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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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傷付き疲れた男は、優しさに弱い

今のアルル様のパーティーは、勇者(アルル)戦士(カンダタ)武闘家(ハツキ)賢者(ウルフ)の構成だ。
ゲーマーとして言わせてもらえば、ひじょーにバランスが悪い!
何だ!戦士と武闘家が居るパーティーって!?

しかしこのパーティーには、卑怯なチート部隊が存在する。
後ろで援護する我が一家だ!
ぶっちゃけ援護してるのは、お父様とお兄様だけですけどね。
だがしかし、この援護は大きいだろう…
アルル様もウルフちゃんも、回復系や補助系魔法を使用しなくてもいいのだから。
4人全員で攻撃に専念する事が出来るのだ!

とは言え、随分と時間がかかるわねぇ…
私の先制イオじゃ、大してダメージを与える事は出来なかったわねぇ…
やっぱりイオナズンにしておけば良かったわ!



さてさて…
何とかヤマオロを倒したアルル様ご一行。
お父様の言う通り、もっと強くなってもらわないと後々が大変そうねぇ…
お父様とお兄様が、後ろで回復魔法を唱えて無ければ、全滅もあり得ただろう。
それが分かっているアルル様は、感極まってお兄様に抱き付きキスをした。
うらやましー!

「わぉ!お兄様達はラブラブですのね…私も負けてられませんわ!ウルフ様ー、私とイチャイチャラブラブしましょうよー!」
私は何の援護もしてないけど、感極まったウルフちゃんに抱き付いてきてほしいので、全力でアピールしてみせる!
だがウルフちゃんにその効果はなく、アルル様が恥ずかしそうにお兄様から離れただけだった…

だが私は見た!
その瞬間、お父様が素早くお兄様に耳打ちをするのを…
そして促される様にアルル様を抱き寄せキスするお兄様。
ちょっと!ウルフちゃんにも耳打ちしなさいよ!つかえないわねぇ…
もういいわよ、私から抱き付くから!
そう思いウルフちゃんの方へ歩み寄ると、ヤマオロが消滅した跡にパープルオーブが落ちていた!

「お父様…あれ…」
「こりゃ~パープルオーブだ…やっぱりジパングの女王、ヒミコが持ってたんだな。きっと本物のヒミコはヤマタノオロチに………」
私の言葉に反応したカンダタが、素早くオーブを拾う。
ちょっと、私が見つけたのよ!




まぁ取り敢えずはヤマオロも倒した事だし、目出度し目出度しって事で…
一緒 (?)にヒミコまで居なくなっちゃったけども、そんな事私の知った事じゃないし、残った人で何とかしてちょうだいよ!

翌日になりタケルに会いに行くと、無政府状態になりつつあるジパングを纏める為、結構忙しそうに残務処理を行っている。
折角助かったヤヨイちゃんとはイチャつけない模様…
「…さて、これからが大変ですね。女王様が居なくなっちゃいましたからね」
しかし、そんな状態でも勇者アルル様を邪険には出来ず、にこやかに対応してくれてます。

「仕方ありません…でも必ず、ジパングを再建させてみせます!その時は遊びに来て下さい」
「えぇ、必ず!」
何となく口約束っぽそうだけど、アルル様とタケルはしっかりと握手し、互いの今後の健闘をたたえ合う。

すると…
「あと、これを使って下さい」
タケルは自らの腰に下げてあった剣を、アルル様に渡す。
「これは『草薙の剣』です。結構由緒ある武器なんですよ!世界の平和の為に使って下さい。………この国に残る俺には無用ですから」
ゲームではヤマオロ(1回戦目)が落とすアイテムを、彼が差し出してきた。
タケルは政治家へ転身するらしく、武器は不要と言う事らしく、感謝の気持ちとしてアルル様に託すそうだ。

それを汲み取ったアルル様は、今まで使っていた『鋼の剣』を置いて行こうとしたのだが…
「あ、アルル!その『鋼の剣』はウルフに使わせてやってよ!」
と、いきなりお父様がウルフちゃんに渡す様指示。
「え!?俺に?…い、いや俺剣術は…」
勿論戸惑うウルフちゃん!

