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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第29話

 
前書き
遂にセル戦に突入

ついでにサタンも 

 
地球の神となってくれたデンデによってドラゴンボールはより高性能となって復活し、それぞれが最終調整を終えると悟林は亀仙流の道着を着て戦闘服の手袋と靴を身につけた。

「よーし!待ってろセル!」

「悟林ちゃん!気いつけるだぞ!絶対に生きて帰ってくるだぞ!」

「分かってるよお母さん。私も死にたくないから全力でセルを迎え撃つよ」

「悟空さも気いつけるだぞ、死なねえでけれ」

「おう、分かってるさ」

2人はチチを安心させるように笑うと親指を立てて悟空の瞬間移動で天界に向かった。

チチはどうしようもない不安を感じた。

悟空の強さは知っているし、その悟空を超えた娘の力はチチの理解を超えている次元だ。

それでも自分にとっては悟空は夫で、悟林は可愛い娘なのだから心配しないわけがない。

出来ることなら悟空がセルを無事に倒してくれることを願う。

天界に行くと全員の表情が優れなかった。

復活したドラゴンボールは複数の願いと大勢を生き返らせることが可能となったが、大勢を生き返らせると言うことを可能にした結果、一度死んだ人間は生き返れない。

つまりトランクスと未来悟飯、悟飯の3人以外は生き返れない。

しかし、悟空と悟林は気にする様子もなくセルゲーム会場に向かい、サタンの茶番で全員の緊張は程好く緩んで開催された。

未来悟飯はサタンを安全な場所へ運んでいた。

「本当にあいつってお人好しだよなあ…」

未来悟飯がセルに吹っ飛ばされたサタンに一目散に駆け寄ったのを見てクリリンが思わず呟いた。

「……さあ、早くセルゲームを始めるぞ。どいつからやるんだ。やはり孫悟空、お前からやるのか」

セルからすれば始まってすらいなかったようだ。

「ああ、そうだ。」

悟空がリングに上がり、外野がごちゃごちゃ言う中、悟空とセルの闘いが始まろうとしていた。

「いきなり貴様からか…一番の楽しみは最後に取っておきたかったのだがな…」

気の量からして両者揃って最初から全力でやるつもりはないようだ。

恐らく準備運動レベルだ。

「来い!」

セルの言葉に悟空が攻撃を仕掛け、勢いよく地面を蹴る。

そのまま体重を乗せて蹴りを繰り出し、それをセルは難なく左腕で受け止める。

すかさず悟空が拳を打ち込むが、そちらも右手で防ぎ、セルが左腕で攻撃する。

悟空は頭を下げてかわし、衝突音を立てながら、互いに攻撃を繰り返している。

いったん離れた悟空に、セルが頭突きを繰り出す。

悟空は両腕でそれを受け止め、その反動を利用して両足でセルを蹴り飛ばした。

「かめはめ波っ!」

上空へ打ち上げたセルに追撃の気功波を放つが、セルはそれを弾き飛ばす。

しかし、その隙に悟空はセルの背後を取り、背中に拳を叩きつけるが、セルの反撃を受けて地面に叩き付けられそうになったが、悟空は体勢を整えて着地する。

「準備運動はこれくらいで良いだろう…」

再び向かい合う両者。

「い…いよいよ本格的に死闘が始まるぞ…」

クリリンの言葉によってより全員の神経が2人に向けられた。

「(孫悟空か…流石に戦い慣れている…他の奴らとは一味も二味も違う…)」

「(こいつは想像以上に強えようだ…ほんのちょっとでも気を抜くとあっという間にやられちまうぞ…)よし!」

「(悟空さんの目付きが変わった!)」

超サイヤ人に馴れたことで穏やかだった目付きが鋭い物になる。

「(フルパワーで来るな)」

悟空の体から気が放たれ、悟空を中心に暴風が吹き荒れ、その放たれる気にほとんどの者達が圧倒される。

「(こ…これが今のあいつの…真のパワーか…)」

「す…凄い…やっぱり悟空さんはとてつもなく凄い…」

「ほ、本当に凄え気だ…!さ…流石に抜けてるよな」

一部を除いた者達それぞれが悟空の気に圧倒される中、3人はそれぞれの思いを胸に悟空を見つめていた。

