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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第59話

 
前書き
魔封波は悟林に頑張ってもらいます。

序盤はベジータにキツいけど、ベジータの性格を理解しているからこその辛辣です。

そこには確かな信頼があります。

まあ、ベジータが強くなる一番の要因を理解してるのもありますがね。 

 
未来から元の世界に戻ってきた悟空達。

ブルマとチチに頼んで残してきた仙豆を食べて回復する。

「大丈夫だか?」

「すまねえチチ…わりいけど、ブルマ。ビーデルとパンとマイをここに置いてやってくれねえか?」

「分かったわ、部屋の用意もしておいてあげる。でもこれで仙豆は4粒しかないわ」

「分かってる…トランクスと悟飯を置いてきちまってすまねえ…こうするしかなかったんだ。オラが亀仙人のじっちゃんから魔封波を教えてもらったらすぐに戻る」

「お父さん、往復分のエネルギーをチャージするのは丸1日かかるよ」

「あ、そうだった…」

往復分のエネルギーチャージに時間がかかることを思い出した悟空は表情を暗くする。

「大丈夫だよ、精神と時の部屋で修行した2人なら簡単には負けない。時間稼ぎなんて簡単にやってのけるよ。勝てもしない相手に1人で突っ込んで返り討ちに遭った誰かさんと違ってね」

「何!?」

悟林の嘲るような言葉にベジータが反応して立ち上がる。

「何だ?反応するってことは自覚があったんだ。お父さんと協力して闘えばまだ勝機はあったかもしれないのに、1人で突っ走って返り討ちなんて笑えるね」

「貴様っ!!」

悟林の胸倉を掴むベジータに慌ててブルマが割り込む。

「ちょ、ちょっと!喧嘩してる場合じゃないでしょ!?」

「お父さん、私が魔封波を覚えるから、お父さんはベジータさんを引き摺って精神と時の部屋で修行してきて、次は私も未来に行くけど足手まといのベジータさんのお守りなんてごめんだよ」

