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チートゲーマーへの反抗〜虹と明星〜

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R6話 Darkness【ヤミ】の始まり



コツコツコツ……


ガシャン!



夕焼けに彩られる生徒会室の扉が大きな音とともに開放される———その犯人は……1人の男。

当然、中にいる生徒会長 中川菜々は少しばかり驚きを見せる。


「あなたは……伊口イフト先生?」
「はじめまして…生徒会長。しかし今回私はとある生徒たちの斡旋をしに来ただけさ。」
「斡旋…?」


イフトが扉をしばらく固定すると……入ってきたのは———4人。

近江彼方、エマ・ヴェルデ、桜坂しずく。3人はかすみと共にスクールアイドル同好会のメンバーであった者たちだ。

そしてもう1人……


「久しぶりね…生徒会長さん♡」
「朝香果林さん———あなたがその3人と一体なんの御用ですか?」


果林は少し不敵に笑うと、菜々が座っていたデスクにポンと……生徒名簿を置く。

これが意味することは———


「私の友人がずいぶん話してたから気になって調べさせてもらったわ……この中に——優木せつ菜と書かれているかどうか。」
「————」
「誰もその姿を見たことがない…なぜなら、その名簿に名前が載っていないから。そんなせつ菜ちゃんとどうやって廃部のやりとりができたのかしら?」
「……」
「詳しく教えてくれる?…優木せつ菜ちゃん?」
「ぐっ———」


3人が見守る中、菜々を問い詰める果林……菜々は言い訳せずに後ろを向いてしまう。


「あら?否定しないのね?」
「元々隠し切れるものとは思ってませんでしたから……しかし、同好会でもない人に見破られるとは思ってませんでしたよ。」
「ま、これも台本通り……っていうのはちょっとカッコ悪いわね。でも、今日用があるのは私じゃないわ。」
「……!」


果林は奥の3人に眼をやる———すると菜々は叫ぶ。


「私はスクールアイドルをもうやりたくないんです!!」
「「「!!!」」」
「あなたたちがラブライブにめざすと言うなら……私を抜いてやってください。」
「せつ菜ちゃん……」


と、ここで今までその様子を見守っていたイフトが話に割り込む。


「さて、流石に生徒同士が争うのも酷だろう———今日は帰りたまえ。中川菜々、君は残ってくれ。」
「「「「「……(!)」」」」」
「さ、みんな帰った帰った。」


複雑そうな表情をして元同好会のメンバーは生徒会室を半ば強制的に追い出される。


ガチャン……


「さて———ここからは個別の話だが……」
「一体何の話ですか?」


菜々が少し嫌そうにイフトに尋ねる……彼は少しニヤッとし笑う。


「単刀直入に言おう……君に知りたいことはないか?」
「え?」
「生憎私の顔は広くてね…別にストーカーしているわけじゃないが、君の知りたいことは何でも答えられる自信がある。」
「何でも…?」
「ああそうだ———例えば、死んだと言い聞かされてきた『弟』の話…とか。」
「!!!!!」


「弟」———この言葉が出た瞬間、菜々の顔色が一気に変わる。目は見開いて、鳥肌になっていた。

それも当然、彼女は言い聞かされてきたのだ———父親から、彼女の一歳下の弟は死産したと。しかし菜々は疑問を持っていた。母親が幼少期に言い続けた言葉が忘れられなかったからだ———

菜々はイフトに怪訝な表情で尋ねる。


「あなた一体何者なんですか!?父からは弟は死産したと聞いていました———でも母は言っていました。神様が育ててくれているからどこか知らない所で生きてるって……本当に生きてるんですか!?」
「あぁ、生きてるさ。まるで君が男になったみたいな美男にな。君が望むなら…会ってもいいんだ。無論、条件はあるが。」
「条件……?」


イフトは待ってましたと言わんばかりにそれに回答する。


「私は知っての通りスクールアイドルの振興に努めていてね……今度代々木で私主催のフェスをすることになっている。君たち同好会にはそこに出て欲しい。」
「っ!!」
「早い話、君のスクールアイドル活動の続行……これが本音なのは一目瞭然だな。」


