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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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14-⑸

 次の日、土曜日、朝から、清音は軽トラックで誰かの運転でやってきた。荷台には、たくさんの野菜が積んであった。

「お姉ちゃん シャワー浴びさせて・・ 土まみれになってしまったんだ」

「別に、良いけど そんなことしたら、風邪ひくんじゃあない?」

「でも こんなで、お客さんの相手するわけいかないやん 大丈夫だよ ウチ バカだから風ひかないもん」と、言って、家ン中に入って行ってしまった。

 10時のフェア開始時間になると、表のほうにお客様が込み始めて、お店のほうにも入り始めた。今日は、家族連れも多く、明璃ちゃんも子供さんの対応に追われ始めていた。久々に光瑠も裏方に入っていてくれた。そして、案の定、ローストビーフの注文をミートローフと一緒に注文する人も増えてきて、帰りには、お持ち帰りのスペアリブも出だした。

 そして、1時頃になる待合所もいっぱいになり出して、外でも待ってもらう人も出てきていた。同時に表のお店を物色する人達も居て、混雑していた。そんな時

「店長 私 15分程 抜けさせてください」と、明璃ちゃんが言ってきた。

「いいけど なぁにー」

「うん 待っている人に 美鈴クラブのショーをしまーぁす」と、外に飛び出していった。「やっぱり、あの子達、これを打ち合わせしていたんだ」と・・

 そして、いつの間にか用意していたアンプスピーカーを通して、ふたりはマイクを持って並んでいた。そうだ、あの子達、私達の結婚式の時、歌ってくれていたように・・。
 そして、「美鈴クラブのふたり でーす」と、言って子供向けのクリスマスソングを歌いだした。子供達も段々近くに寄って行って、喜んでしまって、一緒に歌い出していた。そのうち、大人も交えて、人だかりも出来てしまって、お店の待合所の人達も出て行くといった始末だったのだ。

 明璃ちやんが、お店に戻ってきたとき、お食事中のお客様からも大喝采を受けていた。嬉しかったのか、明璃ちゃんに抱き着いて来る子供も居たのだ。私と舞依ちゃんは、顔を見合わせて、あきれていたのだが・・。

 その日は、夜の10時まで客足が途絶えることがなかった。今日も、従業員のみんなを引っ張ってしまった。私は、申し訳ないと思いながらも、こんなに「ナカミチ」に来てくれるお客様に感謝をしていて、喜びをかみしめていた。

 お店を閉める頃、蒼が帰ってきた。何だか、会社の事業計画のことで、今日も休日出勤をしていたのだ。食事もあんまり、食べなくなっていて、最近お酒の量が増えたみたい。

「今日もさー お客様がいっぱい来てくれてね みんなが定時であがれなくて・・ 私 こんなでいいのかなって・・」

「うーん 仕方ないんじゃぁ無いか― まだ、個人商店なんだし そんなに、何回もあることじゃぁないし みんなも納得していると思うし その分、見返りを考えれば、成功報酬というか、それは、仕方ないことだよ 僕だって、実際、特別だと思って、今日も会社に行っているんだから、自分なりに納得しているよ でも、清音ちゃんもすごいね さすが、美鈴の妹だね」

「うーん 私も びっくりすることばかりでね 明璃ちやんの影響も大きいのかなぁー」


 
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