| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ウルトラマンカイナ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

特別編 ウルトラカイナファイト part9

「きゃああぁあっ!」
「な、なんでこんなところに怪獣が!? 墨田区に集まってるって話じゃなかったのかよッ!」
「知るかよ! あの怪獣……気が付いたらもう居たんだッ!」
「ウルトラアキレス……早く、早くなんとかしてくれぇッ!」

 東京都大田区、羽田空港。その広大な飛行場に突如出現した宇宙恐竜ゼットンの姿に、居合わせた空港関係者や避難民達は阿鼻叫喚となっていた。
 テンペラー星人によるテレポートによって転移して来た、漆黒の怪獣。その異様な電子音と鳴き声は、外観以上の悍ましさを齎している。

『トロイレーザーッ!』

 飛行場に急行し、そのゼットンの相手を務めていたウルトラアキレスは、頭部のビームランプから細い光線を発射する。だが、ゼットンは避けようともせずに彼の光線をそのまま胸で受け止め、吸収してしまった。

『くッ!?』

 間髪入れず、ゼットンは吸収したトロイレーザーのエネルギーを利用し、両腕からの波状光線を発射する。真横に転がり辛うじて回避したアキレスは、即座に頭部の宇宙ブーメラン「アキレスラッガー」に両手を添えた。
 光線技が通用しないのならば、物理攻撃に切り替えるしかない。

『さすがはあの宇宙恐竜、と言ったところか……なら、これはどうだッ!』

 これまで、何体もの怪獣を切り裂いて来た必殺の刃。その一閃を以て決着を付けるべく、アキレスは渾身の力で宇宙ブーメランを投げ付ける。
 今までの相手なら、確実にこれで仕留めていた。だが、初代ウルトラマンすらも屠る宇宙恐竜の雷名は、伊達ではない。

『なにッ……!?』

 全身に展開されたバリヤーによって、アキレスラッガーはいとも容易く弾き返されてしまったのだ。何の成果も得られずに宇宙ブーメランが戻って来た瞬間、ゼットンの反撃が始まる。

『うおあぁあッ!』

 不気味な鳴き声と共に、顔面の発光器官から連射される――1兆度の火球。その猛雨に晒された飛行場は焼け野原と化し、直撃したアキレスは一瞬のうちに満身創痍となってしまう。
 連射が終わり、黒煙が晴れた頃には。彼の全身を守っていたプロテクターに、亀裂が入っていた。胸部のカラータイマーはすでに、危険信号を発している。

「ひ、ひぃいい……!」
「お、俺達、助かるのか……!?」

 ゼットンがターミナルを背にしていたおかげで、そこにいる避難民達は巻き込まれずに済んだのだが。もし射線にそこが含まれていたら、大勢の人間が施設ごと蒸し焼きにされていただろう。

『くッ……このまま、倒れるわけには……ぐぁッ!』

 傷付いた身体に鞭打ち、片膝立ちの姿勢からなんとか立ち上がろうとするアキレス。そんな彼を容赦なく殴り倒すゼットンは、とどめを刺そうと再び火球の発射体勢に入ろうとしていた。
 すると、その時。

『……!?』

 突如、海の彼方から無数の誘導ミサイルが飛び込んで来たのである。数え切れないほどの軌跡を描く弾頭の雨は、ゼットンの顔面に容赦なく直撃していた。
 やがて爆煙が晴れると同時に、ミサイル攻撃を実行した「戦闘機の大編隊」の機影が見えて来る。その機体の垂直尾翼には、BURKの4文字に加えて――星条旗が描かれていた。

『あれはBURKの……アメリカ支部か!?』

 これまで自国の防衛にのみ専念し、日本で起きていた戦闘にはほとんど介入して来なかった海外のBURKが、ついに駆け付けて来たのである。
 GUYSガンクルセイダーを想起させる、曲線的なボディ。そのシルエットはまさしく、世界各国のBURKで運用されている制式主力戦闘機「BURKクルセイダー」のものであった。

『よし、全弾命中ッ! あれが、初代ウルトラマンを倒したっていう宇宙恐竜ゼットンね……! 上等じゃない、BURKアメリカ支部の底力を証明するには丁度いい標的だわッ!』
『アメリア隊長、気をつけてください! あのウルトラアキレスでも、苦戦を強いられているようです……!』
『……だったらなおさら、私達が活躍するチャンスってことじゃない! 覚悟を決めなさい、エリー!』

 その機体を駆る女性パイロット達は皆、毅然とした面持ちでゼットンの巨体を見据えている。
 この怪獣達は、人類が持てる全ての力を賭けて倒さねばならない規模の相手なのだと、彼女達も理解していたのだ。もはや、国単位の「持ち場」に拘っている場合ではないのだと。

「お、おい見ろ……! あの怪獣、アメリカ支部のミサイル攻撃を喰らっても、ピンピンしてやがる!」
「だ……ダメだぁ。あいつ、不死身なんだぁ!」

 だが、物量と火力にものを言わせた総攻撃でも、BURKの――人類の通常兵器では、怪獣を完全に仕留め切ることは出来ない。相手がウルトラマンすら倒せてしまう宇宙恐竜となれば、なおさらだ。

『俺も……負けてられないなぁッ!』

 それでも、ほんの僅かな「隙」は生まれる。それこそが、アメリカ支部からアキレスに託された「勝機」であった。
 ゼットンが頭上を飛ぶ戦闘機隊に狙いを定め、火球を放とうとした瞬間。アキレスは左腕のブレスレットから、三又の槍――「ウルトライデント」を顕現させる。

『アキレスラッガーでも足りないのなら……これで、どうだあぁあッ!』

 戦闘機隊に注意を逸らされ、バリヤーの展開が疎かになっている隙に。アキレスはその槍を振りかぶり、一気に投げ付ける。
 三つの切っ先が胸部の吸収器官に突き刺さり、ゼットンが片膝を着いたのはその直後だった。光線技を吸収・反射するための部位が破壊された今なら、通用するはずだ。
 最大火力の、必殺光線が。

『イーリア……ショットォッ!』

 片腕を横に振りかぶった後、縦に突き出して発射するアキレス最大の必殺技――「イーリアショット」。その閃光が槍もろとも、ゼットンの胸を貫いた時。
 ウルトラアキレスの勝利が、確実なものとなるのだった。宇宙恐竜の最期を物語る爆炎が、その結末を祝している。

「勝った……! アキレスが勝ったんだ!」
「やったあぁあぁっ!」

 ターミナルから戦況を見守っていた人々から、爆発的な歓声が上がる。アメリカ支部の大編隊も、アキレスの勝利を讃えるようにその周囲を旋回し続けていた。

『さっすがウルトラアキレスねっ! あなたと一緒に戦えたこと……BURKアメリカ支部のパイロットとして、誇りに思うわっ!』
『ゼットンの沈黙を確認、こちらの被害はゼロです! 良かった、皆も無事で……!』

 その戦闘機隊の隊長である金髪の巨乳美女――アメリアは、コクピットの中から溌剌とした笑顔を咲かせ、親指を立てている。彼女を乗せた隊長機の傍らを飛んでいる、僚機のパイロット――エリー・ナカヤマも、安堵の息を漏らしていた。

『よし……そろそろ皆も、各地で決着を付けているはずだ。俺も急いで戻らねば! ダァアーッ!』

 だがアキレス達には、勝利の余韻に浸っている暇はないのだ。彼はすぐさま両腕を広げて飛び立つと、カイナが待つ墨田区の戦地へと引き返していく。
 他の仲間達も、今頃は怪獣達との決着を付けているのだと信じて。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