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跡継ぎの髪の毛

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第二章

「大丈夫だよな」
「ああ、禿げないよな」
「気のせいだろ」
「薄くなった様に見えても」
「あの方は禿げないぞ」
「大丈夫だろう」
「幾らリッチモンド家の方でもな」
「あの方は大丈夫だ」
「ふさふさのままだ」
 公子の髪の毛を見て話した、流石に彼は大丈夫だと。
 だが刻一刻とだった。
「あれっ、まただな」
「ああ、まただな」
「公子薄くなったぞ」
「そうだよな」
「髪の毛薄くなってるな」
「どう見ても」
「二十代前半だけれどな」
 まだ若いがというのだ。
「結構きてないか?」
「髪の毛の質も変わったか?」
「色はそのままでも」
「徐々にでもな」
「きてないか?」
「禿げてないか」
 こう話した、そしてだった。
 公子をさらに見ていくとだった。
「また減ったな」
「薄くなったな」
「日増しにそうなっていってるな」
「公子まだ二十代なのにな」
「どんどん薄くなっていってるな」
「このままだと三十前に凄いことになるぞ」
「お顔は整っていて長身なのに」
 それでもというのだ。
「髪の毛がな」
「どんどんなくなっていってるな」
「このままだとどうなるんだ」
「まさか三十前にな」
 エウロパ中が彼の髪の毛を見て話した、そして。
 遂にだ、二十八歳にして。まだ結婚前だというのに。
「うわ、凄いな」
「髪の毛左右にしかないぞ」
「上の方ツルツルじゃないか」
「後ろまでいってるぞ」
 見ればつむじもなくなっていた。
「まっだ二十八歳なのにな」
「公子は見事に禿げられたな」
「この方は大丈夫と思ったら」
「それがな」
「まさかな」
「三十前でなんてな」
「流石に思わなかったな」
 こう話された。
「これも遺伝か」
「そうだな」
「リッチモンド家のな」
「遺伝からは逃れられないか」
「髪の毛のことはな」
「もうどうしようもないか」
「これは仕方ないな」
 遺伝のことはというのだ。
「もうな」
「殆ど呪いだな」
「薄毛の呪いだな」
「もうそれだな」
「それからは逃れられないな」
「本当にな」
 こう話した。 
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