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おっちょこちょいのかよちゃん

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185 手袋と宝剣

 
前書き
《前回》
 本部守備班を担うさり達はテレーズという人間と出会う。だが彼女らの所に街をすみ子達に襲撃されて逃げて来たというアンヌ王妃が赤軍の丸岡修と共に現れる。だがアンヌ王妃の手袋に丸岡の認識術と矛盾術に苦しめられてしまい、昏睡する。護符を手にしたと思ったアンヌ王妃と丸岡だったが、テレーズが祖母・テレジアから受け継いだ宝剣がさり達を防御した!! 

 
 アンヌ王妃はテレーズが五体満足で立っている事が気に食わなかった。
「私の攻撃が効かなかったですって!?厚かましい!丸岡修殿!あの女にも制裁を!」
「あいよ!」
 丸岡は矛盾術を行使した。しかし、効かない。
「この宝剣が全てを守ります!」
「何!?」
 そして宝剣から光が放たれる。
「ふざけた剣ね!まとめてやっつけてやるわよ!」
 アンヌ王妃の手袋の光とテレーズの宝剣の光、それぞれの光がぶつかり合う。
「王妃、威圧の能力(ちから)を出すぞ!」
「了解!」
 丸岡とアンヌ王妃が機械より威圧の能力(ちから)を発動させた。
「これであの女も倒れる。そしてこいつら全員討ち死にだ・・・」
 しかし、効かない。
「これで私の宝剣が突破されるわけにはいかない!ミカエルよ!」
 テレーズは宝剣の能力(ちから)を最大限に発動した。テレーズの宝剣の光線がアンヌ王妃の手袋の光線に威力が勝る。そして、丸岡、アンヌ、二人の機械が全て粉々に破壊された。
「な!?」
「あ、あの剣を撃破しないとあの女は倒せぬ!」
「なら、認識術と矛盾術を最大限に使わせて貰う!」
 丸岡はアンヌ王妃の攻撃は全て通じる認識術をかけ、テレーズの宝剣の攻撃および防御は全て通用しなくなるという矛盾術を掛けた。
(これでは機械を壊した意味がない・・・!!)
 その時、声が聞こえた。
《テレーズよ。聞こえるか》
 聞き覚えのある声だった。
「これは、テレジアおばあ様?」
《左様。アズライールの能力(ちから)を借りて皆を起こすのだ。戦う者達を回復させれば勝機はこちらに傾く》
「やってみます!」
 テレーズは倒れている皆に剣を向けた。皆が起きた。
「は・・・」
 さり達が起き上がった。
(私は確かあの女の攻撃でやられて・・・)
「皆様、逆転のチャンスです!」
「う、うん!」
 そしてさきこのサファイアが光り出す。その時、丸岡の矛盾術と認識術が解除され、アンヌ王妃の手袋も無効化された。そしてさりの護符が光り出すし、地面から二台の大砲が出現した。
「行け!」
 大砲から巨大な砲弾が放たれた。丸岡とアンヌ王妃が弾き飛ばされる。
「あああ!!」
「て、撤退しましょう、王妃!」
「逃がすか!」
 清正が時の槍を地面に刺す。丸岡とアンヌ王妃が金縛りにあったように動かなくなった。
「もう一発!」
 さりが大砲を言葉で自動発砲させた。アンヌ王妃が粉砕されて消滅した。丸岡については長山が眼鏡で念力を丸岡にかけ、自分の方に寄せた。
「て、てめえ・・・」
 丸岡は矛盾術を発動させた。長山の念力が途切れた。
「しまった!」
 丸岡を取り逃がすかと思った。その時・・・。
「させんばい!」
「え?」
 四人の少年少女が穴から現れた。その内の一人の男子が縄跳びに使う縄のような物の先端を投げた。丸岡の矛盾術が解除された。
「何!?」
「お前の能力はこれで暫く使えんで!」
「ちい!ならてめえから片付けてやる!」
 丸岡が現れた者達の能力を無効化させるよう別の矛盾術を行使した。しかし、また、別の人間が他の所から現れた。男性の三人組だった。一人はギターを、もう一人はトランペットを、更に一人は太鼓を持っており、いかにも音楽バンドのような人物達だった。
「俺達も手助けするぜ!」
 三人組が各々の楽器を奏で始める。丸岡の周りに渦が巻き、丸岡の視界が遮られる。更には丸岡に電撃を喰らわせる。
「おおお・・・!!」
 丸岡は矛盾術で回避した。
「三人共、あの人は赤軍の人間よ!殺しちゃまずいわ!」
 さりが呼び掛ける。
「何!?」
「よし、俺がとどめを刺してやる!」
 また別の一人がトランペットを吹く。術を全て無効化かつ使えなくする音波を発した。
(な、矛盾術が使えん!?)
 丸岡も流石に対処できなかった。
「これで何とかなるはずだ」
「お疲れ様でした、皆様」
 フローレンスが現れた。
「フローレンス!?」
「あの赤軍の人間は私が始末しておきましょう」
 フローレンスは渦の中に飛び込んだ。
