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おっちょこちょいのかよちゃん

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180 李の森の夜

 
前書き
《前回》
 エルデナンドと交戦し金塊にされそうになったありだったが、虞美人の介入によって形勢を逆転、エルデナンドを追い払う事に成功する。そしてピサロに対しては悠一のテクンカネでピサロと因縁のあるアタワルパを召喚する事でピサロを葬る事に成功する。そして杉山の捜索を行うりえ達に項羽と虞美人の軍、大阪の高校生・鎌山健次郎(かまやまけんじろう)立家隆太(たちいえりゅうた)も加わった!! 

 
 かよ子が起きた頃には既に夜となっていた。
「はっ・・・。ごめん、寝ちゃって!」
「気にすんなよ。俺達も少し寝ちまったし、襲って来た奴はいねえよ」
 大野がかよ子を落ち着かせた。
「うん・・・」
 羽根は森の上を通っていた。羽根の結界が光り、(あか)りを灯しているように光った。
「森の上にいるんだ・・・!」
「まる子、あれは(すもも)じゃ!」
 友蔵が森の木々を指差した。
「おお、美味しそう~、かよちゃん、羽根降ろしてよお~」
「・・・え?」
「まあ、気晴らしによしとするか」
 石松はこの祖父と孫に呆れながら言った。
「そうだな」
 かよ子は森の中に羽根を降ろした。
「凄い、こんなに李の実がなってる・・・!!」
「よし、お姉ちゃんや皆のお土産にしよう!」
「よお〜し、李狩りだあ〜」
 まる子と友蔵は李の実を摘む。
「あ、まるちゃん!!」
「全く、しょうがねえなあ」
 大野も呆れる。
「あまり離れすぎるなよ!何かあったら連絡するのだ!!」
 次郎長が警告した。
「はい、は〜い!」
 次郎長はまる子のいい加減な返事に本当に解ったのかと半分疑っていた。

 そして平和を正義とする世界の本部。夕食時としてまき子達は各々の戦士達の行方を確認する部屋から別室へと移り食休としていた。フローレンスとイマヌエルは食事を用意し、まき子達に用意すると共に各々の人々に送っていた。
「ところでイマヌエル、安藤りえちゃん達の所にコンキスタドールの者二名が赤軍と共に現れまして大変でしたとの事ですが?」
「ああ、何とか返り討ちにはできたのだがね。項羽と虞美人やが加勢したから更に安全になってくれるといいんだが。だが、あの機械とやらを発明した山田義昭が大量に持ち込んでいたから下手すれば私も死んでいたかもしれない」
「あの機械が複数持たれますと厄介ですわね。剣を取り返す時に解決されます筈ですが・・・」
「ああ、確か『偽の剣』はクイーン・ベスに持たせているからな。今も彼女はあの海域で部下と戦わせながら剣奪還班が来るのを待っている筈」
「はい、あの危険な所にいながらも善戦させて頂いていますが・・・。兎に角貴方もお休みなされて下さい」
「ああ」
 全ての皆に食事を送るとフローレンスとイマヌエルも食事を始めた。

 かよ子達は李狩りを楽しんでいた。石松や大政、小政の刀で実を切り取る。
「これならただ単に食うのみならずお主の杖の能力(ちから)で美味な料理にできるかもしれんな」
「うん、デザートにやってみるよ!」
 かよ子達は羽根に戻った。そして丁度フローレンスから通信が来た。
『皆様、お疲れ様です。食事の用意を致します。ごゆっくりなさって下さい』
 かよ子達の所に食事が現れた。クリームシチューに生野菜のサラダ、そしてロールパンにマーガリンだった。
「うわあ、美味しそう!」
「本日の食事は西洋風か」
「それにしてもさくら達はまだ帰ってきてないのか」
「え?ももこちゃん・・・!!」
 皆はまる子とその祖父がまだ姿を見せていない事に気づいた。
「全く、いい加減な奴等だ!」
 次郎長は呆れる。
「山田かよ子、お主の通信機でさくらももことその祖父殿を呼べ」
「うん」
 かよ子は通信機をまる子や友蔵へと繋げる。
「まるちゃん!」
『あ、かよちゃん、どうしたのお〜?』
「どうしたの、じゃないよ!もうご飯の時間だよ。皆心配してるよ!」
『あ、ごめん、ごめん。李集めに夢中になって遅くなっちゃったよお〜』
「まるちゃんのおじいちゃんは一緒にいるの?」
『いるよお〜、ね、おじいちゃん?』
『おお、勿論じゃ!かよちゃんとやら、皆で一緒に食べよう』
「分かったから、早く戻ってきてよ!皆心配してるよ!」
『わ、解ったよお〜』
 かよ子は自分とまる子、どっちがおっちょこちょいが酷いのかと改めて比較したくなった。
「先に食おうブー」
 ブー太郎が促した。
「うん・・・」
 かよ子達は食事を始めた。

