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ドリトル先生と山椒魚

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第九幕その九

「そうなっているよ」
「そうよね」
「けれど歴史は学べば学ぶ程だよ」
 その様にしていけばというのだ。
「真実がわかってね」
「真実即ち事実が変わるのね」
「そうなるよ、だからね」
「大坂の陣のこともなのね」
「事実がわかる日もね」
「来るかも知れないわね」
「そうかもね」
 実際にというのです。
「これからは」
「そうなればいいわね」
「僕は学問のことはわからないけれど」
 それでもとです、半次郎さんは言いました。
「先生には嘘を吐いているつもりはないよ」
「君が聞いたことをだね」
「ありのまま言ってるよ」
 まさにというのです。
「姫様も嘘を吐かれる方じゃないし」
「兵庫県の妖怪の棟梁だけあってだね」
「そうだよ、だからね」
「君としてはだね」
「嘘は吐いていないよ」
「そのことはわかるよ」
 先生もにこりと笑って答えました。
「君はそんなことしないよ」
「そうだね、それじゃあね」
「今日の君のお話は覚えておくよ」
「そうしてくれるんだね」
「君自身と共にね」
 半次郎さんに笑顔でお話します、それから彼と楽しくお話をしてです。
 そのうえでお静さんの妖力で研究所に戻ってです、そうしてからお家に戻ってまた論文を書きますが。
 お静さんはお家に帰る時に先生に尋ねました。
「先生半次郎さんに言われたことは」
「歴史学で調べるよ」
 オオサンショウウオのことを調べつつ答えます。
「そうするよ」
「そうするのね」
「うん、実際に昔から言われてるしね」
「又兵衛さん達のことは」
「実は逃げ延びていたってね」
「あの戦いで死なないで」
「特に僕は思うに」
 温厚ですが真剣な言葉でした。
「秀頼さんの息子さんは本当に木下家のね」
「分家になっていたの」
「木下家は秀吉さんの正室さんの実家で」
「ねねさんね」
「岸和田藩として江戸時代ずっとあったけれど」
 そうしたお家でというのです。
「一子相伝で藩主の人が跡継ぎさんに秀頼さんは薩摩に逃れたと伝えていて」
「それは信憑性あるわね」
 お静さんが聞いてもです。
「かなり」
「木下家の秘密の抜け道を使って逃れたそうなんだ」
「そうだったの」
「当時実際に生存説がかなり言われていたから」
 大阪の陣が終わった直後にです。
「それでご子息はね」
「木下家でよね」
「お家の息子さんということにしてもらって」
 そうしてというのです。
「成人すると分家させてもらって」
「大名になったのね、抜け道とか一子相伝は私も知らなかったけれど」
 それでもとです、お静さんは答えました。
「分家してというのはね」
「聞いていたね」
「そうだったわ、妖怪仲間では間違いないと言われてるわ」
「そうなんだ」
「ええ、しかし幕府もよく許したわね」
「公で死んだと言うとね」
 それならというのです。 
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