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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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勇者の父の成すべき事とは…

「陛下…昨日はご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。お陰をもちまして、無事『太陽の石』を見つける事が出来ました」
昨日、城内を騒がせまくった私達は、揃って王様の前でお詫び中です。

「まぁ馬鹿な大臣共には、逐一嫌味を言われ続けたけどね!王様のお陰…って、全然役に立って無いけどね!大臣等を押さえ付ける事も出来てないんだからね!!」
訂正致します…“揃って”ではなく、一部を除いてお詫び中でした。

「す、済まなかったなぁリュカ…ワシ等もこの城にそんな物があるとは知らなかったから…」
王様、気まずそうに謝っちゃったよ。

「王様…それは違うよ!僕は『太陽の石』の存在を知らなかった事には怒ってないんだ。『自分たちの知らない事は世の中に無い!』とばかりにふんぞり返っている輩に腹が立っているだけなんだ!更に言えば、そう言う奴等に限って安全な場所で何もせず、危険な場所へ赴き努力している者に対し、文句だけは言ってくる輩なんだ!文句を言う前に、お前が何とかしろって言いたいね!」
うん。お父さんのクレームは止まる事を知らない。
家臣等も何も言えず黙り込む。

「…リュカ…おヌシは随分と良識を持っている様だ…どうだ、我が娘…ローリア姫と結婚し、この国を治める気はないか?」
「「「「へ、陛下!!」」」」
しかし、王様の突飛な発言に、家臣等も大声を上げる。

そりゃそうだ、国の一大事だろうに…
能力や人柄のよく分からない男に、王位を譲ろうなどと言われれば、誰だって大声を上げる。
国を統べる者が、そんな安易に後継者を決めてはいけないと思います。

「黙れ!ワシの決断に異を唱える者は許さん!リュカの様な者こそ、国を背負って立つ者に相応しいのだ!キサマらの様に、世界を救おうとする者の邪魔にしかならぬ事をする輩とは違うのだ!」
でも王様は意固地になっちゃった。

お姫様を呼び、お父さんの紹介してます。
尤も昨日の家捜し中に、お姫様の部屋も探しまくったので、その時にご挨拶は済ませてますけどね。

「どうじゃリュカよ…ワシが言うのもなんだが、なかなかの器量だろうて………おヌシの答えを聞きたいのぉ」
確かに可愛いです。
でもきっと『王位はいらん!娘と一発ヤらせろ!』的な事を言うんじゃねーの?

「お前バカなの?」
おっと…予想とは少し違った第一声。
ストレートすぎる暴言に、誰もが言葉を失ってます。

「な…何と言ったのだ?」
世間一般では、王位を譲られるなど大変な栄誉であり、心から羨望する事なのだ。
しかしこの男には世間の常識が通用しない。
そんな事を知らない王様の台詞は至極当然だ。

「はぁ~………バカなのか………分かった、説明してやるから黙って聞け!」
グランバニアという国がこの世界に存在せず、ラダトーム王家等にお父さんが国王である事を認められていない状況で、この態度は大問題なのだ。
だって今のお父さんは一般人だからね。
にも拘わらず、何なのこの態度のデカさは!?

「僕はお姫さんとは結婚しない!理由は3つある…」
右手を翳し人差し指・中指・薬指を見せつけ、優しい口調で語り出す。
「先ず、僕は既に結婚している。この絶世の美女が奥さんだ!」
左手でお母さんを抱き寄せ自慢げに見せつける。

「もう子供も居るし、別れる気は無い!それが1つ目の理由だ。次の理由は………僕は王様になりたくない!王様とか、町長とか、人の上に立つと自由が無くなる。僕には権力や富よりも、自由に生きる事こそが重要なんだ!」
私も以前は女王とかになりたいと持ってたけど、お父さんの生き方を見てリーダーにならない方が幸せなんだと知った。
お姫様でいる方が楽で良い!

「3つ目の理由は………僕は他人(ひと)の女に興味がない!」
他人(ひと)の女?
誰の女なのよ!?

お姫様の頭を撫でながら、優しい微笑みで見詰めるお父さん。
「好きな(ひと)が居るんでしょ?」
と問いかけられ、戸惑いながらも顔を赤くして頷いた。

さてさて、驚いちゃったのは王様よ。
好いた男が居る事にビックリしながらも、父親として嬉しいのだろう。
表情に困りながらお姫様を見詰め続ける。

大円団で終わると思われたお家騒動…
しかし、マイパピィがソレを許すはずがない!
無用な一言で混乱を招き込んだ。

「お腹の子は、その彼との子だよね?」
「「「……………」」」
うん。みんな一斉に黙っちゃった。

『お腹の子』って何?
え?お姫様ご懐妊中なの!?
何なのその爆弾発言は!?