「(あれが本当に父さんのフルパワーなんだろうか?)」

「(…ど…どうしてみんな、そんなに驚いてるんだろう…確かに凄いとは思うけど…)」

「(お父さんのフルパワーでセルがどれだけパワーを見せるのかな…カリン様はセルが僅かに上だって言ってたし…)」

双子が無言で悟空とセルを見つめると、セルも動きを見せる。

「は!!」

セルは不敵な笑みを浮かべて気を入れると、悟空と同様のことが起きた。

リングの中央に歩み寄った2人は静かに対峙する。

「来いよ」

「ああ…」

悟空の拳がセルの腹に叩き込まれ、更に肘打ちが頭に炸裂する。

そして蹴り上げて浮いたセルを殴り飛ばした。

リングに叩き付けられて場外に落ちそうになるが、舞空術を使える物にとって場外負けはほぼないに等しい。

「…良いぞ孫悟空!これだ!闘いはこうやってある程度実力が近くなくては面白くない」

「ああ…オラもそう思う」

互いに笑みを浮かべ、セルが口元の血を拭いながらリングに戻るとかめはめ波の体勢に入った。

「か…め…」

それを見た誰もが焦りの表情を見せた。

「や、止めろ!そんなにパワーを上げた状態でかめはめ波を…」

今のセルのパワーならば地球を破壊するだけの威力を出すのは容易いことだ。

例え地球が壊れてもフリーザ親子の血を引くセルならば宇宙空間でも生存出来るだろうが悟空達はそうはいかない。

「は…め…」

セルの手のひらに集まる気。

まともに放たれれば地球が消し飛ぶ。

「よ、止せ…!」

「波…」

ベジータの声を掻き消すようにセルがかめはめ波を撃とうとしたが、その直前に悟空が上空へ。

「こっちだセルーッ!!」

上空へ移動した悟空に向けて放たれたかめはめ波。

それは真っ直ぐ悟空に迫り、このままではかわしようがないが、悟空は瞬間移動を使う。

「くっ…!」

「はっ!」

瞬間移動でセルの背後を取って強烈な蹴りを喰らわせて吹き飛ばす。

リングに手を付いてバク転して体勢を整えてセルは悟空を睨みつけ、悟空もまたセルを睨みつけた。

「何故だ…あのかめはめ波なら間違いなく当たっていた……。貴様は以前にも突然現れ、消えた事がある……」

静かに問うセルに、悟空は答えてやった。

「瞬間移動だ…オラはそいつが出来る……」

「瞬間移動…!?そうか…そいつは厄介な技だな…」

様々な人の技を細胞の採取によって得ているセルではあるが、ここ最近の悟空の技はインプットされていない。

悟空の細胞は数年前にベジータが地球を攻めに来た時の物であるためだ。

もしセルが瞬間移動まで身に付けられていたら、更に厄介なところだったが、悟空は静かに聞き返す。

「オラも聞きたい……。オラが空に飛び上がらなければ、そのままかめはめ波を撃って、地球を破壊していたか…?」

その問いにセルはニヤリと笑みを返した。

「さあ、どうかな…だが、貴様は飛び上がるしかないと分かっていた…」

「なるほどな。おめえは頭も良さそうだ……」

「だが、これだけは言っておく…私は地球を破壊することなど何とも思っていない。ただ楽しみが減ってしまう。それだけだ…」

セルの言葉を聞いて、改めてセルがフリーザ親子の血を引くことを理解した。

フリーザ親子の冷酷さを持つ怪物には星を壊すことに躊躇はない。

そしてセルは悟空に向かって一直線に飛んだ。

先程よりも速いスピードに一瞬悟空の対応が遅れてしまい、顔を殴られた悟空は反撃に出る。

「ぐっ!!」

しかしその反撃は空を切り、セルが悟空の後頭部を打つ。

悟空は地に伏せてから反動を利用して体勢を立て直そうとするが、背後から更なる攻撃を喰らった。

背中からリングに落ち、すぐに起き上がったその後ろにセルは腕組みをして立っていた。

「私もスピードには自信があるんだ。瞬間移動とまではいかないがね」

楽しげに笑うセルは、本当に死闘を楽しんでおり、連撃を繰り出して悟空を痛めつけていく。

「くっ……!」

よろけた隙にセルが追撃を繰り出すが、悟空はそれをかわして上空に蹴り上げてセルの背後を取ってリングに叩き付けようと拳を振り下ろすが、セルはそれをかわして悟空の背後を取り、逆に叩き付けてやろうとしたが、悟空も咄嗟にそれをかわす。