 ところが、かよ子達が食事を終えても、10分経っても、20分経ってもまる子と友蔵は戻って来なかった。
「一体あの二人は何やっているのだ!?」
 石松はあまりの遅さにイライラが止まらなくなった。のり子は通信機を出す。
「ももこちゃん、どこ行ったの!?」
 しかし、応答がない。
『ごめ〜ん、道に迷っちゃって・・・』
「馬鹿野郎!もっと早く言え!!」
 大野も通信機を取り出してまる子を叱責した。
『ごめん・・・、って、ああ!!』
『おお!!』
 まる子と友蔵の悲鳴が聞こえた。
「おい、どうした、さくら!?」
「何者かに襲われたのかもしれないよ!」
 お蝶が推測する。
「本部に通信せよ!」
「了解!」
 関根が通信機で本部へ連絡を取る。
「こちら藤木救出班、関根金雄。さくらももこちゃんとそのおじいさんの友蔵さんが行方不明になった!今、李の茂る森にいる!」
『了解しました、只今確認致します!』
 フローレンスが応答した。

 フローレンスは各々の動向を確認する部屋に向かってまる子と友蔵の行方を確認した。
「どれどれ・・・」
 フローレンスはその映像の地図にて李の森の場所を確認する。そこにはかよ子達藤木救出班が地図上に森に点で密集している。そして少し離れた所に二つの点がある。フローレンスは通信機で藤木救出班に連絡する。
「皆様、こちらフローレンス。只今さくらももこちゃんとそのお爺様は西の方に逸れて進んでおります・・・、ん?」
『どうした?』
 椎名が応答と共に尋ねた。
「気を付けてください!二人の所に敵が接近しております!今さくらももこちゃんの所にも連絡いたします!」
『了解!』

 まる子と友蔵は李を集めて一攫千金を狙ったかのように嬉しく思っていたところ、一匹の龍が現れた。
「おおお~!!」
「ひい~!!」
 まる子と友蔵は腰を抜かし、李をその場に落としてしまった。
「ま、まる子、逃げるんじゃあ~!!」
「うん!」
 まる子と友蔵は慌ててその場から逃げた。その時、通信機が鳴った。
「は、はい!」
『こちらフローレンス。さくらももこちゃん、そのお爺様。今お二人の近くに敵が接近しております。お気を付けください!』
「ああ、今龍みたいなのが出てきて逃げとるんじゃあ~!」
『逃げています?お爺様はともかく、さくらももこちゃんには『炎の石』がありますでしょう!それで迎撃しなさい!』
「あ、そうか!」
 まる子はポケットから炎の石を取り出した。慌てて火炎放射で龍に対処する。龍が炎に包まれる。
「凄いぞ、まる子!!」
 友蔵が褒めた。しかし、龍は全く何も感じなかったようでピンピンしていた。
「え?」
 龍が火を吹いて襲い掛かった。
「ぎゃあ、燃やされる~!!」
「ひええ!来るな!」
 まる子はもう一度火炎放射を試みた。しかし、互角程度で単に自身に炎を浴びるのを防ぐ程度にしかならない。
(もう駄目じゃ・・・!!)
 その時、水が現れた。龍の炎が消される。
「さくら!」
「まるちゃん!」
 かよ子達が羽根に乗って現れた。ブー太郎の水の石の能力(ちから)と椎名の水の玉で龍の炎を消火したのであった。
「この龍め!」
 関根が刀を振るう。三日月形の光が現れ、龍を両断した。
「倒した!やった~!」
「いや、まだ倒したわけじゃねえ!まだ敵はいるぞ!」
「ええ!?」
「来たか・・・。ここまで出向いたかいがあったわけだな・・・」
「誰なの!?隠れてないで出てきなよ!」
 かよ子は吠える。
「さあ、どうしようか・・・貴様らの前にはあまり姿を見せたくないものだな」
 どこから聞こえるか分からない声が聞こえる。
「のり子ちゃん、キャロラインで探せる?」
 かよ子はのり子に聞く。
「やってみるわ!」
 のり子の人形・キャロラインが透視能力を利用した。
「向こうにいるわ!」
「よし!」
 関根がもう一振り刀を振る。風が巻き起こされ、敵を襲う。しかし、何かに守られたかのように攻撃が通用しなかった。
「ん?あの人、何かで書いてるわ!」
「え?」
 敵は書道で使う筆を使って紙に書いていた。その紙には漢字で「龍」、「護」と書かれていた。
「おそらく紙に字を書いて攻撃してくるんだわ!」
「ええ!?」
 キャロラインの透視能力でさらに敵は「声」という字を書いた。
「よくこの蔡京(さいけい)様の能力を読み取ったな。しかし、杖はここで頂こう!」
「渡さない、ここで倒す!」
 かよ子が蔡京に宣告した。 
 

 
後書き
次回は・・・
「書の使い手、蔡京(さいけい)
 まる子と友蔵を襲撃した男・蔡京と交戦する事になったかよ子達。紙に字を書いて書いたものを実物化させる能力に対してかよ子達は総攻撃にかかる。かよ子は蔡京の筆の能力(ちから)を杖で写し取ろうと試みるが・・・!? 
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