星河の覇皇
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第八十三部第四章 戦線崩壊その七
「それも出るからな」
「だからですね」
「それを貰う為にな」
是非というのだ。
「武勲を挙げられたらな」
「その時はですね」
「挙げてだ」
そしてというのだ。
「そのボーナスでな」
「彼女にプレゼントをですね」
「しろよ、君の砲座から攻撃をして」
そしてというのだ。
「敵艦を沈めたらな」
「ボーナス出ますし」
「狙いは定めろ、いいな」
「そのうえで、ですね」
「敵艦を仕留めろ、防衛施設でもいい」
こちらを攻撃して命中させてもボーナスが出るのだ。
「だからな」
「攻撃を当てて」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「今言った通りだ」
「わかりました、ただ」
「ただ、何だ」
「まあ無理でも生きていたら」
それならとだ、兵士は士官に話した。
「その時は」
「給料でか」
「彼女にプレゼントします、そして戦争が終わったら」
「おっと、そこからは言うな」
士官は兵士がさらに言おうとしたところで彼の言葉を笑顔で遮った、そのうえで兵士に対して言うのだ。
「いいな」
「あっ、ここでさらに言ったら」
「ジンクスだからな」
「戦死しますね」
「イブリースに見られてな」
その言葉を出したその時をというのだ。
「それでだ」
「命を奪われるので」
「今アッラーの御前から天国に行きたいか?」
「違います」
「そうだな、まだだな」
「結婚もまだですから」
だからだというのだ。
「ですから」
「そうだな、だからな」
「ここは、ですね」
「そこから先は言うな」
「わかりました」
「言えばイブリースに見られていてな」
そうなってというのだ。
「言わないとペリが見ていてな」
「祝福をくれますね」
「そうなるからな」
「はい、言わないです」
「そうしろ、じゃあ攻撃命令が出たら」
「その時にですね」
「撃て、いいな」
兵士に明るい声で話した。
「わかったな」
「そうさせてもらいます」
兵士は士官に彼も明るい声を出して応えた、そうしてだった。
兵士は砲座の前にあるモニターを見た、敵軍の動きはなくまだ静かなものであった。
だが謎の攻撃を警戒してだった。
アブーもフラームも彼等が率いる将兵達も警戒していた、それでアブーは自身の幕僚達に対して問うた。
「敵の反応はないか」
「はい、どの艦のレーダーにもです」
「偵察艇も出していますが」
「全く引っ掛かりません」
「反応は正面だけです」
「正面のオムダーマン軍だけです」
「オムダーマン軍の反応はそこだけです」
姿が見えている彼等だけだというのだ。
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