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続く因縁も

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第二章

「それではね」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 二人は章枝を引き取った、そうして章枝を育てていき彼女はあどけない顔立ちで大きな目を持つ黒髪が見事な可愛らしい少女に成長したが。
 ふとだ、純は夫に話した。
「あの娘もね」
「義兄さんみたいにかい?」
「そして叔父さん夫婦みたいにね」
 義兄の実の両親の様にというのだ。
「なるのかしら」
「幼い子供を残してだね」
「そうなるのかしら、二代続いてだし」
「それはわからないよ、そんな因縁があっても」
 夫は妻に優しい顔で話した。
「切れるよね」
「因縁も」
「そうなるからね」 
 だからだというのだ。
「大丈夫だよ、僕達がちゃんとしていけば因縁もね」
「切れるのね」
「そうだよ、そうしたらね」
「あの娘もなのね」
「そんなことはないよ」
「そうね、じゃあ私達は」
「章枝をちゃんと育てて行いを正しくしていこう」
 そうしようと言うのだった。
「宗教的な話になるけれど行いを正しくしていけばね」
「神様が見て私達の気持ちを汲み取ってくれて」
「きっと章枝の因縁は切れるよ」
 二代続いたそれはというのだ、そして実際にだった。
 章枝はすくすくと育ち大学を卒業してだった。
 就職してすぐに結婚して子供は出来たがそれでもだった。
 夫と共に子供を育てられた、それを見て純は夫に話した。
「因縁は切れたね」
「そうなったね」 
 夫は笑顔で応えた。
「よかったね」
「ええ、お父さんとお母さんも喜んでくれてるわ」
 年老いた自分の両親もというのだ。
「本当にね」
「悪い因縁があってもね」
「それがあったとしても」
「切ることが出来るのね」
「そうだね、これでね」
「ええ、章枝はね」
「きっと末永く幸せになれるよ」 
 娘夫婦を見て話す、見れば章枝は。
 夫と息子に囲まれてだ、満面の笑顔で話していた。
「ずっと一緒にいようね」
「うん、親子でね」
「僕達ずっと一緒だよ」
 こう話していた、そして実際に三人はずっと一緒にいられた。


続く因縁も   完


                 2022・10・21 
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