「使え!お前には今後、僕の娘を守ってもらわねばならないんだからな!魔法だけじゃ、接近されたらアウトだ…ある程度両立してもらわないと困る」
!?
あらビックリ!?
お父様は私の事を思って、ウルフちゃんに剣術を習わせたいらしい!
ちょっと、嬉しくて涙が出てきそうだわ!

とは言え、ウルフちゃんは無理矢理鋼の剣を渡されて、困り顔…
「それともナニ?お前はマリーを守る気が無いの?…好きか嫌いかじゃ無いぞ…最近お前はマリーの側に居る事が多い!そんな時に敵が現れても、お前はマリーを守らないつもりなのですか?」
そうよそうよ!
貴方は私の全てを守りなさいよ!

「わ、分かったよ…俺もマリーちゃんは守りたいし、剣を携帯します。…勿論リュカさんが剣術を教えてくれるんだよね!」
「えぇぇぇ…めんどくさ~い!!」
「アナタの発言は矛盾してませんか!?」
「あはははは、ジョークよジョーク!勿論、僕が教えますよ…未来の継息子の為に!何だったら、もう『パパ』って呼んでくれても良いよ」
「考えておきます、リュカさん!!」
うん。何かいい感じの流れになりつつある。


さて、早速その日からウルフちゃんの特訓は始まった。
宣言通り、お父様自らがウルフちゃんを扱き上げる。
…断っておくけど、お父様がウルフちゃんの○○○を扱き上げているワケじゃないわよ!
薔薇族じゃ無いからね!

話を戻すが…元来から魔道士ぼうやなウルフちゃんには、どんなに手加減してあっても剣術の鍛錬はハードらしく、1時間も経たないうちにグロッキー状態に…
「う~ん…先ずは体力を付けないとなぁ…そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうよ。ねぇマリー」
「そんな事ありませんわ!1回1回が濃ければ、大満足ですわよ!」
「マリー!!そう言う下品な事は言ってはいけません!」
「何が下品なのですか?私に分かる様に、事細かに説明して下さいませ、お兄様♥…何だったら、実践して見せて頂いてもよろしいですわよ、アルル様と共に!」

「う…ぐっ………お、お前…段々、ポピーに似てきたぞ…」
「まぁ、本当ですか!?何て素敵なんでしょう、私ポピーお姉様に似てきましたわ!」
こんなやり取りをして時間を稼ぐ私………結構健気?


それでも、休憩を挟みながら続ける事5時間…
夕方と呼ぶにはまだ早い時間帯に、剣術練習初日は終了を迎える。
殆どアンデットの様な足取りで、タケルが用意してくれた宿屋へと向かうウルフちゃん。

うん。上手くいけばこれはチャンスですねぇ!
鍛錬とはいえ、ボロボロになるまで励んだ男に、女は優しく介抱する…
狭い室内の布団の上には若い男女が…
男は恥ずかしい姿を晒した事へ赤面する…
女はそれを優しい笑顔で包み込む…
うん。かなりポイントを稼げますわね!

うふふふふ…明日の朝には、おはようのチューをしてくれる様になるかも!
そうと決まれば善は急げ!
洗面器に水を張り、タオルを何本か用意してウルフちゃんの部屋へとGO!

案の定、ウルフちゃんは布団の上で気絶するかの様に爆睡中!
そんな彼の顔に、濡らしたタオルで優しくタッチ!
当分は起きないと思うけど、此処は我慢で甲斐甲斐しく介抱を!
お目覚めの瞬間が楽しみだわぁ………


辺りは既に暗くなり、大人な雰囲気が漂ってきました。
遂に彼が目を覚まし、甲斐甲斐しい私とご対面の瞬間です!
私はタオルで顔を拭うのを止めず、最高級の笑顔で彼の目覚めを迎えてあげる。
「…あ!お目覚めになりました!?もっと寝ててもよろしいんですよ」

ウルフちゃんはこの状況にキョトンとしている…
しかし顔を赤らめ私を抱き締めると、徐にキスをしてきたではないですか!?
予想以上の効果に、仕組んだ私もビックリです!
とは言え、こんなチャンスを逃しちゃノンノン!
私もウルフちゃんの首に抱き付き、キスの味を堪能する。
何時までも…何時までもこうしていたいけど、彼は次のステップへと移行した…

ホント………ベタな仕込みだったが、効果は絶大ね…



 
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