書だ。大魔導転籍起動、14ページの魔法参照、詠唱開始」
「魔道書……?」
「異常回復」
訝しむ香苗を余所に、詠唱を続けた。淡い光が諏訪子を包むと諏訪子の顔は段々と安らかなものになっていった。
「すー……」
「これは一体?」
「……香苗の言った通り俺は人間じゃない。魔法使いだ」
「魔法使い?」
「生物には五つの力の内、どれかが宿っているという。霊力、神力、魔力、気、妖力……魔法使いというのは魔力を使う種族の事だ」
「人間にはどれが使えるのですか?」
「霊力と気、それと魔力か」
「……?人間にも魔力があるのですか?」
「魔法使いは元々人間から派生した種族だ。ならば人間が使えない道理はない」
神力や妖力は特定の種族しか使えないが。
「香苗が使えそうなのは霊力か」
「霊力……ですか」
「生憎と俺は使えん。独学でやるしかないだろう」
「永巡様はどうやって魔力を?」
チート……なんて言えない。転生云々とかも話さなきゃいけなくなるから面倒だ。
「瞑想して……体の中からエネルギーを引っ張り出す、みたいな?」
「何で疑問系なんですか。聞いてるのこっちですよ」
「感覚の話だから全員に一致するとは限らない。体を泉に例えて水が溢れ出す姿とか人それぞれなんだよ」
HUNTER×HUNTERの念習得時は自分の念を起爆剤として体の内部に入れてたけど……魔力と霊力は全然違う。神の子孫なら隠された才能はある筈だ、きっと。
「まっ、一日二日で習得できるものじゃ「これですか?」あ……」
出来てやがる……!やはり東風谷家は常識に囚われていないのか!?
「次はそれを体に馴染ませるようにしてみてくれ」
「馴染ませる……」
その後も基礎を淡々とこなす香苗。外を見るともう月が60度ぐらいの位置まで昇っていた。
「ふあ……」
「眠いのか?」
「はい、少し……」
「もう基礎は終わった。後は試行錯誤、切磋琢磨の意気で励むがいい。そして子に語り継ぐのだ」
「分かり、ました……(ポテッ)」
睡魔に負けてしまった香苗。仕方ない、寝室まで運んでやるか。
「よいしょっと」
「……YOUやっちゃいなよ」
「…………」
香苗を抱っこして歩きだそうしたその時、不穏な声が聞こえた。後ろを向くと諏訪子が起きていた。顔が果てしなくウザかった。
「YOUやっちゃいなよ」
「永遠の眠りにつけ!」
「ふぎゃっ!?」
「悪霊退散!」
「…………(ピクピク)」
どーまんせーまんどーまんせーまん。
「ついでに額に中と……定番ネタだな」
ラーメンマンさんサイコー。
「さて、香苗を運ぶとするか」
香苗を寝室に送った後、体を清めて寝た。もう少し、改、良…し……ない、と……。
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