即座にセルとの距離を取る悟空。

「やるじゃないか本当に…ここまで楽しめるとは正直思わなかったぞ。この闘いを場外負けなどで終わらせるのは惜しい」

「え?」

「場外負けと言うのは…ルールから外そう。私達には何の意味もない」

セルがリングに向けて手を向けた。

「何だ!何をする気だ!?」

悟空はセルの手のひらに集まる気に、セルが何をするつもりなのかを理解して地上の仲間に向かって叫んだ。

「みんな、リングから離れろーっ!!」

次の瞬間、セルゲームのリングが破壊された。

セルによってリングは破壊され、大地全体がリングとなった。

場外負けが敗北条件から失われたことにより、敗北条件は降参か死の二択となる。

因みにサタン達は未来悟飯と16号によって助かっている。

「お姉ちゃん…お父さんはどうして本気で闘わないんだろう…?」

「…お父さんはフルパワーで闘ってるよ。もし、今のお父さんを見て手を抜いてるように見えるなら、今の悟飯がお父さんより強いってこと」

悟林は悟飯の言葉を聞いて、恐らく悟飯も父親を超えてしまったのだろう。

父親を超えたことが信じられないのか、悟飯は困惑したような表情を浮かべている。

闘いの方を見ると、セルの気弾をかわしながら悟空は上空に飛び上がった。

「かめは…」

「ふはははは!貴様にその位置からかめはめ波は撃てはせんぞ!撃てば地球そのものが大変なことになる!」

セルの言う通り、今の悟空が位置関係を考慮せずに全力で気功波を放てば大変なことになる。

「め…」

「お…おい…!」

しかし悟空は更に気を高めたことにセルは驚く。

「お父さん、かめはめ波を撃つつもりのようだね」

「何だと!?フルパワーでか!?」

悟林の呟きにピッコロが反応し、クリリンが引き攣った笑みを浮かべる。

「ば、馬鹿なことを言うなよ悟林ちゃん!あんな位置関係で撃ったら地球が…!」

「大丈夫だよ、みんな。お父さんには瞬間移動があるんだからさ」

「波ーーーっ!!」

次の瞬間、悟空の姿が消えてセルの目の前に現れるのと同時にかめはめ波を放った。

「ごあっ!」

不意を突かれたセルはまともにかめはめ波を喰らって上半身が吹き飛んだ。

大地に転がるセルの半身を見て喜ぶヤムチャ達とは逆に険しい顔をトランクス達はする。

セルがどういう生物なのか分かっているからこそ安心は出来ないのだった。

終わったと思いながらも妙な気の残りが気になり息を上げながら転がるセルの半身を見つめる悟空。

「(…どういうことだ…こんな状態なのに気が随分残っている…)」

気は分かりやすく言えば生命エネルギー。

死ねば気が失われるはずだと言うのにセルからはまだ気が感じられた。

「気を付けろ悟空ーっ!!セルは多分復活する!!」

「復活?」

あんな状態でどうやって復活するのだろう。

悟林が改めて目を向けた次の瞬間にセルの下半身が起き上がり、上半身が再生された。

「そういや再生出来るんだったな…」

「そういうことだ。ピッコロのようにな…」

「ちぇ…やけにあっさり勝てたと思った…だが今ので流石のおめえも随分気が減ってしまってるぞ」

残念そうに言うが、流石に再生には相当気を消耗することを察する悟空。

「ふん、お互い様だ。貴様も随分息が上がっているぞ。忠告しておくが、同じ手は二度と通用せんぞ。無駄な攻撃で体力を減らしてつまらん闘いにだけはするな」

「分かってる!」

「そうかな!?」

気を入れて再び戦闘を再開する2人。

2人の気の絶対量は確実に落ちているが、それでもハイレベルな戦闘を繰り広げる。

