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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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10-⑺

 金曜日の夜、会社の帰りに久々にナカミチに寄ってみた。美鈴が迎えてくれたが、調理場には、晋さんが居た。

「ねえ ご飯まだでしょ 何にする?」

「うん いつもの肉がいいなぁ ご飯は要らないや」

「そうなのー ご飯食べないのー」

「うん ビール 飲みたいんだ」

「わかった そのかわり、野菜多い目にしておくね」と、言って、調理場のほうにいって、晋さんに伝えていたみたいだ。

「晋さん 交代したの?」

「ウン お父さんが朝の方が良いって言うしね、武君も慣れて来たし、彼も若いし、夜いろいろとあるでしょ だからね」

「そうだね 朝は、舞依ちゃんと若い者同士のほうが良いかな」

「あのね この前、田中さんと仲良くしている道代さんが来てくださってね 田中さんがすごく清音のこと、みんなに自慢しているんだって 本人も最近すごく元気になったってっ 何だか、親戚の娘だって言っているみたい 道代さんも、近所の人にもいつも笑顔で挨拶をして、気持ちの好い娘だって言ってくれていたのよ」

「そうなんか 安心したね 元気そうで」

「そう 堤さんにも、それとなく聞いてみたんだけど 農園でも、動きまわっているそうよ 今は、大根とか白菜の収穫に来る家族がいてね そこの子供達の面倒もみて人気があるみたい 良かったわ 私、あの子がそんなことするって思ってもみなかったから・・」

「そう 僕も、知っている清音ちゃんって どっちかというと おとなしくて、静かなイメージだったけどな」

「私の知らない間に 変わっていったのよね 私の知らない清音がいるわ」

 晋さんは、気を利かせたのか、閉店のお店の外の電灯とかを落として、早々に帰って行った。僕は、美鈴を抱き寄せ、長いこと唇を合わせていたのだが、胸に手を持って行った時

「あぁーっ 蒼 もう、それ以上は・・ 私 我慢できなくなるし・・ それに お店の中じゃぁ ダメ ごめんね あんなこと書いてしまって・・」

 次の日の朝、休みだったので遅めに起きて行くと、お母さんに

「蒼 そろそろ 美鈴ちゃんとのこと ちゃんと 決めないと」

「うーん 今はなぁ 家が完成する目安が決まったらね あと 美鈴が妹さんと話し合う機会の後の方がいいと思ってさ」

「まって その妹さんって何よー どういうこと?」

「うん 探していた妹の清音ちゃんが近くに住んでいるんだよ 1ト月位になるかなー」

「なんなのー それって 聞いてないじゃぁ無い!」

「うーん 様子見 だったし いちいち言う事じゃぁないじゃん 美鈴のプライベートなことだし」

「なによ 美鈴ちゃんって ウチの娘なのよ 何で、知っちゃぁいけないのよー」

「知ってダメってことないんだけど 美鈴の口から聞けよ 微妙なんだけど 僕から話すことじゃぁ無い気がしたんだよ」

「そう じゃぁ 美鈴ちゃんに聞いてみるわ」

「あー それも、もう少し 待って 今は、とにかく そーっと しておいてやりたいんだよ」

「なんか よく わからないわねー でも、見つかったんだね 妹さん お母さんも?」

「うん そこのところ よく わからないんだ 複雑な事情があるらしくって 美鈴もわからないんだ それにな まだ 美鈴と清音ちゃんは接触してないんだ 事情があって だからさー まだ そのことは そーっと しておいて」

「ふーん そー言うならね 仕方ないわね でもね 私 美鈴ちゃんの花嫁姿 どんなのが良いかなって楽しみなのよ やっぱり、白無垢かなとか ドレスはどんなのがいいかなぁー って」

「あのさー そんなのは、お母さんが考えることじゃぁないんじぁ無いの?」

「だってさー あの娘のお母さんなんだから 当然でしょ」

「あのさー それも、先走んないでよね 夢見るのは勝手だけど」

「そう だってさ お兄ちゃんも何の音沙汰もないでしょ あの子 昔から女っ気ないし あなただって 家建てて 別に住むっていうし 男の子ってつまんないのよね 結局、出て行くんだし だから、美鈴ちゃんが可愛くってしょうがないのよ 小さい頃から知っている娘だし あっ そうだ 一度 むこうのお父さんとも、お会いして、一度お食事でも・・ 美鈴ちゃんと相談しておいてね」 
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