「だ、大丈夫なんか・・・?あの渦に当たりよったら簡単に溶かされたるばい!」
「大丈夫です。私には貴方達の攻撃を喰らいますような事はございません」
 そしてフローレンスは丸岡と対峙する。
「貴様は・・・」
「貴方には眠って頂きます」
 フローレンスは指を丸岡に向けた。丸岡が昏睡した。そしてフローレンスは渦を消し、皆の前に姿を現した。
「皆様、危ない所でしたわね。テレーズ、素晴らしいご活躍でした。貴女のおばあ様も素晴らしく思われていますに違いありません」
「ええ・・・」
「それにしてもそいつはどうするの?」
 さりが聞いた。
「この人は私本部の方に預からせていただきます。それにしてもこの人は能力が非常に厄介ですからね、相当厳重に監禁しなければなりませんでしょう。皆様、よくご健闘になられました」
「あ、はい・・・!」
 フローレンスは丸岡を連れて本部へと飛行して戻って行った。
「皆、私達の為にありがとう」
「いやあ、俺達遅れてすいません!」
 三人組の男性は謙遜した。
「うちらも、お姉さん達が無事でよかったばい・・・」
「あら、玲衣子ちゃん。友達と来てくれたの?」
「うん・・・」
「俺達も助けに来ました!」
「ありがとう、戻って大丈夫よ」
「うん・・・」
 玲衣子達は同級生達と共に持ち場に戻って行った。玲衣子がその場で円を描き、皆はその穴の中に入って行った。
「それじゃ、俺達もこれで失礼します」
 三人組の男性も一人の男の太鼓によって一瞬で消えて行った。他の本部守備班も各々の道具の能力で戻って行った。さりは通信機を出して連絡した。
「こちら本部守備班、羽柴さり。アンヌ王妃って女を倒したわ。それから赤軍の丸岡って男もフローレンスが来て回収したわ」
『了解』
 各々から返事が来た。
「あのアンヌって人は結局どんな人なの?」
 さきこはテレーズに質問する。
「あの人は我が国だったフランスの王妃の一人です。生まれはスペインですが。フランスの政治を行っていたのですが、お母様と同様に市民の事を考えていなかったので可愛らしい女性と思われていましたが、それでも反感を買われたとか。あの人の姪が私と同じ名前だと思うと何か恥らしい・・・」
「同じ名前なのね」
「そういえば昔のフランスは市民はとても苦しんだって聞くな」
 長山も思い出すように呟いた。
「はい。貴方達が戦いましたお母様、アントワネットも同じく、自分は贅沢をする一方、国民の苦しい生活など顧みなかったのです」
「そうだったのね・・・」
「長山治さんと言いましたね」
「あ、うん?」
「フローレンスから聞いていますが、貴方のその賢さで一度赤軍に狙われたそうですね。あの赤軍の男もきっと貴方が狙いのかもしれません。お気を付けてください。貴方の賢さを赤軍に利用されると敵の世界の方が優勢になる可能性が高いのです。フローレンスもイマヌエルも貴方を藤木茂救出班に選抜しなかったのはその可能性を考えて本部の区域に置いていたのでしょう」
「うん、気を付けるよ・・・」
 長山は己も狙われやすい身であると改めて知るのだった。
(この宝剣とアンヌ王妃の手袋のぶつかり合い、激しいものだった・・・。ハプスブルク家やブルボン家との戦いはこのくらいかそれ以上の過酷なもの・・・)
 テレーズはアンヌ王妃の手袋と自身の宝剣の凌ぎ合いを振り返るのだった。

「奴等を倒したか・・・」
 山口達は護符の所有者からの報告を受けていた。
「エレーヌ、あのアンヌ王妃ってのが私達が倒した侯爵夫人ってのと関係あるの・・・?」
 すみ子は確認した。
「はい、アンヌ王妃はシュヴルーズ公爵夫人を側近として信頼していた者です」
「つまり、そいつを倒したから、その王妃が怨みを持って襲ってくるって事はもうないでやんすね」
「いえ、そのアンヌ王妃の家系もまだいるはずです。浮かれている場合ではありませんね」
「うん、そうよね・・・」

 かよ子達はさりからの報告を聞いてホッとした。
「本部守備班が赤軍とぶつかったのか」
「ああ、護符が狙われそうになったとな」
「でもあのお姉さんや長山君、無事だったんだね・・・。よかった・・・」
 かよ子はホッとした。
「まあ、私みたいにおっちょこちょいしない、か・・・」
 かよ子達は先に進むのだった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「動き始める帝王」
 己の身体の動きを保つ為に杉山を自身の体内に取り込んだレーニンは捕虜となった赤軍の人間を奪還する為に行動を開始する。そして丸岡を本部へと連行したフローレンスの元にある声が聞こえてくるのだが・・・!? 
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