セルの拳を受けて吹き飛ばされ、岩に叩きつけられる悟空。

悟空は岩を気で吹き飛ばすとセルに向かって気弾を連射する。

放つ気弾の威力は凄まじく、セルにダメージを蓄積させていくが、堪らずセルは巨大なバリアーを展開した。

「この私にバリアーを張らせた貴様の攻撃は評価に値する…思いの外ダメージは大きかったぞ…」

悟空の気弾によってセルも相当なダメージを受けたようだが、悟空の消耗はそれ以上だ。

「はあっはあっはあっ」

「相当に体力が低下してしまったようだな…仙豆とやらを食うがいい孫悟空…更に素晴らしい試合になるはずだぞ」

「………」

仙豆は食べればどんな怪我も疲労も完全回復し、疲弊している悟空を全開状態にまで回復させるだろう。

闘いをもっと楽しみたいセルは悟空に仙豆を食べるように求めた。

悟空が完全回復してもそれでも自身の方が上回っていると余裕があるからこそだ。

「あ、あいつの言う通りだ!悟空さんに仙豆をあげて全員でかかれば今のセルならきっと倒せる!」

今の疲弊したセルならば自分の攻撃も通用すると判断したトランクスは悟空に仙豆を与えて総攻撃を仕掛けるべきだと考えたようだ。

「………」

「クリリンさんっ!早く仙豆を…!」

クリリンに仙豆を悟空に渡す様に促すが誰もそれをしようとしない。

トランクスにベジータの怒号が飛んだ。

「黙ってろトランクス!てめえにはサイヤ人の誇りがないらしいな。そんな勝ち方をするぐらいならあいつは死を選んだ方がマシだと思うだろうぜ…今のあいつは地球のためになんか闘ってるんじゃない。そいつを覚えとけ…」

戦闘民族サイヤ人。

闘いに喜びを感じる存在。

こうして悟空が闘っているのは地球のためであり、自分のためでもあるのだ。

「…し…しかし、このままでは…」

「やられるだろうな確実に…あ…頭に来るが、認めてやる…俺はあれだけ特訓したが、カカロットを超えられなかった…あ…あの野郎は天才だ…だが、セルはそんなカカロットを一歩も二歩も更に上回ってやがるんだ…」

「だ、だったらどうしろと言うんですか…!?黙って、み、見ていろと…!?」

「てめえも言ってただろ!あいつには何かきっと作戦があるはずだと。そいつに期待するんだな…」

ベジータの言葉に全員の視線が悟空に向けられる。

悟空の視線が悟林に向けられ、その意味を理解した悟林は微笑んで頷いた。

それを見た悟空は笑みを浮かべて身に纏っていたオーラが消える。

「参った!降参だ!おめえの強さは良ーく分かった!オラはもう止めとく」

悟空の突然の降参宣言にほとんどの者が耳を疑った。

それはクリリン達だけではなく、今まで闘っていたセルも例外ではない。

「…孫悟空…その言葉の意味することが分かるか?…セルゲームで闘う者がいなくなればこの地球の人間共は1人残らず死ぬことになるんだぞ」

「勘違いすんな。闘う奴がいなくなったわけじゃねえだろ」

「同じことだ。ベジータやトランクス、未来の孫悟飯では力を上げたとは言え貴様より劣っているはず…」

セルの予想ではベジータとトランクス、未来悟飯は悟空未満の実力であり、悟林と悟飯は年齢的に戦力外だと思っているようだ。

「じゃあ、次に闘う奴をオラが指名しても良いか?」

「貴様、本当に降参する気か…!」

悟空の発言に敵であるセルすら困惑の表情を浮かべ、そんなセルに笑みを見せながら悟空は言葉を続ける。

「今度の試合で、多分セルゲームは終わる。そいつが負ければ、もうおめえに勝てる奴はいねえからだ…。だがオラは、さっきおめえと戦ってみてやっぱりそいつならおめえを倒せると思ったんだ」