イフトの言うことはフェスに出てほしいというのは建前に過ぎず、せつ菜にスクールアイドルを続けてほしい———回りくどく、卑怯な頼み方をしたと自ら自白している。

当然、菜々もその条件には戸惑う。


「しかし……!」
「どうした?———その様子だと同好会を廃部とし、スクールアイドルを引退する理由も別にありそうだ。」
「そ、そんなこと……」
「怪人の件とそれによる誹謗中傷……そうだろう?」
「!!!」


イフトはすでに見抜いていた———否、それを前提として話していたのだ。

菜々はとうとう観念したかのように、イフトに背を向けて話し始める。


「それだけではありません。私はその件で焦りや恐怖に囚われるようになりました———その結果が、私が立ち上げた同好会を自ら壊してしまった。そんなの私のやりたかったことではありません。」
「………」
「『社会のレールに沿って生きていけ。趣味も特技もほどほどに。』心の中で嫌悪していた父の言葉がようやくわかった気がします……社会のレールに沿わなければ、必ず罰が降る。そうわかったんです。」
「フッ…w」
「何がおかしいんですか?」


菜々が至った結論を鼻で笑うイフトに菜々は怒気混じりの疑問をぶつける。すると彼はその黒い瞳で菜々を見下して話す。


「興味ないなぁ。社会のレールなんて。」
「え?」
「かつて海外までその名声が轟いたソロスクールアイドル 優木せつ菜が、社会の目を気にするとは驚きだ。」
「あなたは気にしないんですか……?この学園で一講師でも、外に出れば巨大企業のCEOなのに。」
「興味ないさ……私は私の才能を探求する———ただそれだけさ。」


イフトはそのまま扉へと帰っていく———が、最後に一言。


「『自分が何者か』……弟がどこにいるのか……はたまたどこで会えるか———知りたければ、連絡してくれ。」




————※————



遠い遠い神世の時代。

創造の聖剣を使って天地を分け、5度目の人類を作り出したユエルとナンナエル。彼らは偉大な父たるハイパーロードMと父同然のオーヴァーロード/ユオスの命で、聖なる婚姻を結び、男子 ナユタを授かった。

彼らは仲間の天使の半分と、高次元にいる神々を自然の中にて祀る原始人となった。作物を実らせ、肉と魚を取り、木の実を採集——それを神に感謝した。

まさに、所有の概念も争いもない、地上のユートピアであった。

しかし……聖書の外典にこのような文が乗っていた。


〜〜〜

聖なる都が、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。

都は方形であって、その長さと幅とは同じである。

その方形の都が叫んだ。

わたしは彼の神となり、彼はわたしの子となる。

〜〜〜


そう……舞い降りたのだ。

立方体に乗って天から落ちてきた……花嫁のように着飾った太陽の女神が。

彼女の名———アユム……生まれる前から離れたことのないユウに言った。そのハイライトのない死んだ魚の目で、射抜くようでいて慈愛に満ち溢れた。


「ユーちゃん……やっと会えた。寂しかったでしょ?辛かったでしょ?でも大丈夫♡あなたは私が守ってあげる———さ、一緒に復讐しよう?わたしたちを引き裂いてこんな場所に落とした神様に♪」
「ア、アユム……」
「ん?————は?」


アユムは見てしまった———ユウの隣に侍る見覚えのある1人の女と抱く子供……何を意味するかは一目瞭然だ。だが否定したい。

変えられぬ現実を。


「ど、どういうこと……嘘嘘嘘嘘嘘!!!!」
「ア、アユム…これは…」
「何かの間違いだよね…?そうだよね…?永劫の時を過ごしたあなたが私以外の……よりにもよって『妹』と———ねぇ、嘘だよね!?!?」
「いや……嘘じゃない。僕とナンナは結婚した。ハイパーロード様の命で……」
「—————」
「でもアユム……君も『黙って。』