「足手まとい…?この俺が足手まといだと!?」

「そうだよ、今のベジータさんは私達の中で一番弱いんだから」

「貴様ぁっ!!」

即答するとベジータが拳を振り上げた時であった。

「すみませーん!もう1人の僕はいますか…って、何してるんですかベジータさん!?」

「悟林!お前もベジータを挑発するな!」

入ってきた悟飯とピッコロが慌てて悟林とベジータを止める。

「悟飯にピッコロ!?おめえ達どうしてここに!?」

「あ、母さん。実は僕の家にもう1人の僕が来て…今日帰るって言うから見送りに来たんですけど…」

突然の悟飯とピッコロの登場にチチが驚く。

「大体の事情は理解している。お前達が未来のビーデルとパンか」

「あ、あの…あなたは…?」

「未来の悟飯から聞いているはずだ。俺はピッコロ…あいつの師だ」

「悟飯の…」

「パパの師匠…」

未来悟飯から聞いた初めての師匠。

それを聞いた2人はピッコロを見つめる。

「あなた達が未来のビーデルさんとパンちゃん…?何でこんなにボロボロなんだ…?父さん、どうしてですか!?」

「そ、それは…」

未来で起きたことをこの時代の悟飯に教えるべきか悩んだが、悟空はこれ以上は隠しきれないと判断して語りだした。

自分の体を奪ったザマスと言う界王が未来悟飯達の世界に現れて、未来のザマスを仲間にして未来の世界を滅茶苦茶にしていること。

そして、自分の体を奪ったばかりのザマスが、悟飯とビーデル、パンを殺したことも…洗いざらい全て。

「ビーデルさんと…パンちゃんが…」

愛妻と愛娘を殺されたことに愕然となる悟飯。

ザマスのこと以外知らなかった面々も愕然となっていた。

「ご、悟空さ…そいつは一体何がしてえんだべ?悟飯やビーデルさんだけじゃなく、パ、パンちゃんまで…」

「人間を皆殺しにしてえんだ。あいつは、相手が人間なら赤ん坊とかそんなの関係ねえんだろ」

それを聞いたチチは鬼の形相でタイムマシンに向かって駆け出した。

「ちょ、ちょっとお母さん!?何するの!?」

「落ち着きなよおばさん!」

「放すだ!オラが直接未来に行ってそいつらをぶっ飛ばしてやる!!」

悟空達が勝てない時点で実力差など理解しているだろうが、理解はしていても納得出来ないのだろう。

息子夫婦と孫娘を殺した連中の元に向かおうとするチチ。

「落ち着いてチチさん!エネルギーがないとタイムマシンは動かないのよ!!」

今のタイムマシンはエネルギー残量が0であり、未来に行くことなど出来ない。

ブルマや悟天、トランクスが何とかチチを宥めている時、悟飯は痩せ細った妻子を見て悟空達に頼み込んだ。

「父さん!姉さん!お願いします!僕も、僕も未来に連れていって下さい!」

殺された妻子の仇を討ちたいのだろうが、悟空からの返答は厳しい物だった。

「駄目だ」

「ど、どうしてですか!?」

「ブラックは今のオラ達でもまともに太刀打ち出来ねえ相手だ。そんな奴を相手におめえを守りながら闘う余裕なんかねえ」

今の悟飯はあまりにも力が衰え過ぎて超サイヤ人ロゼとなったブラックの小突きにすら耐えられないだろう。

今の悟空達に…こう言うのはあれだが、足手まといを庇いながら闘う余裕はないのだ。

「そんな…お願いします!僕はもう1人の僕を助けたいんです!ビーデルさんやパンちゃんの仇を…」

「気持ちだけでどうにかなるわけねえだろ!!」

悟空の怒声に辺りが静まり返る。

滅多に怒らない悟空の怒声にはそれだけの力があった。

色々なことがありすぎて悟空も参っていたのかもしれない。

「お父さん、落ち着いて」

「あ、ああ…すまねえ。悟飯、今のおめえは力がねえ。行っても無駄死にするだけだ。早くビーデルとパンのとこに帰れ」

悟林に声をかけられた悟空は冷静さを取り戻して悟飯に家に帰るように促す。

「と、父さん!僕だってもう1人の僕やトランクスさんと一緒にセルと闘ったのに…どうして僕だけ!?」

「何言ってるの、何かと闘うのを嫌がってた癖に。闘わなくて良いって言われてるんだから喜べば?お前はさっさと家に帰って仕事しなさい。お前に出来ることなんて何もないよ」

