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星河の覇皇

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第八十三部第四章 戦線崩壊その六

「そうだろ」
「軽いお話ですね」
「それが出来るとな」
「ですね、気持ちもほぐれて」
「緊張は必要でもな」
「固くなったらいけないですしね」
「身体も気持ちもな」
 そのどちらもというのだ。
「ほぐれないとな」
「適度にですね」
「それがないとな」
 どうしてもとだ、士官は話した。
「満足に戦えないしな、飯を食ってトイレも言って」
「こうした話もして」
「リラックスしてな」
 そのうえでというのだ。
「戦うべきなんだよ」
「俺正直国境の戦いが初陣で」
「そうだったのか」
「はい、それまではずっと睨み合いで」
 それでというのだ。
「今か今かって待っていて」
「それでか」
「国境での攻勢の時が」
「初陣でか」
「次で二度目ですが」
「初陣と二度目を乗り切ったらな」
 それでとだ、士官は兵士にこのことも話した。
「一皮剥けるからな」
「よく言われていますね」
「実際にそうだぞ、私もだ」
「砲術長もですか」
「幼年学校出てな」
「それで、ですか」
「すぐに初陣だったんだよ、その時は護衛艦の水雷士でな」 
 この役職で参戦してというのだ。
「あの時は緊張したな」
「その時の相手は」
「ハサンだったよ、丁度開戦の時でな」
「ああ、あの時ですか」
「もう突き進む中でな」
 オムダーマン軍がハサン軍のダビデブ元帥今はオムダーマン軍にいる彼が敷いた五重の防衛ラインを突破した戦いだ、この士官はこの戦いの時が初陣だったのだ。
「一度目、二度目は緊張してな」
「大変でしたか」
「ああ、どうしていいかわからなくてな」
 それでというのだ。
「どうしたらいいかって思っていたけれどな」
「三度目で」
「もう結構慣れていたな」
「そうしたものですか」
「慣れた時が一番怖いとも言うけれどな」 
 これは油断するからだ、あらゆることでもそうだが戦争においてはこのことが特に言えるのだ。生死がかかっている為に。
 だがそれでもとだ、士官は兵士に話した。
「やっぱり経験が大事でな」
「慣れることですか」
「ああ、だから君もな」
「慣れることですか」
「この戦いが二度目ならな」
「この戦いを生きることですね」
「そして生き残って」
 そうしてというのだ。
「彼女いたらな」
「あっ、います」
「彼女にプレゼントを買ってやれ」
 こう言うのだった。
「いいな」
「武勲を挙げて給料で」
「ああ、武勲を挙げたらボーナスも出る」
 所謂褒美だ、昔で言うとそれになる。 
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