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とある愚者の転生記

作者:冬夏春秋
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麻帆良学園初等部編
  第十七話 ウチのクラスにイジメがあるの………

 
前書き
麻帆良アンチ入りマス 

 
 それはいきなりの話しだった。
 いつものごとく皆で夕飯を食べ終わり、居間でまったりしているとアリサから相談された。

「ウチのクラスにイジメがあるの………」

 ヘビーな話題だった。
 通算年齢40を越える人生の中で、イジメなんて関わらず生きてきた。どう対処すればいいかなんてわからないが、話しを聞くぐらいはできるだろう。そう思って詳しい話しを聞くことにした。



 どうも、クラスメイトの中に「嘘吐き」呼ばわりされる友達がいるらしい。
「あんなデカい木があるのはおかしい」(世界樹のことですね)
「ロボットが動いてるのがおかしい」(大学部のロボ研の作品ですね)
「人が車より速く走れるのはおかしい」(魔法使いでも見たんですかね)
「図書館島なんて把握しきれてない建物があるなんておかしい」(普通別所に造り直すわな)
 etc、etc………。

 麻帆良市内での常識を一般人の非常識として訴えると「そんなことはない」とされ、挙げ句の果てに嘘吐き呼ばわりされて孤立しかけているらしい。

 ………長谷川千雨さんですね。

 確か、幼少の頃(ちょうど今時分なのか?)から麻帆良の認識阻害結界を体質によりレジストしてしまい、周囲から浮いて孤立し、原作開始の頃には斜に構える現実主義者となっている少女ですね。

 そうかぁ、子供って無自覚に残酷だからなぁ。原作だとただの設定なのが、現実だとイジメになるのか。
 キツイなぁ。

 事情を知っているだろう頼人を見ると諦観の表情だ。事前に原作とは極力関わらないように2人で話していたが、やはり無理そうだ。
 ていうか、友達になっちゃう時点でほっとけないわな。

 クラスが違うなのはもイジメとかショックを受けてるし、どうにかしたいって言ってるし。
 クラスが同じすずかやはやては、既にアリサに相談されていたんだろう、どうすればいいのかを話し合っている。

「色々言いたいことがあると思うけど聞いてくれ」

 そう言って麻帆良の認識阻害結界のことから推定長谷川さんの体質の件まで一気に話す。
 「闇の書」の件で認識阻害の被害を受けていたはやては「そんなんあんまりや………」と意気消沈となる。

「どうすればいいの………」
 根本の原因が魔法使いを守るための認識阻害結界にあることでアリサも途方に暮れている。

「対策としては幾つかある」
 そう俺が言うと女の子達の注目が集まる。
 ………やめて、そんなすがるような目で見ないで。

「1つは麻帆良学園の責任者、この場合は学園長か。学園長にすべて話し、魔法的な対策をとってもらう。認識阻害を受け入れれば問題は解決する、はず」
「それは………。できるのか?」
 原作を知っている頼人はさすがに疑問がる。
 原作でも長谷川さんの体質を学園側が知らなかったとは考えられない。なら、原作開始時に認識阻害を受け入れていないのは、学園側がしなかったのか、できなかったのか。前者なら教育者として問題があるし、後者なら能力的に問題がある。とりわけ2-Aは「ネギ」の従者候補を集めたクラスっぽいので、前者の「敢えてしなかった」という可能性は高い。

「わからないけど、できるんならそれに越したことはない。他には、認識阻害について話し、正しい認識の「ずれ」を理解してもらう」
「「それなら」」
 うん、アリサやすずかは喜んでるけどね。確かにこれができるなら一番楽です。

「だけどね。この方法は「魔法」といった裏の世界と関わるリスクがある」
 う~ん。見る間にみんなの顔が曇ってくるな。そんなに哀しまれるとなぁ。
 原作通りに進むならいずれは関わるから、とも考えれるけどこの世界に原作なんて無いわけで。長谷川さんに裏の世界に関わらせる理由がない。