「姉さん!」

「はっきり言わないと分からない?役立たずはさっさと引っ込めってことだよ。闘いで一番困るのはお前みたいな半端者がいることなんだよ」

悟飯が食い下がろうとしても悟林が一蹴し、無理やり外へ放り出した。

「…すまねえ悟林、オラが厳しく言えねえから嫌われるようなことさせちまって」

「良いんだよ、私も悟飯に死んで欲しくないからね」

悟林とてあそこまで言う気はなかったが、今の悟飯では援護すらもまともに出来ないだろう。

死なせないためには無理やりにでも止めるしかない。

「悟林、悟飯のことを俺に任せてみてくれないか?」

「ピッコロさん?」

「別の世界とは言え、悟飯だけでなくビーデルとパンも殺されたんだ…また同じようなことがないとも限らん。俺がまた一から鍛え直してやる」

「出来るの?こう言っちゃあ、アレだけど今のピッコロさんに悟飯を厳しく指導出来るの?」

「勿論だ…あの時と同じような激しい修行をな…武運を祈るぞ」

ピッコロは悟飯の元に向かい、悟空もベジータと共に精神と時の部屋に向かおうとする。

「それじゃあオラ達も行ってくる。悟林も魔封波を覚えるの頑張れよ」

「勿論、頑張って」

瞬間移動で神の神殿に向かう悟空達。

「それにしても悟林ちゃんがベジータを挑発するなんて珍しいわね」

「ベジータさんはプライドを刺激すればするほど、強くなる人だからね。本当は弱いなんて思ってないけど、ブラックを超えるには刺激しとかないと」

「悟林ちゃんってベジータの扱い分かってるわね…」

「そりゃあ、私もサイヤ人だからね」

それだけ言うと悟林もまたカメハウスに向かった。

「亀仙人のお爺ちゃーん!魔封波教えてーっ!!」

「は?」

そしてカメハウスではいきなり現れた悟林に亀仙人が首を傾げるのであった。

一方、神殿に着いた悟空とベジータは精神と時の部屋に入る。

「なあ、ベジータ…悟林のことだけどよ」

機嫌が悪いベジータに悟空が自分なりにフォローしようとしたが、先にベジータが口を開いた。

「分かっている、あいつの考えなどな…今の俺が一番ムカついているのはブラックでも悟林でもない。あんな挑発に言い返せなかった俺自身だ…!」

界王拳の有無は本当に大きく、実際界王拳込みでの戦闘力ではベジータが一番弱いのは事実なのだ。

「この修行で…超えてやる!ブラックを!カカロット!界王拳を使ってこい!!」

「ベジータ、まさかおめえ…」

「俺は俺のやり方で進化する!そのためには今の俺より遥かに強い相手が必要だ!!」

サイヤ人は強敵との闘いで進化する。

それを超サイヤ人ブルー界王拳の悟空でやろうと言うのだ。

無茶だと言いたかったが、今回の相手はそれだけの無茶をしなければ勝てない相手だ。

「分かった……死ぬなよ…ベジータ」

「ふん!大きなお世話だ!!」

悟空が超サイヤ人ブルーに変身し、その上で界王拳を発動する。

ベジータも超サイヤ人ブルーに変身して何とか進化の道を模索しようとしていた。

そしてピッコロは悟飯の気を頼りに追い掛けると、そこは嘗て、サイヤ人の襲撃に備えて修行をしていた荒野であった。

悟飯はそこで拳を蹴りを繰り出して必死に修行していた。

「1人では効率が悪いだろう。俺が相手になってやる」

「ピッコロさん!」

ピッコロが悟飯の服装を悟空と悟林が愛用している亀仙流の道着に変えた。

「その服装では動き辛いだろうからな、変えさせてもらったぞ」

「すみません…」

「懐かしいな、ここでお前は俺と悟林と共に修行をした。その時にお前に与えた道着も同じだ…何もかもな」

「え?」

良く見ると悟飯が着ている道着は悟空と悟林が使っている無地の物ではなく、“魔”の文字が刷られている物である。

ピッコロは言外に、今の自分はあの時の甘ったれていた自分と変わらないと言いたいのだろう。

今着ている道着がその証拠のように思えた。

「掛かってこい、まずはお前のその鈍りきったその体を徹底的に鍛え直してやる!」

「…よろしくお願いします!」

久しぶりの師弟同士の修行が行われた。

一方、場所はカメハウスに戻り、悟林は亀仙人から魔封波を教わっていた。

「はあっ!!」

悟林は魔封波の練習を繰り返すが、後少しで壺に入りそうで入らない。

「うーん、難しいな…どうしても気の余波で壺が揺れちゃう」

「そこが魔封波の難しいところじゃな、気の渦に捕らえ、激しく動く相手を小さな器に入れる。儂がかつてピッコロの父親にした時、失敗してしまった理由はそこじゃ」

「じゃあ、誰かに壺を持ってもらえば良いのかな?」

「そうじゃなあ、確実に成功させたいなら術者だけでなくサポーターが必要じゃろうな」

「でも、お父さんとベジータさんはブラックを任せたいから結局私だけでどうにかするしかないわけだけどね。それにしてもやっぱり亀仙人のお爺ちゃんは凄いね、流石お父さんの自慢の師匠だよ」

「…悟空がか?」

「うん、昔、ナメック星に行く時にお父さんは実力は超したかもしれないけどお爺ちゃんには敵わないところがたくさんあるって言ってた…多分お父さんにとってお爺ちゃんはずーっと尊敬してる師匠なんだよ」

