| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜

作者:紡ぐ風
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四話『地を這う悪魔』

 それは、陽気な日差しの指す日の出来事であった。
 「やっぱり登山は、こういう晴れた日のほうがいいよな。」
 「ああ、景色も澄んでいるから目得る町並みも全然違う。」
 「それに、温かいから日中は山冷えもしにくいしね。」
 「登山最高!」
 とある大学の登山サークルのメンバーである男女四人のがループが休日を利用して登山を楽しんでいた。
 「それにしても、東京もまだまだ捨てられたものじゃないな。」
 「こうして山だってあるものね。」
 「この自然の中から見る町並みが、登山の醍醐味だしな。」 
 登山グループとメンバーたちは談笑をしている。しかし、その中の一人が喋らないことに、話していた三人は違和感を覚える。
 「なあ、ミカ。ここはお前が来たいって言っていた場所だろ。なんで黙ってんだよ。」
 男子の一人が揺さぶるが、すでにその女子の息は絶えていた。
 「ひっ!死んでる!」
 揺さぶった男子の怯えた声を聞き、残る二人は不審がる。
 「確かに、山冷えした体温じゃない。」
 「でもどうして?」
 しかし、女子の亡骸に触れ、事実を確認すると三人は怯える。するとそこに、何かをズルズルと引きずる音が聞こえてくる。
 「なんだ!」
 男子の一人が音のする方を向くとネオゴルゴム怪人、ヤマビル怪人が黄土色のブヨブヨとした体を持ち上げて迫ってきていた。
 「イヤー!」
 その姿を見た女子の悲鳴を最後に、残る三人も、すでにヤマビル怪人によって血を吸われた女子と同じ結末をたどったのだった。

 翌日、山で起きた吸血事件は数日にわたって起きている連続怪事件として報道された。
 「アニキ、山で血をすべて抜かれて死んでいるって、やっぱりネオゴルゴムの仕業なんじゃないのか?」
 「そうだな。血液をすべて抜き取るなんてことは相当な技術者でないと難しい。きっとネオゴルゴムの仕業だろう。だが、ネオゴルゴムはどうしてこんな事をするんだ?」
 光太郎達もまた、この事件にネオゴルゴムの影を見るが、少ない情報から意図を察知できずにいた。
 「気がかりなのは、今まで起きた五件、全部が天竺山で起きているの。もしかしたら、そこにネオゴルゴムにとって大切な何かがあるのかも。」
 杏子はこれまで判明していることから、ある可能性を見つける。
 「ありがとう、杏子ちゃん。ちょっと調べてみるよ。」
 光太郎はそのままキャピトラを出て、事件の現場となった天竺山へ向かった。

 場所は変わりネオゴルゴムの研究施設、そこにヤマビル怪人はいた。
 「どうだ、血液の入手は順調か?」
 「ええ、これだけの量があれば冷凍保存されている分も含めて最低でも二年間の栄養はまかなえます。」
 ソフィルの質問に科学者は血液と薬品を混ぜ合わせた水溶液にゴルゴム怪人達の主食であるゴルゴメスの実を浮かべながら答える。
 「まさか、品種改良でゴルゴメスの実を水耕栽培可能な品種に作り変えるとは。」
 「私の技術力は、ネオゴルゴムのように理解ある場所で初めて役に立ちますから。」
 「そうか。だが、怪人達の寿命は長い。より多くの血液が必要だ。ヤマビル怪人、血液を吐き出し終えたらもう一度外へ出るのだ。」
 ソフィルの指示を受け、ヤマビル怪人は再び天竺山へ出向いた。

