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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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第五章
  5-⑴

 あれ以来、昂君と会うことも無く、2学期が始まって、今年も運動会の恒例のリレーのメンバーを選ぶようにと、先生が言っていた。うちのクラスはすんなり昂君と鈴花ちゃんに決まった。今年は、5年生の女、男と走って、6年の女、男の順ということだった。

「昂 もう、思いっきり 走れるんかー?」と、帰り道に聞いたら

「あぁ 夏休みにお姉ちゃんとジョギングもしてたしな」

「すごいなぁー 翠ちゃんも頑張ってるんや」

「慎ちゃんも たまに 一緒やったでー」

「えぇー そんなん聞いてへんやん」

「まぁ 真珠は根性なしやから 足手まといになるからな 誘われたら、走ってたかー?」

「ウン そーなんやけどなー」

「そんなんで、お前 ホップダンス出来るんか」

「そーやねー だからー お前って 言うな! って」

 そして、当日、今年は隣のクラスの蘭ちゃんはメンバーに選ばれななかったみたいだった。私は、鈴花ちゃんに

「鈴花 頑張ってね 我が組のホープなんやから」

「ウン 今年はチョットやりがいないけどなー じゃまもん居てへんから でも、ホープは昂になってもらわなあかんから、絶対にトップでバトン渡すからな 応援してやー」

 スタートして、鈴花ちゃんにバトンが渡った時は、2番目だったんだけど、あっさり拭き去ってトップにたっていた。そして、昂に・・・どんどん差が開いて、ブッチギリのトップとみんなが思っていたのだが、ゴールの手前で、何故か腰くだけのように転んでしまったのだ。女の子達は、それまでの声援から、悲鳴に変わっていた。私も、ギャーと言って思わず応援席から飛び出していた。

 だけど、昂は後ろを見ながら、転がるように一番でゴールしたのだ。その時、鈴花ちゃんが、昂の頭をコツンとして

「どんくせーな 目立ちすぎなんだよー」と、昂のお尻の砂を払っていたのだ。

「あー 鈴花ちゃん それって ウチの役目だよー」と、私は、遠くから見ていた。

 戻ってきた昂君に駆け寄って

「どうしたのー 大丈夫?」

「ああ お前に転んだとこ見せるっていっていたろー」

「なに 言ってんのよー 心配したのにー」

「真珠 本当はな 急に右足 力が感じなくなって、フーっと バランスくずしてしまったんだよ まだ、だめなのかなー」本当に昂君は深刻げだった。

「大丈夫だよ そんなこと言わないでー 昂は無理し過ぎたから、きっと疲れてるんだよ これからは、ゆっくりにね ウチも付き合うし‥」

「お前 今の言葉 忘れるなよ」

「うー それって どういう意味? お前って言うなってのにー」

「あんた等 横で聞いとったら イチャイチャとー 昂君 恰好良かったよ」と、香菜ちゃんが言ってきた。鈴花ちゃんも居たんだけどニャニャと笑っていた。  
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