「そうかの…」

どこか照れ臭そうに髭を弄る亀仙人に微笑むと、悟林はすぐに魔封波の練習を再開した。

精神と時の部屋では半年以上が過ぎ、重い打撃音が響き渡り、ブルー界王拳を発動した悟空にベジータが滅多打ちにされていた。

今の悟空は20倍界王拳を使用しており、ベジータとの実力差は20倍にまで広がっていた。

ベジータはボロボロになりながらも立ち上がる。

「まだだ…っ!俺はサイヤ人の王子だ…!あんな紛い物に負けてたまるか…!!」

「…行くぞベジータ!!」

かめはめ波の体勢を取る悟空に対してベジータは気を高めてそれを真っ向から受け止めようとする。

無謀だと言う者もいるだろうが、強くなるためなら命すら惜しまないのがベジータと言う男だ。

「か…め…は…め…」

悟空もそれが分かっているからこそ手加減無しの全力の一撃をベジータにぶつけようとしていた。

「波ーーーーっ!!!」

「うおおおおおおっ!!」

ベジータはボロボロの体で20倍界王拳かめはめ波を受け止める。

受け止めた手袋が弾け飛び、手が焼け焦げていくがベジータは退かなかった。

「ベジーターーーーっ!!」

「くそったれがーーーーっ!!!」

限界を超えても退かない強い意志によるものか、ベジータの纏う超サイヤ人ブルーのオーラと髪がより濃くなったのを悟空は見た気がした。

そして荒野では仙豆も使わずあの時の修行を思わせる激しい修行が行われていた。

「だああああっ!!」

修行を始めて数時間で超サイヤ人の変身が昔のように苦もなく出来るようになり、ピッコロに何度も挑んでいるのだが、ピッコロには全ての攻撃が片手でいなされている。

「どうした?それが攻撃か?力もまともに出せない程にまで腑抜けやがって!!それで悟空達と未来に行くつもりだったのか!闘いを甘く見るのもいい加減にしろ!!」

ピッコロが大振りの拳を叩き込んで岩に叩き付ける。

そして腕を伸ばして悟飯の顔面を掴み、そのまま何度も岩に凄い勢いで激突させる。

「うわあああああ!!」

「悟飯!この修行でお前の足りない部分を教えてやる!!」

腕を伸ばした状態で悟飯を持ち上げると悟飯の全身を腕で締め上げる。

「うあ…っ!ピッコロさん…こんなにパワーを上げていたなんて…!」

「お前が修行を疎かにしていた時も俺は悟林と激しい修行をしてきたんだ。今のお前如き本気を出すまでもない!!」

今のピッコロの戦闘力はセルと闘った時の悟飯を遥かに超えており、今の悟飯では腕の拘束を緩めることも出来ない。

ピッコロはそのまま締め上げて気絶させると地面に叩き付けて気絶から目を覚まさせた。

「ぐっ…」

「俺にもまともに闘えないお前が良く未来に行こうなどと思えたな。お前の悪い癖だ、普段は謙虚でありながら自分の力に自惚れているところがある…だからお前は老界王神様に潜在能力を解放してもらったにも関わらずブウに負けたのだ。お前はあの時、ブウを倒せたにも関わらずその力に慢心し楽しんでしまった。その結果お前はブウを逃がし、負けてしまった。お前は肝心なところで詰めが甘いのだ!…尤も悟林のようにやりすぎも困るがな」

