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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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誰かに似てね?

<アリアハン>

ともかくも状況を落ち着かせたアルル等は、アメリアが用意してくれたケーキとお茶を飲みながら、雑談に花を咲かせている。
「…でもごめんなさいお母さん」
「何を謝る事があるの?」
不意に謝ってきた娘に尋ねる母親…

「お父さんが余所で子供を造ったなんて…あんな状況で伝えるべきでは無かったのに…ごめんなさい」
愛する夫の不貞な行い…
言わなければ無かった事になる訳でもないのだが、それでも大切な母には知らせたくなかった。
アルルは申し訳なさそうに俯き、母の顔を見る事が出来ない…


「やっぱり余所で浮気しちゃったんだ。…うふふ、良いのよアルル。多分そうじゃないかと思っていたから」
だが母が返してきた言葉は予想の逆を行く物だった!
「た、多分って…お母さんはお父さんが浮気をする事が分かってたの!?」
「うん。だって…初めて出会った時のあの人の言葉は…『美しいお嬢さん、今夜俺のベッドに空きがあるので、ご一緒に夢の園へと出かけませんか?』だったし!」
「はぁ!?」
「ど、どっかで聞いた事ある様な台詞だなぁ…」
呆れるアルル…
思わずリュカを見るウルフ…
「『夢の園』か…うん、良い表現だ!今度使おう!」
「父さん!!」

「ぐっ………頭が痛くなってきた…あのクソオヤジ…」
「あらあらアルル…言葉が悪いですよ!それに、そのクソオヤジの成分から生まれてきたんですからね!」
口汚くオルテガを罵る娘に、頬を膨らませ叱るアメリア…
その仕草が何とも言えず可愛い…

「う、羨ましいですねぇ…リュカ殿もオルテガ殿も、英雄と呼ばれる御仁には美女が寄ってくるようですね!」
「こらラングストン!アルルパパは知らんが、僕は英雄じゃないぞ!勝手に奉り上げるな!」
「いえいえ…『英雄色を好む』って言いますから、リュカ殿は間違いなく英雄です!」
リュカとラングストンのやり取りに、一同が爆笑する。

「でもティミー…私にも分かってきたわ。ロクデナシの血が混じっているという事が、どれほどに恐ろしい事かって…」
「はぁ…強く生きようねアルル…」
勇者カップルが溜息と共に見つめ合い、そして苦笑いをする…

「大変だなぁ2人とも。ま、頑張ってね!」
溜息の元凶の片割れが、悪びれる事もなく嘯いた。
「何で他人事なんですか!?アナタの所為で僕は苦労してるんですよ!自覚を持って下さい!」
「知らないよぉそんな事…世の中に美人が多いのが悪いんだ!僕は自分の心に従って生きているんだよ」
「いけしゃあしゃあと言いやがってコノヤロー!」
「あれ?最近ティミー君てば反抗期?パパに対して乱暴な言葉が多いけど…?」
リュカの気の抜ける様な台詞に、一同が頭を抱え溜息を吐く。

「お父さん…自覚してなかったんですのね…大分以前から、お父さんの女癖の悪さには反抗的でしたわよ、お兄ちゃんは…」
「女癖って…みんな良い女ばかりだよ!」
「そ、そう言う意味じゃなくてね…」
流石のマリーも疲れてしまい、続く言葉が出てこない。

「そうだよマリー!リュカさんの女の趣味は最高だ!アリアハンに戻って、久しぶりに孤児院へ挨拶しに行ったけど、シスター・ミカエルはやっぱり美人だ!彼女の娘さんも、両親の血を引いてるから、将来絶対美人になるね!」
「へー…お前、何時の間にミカエルさんに会ったの?美人だよねぇ~……………あれ?今、娘って言った?何それ??」
ウルフの行動の早さに驚きつつも、台詞の端に現れた単語が気になり、ちょっとした好奇心込みで尋ねるリュカ。

「ま、まさか…ウ、ウルフ君、その娘さんて…」
ティミーは祈る様な気持ちで義弟に真偽を尋ねる。
「さぁ…ハッキリとは言いませんでしたが、愛した男性は1人だけみたいでしたし…俺の知る限りでは、シスター・ミカエルは複数の男性とお付き合いできるような性格ではないですからねぇ…」
ウルフの台詞を聞き、一同が一斉にリュカの事を睨む…
「やべ~…1年以上前の事だから油断していた。そっか…こっちの世界で3人目か…」
周囲の人間程困惑した風もなく、アメリアが用意したお茶を美味しそうに飲むリュカ。

「ウ、ウルフ君…頼むから嘘だと言ってくれ…頼むから、これ以上腹違いの妹が増えた等と言わないでくれ!」
リュカチルドレンの長男であるティミーが、俯き体を震わせてウルフに懇願する。
最早、悪夢でしかないのだ…
本当は心から尊敬したい父親なのに、そのいい加減な生き方が彼から尊敬心を奪い去るのだ!

「リュカさん…ティミーさんがあんな事言ってますが…当事者としてはどうなんですか?」
「あれ!?その言い方からするとお前…嘘吐いただろ!本当はミカエルさんに会ってないだろ!」
全員の視線がウルフへ集まる。
「ちっ…本当はリュカさんを困らせたかったんだけど、必要以上にティミーさんが慌てちゃったよ…ゴメンねティミーさん」

「う、嘘だったんだな!な、何でそんな嘘を吐くんだよ!?」
「俺の憧れていた女性を、いとも簡単に寝取った男に復讐をしたかったんだ!けど、張本人はさほど取り乱さなかったし………上手く復讐出来ないもんだなぁ…」
意外に根に持っていたウルフ…
ティミーは不幸な被害者だった。


「しかし流石はリュカ殿ですな…一挙手一投足において、他人を巻き込む天性の素質!学びたい物ですなぁ…」
「安心なさいラングストン君…貴方はその素質を持ち合わせているわよ。リュカに嫌がらせを出来るのは、貴方ぐらいなもんよ!」
「おぉ、ビアンカ様!お褒め頂き恐縮の極み!」
ビアンカの嫌味を物ともせず、満面の笑みで礼を述べるラングストン。

(ゴツン!)
するとリュカがラングストンの頭を殴り…
「ビアンカに褒められたからって、いい気になるなよ!言っておくが僕の奥さんなんだからな!お前に気があるワケじゃないんだぞバ~カ!」
悔しそうに彼を怒鳴るのだ…
「ほ、褒めてないわよ……」


「しかし、そうなりますと気になりますねぇ…もしかしたら、嘘から出た誠という事に………」
「やっぱりラン君も気になっちゃう?私も弟妹が増えているのか気になっちゃって…確かめに行く?」
マリーとラングストンが頷き合い立ち上がる…
そしてリュカやウルフを連れ、アルルの実家を出て行った…他の面子も慌ててついて行く。
残ったのは、アルル・ティミー・ミニモンだけ…
まったく…騒がしい連中である!



 
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