 光太郎は天竺山へ到着し、登山コースを登ってゆく。
 「ここが事件現場になっている場所か。」
 光太郎は念入りに現場を調べるが、特に気になるものをみつけられずにいる。すると、
 「たすけて!」
 近くで悲鳴が聞こえ、光太郎が向かうと、女性がヤマビル怪人に吸血されている場面に出くわし、光太郎はすかさず女性からヤマビル怪人を引き剥がす。
 「光太郎…おにいちゃん?」
 女性はそのまま意識を失う。
 「変身!」
 光太郎はロボライダーへ変身し、ヤマビル怪人を殴るが、一切の手応えを感じることがなかった。
 「柔らかすぎて、攻撃が通らない!」
 ロボライダーは何度も攻撃を加えるが、ヤマビル怪人に明確なダメージとなる一撃を浴びせることはできなかった。
 「ググッ…」
 ヤマビル怪人は吸血後の重たい体で這うように移動してゆく。
 「こうなれば!」
 ロボライダーはボルティックシューターで腹部をかするように撃つが、ヤマビル怪人の逃走を止めることはできなかった。
 「そういえば、さっき俺のことをお兄ちゃんって言っていた。もしかして、ひとみちゃんか⁉」
 光太郎は変身を解除し、姪であるひとみを病院へ連れて行くのだった。
 「よかった。なんとか一命を取り留めることはできた。」
 ひとみは緊急的に輸血を受け、現在は病室で眠りに付き、光太郎が安堵していると、ひとみと同年代の男性が部屋へ入ってくる。
 「あなたが妻を運んでくれたんですね。ありがとうございます。」
 ひとみの夫は光太郎に深々と頭を下げる。
 「頭を上げてください。まさか、姪が襲われているとは思いもしませんでしたよ。」
 「姪?まさか、あんたが噂の南光太郎、仮面ライダーBLACK RXか⁉」
 ひとみの夫は光太郎の言葉に驚く。
 「はい、そうですが。」
 「だったら、もううちと関わらないでくれ!妻だってきっと、あんたの関係者だから襲われたんだ!」
 ひとみの夫は態度を急変させる。
 「そんな、いきなりどうしたんですか!」
 態度の変わり具合に光太郎も困惑する。
 「クライシスに親を殺された辛さが、あんたにわかるわけ無いだろ!あんたにとっては、怪人を倒せばそれで終わりかもしれないけど、家族を奪われた俺達には終わりなんてないんだ!解ったらさっさと帰ってくれ!」
 ひとみの夫は光太郎を病室から追い出す。
 「あっちゃ〜、ひとみちゃんも厳しい人と結婚しちまったもんだな。」
 追い出された光太郎の前に、霞のジョーが現れる。
 「旦那さんの気持ち、わからなくもないよ。俺だって、南の家の父さん母さん、秋月の父さんをゴルゴムに殺された時は行き場のない怒りを抑えるのに必死だった。佐原の叔父さん達がクライシスに殺されたときも同じだった。でも、仮面ライダーだから、それを人前では見せられなかった。だから、今みたいなことはこれまでもあったんだ。」
 光太郎は胸の内を晒す。
 「けどよアニキ、助けてもらったならありがとうぐらい言うのは当たり前だろ?」
 「当たり前、か。仮面ライダーは見返りの言葉をもらうために戦っているんじゃないんだ。悪による被害を少しでも抑え、すぐに平和を取り戻すために戦っている。当然、その中で救いきれない命だってある。だからこそ、一人でも多くの命を救えないといけないんだ。」
 「アニキ、気を張り詰め過ぎだって。」
 「すまない。ゴルゴムと戦っていた頃をつい思い出してしまって。」
 「そうだよな。とにかく、ネオゴルゴムが関わっていることがわかっただけでもいいとするしかないか。」
 「ああ。今からもう一度天竺山に行って調べてくる。」
 「わかった。頑張ってくれ、アニキ!」
 霞のジョーと別れ、光太郎は再び天竺山へ向かった。
 「さっきの戦いでなにか変わったことはないか…」
 光太郎は先程の場所へ戻り、周辺を確認する。すると、
 「この紫色の液体、もしかしてヤマビル怪人の血液か?」
 光太郎は戦闘の中での痕跡を見つける。
 「この血液、一本道へ続いている。これをたどれば、なにか見つかるかもしれない。」
 光太郎は、ヤマビル怪人の痕跡をたどっていくのだった。

