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おっちょこちょいのかよちゃん

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155 勇ましき王妃、ラクシュミー

 
前書き
《前回》
 藤木を探しに向かうかよ子達に無数の銀の槍が襲い掛かる。その襲撃を行ったクローマー伯爵と交戦する事になったかよ子達ではあるが、大野やブー太郎達が白金の丸屋根に閉じ込められてしまい、窮地に陥ってしまう。そんな中、大学生の上市明日香と高田あや、女性の兵・ラクシュミーが援軍としてかよ子と共闘する!! 

 
 大野達はクローマー伯爵が作り出した巨大な白金のドームに閉じ込められたままだった。大野やブー太郎、まる子が持つ力の石やのり子の人形・キャロラインの能力(ちから)をもってしても簡単には破壊できなかった。
「チキショー、かてえなこいつ!」
「わ、儂はここでずっと孤独死してしまうのか~、嫌じゃ、嫌じゃ~!!」
 友蔵は喚いた。
「や、山田に通信するブー!」
 ブー太郎は通信機を取り出す。
「こちら、ブー太郎だブー!山田、聞こえるかブー!?」
 ブー太郎はかよ子との連絡を試みた。
『ブー太郎!?うん、聞こえるよ!今、助けも来たんだ!』
「助けブー?」
『うん!』

 かよ子の通信を女子大学生の二名が聞いていた。
「仲間からの通信なんか?」
「はい!あそこに閉じ込められているんです!」
 かよ子はドームの方を指差した。
「私がやってみよう」
 ラクシュミーがライフルをドームに向けた。一瞬のうちに丸屋根は姿を消した。
「おお、出られたぜ!」
「この女!許さんぞ!」
 クローマー伯爵が銀の槍を無数に出して攻撃する。
「させへんで!」
 上市明日香は手袋をはめた両手で銀の槍を受け止め、そして触っただけで打ち消した。高田あやも持っている刀の柄から急に赤と緑に光る刀身を出し、対向していく。高田が持つ刀の光からは龍が現れ、銀の槍を噛み砕いていった。
「くそ!私の攻撃が阻まれるとは!」
 クローマー伯爵は防御の体制に切り替えた。巨大な金の楯を出した。
「これで私に攻撃は通じん!」
 そしてクローマー伯爵は残った兵に命令を出す。
「皆の物!あの小娘の杖を奪え!」
「了解!」
「させるか!」
 ラクシュミーはライフルを発する。多くの兵が失神する。そして上市の拳で兵の身体を貫き、そして高田の持つ竜を放つ刀が兵を喰らい、葬って行く。そして残るはクローマー伯爵のみとなった。しかし、上市や高田の攻撃、ラクシュミーのライフルでも金の楯は崩せなかった。
「この私が簡単に倒せるか!」
 その時、クローマー伯爵の地面から何かが現れた。茨の槍だった。
「うおっ!」
 茨の槍はクローマー伯爵の足に突き刺さった。
「地面の中からの攻撃は防げなかったみたいだな」
 茨の槍は大野の草の石の能力(ちから)によるものだった。そしてかよ子の金の(ほこ)に変化した杖で楯を壊される。
「金の楯は金の鉾を突き通さない事はないんだね」
 もはやクローマー伯爵は窮地だった。しかし、金の楯を破壊した反動か、かよ子の杖も元に戻ってしまった。
「山田かよ子!某の刀を使え!」
「うん!」
 かよ子は石松の刀に杖を向け、杖を剣に変化させた。
「えい!」
 かよ子はクローマー伯爵の身体を両断した。
「ま、まさか、私がやられる、とは・・・。すまぬ、ヴィクトリア女王、様・・・」
 クローマー伯爵は光となって消滅した。
「アンタ、凄い活躍やったで!」
「うん、小学生とは思えんな!」
 上市と高田はかよ子とその杖を凄く思った。
「あ、ありがとうございます・・・。あ、そうだ、今、あの男の人が『ヴィクトリア女王』って呼んでたんだけど、その人って・・・?」
「それは戦争主義の世界の女王の一人だ。この世界が戦争主義の世界に染められた理由の大半はその女王に仕える者達の攻撃によるものなのだ」
 ラクシュミーは説明する。
「あの女王は嘗てイギリスの女王だった。あの者達は多くの国を自分の物にしようと欲張りで私は好かん。私は生前、インドを治めていたが、イギリスは私がいた国まで占領し、好き勝手な事をしてくれた。私の国も支配されじと反乱を起こしたが、結局は報われなかった」
「そうだったんですか・・・」
「この地でも好き勝手されたくない。それでフローレンスとイマヌエルによってこの平和を正義とする世界の人間となったのだ。杖の所有者達、お前達の目的は敵の世界にいるとされる少年の救出だな?」
「はい、藤木君を連れ戻すのが私達の役目です」
「そうか、この先はかなり危険な戦いになるだろう。お前達、確か日本という国の発展に尽くしたものの一人だな?」
「如何にも。清水の次郎長と申す」
「この娘達の支援に尽くすが良い。我々はこの一帯を取り返しに行く。行くぞ、上市明日香、高田あや、皆の者!」
「は、はい!」
 ラクシュミーは自身の兵と共に上市、髙田と共にその奥へ進んだ。
「あの人、カッコよかったなあ・・・」
 かよ子はラクシュミーに見惚れていた。
「ああ、あの女の人はまるで神様じゃ!」
 友蔵が大袈裟に賞賛した。
「あの者も国の為に平和を願っていた者だからな・・・」
 石松はそう評価した。そして皆は目的の地へと進んでいった。

