X ーthe another storyー
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最終話 終幕その六
「何時でもだ」
「それじゃあね、じゃあ今は」
「ああ、行って来るんだ」
「晩ご飯作るから」
即ちそれまでには戻って来るというのだ。
「安心してね」
「今夜は何だ」
「カレーよ」
父に笑顔で答えた。
「もう食材は買って切ってあるから」
「後は作るだけか」
「うん、だからね」
「夜はだな」
「楽しみにしておいてね」
「そうさせてもらう」
父は笑顔で応えた、そのうえで娘を送り出した。
そしてそのすぐ後に封真が家を出るが。
「夕食までにはだ」
「うん、戻るよ」
封真は微笑んで応えた。
「俺も」
「そうするんだ」
「わかってるよ、多分神威も一緒だ」
「今はいつもうちで食べてるからな」
「朝も夜も」
「だからだな」
「一緒だよ」
彼もというのだ。
「四人で食べよう」
「その時が楽しみだ」
「それで父さんは今日は」
「神社にいる、実はある人が来る」
「ある人?」
「クランプ学園の理事長さんだ」
その人だというのだ。
「実は以前から懇意でな」
「それでなんだ」
「今日はこの神社に来てくれてな」
そうしてというのだ。
「あちらのお家の祭事のことでな」
「お話があるか」
「そうだ、それにだ」
「神社は誰かがいないとな」
「どうにもならないからな」
「何時誰が来るかわからないからな」
「それでだ」
そうした事情があるからだというのだ。
「私と宮司の人にだ」
「巫女の人達がか」
「いる、だからお前は安心してだ」
そうしてというのだ。
「行くといい」
「公園にだな」
「そうだ、いいな」
「そうさせてもらうよ」
「存分に楽しんでこい」
息子にも温かい声をかけて送った、そしてその後だった。
鏡護は本堂に収められている剣の手入れをした、宮司や巫女達と共に神社の中を掃除して人とも会った。彼は日常に戻っていた。
丁は車椅子に乗せられていた、そのうえで車から出て公園の中に入って言った。
「これが実際に見る外ですね」
「そうだ、どう思う」
「素晴らしいです」
玳透が押す車椅子に乗ったうえで傍に立っている神威に答えた。
「実に」
「そう言ってくれるか」
「そう感じましたので。ただ」
丁はこう言った。
「景色自体はです」
「知っていたか」
「夢の中で見ていましたので」
だからだというのだ。
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