「何!?」

悟空の確信を持った言葉に興味を惹かれたのかセルの顔つきが変わり、それに気付いた悟空は更に笑みを深め言葉を続ける。

「だから、オラは全てを任せて降参した……」

「ということは、そいつは貴様はもちろん私より強いとでもいうのか?」

「ああ」

「くっくっく……では聞こうか。その存在するはずもない者の名を……」

セルの言葉に応えるように悟空の視線は向けられた。

「おめえの出番だぞ!悟林!!」

悟空の娘である悟林に。

全員の視線が向けられると、既に悟林は手袋と靴をしっかりと身につけ直し、普段の明るい活発な少女とは思えないくらいに鋭い眼差しをリングとなった大地に向けていた。

「あ、あの馬鹿、何を言ってやがるんだ…!自分の娘をみすみす殺す気か!」

悟林の隣に悟空が近付き、声をかける。

「やれるな?悟林」

「大丈夫だよ、お疲れ様お父さん」

「無茶を言うな悟空!貴様でさえ敵わなかったセルなんだぞ!悟林を死なせるつもりか!」

苦虫を噛み締めた様な表情を浮かべたその表情は、心の底から悟林の身を案じて反対しているのが分かる。

しかし、そんなピッコロを諭す様に悟空は口を開く。

「ピッコロ、悟林はオラ達が思ってる以上に凄え力を持ってるんだ。考えてみろよ、こいつはもっとチビの頃からみんなと同じように闘った。ベジータやフリーザとも闘って、オラが地球に帰ってきた頃には超サイヤ人にもなれてたんだぜ…オラがそれぐらいのガキだった頃はてんで大したことなかったさ…悟林なら絶対にセルを倒せる…それを確かめるためにオラは一番手で出たんだ。」

「で、でもよ…!確かに悟林ちゃんの素質は俺達も分かってるさ…でもよ、未来の悟林ちゃんは超サイヤ人でも人造人間にやられちまったんだろ?」

未来悟林のことだから修行自体はしていたはずだ。

それなのに人造人間には勝てなかった。

「トランクス、未来の悟飯。未来の悟林は精神と時の部屋に入ったのか?」

「いえ、存在すら知りませんでした…」

「そもそも天界の宮殿自体が破壊されてしまっていましたから…」

トランクスと未来悟飯の言葉に悟空はクリリンの方を振り返る。

「だろ?だから今の悟林と未来の悟林は根本的に違うんだ。悟林はオラの実力を遥かに超えてる」

悟空の言葉に誰もが驚く中、悟空はまだ小さい娘の肩に手を置いた。

「お父さん?」

「セルを倒してくれ。おめえにしか出来ねえ」

「任せてよ」

力強く明るく笑い返す悟林。

「お、お姉ちゃん…」

不安そうに悟林に歩み寄る悟飯に悟林は笑った。

「大丈夫、私は絶対負けないから」

それだけ言って何の迷いもなくセルと闘うためにセルの前へと降り立った。

「クリリン、仙豆持ってるだろ?一粒くれるか」

「え!?あ、ああ…」

「サンキュー…セル!」

悟空がクリリンから仙豆を受け取ると、セルに仙豆を渡したのだ。

「そいつが仙豆だ。食え!」

「ば、馬鹿!お、お前何を!」

「奴は体力を消耗している。そんな闘いはフェアじゃねえし、消耗しているセルを倒したって悟林は満足しねえさ」

その言葉に全員が悟林の方を見ると全く動こうとしない。

セルが仙豆で回復するのを待っているのだ。

「生意気なガキだ。すっかりその気か…後悔しろ、孫悟空。貴様の甘さにな」

仙豆で回復するとセルは地面に降り立ち、悟林は目付きを更に鋭くさせ、そして笑みを浮かべて構えを取った。 
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