| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生と山椒魚

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九幕その六

「君は幾つかな」
「四百五十二歳だよ」
 半次郎さんは答えました。
「その間ずっとここにいるんだ」
「そうなんだね」
「ほら、兵庫県には昔黒田官兵衛さんがいたね」
「あの人は元々こちらの人だからね」
「元々は小寺って苗字でね」
 それでというのです。
「ここで暮らしていたけれど」
「お会いしたことあるのかな」
「あの人にはないよ、又兵衛さんにお会いしたことがあるよ」
「後藤又兵衛さんだね」
「うん、大坂の陣で活躍したね」 
 半次郎さんは先生に昔を懐かしむ暖かい笑顔でお話しました。
「あの人は元々黒田家の家臣でね」
「こちら出身だったね」
「けれど黒田家を出てね」
 そうなってというのです。
「あちこち旅をしていた時もあって」
「その時になんだ」
「故郷に寄ったことがあって」
「ここにも来たんだ」
「そうしてきてね」
 それでというのです。
「ここに釣りに来たこともあったんだ」
「そうだったんだ」
「それでお会いしたんだ」
 その後藤又兵衛さんと、というのです。
「釣りに来てね」
「ここまでなんだ」
「そうなんだ、僕に気付いたけれど」
「どうだったのかな」
「どうだ調子はってね」
 その様にというのです。
「豪快な笑顔で言ってきたよ」
「そうだったんだね」
「いい人だったよ」
 後藤又兵衛さんはというのです。
「僕は釣らないと言ったし釣るのも食べる分だけで」
「弁えている人だったね」
「そうだったよ」
 こう先生にお話します。
「僕が見る限りね」
「あの人大坂の陣で戦死したっていうけれど」
 お静さんも言ってきました。
「実は違うのよね」
「奈良県の方に逃れたというね」
 先生はすぐに応えました。
「そうだね」
「ええ、そうよね」
「宇陀の方に逃れて」
 そうしてというのです。
「そこに桜が残っているよ」
「又兵衛桜ね」
「伝説だけれどね」
「あそこまで逃れて」
「そうして生きていたのよね」
「そうみたいだね」
「大坂の陣のお話は僕も聞いてるよ」
 半次郎さんも言ってきました。
「羽柴家負けたね」
「今羽柴家と言ったね」
「言ったよ、豊臣家とはね」
「言わないね」
「だってあれ本姓だから」
 その為にというのです。
「僕もだよ」
「そうは呼ばないね」
「それを呼ぶのは失礼だからね」
 その為にというのです。
「普通の姓のね」
「羽柴氏の方でだね」
「呼んだよ、それで右大臣さんともね」
「秀頼さんを呼ぶね」
「秀頼さんというのは諱だからね」
「普通では呼ばないお名前だから」
「呼ばないよ」
 半次郎さんもというのです。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