悟林の闘い方はやりすぎと言えるほどに徹底的に敵を叩き潰すスタイルだ。

そのため、フリーザとの闘いの時は地球ごと吹き飛ばしかけたりもしたので、こう言うところも含めて極端な姉弟だと思う。

「悟飯、お前が常に悟林に先を行かれている理由は何だ?」

「?そ、それは…!姉さんが僕より才能があるから…」

「お前達姉弟の元々の才能は同じレベルだ。前に会った未来の悟飯は俺達の時代の悟林と同レベルだぞ」

そうでなければサイヤ人との闘いの時も、セルとの闘いの時も悟林と同レベルの戦闘力になどとても至れない。

「お前になく、悟林や未来の悟飯にある物…それは戦士としての覚悟だ。」

「覚悟?もう闘うことは怖くは…」

「そう言う意味じゃない。お前は実力云々以前に1人でも油断せずに闘い抜こうとする覚悟が欠如している。お前には常に悟空と悟林が傍にいた。そしてお前も気付かないうちに2人に任せておけば良いと言う甘えがある…そのせいでお前はブウに吸収されたんじゃないのか?」

「!?」

「ブウに吸収されていたのは俺も同じだから偉そうには言えん。だが、悟林が戻ってきた時に何故加勢しなかった。お前が加勢していればブウが更なる純粋な悪となり、地球が危機に陥ることもなかった…あの時のお前の心情を当ててやろう。“姉さんが帰ってきた、後は姉さんに任せれば大丈夫”だとな」

「そ、それは…」

言い返そうとしたが、出来なかった。

あの時の悟林と悟飯は同じ儀式を受けたものの、修行を疎かにしていた自分とは比べ物にならないほどの強さだった。

だからこそ、悟林が戻ってきた時、安心してしまった。

悟林に任せれば大丈夫だと。

「悟飯、ブラックが現れた世界でお前達が殺された最大の原因はその甘えだ。お前が悟空達に甘えず修行を少しでも続けていればこのような事態になるのを防げたはずだ。」

悟空から聞いた話では体を奪ったばかりのブラックは普通の超サイヤ人にすらなれない状態だったらしい。

潜在能力を解放する能力さえ、いや、せめて超サイヤ人2への変身さえ健在なら止められた可能性が高い。

「………」

ピッコロの言葉に悟飯は何も言い返せなかった。

「悟飯、お前にとっての闘いとは何だ?」

「え?」

「お前にとっての闘いとは何だと聞いている」

「そ、それは…他人を傷付ける行為です」

悟飯にとっての闘いとはそれであった。

今までの悟飯の武道はどうしようもない悪から平和を勝ち取るための手段であり、修行は勝ち取るための確率を上げるための物。

だから性根が優しすぎる悟飯はどうしても闘いを好きになれなかった。

「そうか」

甘ったれるなと叱責されるかと思ったが、ピッコロの表情は寂しげであった。

「ピッコロさん…?」

「良く考えてみれば俺達はお前に殺し合いのための武道とその修行ばかりしかお前にさせてこなかったな。本来の武道のあり方を知らないならば闘いに対してそう言う気持ちを抱くのも無理はない。」

そう、思い返してみれば悟飯が悟空達親世代のような競い合う武道をしたことなどないのだ。

「悟飯、お前の知る父親と姉は他人を傷付けることに喜びを感じるような連中か?」

「いえ!そんなことは…」

「そうだ、サイヤ人の血もあるだろうが、あいつらは自分の修行の成果を、成長を試したいのだ。お前の好きな勉強と同じだ、出来ないところがあるからひたすらに練習し、出来るようになる。悟空達は己の磨き上げてきた力が相手に通じるか、通じなければ如何に工夫して勝つかの駆け引きを楽しんでいる。同じ実力を持つ者同士で切磋琢磨し合うのもまた闘いとは違う楽しさがある。悟林がお前のライバルならそれを知るチャンスがあっただろうが、悟林にとってお前は永遠に手のかかる弟だろうからな。未来の悟飯は殺し合いはともかく、武道を心から楽しんでいた。恐らく未来のトランクスを育成している時に分かったんだろう、武道の楽しさを」