アユムは強制的にユウを黙らせる———そして堕ちるところまで堕ちてしまった昏い瞳でユウに恨み言を放つ。


「こんなのありえない……私はあなたのためになんでもしてきた———地球を照らしたのも、人間を創造したのも…神様のためじゃない。全てユーちゃんのためにしたことなのに……!」
「ア、アユム……!」
「私はあなたのそばに居るしか考えられないのに……こんな耐え難い裏切りを!!!」
「ご、ごめ」
「許さないよ!!私は身も心もハジメテも、全部あなたに捧げて尽くしたのに……私以外の女と子供を作るなんて———!」


怒りに震えていた彼女……しかしそんな怒りは一瞬にして吹っ切れ、何か乾いた笑みが溢れてくる。


「あははは……もういいや。私と一緒にならないユーちゃんなんていらない——ううん、もうこの世界なんていらない。」
「え…?」
「だから全部壊す。天も地も、その憎い女も、神も、ユーちゃんの肉体も———全部壊して私の元へ……ふふっ♡」



「さぁ……2人だけの世界でやり直そう?ふふふふふ……♡♡」



血飛沫飛ぶ殺戮……今それが———



〜〜〜〜〜



「はっ!————夢…ですか。」


ベッドから起き上がる優木せつ菜——もとい中川菜々。

夢オチ……それにしては妙にリアルな話であった。夢は起きてからは徐々にその記憶を無くしていくのだが、今回ばかりは鮮明な記憶として刻みつけられそうである。


「それに……ユーって——流石に気のせいですか。」


菜々はそばに置いていた眼鏡をかけ朝の支度を始める。



————※————



早朝…虹ヶ咲学園にて。

肩の出た美しい白のドレスを着た、白く輝く髪の女性が人も1人いない学園を歩く———その容貌はまさしく犯罪級。男なら百中で鼻血出すだろうし、女性でも例外でないかもしれない。

まぁこの女が誰か俺が一番知っているのだが……さてそんな彼女の前を通る白猫。

女性はその豊満な肉体を屈ませて、猫に近寄る。


『どう?あの子たちの様子……元気?』
「みゃーん。」
『そっかそっか…ならいいわ。』
「みゃーみゃーん♪」
『はんぺん?——へぇ〜!名前つけてもらってよかったね〜』ニコニコ
「みゃーん♪」


嬉しそうな「はんぺん」なる白猫。それを見て女——もといグレートマザーたるハイパーロード/Aqoursはニコニコと幼くも艶やかな笑顔を見せる。笑うとアホ毛が揺れるのが昔となんら変わっていない。

すると、Aqoursはキッとした表情になってはんぺんに言う。


『前にも言いましたが、「あの人」があの子たちに暴挙を働いたなら…すぐさま呼んでください———すぐにあの人を食べてやります♡』
「みゃーん。」
『はい♪いい子いい子。』
「みゃぁん……」


擦り寄るはんぺん……と、ここで背後の方で声が聞こえる。それを察知したハイパーロードAは即座にその姿を消す。

やってきたのは……


「あっ!見つけました!」
「にゃーん!」


ジャージを着て虫取り網を持ち、はんぺんを追いかけるのは生徒会長 中川菜々。

しかしはんぺんもおいそれと捕まるわけにはいかない。


「こら!待ちなさい!」
「にゃー!」
「はぁ…はぁ…追い詰めましたよ!」


はんぺんはとうとう校舎の角へと追い詰められ———と思いきや、はんぺんをさっと拾い上げる娘が1人。

ピンク髪の——小娘。


「あなたは…情報処理学科一年 天王寺璃奈さん———その猫を渡してください。」
「……ダメ!」
「…!」


しばらくの静粛がその場を襲う————


「諦めろ生徒会長。」
「「…?」」
「その猫はイラつくが、追い出すと調子狂うんでな。」
「あなたは———!」
「あんな堅物と一緒にすんな。」
「え?」


後ろにいたのは————厨二病感満載の黒い服を着た男。


「俺の名はコルボ。『アイツ』の別人格だ。」



一体……?









 
 

 
後書き
すまん……戦闘描けんかった。 
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