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好きなランドセル 

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第一章

               好きなランドセル 
 小柳桜子は小学校に入学する時が近付いていた、それで彼女の両親であるサラリーマンの長盛細面で髪の毛を右に分けてっや鋭い切れ長の目と引き締まった唇に高い鼻を持つ一七四程の痩せた身体の彼と学校の先生をしている美帆黒髪にウェーブをかけて伸ばしていてやや彫のある目と濃い長い眉に赤く大きめの唇と五角形の顔に一六二程の結構なスタイルの彼女が家で話していた。
「どのランドセルがいいかな」
「ええ、今のランドセルが色々な色があるから」
「黒か赤かじゃなくて」
「どの子も選べるから」
「ここは桜子に選んでもらおうか」
「どの色がいいかね」
 夫婦で話してだ、母親をそのまま子供にして黒髪をおかっぱにした様な外見の娘にランドセルのカガログを見せて尋ねた。
「桜子はどの色がいいかな」
「好きな色を言ってね」
「その色のランドセルにするからな」
「何でも言ってね」
「それじゃあね」
 桜子は両親の言葉を受けてだった。 
 ピンクのランドセルを指差した、そこにだ。
 ストラップやお守りも付けた、そしてそのランドセルで入学式を迎えて小学校に通う様になった。その彼女を見てだ。
 長盛の母であり桜子の祖母である真宮子眼鏡をかけていてやや吊り目で小さな赤い唇で白いものが多い茶色の髪を後ろで団子にした一五八位の背の彼女はこんなことを言った。
「桜子ちゃんピンクのランドセル似合ってるわね」
「あの娘が選んだんだよ」
「だから余計に似合ってますよね」 
 長盛と美帆はその真宮子に笑顔で応えた。
「ストラップもあの娘が欲しいって言って」
「付けてあげたんだよ」
「それは何よりね。けれど」
 ここで真宮子はこんなことを言った。
「気付いたらランドセルも沢山の色のが出てるわね」
「今はそうだね」
「昔と違いますよね」
 息子夫婦もそれはと応えた。
「昔は男の子は黒で女の子は赤」
「その二色だけだったね」
「他の色ってなかったですね」
「そうだったね」
「それがピンクも選べて」
 それでとだ、真宮子はしみじみとした口調で言うのだった。
「青や紫、他にも色があって」
「変わったね」
「昔と本当に違いますね」
「そうなったことがね」 
 実にというのだ。
「羨ましいわ」
「お母さんやお父さんの頃なんてね」
「本当に二色だけでしたからね」
「まあ僕達の時もね」
「まだそうでしたね」
「時代が変わればランドセルも変わるのね」
 またしみじみとした口調で言った真宮子だった。 
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