楽しいからこそ、好きになれる部分があるからこそ未来悟飯は積極的に修行に取り組んだ。

この時代の悟飯との決定的な違いはこれだろう。

「悟飯、お前に未来の悟飯のようになれとは言わん。お前とあいつでは生きてきた環境に差があり過ぎるからな。だが、今のお前は悟空と悟林の背に守られる存在ではない。悟空と同じように父となり、ビーデルとパンと言う守るべき存在を持った。あの2人を守りたいのなら強くなれ。皮肉にも悟空も悟林も厄介事を引き付ける性質を持っている上にベジータを宇宙で恨んでいる者が大勢いる…恐らくこれからも大変なことが起きるだろう。悟空も悟林もベジータもいない場合、フュージョンしたゴテンクスを除けば一番強いのはお前なんだからな…武道の楽しさについてはゆっくりと知っていけばいい。お前はまだ若いのだからな…パンが成長したら武道を教えてみろ、少しは分かるかもしれんぞ?」

「はい!」

「修行を再開するぞ!お前はまずセルと闘った時の力を取り戻さねばならん!少しでも気を抜こうものなら死ぬと思え!!」

ピッコロが気を解放して悟飯に突撃し、悟飯は少しでも力を取り戻そうと必死にピッコロの攻撃を防ぐのであった。

そしてカプセルコーポレーションでも、微笑むウイスの前にゴテンクスが膝を着いていた。

「「く、くっそ~…ウイスさん強すぎだよ…」」

「ほほほ…ですが、ゴテンクスさん。いくら合体したとは言え大した物ですよ。神の気を纏わずともそれに肉薄する強さを発揮するとは」

「「へへーん!だって俺様は超!超!!超天才だもーん!!じゃあ、ウイスさん。これならどうかな!?スーパーゴーストカミカゼアターック!!」」

口からお化けを吐き出して10体出す。

これにはウイスどころかビルスも感心する。

「へえ、意志を持った技か。珍しいね」

「「お化けだぞー、怖いぞー」」

「「よーし、さあ行けお化け!!スーパーゴーストカミカゼアタックの威力を見せてやれ!!」」

「「OK!」」

お化けの体当たりをウイスがかわすと岩にぶつかったお化けが大爆発を起こす。

「なるほど、触れれば爆発ですか…素晴らしい発想とそれを実現出来る才能…流石お2人のお子さんですね」

お化けを全て気弾で爆砕すると、ゴテンクスは更にお化けを追加した。

「数を増やしてもウイスには通用しないぞ」

「「分かってるよビルス様ー!行けぇーお化けー!!」」

「「OK!」」

数体のお化けを突撃させるが、ウイスに簡単にあしらわれる。

すると、残ったお化けがかめはめ波と魔閃光を放ってきた。

「おやおやまあ…」

技が技を使うと言うことにウイスは感心した。

「へえ、大したもんじゃないかあのおチビ」

ビルスも感心するが、ウイスはその気功波もスルスルと避けて残ったお化けを爆砕する。

「「むーーっ!だったら超サイヤ人3のフルパワーを見せてやるーーーっ!!はあああああっ!!!」」

超サイヤ人3に変身し、更に気を高めると筋肉が肥大化してゴテンクスの細身がより筋肉質になる。

元々筋肉が通常より僅かに膨れ上がる超サイヤ人3だが、目に見えて筋肉が肥大化している。

「超サイヤ人3フルパワーですか、素晴らしいパワーですね。まだまだ伸び代はありそうですし、不要と思われていた変身にも可能性があると言うことですか」

「「へっへっへ…これで終わりだぜーーーっ!!」」

「あなたがですよ」

「「あべしっ!?」」

超サイヤ人3とは比べ物にならないスピードでウイスに殴りかかるが、背後をあっさりと取られて手刀を叩き込まれて戦闘不能になった。

しかし、悟天もトランクスも大きく成長したのが分かる一時であったのは間違いない。 
 

 
後書き
漫画版の単行本5巻の本体表紙に現代トランクスがウイスに修行をつけてもらっているので。

超サイヤ人3フルパワーはカンバーの奴ですね、あれが実質普通の超サイヤ人3の強化版ですから

悟林ですが、言い方はキツいですが、悟飯を極力危険から遠ざけてます。

ブウとの闘いの失敗のこともあるので無意識のうちに過保護になっている。 
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