 ラクシュミーは手下の兵や高田、上市と共にクローマー伯爵が拠点としていた建物を襲撃した。
「これで完了か・・・。二人共、本部や周囲を守備している者にも連絡だ」
「はい」
 上市が通信機を取り出して連絡を取ろうとする。
「こちら領土攻撃班、上市明日香。東側の領土を取り返しました」
『了解しました。お疲れ様です。本部守備班の一部をそちらに移動させます』
 フローレンスの返答する声が聞こえた。
「それでは我々も進むぞ」
 そしてラクシュミーは杖の所有者の事を考える。
(杖の所有者よ、先に先に進むのだ・・・。平和を手にするために、これ以上命を落とす事のないように・・・)

 本部ではかよ子の母が娘達の班が突破できた事にホッとしていた。
「まきちゃん、かよちゃん達次進めるね」
「はい、あの子ったらおっちょこちょいだからホント心配で・・・」
「山田かよ子ちゃんは領土攻撃班の支援がありましたからこそ活躍できましたが、上手く杖を使いこなせていますから娘さんを信頼してください」
「それではフローレンス、私は席を外させて貰うよ。向かいたい所があるからね」
「はい、行ってらっしゃいませ。私も貴方達の世界に行って参ります」
「え、どうして?」
「赤軍や『向こうの世界』の人達は偽物の杖に護符、杯を渡されました事に気付いています筈です。赤軍の長、重信房子はきっとそれぞれの所有者のいる東京、静岡、名古屋へ向かい、探し回りますでしょう。無駄な被害を抑えます為です。そしてイマヌエルは、首相に憲法九条の改正を約束させます為に派遣させました赤軍の政治委員を拘束しまして今、監禁しています所なのです」
「ここに赤軍がいるの!?」
 りえの母は驚いた。
「はい。もしかしたら、赤軍の別の仲間が助けに行きます為にこちらに攻めます可能性がありますかもしれません。皆様、戻りますまで私達の代理で状況の把握をお願い致します」
「解ったわ」
 フローレンスとイマヌエルは部屋を出て行った。 
 

 
後書き
次回は・・・
「赤軍の長、危険な遭遇」
 イマヌエルは監禁した赤軍の政治委員と「話し合い」を試みる。そしてフローレンスはかよ子達が住む世界で赤軍の暴動を止める為に動き出す。そしてかよ子達の前には次なる敵が・・・!!
 
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