「まぁ、一番良いのは麻帆良から出て行くこと、かな」
 身も蓋もないけど、麻帆良から出て行ってしまえば「魔法」なんてモノに関わることもなくなる。

「それはそうなんだけど………」
 まぁ、友達と思っている子と別れる前提の話しはすぐに納得できないわな。それでも良い子達だから長谷川さんのためになるなら最後には納得して別れるんだろうけど。

「ただ、これには他の家族の事情とかもあるしね。そう簡単にはできないと思う」
「「「「そうよね(やね)(なの)………」」」」

「後は、その子以外にも「おかしい」と思っている子がいることを伝えて、「一人じゃない」ということと「他の子に話しても無駄」ということをわかってもらう」
「でも、それは!」
「うん、その子が正しいはずなのにね。それでも周りと合わせることを我慢してもらう。ままならないね………」
 すずかも賢い子だから、正しいからと我を通して孤立することのリスクがわかってしまう。

 それから長くあーでもない、こーでもないと話し合い、一応の結論を頼人がまとめる。

 まずは学園長に長谷川さんの体質も含め説明し、対処を求める。対処をでき(し)ないのなら、同じ疑問を持っている人がいることを伝えた上で、その原因をリスクがあっても知りたいかを長谷川さんに尋ねる。知りたいというのなら魔法についても説明し、学びたいというなら一緒に学ぶ。

 こんな感じになりました。
 もちろん、学園長と話すのは頼人と俺になります。








 さて、学園長との会談が終わりました。

 会談は最悪でした。

「ふぉっふぉっふぉ」という挨拶からぬらりくらりと話しをかわされ続け、結論としては「体質なんだからしょうがないよね」ということになりました。
 一緒にタカミチ先生もいましたが、魔法隠蔽することこそが大事で、こちらの対処してくれという話しと平行線で終わります。

 ………ダメだ、こいつら。

 魔法使いの利便ありき、というか、「麻帆良学園都市は魔法使いのためにある」という考えがまずあって、それによって被害を被る一般人への対処が後回し過ぎる。
 うがちすぎかも知れないが、将来の「ネギ・スプリングフィールド」という英雄の息子の従者候補を逃せないという考えも透けて見える。

 もう少し、「正義の魔法使い」から離れた目線を持っている2人だと思っていたのになぁ。





 現在の俺達、俺、頼人、すずか、アリサ、はやて、なのはの6名の立場はというと、「悠久の風」という「関東魔法協会」とは別の魔法組織の一員(ただし、魔法使い見習い)で、修行のため麻帆良市に来ているということになっている。

 魔法については、魔法の系統が違う上に情報を開示してないので、実はミッド(及びベルカ)式の魔法の結界系及び転移系は麻帆良市の結界に影響を与える可能性があるということで原則禁止となっている。つまり使う場合は事前の申請か、魔法としての情報を開示しろということなのだ。
 念については、「オーラ=気」という概念で気功法の一種として説明し、「発」についてのみ秘匿している。
 ちなみに次元世界についても当たり前だが情報は開示していない。

 なので、「関東魔法協会」に迷惑をかけない範囲での魔法バレ等は、「悠久の風」内で処理できる。
 つまり、今回のケースも長谷川さんが「悠久の風」に所属するというカタチにすれば、魔法の説明の有無も含めてどうとでもできる。もちろん組織内で許される範囲でだが。
 仮に「英雄の息子の従者候補」と考えていたとしても、「ネギ」の来日前の今ならうやむやにできる。

 (魔法使い達のスタンスを知ったという意味で)最悪の会談を終え、アリサ達にすべてを話した。

 そして、物語は夏休みと移っていく………。 
 

 
後書き
原作に影響を与えずに原作キャラと仲良くしようと四苦八苦しましたができませんでした。
今回の件で、のび太と頼人には「管理局≒正義の魔法使い」の嫌悪感が発生します。

なお、この作品では、関東魔法協会と悠久の風はまったくの別組織(それなりに友好的)として設定させてもらいます。 
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