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星河の覇皇

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第八十三部第二章 撤退の果てにその十二

「しかしだ」
「それでもですね」
「馳走も食べてもらい」
「そしてですね」
「英気を養ってもらいますね」
「こちらのことでも」
「そうしてもらう、美味いものもな」
 こちらもというのだ。
「英気を養う事柄だからな」
「その通りですね」
「美味いものもまたいいものです」
「それだけで元気が出ます」
「実に」
「全くだ、若しだ」
 アブーはこうも言った。
「食事がまずいとな」
「それだけで士気に関わると言われていますね」
「連合軍は特にそう言っている様ですが」
「実際に食事がまずいとです」
「その軍隊の人気は落ちます」
「確かに贅沢はしにくいものだ」
 戦場では、というのだ。
「戦場においてはな」
「それはその通りですね」
「特に古代はそうでしたね」
「補給のこともありますし」
「それは難しかったですね」
「そうだ、今もサハラではな」
 この地域ではというのだ。
「どうしてもだ」
「しかしですね」
「出来るだけ美味なものを口にする」
「それもまた大事ですね」
「戦争には」
「まず食料はだ」
 これはというと。
「絶対にだ」
「戦場にはなくてはならないですね」
「このことは絶対ですね」
「どうしても」
「餓えている軍隊は戦えない」
 最早それ以前のことだというのだ。
「もうな」
「それだけで、ですね」
「戦えるものではないですね」
「飢餓状態にあれば」
「まして餓死者が出る様なら」
「過去にそうした戦いもあった」
 兵糧が枯渇した場合だ、こうなってしまってはもう飢餓で動けなくなり脱落する兵や食べものを求めて脱走する兵や略奪に走る兵も出て戦争どころではなくなる。
「何度もな」
「数多くな」
「特に近代以前はですね」
「戦争でそうした事例は多かったですね」
「特に包囲されたり飢饉の時は」
「余計にそうでしたね」
「イスラムではそうした話はなかった筈だが」
 アブーは自分達の文明、イスラムのことから話した。
「食人もな」
「時としてありましたね」
「死んだ者の肉を食ったり」
「最悪まだ生きている者も食っていた」
「そうした状況に陥ったこともありますね」
「イスラムは食人はな」 
 このことはというと。
「他の文明圏に比べてもほぼないと言っていいな」
「幸いなことに」
「ギリシアの神話の様なこともないですね」
「ああした訳のわからないまでに残虐なことも」
「それも」
 ギリシア神話にはサイコ殺人鬼の様な殺人を行う者も多い、そして中には人肉食の場面も出ているのだ。 
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