 「ヤマビル怪人、撃たれた場所は平気か?」
 ソフィルの言葉にヤマビル怪人は頷く。
 「ヤマビル怪人様、まずはゴルゴメスの実を食べてください。」
 科学者はヤマビル怪人の体力回復のため、ゴルゴメスの実をヤマビル怪人に食べさせる。
 「グググッ!」
 ヤマビル怪人は傷を完全に回復させ、立ち上がる。
 「おお、実の効力も改良前と遜色ないとは。やはり素晴らしい。」
 ソフィルは水耕ゴルゴメスの身の効力を絶賛する。
 「ヤマビル怪人、いつもの場所に採取した血液を吐き出すのだ。」
 ソフィルはヤマビル怪人に指示を出す。しかし、
 「そうはさせない!」
 そこに光太郎が乗り込んでくる。
 「南光太郎、よくここを見つけたな!」
 ソフィルは驚きを隠せない。
 「ヤマビル怪人の血液をたどり、ここを見つけ出した!まさか、ゴルゴメスの実の栄養のために人を襲っていたとは!この施設は破壊させてもらう!変身!」
 光太郎の変身の掛け声とともに体組織を変化させる変身ベルト、サンライザーが出現し、キングストーンと太陽、2つのハイブリットエネルギーが全身を駆け巡り、南光太郎は、仮面ライダーBLACK RXへと変身するのだ。
 「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!」
 RXはヤマビル怪人に掴みかかり、そのまま屋外へ連れ出す。
 「ヤマビル怪人、俺達も手伝うぞ!」
 連れ出されたヤマビル怪人をサポートするため、二体のコウモリ怪人が現れる。
 「ゴルゴメスの実は俺達が守る!」
 コウモリ怪人は撹乱作戦でRXを惑わせる。
 「なんとか二体が重なるタイミングを見つけないと!」
 RXはコウモリ怪人の攻撃をひたすら避け続ける。
 「よし、今だ!」
 「一気に攻め立てるぞ!」
 二体のコウモリ怪人は横並びに並んでRXに攻撃を仕掛けようとするが、
 「今だ!キングストーンフラッシュ!」
 RXはサンライザーから放たれる熱波光線を使い、コウモリ怪人をまとめて撃破する。
 「ググッ!」
 ヤマビル怪人は地面を這うように動き、RXに迫る。
 「いくぞ!」
 RXは臆することなくキックとパンチの連続攻撃を浴びせるが、前回の戦いと同様攻撃が通ることはなかった。
 「こうなったら!」
 RXはロボライダーへ変身する。
 「俺は悲しみの王!RX!ロボライダー!」
 ロボライダーは強化されたパンチをヤマビル怪人に浴びせるが、やはり攻撃は軟質な体に吸収され無力化されてしまう。
 「このままでは攻撃が効かない。それなら!ボルティックシューター!」
 ロボライダーは必殺の光線銃を出現させる。
 「ヤマビル怪人の腹部には吸血した血液が詰まっている。そこを狙えば!」
 ロボライダーは必殺の一撃、ハードショットを放ち、ヤマビル怪人に命中すると、ヤマビル怪人の腹部は水風船に穴を開けたように血飛沫と火花が飛び散りながら爆散し、蒸発する。
 「後は、この研究施設を破壊すれば!」
 ロボライダーは水耕ゴルゴメスの研究室へ向かう。
 「管理しているコンピュータはこれか!」
 ロボライダーはメインコンピュータを見つけ出し、自身の能力を駆使してデータと基盤を完全に破壊し、事件は収束へ向かったのだった。

 後日、ひとみは無事に目を覚まし、ひとみの夫は光太郎に礼と詫びをしたいと言い会う約束をしていた。
 「先日はすみませんでした。妻を助けてもらったのに怒りに身を任せて、暴言を言ってしまい。」
 ひとみの夫は深々と頭を下げる。
 「あなたの気持ちもよくわかります。俺も、両親と養父をゴルゴムに殺された身ですから。」
 光太郎は自身にも同じ気持ちがあることを告げる。
 「そうだったんですね。だから妻の家で暮らしていたんですね。妻のこと、本当にありがとうございました。」
 光太郎はひとみの夫と別れてキャピトラへ戻る。こうして、世間を騒がせた吸血殺人事件は光太郎の活躍で解決した。これからも、平和のために戦え、仮面ライダーBLACK RX!
 続く

 次回予告
 最近話題沸騰中のVライバー、蛇野あかり。若者から中年までをも魅了したその背景にはクリオネ怪人の策略がは張られていた。光太郎は策略を破るため奔走する。『天使と悪魔の二重奏』ぶっちぎるぜ! 
 

 
後書き
 怪人図鑑
 ヤマビル怪人
 身長:192cm
 体重:105kg(空腹時)250kg(満腹時)
 能力:吸血能力、吸血後の打撃攻撃を寄せ付けない軟質な肉体

 ヤマビルの性質を持つネオゴルゴム怪人で、天竺山にある水耕ゴルゴメスの実の研究施設を守りながら材料となる血液の採取を任されていた。吸血後の肉体は柔らかく、肉弾戦では無類と防御を誇るが、その反面機動力は落ち、銃弾や斬撃などには弱くなる欠点を持つ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