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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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捜し物は何ですか?

<ラダトーム>

さてさて…
マリーの仕入れた『太陽の石』の情報を頼りに、ラダトーム城で聞き込みをするが、誰も『そんな物は知らん』と言うばかりで、ガセネタ臭が漂ってきた。
マリーは『そんな事ないもん!絶対にあるわよ!私がガセネタを掴む訳ないじゃない!!』と、必死にガセ疑惑を否定する…が、聞き込みと同時に城内を隈無く(宝庫物庫や牢屋など、本来立入禁止の場所は、王様の許可を得て)捜索したのだが、それらしい物を見つける事が出来ない。
しかも情報提供者に確認したくても『誰から聞いたのか憶えてない!』と言うばかりで、疑う要素しか出てこないのだ!

ティミー・アルルは元より、既にビアンカまでもがマリーの情報を信じて居らず、最早別の町に赴いて情報収集をした方が無難なのでは?…と囁きだしてる。
だがしかし、リュカだけがマリーの情報を信じており『大丈夫、きっと見つかるよ。諦めずに探そうよ!』と言い、自らは探さないのだが皆を鼓舞している。
そんな父にマリーは『お父さん大好き!!』と、抱き付くのだ。
尚、ウルフは一番最初に『この城には無いんじゃないの?』と言ってしまい、マリーに涙目で睨まれたという…


とは言え…
捜索開始してから既に8時間が経過した。
皆に疲れの色が見えてきた為、今日は一旦中止して出直さないかとの意見が…
「一旦中止って言ってもよぉ…隅々まで探して見つからなかったんだ…明日は何処を探せばいいのやら…」
と、カンダタが否定的意見を述べる。

「あ゛!?だったらもう一回隅々まで探せばいいだろが!グチャグチャ文句を言うのなら、元盗賊の特技か何かで、探し出せばいいだろ!相変わらず役に立たない木偶の坊だ!」
何故か(?)妙にマリーを庇うリュカ…カンダタに向けて暴言を言う。
「ぐっ…オ、オレは盗賊って言っても、一人で活動するタイプじゃねーんだ。盗賊団を率いて活動するタイプでな…そう言う特技は持ち合わせて無いんだよ!悪かったな、木偶の坊で!」
ふて腐れながらリュカに反論するカンダタ。

「え!?本当にそう言う特技ってあるの?嫌がらせで言っただけなんだけど………それがあれば『太陽の石』探せね?」
「そうですよお父さん!確か『レミラーマ』って魔法があったハズ!それがあれば…「だから、オレは使えないぞ!」
リュカに向け嬉々と訴えるマリーに、カンダタがダメ出しをする。

「ぐっ…この役立たずの木偶の坊め!」
「はいはい…何度も同じ台詞を言うなよ…」
またもや涙目のマリーに、疲れた様に言い放つカンダタ…そこに、
「そうだよカンダタ!バコタのアホなら『レミラーマ』を使えるんじゃないかい?アイツは一匹狼タイプだろ………アイツに手伝わせようぜ」
モニカが明るい声で思い付いた!
そう、ラダトームの警備隊で牢屋に入れられているバコタであれば、『太陽の石』捜索に役立つかもしれないのだ!
その事をカンダタとモニカは、みんなに説明する…
アルル達も希望が見えた様で、一応に喜んでいる。

しかしリュカだけが渋い顔でカンダタ・モニカを睨んでいる。
「な、何だよ旦那…何か問題でもあるのか?」
「問題…?あるだろ…そいつは罪人として投獄されてるのだぞ!勝手に牢から出す訳にはいかない!それに………」
リュカはバコタに協力させる事に些か反対な様子で、更に何かを言いかけたのだが黙ってしまった。

「それに…何だった言うんだい?」
歯切れの悪いリュカに、苛つくモニカ…
「…いや…何でもない。………協力させるなら王様に許可を貰った方が良いよ」
だが、結局何も言わずに黙る。
一人真剣な表情で何かを考えている様だ。


早速アルル達は、ラダトーム王に城下の警備隊で囚われているバコタを、一時的に解放する様に頼み込む。
無論、即答で許可は貰えず、罪人を解放する事への懸念と、世界を平和に導く事への協力とで問答となる。
だがリュカの一言で事態が動く。
「もう良いじゃんアルル…コイツ等は世界が滅ぼされても、盗人一人を逃がす方が嫌なんだよ!物事の大小が見えてない愚か者共なんだ!救う価値無いね…」

「ぬぅ…そ、そこまで言うのなら、万が一逃がし再度盗みを行ったら、その分の被害を全額支払って貰うぞ!それで良ければ罪人の解放を許可しよう!」
流石の王様もリュカの暴言が腹に据えかねたらしく、ムキになって提案をしてしまう。
逃がした場合の被害額の全額補償…
盗まれた金品の金額だけではなく、バコタが反抗に及び破損させた物品の補償…更には、警備等への補償など、酷い言い方をすれば幾らでも請求出来るのだ。
冷静に考えれば、こんな分の悪い賭けに乗る様な者は居らず、大人しく引き下がるはずなのだが…

「うん。それで良いよ」
リュカは引き下がるどころか、軽い口調で受け入れる!
王様や側近等だけでなく、アルル達までもが驚き固まる中、リュカはさっさと踵を返し出て行ってしまった。


慌てて追うアルル達。
リュカに追いつくや、周りを気にすることなく大声で叫ぶ。
「リュカさん、何を考えてるんですか!!?もし逃がしでもしたら、私達は大魔王討伐所じゃ無くなるんですよ!」
「そ、そうよリュカ!今からでも間に合うから、王様に謝って取り消して貰いましょう!」
「ごめんなさいお父さん…私が変な情報を得た為に…今回は無茶が過ぎるわ!冷静になって次の手を考えましょうよ…ね!」
アルルは勿論…妻も娘も…皆がリュカを説得しようと試みるが、彼は聞く耳を持たずに突き進んで行くのだ。
「大丈夫、大丈夫!」
分かっているのかいないのか…
何時もと変わらぬ口調と表情で言い放つリュカ。
城下に出てもそれは変わる事なく、迷いのない足取りで進む。

だが直接バコタの元へは向かわず、途中ペットショップへ立ち寄り、大型犬用の首輪を購入する。
「お、おい…まさか、それで…」
リュカの突飛な行動にカンダタだけでなく、みんなが驚き言葉を失う…
一体何を考えているのか…?



 
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