ウルトラマンメビウス ウルトラ兄弟最大の戦い
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第三話 六番目の戦士、八〇番目の戦士その七
「今の地球の危機を知って。来たんだ」
「私も同じだ。ただ」
「ただ?」
「私はメフィラス星人達を追ってここまで来たのだ」
「えっ、メフィラス星人がですか」
ミライはメフィラス星人という名を聞いて思わず声をあげた。その名はウルトラ戦士の間でも言い伝えられている程の恐ろしい相手であるからだ。
「そうだ。そして彼だけではない」
「マグマ星人やババルウ星人もいたな」
「ええ」
ミライは今度はタロウの言葉に応えた。
「今地球に宇宙で悪名を馳せている宇宙人達が向かってきている」
「全ては地球侵略の為にだ」
「じゃあ今までのことは」
ミライはそれを聞いて全てのことを悟った。
「彼等が」
「そうだ。メビウス」
東光太郎としてではなくウルトラマンタロウとして言った。
「今地球は大変な危機に襲われている」
「彼等の手により」
「わかりました」
ミライは二人の言葉に頷く。顔が緊張で引き締まっている。
「皆を守る為に」
「そうだ。そしてこの神戸には」
「何かあるんですか?」
またタロウの言葉に顔を向けてきた。
「ある。いいか」
「はい」
緊張した顔で話を聞く。他の面々も同じであった。
「ヤプールが封印されている。彼等の狙いはそこだ」
「ヤプール!?」
「あのエース先輩を最後まで苦しめたあのヤプールが」
幾多の死闘を潜り抜けたレオとアストラですら驚きを隠せなかった。ヤプールの卑劣な策略と陰険な謀略はメフィラス星人よりも悪名高いものとしてやはりウルトラ戦士達に知られていたのだ。
「そうだ。彼等の封印を解くつもりなのだ」
「何故ここにそのヤプールが」
ミライはまた問うた。問わずにはいられなかった。
「兄さん達に封印されていた」
「兄さん達に!?」
「そうだ。ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンエース」
かってその全てを賭けて地球を守った誇り高き戦士達である。彼等のことはウルトラ戦士の中では伝説とさえなっているのだ。
「兄さん達がそのエネルギーの殆どを使って封印したヤプールの怨念の集合体とも言える存在だ。彼等はその力を解放してこの地球を侵略する為に利用しようとしている」
「けれどヤプールは」
ミライはそれに異議を呈した。
「ウルトラマンエースが倒し、そして教官も」
「そうだ、私も確かに彼等を倒した」
タロウ自身もそれを認めた。かって彼は復活したヤプールと戦いこれを撃破しているのである。
「だが彼等は完全に滅んではいなかった。その怨念はずっと漂い、そして今それが復活しようとしている」
「ウルトラ四兄弟はどうなったのですか?」
今度はヒカリが問うた。
「封印したという彼等は」
「兄さん達はその力を監視する為に地球に残っている。ウルトラキラーザウルスの力が復活しない為に。しかしその力の殆どを使った為に」
「変身出来ないんですね」
「残念だがその通りだ」
タロウは苦い顔でそれを認めた。
「だからこそ私達が来た」
「地球を守る為に」
「そうだったんですか」
「メビウス」
タロウはメビウスに顔を向けて言う。
「今度の戦いは激しいものになる。それでもいいな」
「はい」
だからといって引き下がるメビウスではなかった。彼も背を向けるわけにはいかなかったのである。
「ウルトラキラーザウルスも。攻め寄せてくる宇宙人達も」
彼は言う。
「必ずや守ってみせます。地球の皆の為にも」
「よし」
タロウはその言葉を聞いて満足そうに頷いた。
「わかった。それでは戦うぞ」
「ええ」
「最後までな。おそらくすぐにまた来る」
「宇宙人達が」
「そうだ。彼等を退けウルトラキラーザウルスの封印を解かせない」
それが彼等の戦略目的であった。
「それでいいな」
「ええ。僕はやります」
澄んだ、邪念のない瞳が今のメビウスの瞳であった。
「何があっても」
「よし!」
タロウはその言葉を聞いてまた満足そうに頷いた。
「ではやるぞ、いいな」
メビウスだけでなく他のウルトラ戦士達もそれに頷く。今彼等を史上最大の決戦が待ち受けていた。しかし彼等はそれを前にしても怯んではいなかった。
第三話 完
2006・11・28
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