「ロ、ロ-リア!!あ、あ、相手は誰だ!?一体何処の馬の骨なんだ!?」
多分一瞬だったのだろうけど、永遠に感じる静寂を、王様が金切り声で打ち破り、私達の時間が動き出した。

相当混乱してるんだろう…
我を忘れてお姫様の両腕を掴み揺すっている。
「い、痛いです、お父様!や、止めてください…」
お姫様は脅えて半泣きだわ。可哀想に…

(ドカ!)
「落ち着けオッサン!」
唯一冷静なお父さんが、王様の尻を蹴飛ばして王様の奇行を止める。
そしてお姫様を優しく抱き寄せ、王様から守る様に立ち塞がる。

私の記憶では、この混乱を発生させたのはお父さんだと思う。
なのに何で偉そうなの?
尻餅を付いた王様…目をパチクリさせながらお父さんを見上げてますわ。

「相手が誰とか…どんな人物とか…そんな事どうでもいいだろ!今大事なのは、お姫さんに子供が出来、オッサンがお爺ちゃんになると言う事実だ!目出度い事だぞ…新しい命が誕生するなんて事は」
娘の男の事は気になるに決まっている…ましてや、既に種を仕込み済みであれば尚更。

「いいわけねーだろ!ワシの孫なんだぞ…このラダトームを継ぐ跡取りなんだぞ!父親が何処ぞの愚か者だったりしたら、一大事ではないか!」
王様も言葉を選ぶ余裕がなくなってるわね…

「おいおい…さっき何処ぞの男に娘と結婚しろと言った人物とは思えない台詞だな!何を基準に跡取りを選んでいるんだキサマは!?」
そりゃ誰だか判らない相手と、多少なりとも人となりを理解出来た相手とでは状況が異なる!

「お、お前は素晴らしい見識を持っている男だから、ワシの後を継ぐのに相応しいと思ったのだ!だ、だがローリアのお腹の子の父親の事は知らん…諸手で喜べるワケ無いだろ!」
「つまりキサマの娘は、人格に信用がおけないという事だな!?」
何でそうなる!?

「な、何だと!?許さんぞ…ローリアは清楚で可憐で心優しい娘だ。常に正しい判断を行える人格の持ち主だ!取り消せ…今すぐ取り消さねば、極刑に処すぞ!」
うん。お姫様の事を詳しくは知らないけど、馬鹿貴族の令嬢共よりはマシな様に感じたぞ!

「ふざけんな…取り消すのはキサマの方だ!僕はお姫さんの人格を疑ってなどいない…お姫さんが認めた相手(おとこ)に疑問を持ち、半狂乱で喚いているキサマこそが、彼女の人格や判断力を軽視いているんだ!」
すげー言い分…

「そ、それは………」
でも実際に半狂乱でお姫様を揺すってた王様は、お父さんの言い分に反論出来ない。
「それに僕はキサマが嫌いだ!娘の結婚相手を勝手に決める様な親…そんな奴は大嫌いなんだよ!………無理矢理結婚相手を押し付けて、実はもうお腹に子供が居ますって知るや発狂する親…最悪だね!」

「し、しかし…リュカよ、お前の見識は素晴らしい物がある。その様な人物はそうは居まい…娘と結婚させて取り込もうとするのは、至極当然であろう」
う~ん…グランバニアを見ると、お父さんの政治力は素晴らしいのだろうけど…
近くで眺めていると、あまり国王には向いてない様に見えるが…

「随分と評価して貰ってるが、お前等に僕の何が分かってるんだ?」
「…………」
冷たい口調でお父さんに言い捨てられ、何も言えなくなる王様。

「僕は…妻の他にも愛人が沢山居る!それに伴って子供も沢山居る!しかも表の世界じゃどっかの女王様を孕ませて、責任取って無いからね!(笑)………ローリアちゃんを妊娠させた男と何処が違うと言うのだ?それなのにお姫さんが選んだ男ではなく、僕の方が夫には相応しいと決めつけるのか!?」

「そ、それは…し、しかしリュカの事を何も知らなかったんだ…仕方ない事だろう!」
「ローリアちゃんが選んだ男の事など、僕以上に知らないだろうが!それなのに全否定してたじゃないか!」
確かに…
見もしないで全否定って酷いわね。

「……………」
「…王様。今はともかく、新しい命の誕生を喜ぼうよ…可愛い娘さんが、きっと可愛い孫を生んでくれるんだからさ…『父親が誰か』とかは、どうでもいいじゃないか!」
何だ何だ?

いきなり口調が変わったぞ。
まるで直ぐさま話を終わらせようとしてるわ。
オイオイ…まさかお姫様に手を出したんじゃないだろうな!?

思わずお母さんと目が合ってしまう私。
ソレを見たアルルさんが思わず口を出す。
「…もしかして父親ってリュカさんですか?」

「バカ言うな!出会ったのは昨日が初めてだぞ………種撒く時間などあるものか!例え僕が種を撒いたとしても、昨日の今日で芽が出る訳ないだろ!」
確かに…じゃぁ誰がヤちゃったのよ!?

「流石はその道の達人…一言一言に説得力がありますねぇ…きっとお姫様のお相手にも、説得力の篭もった台詞が言えるのでしょうね!…リュカ殿と同等に…」
あら、ラン君はお姫様の相手が誰だか分かったのかしら?
そんな感じの口調よね。

「僕と同等?フッフッフッ…残念ながら僕の方が子供は多い!愛人の数も圧勝してるだろう…」
自慢になんねーよ……………ってか、お父さんはお姫様の彼氏が誰だか分かってるの?

「………リュカよ…おヌシは、ローリアの相手を知っているのか?」
「………あ、しまった!(汗)」
昨日初めて会った相手の恋人を、何でお父さんもラン君も知ってるの?

みんなお互いに顔を見合わせ、お姫様の相手が誰なのかを考えてますわ。
コッソリ答えを教えて頂けないかしら?
すっごい気になっちゃうぅ!

「ああ、そうか!!だからお姫様はアルルの事を意識してたのね!」
たったこれだけのヒントで、答えに辿り着いたお方がもう一人…
アメリアさんが驚いた声で叫んでます。

ん?『だからお姫様はアルルの事を意識してたのね』って、どういう事?
アルルさんを意識しちゃった………って、もしかして…
えぇぇぇ…
アルルパパも、私のパパと同類なの!?



 
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