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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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因果という言葉がある。ヤってみよう、そしたらデキるぜって感じ。

 
前書き
今回のテーマソング(『この木なんの木』のリズムで歌ってね)
知らない人は、このURLを参照
https://www.youtube.com/watch?v=WYNC8JzV5j8

♪あの日 なんの日 キケンな日♫
♪月に一度の 危ない日♫
♪月に一度に 女性は 巡るでしょう♫

♪あの日 なんの日 キケンな日♫
♪みさかい無いと できるから♫
♪みさかい無いと 子供 できるでしょう♫

♪いつか子が育って♫
♪身体大きく育って♫
♪根に持たれて オヤジ嫌悪の未来♫

♪その日を その日を みんなが思ってる♫
♪夢でも 夢でも みんなが思ってる♫

 

 
(グランバニア城:二階廊下)
ピクトルSIDE

如何(どう)しよう……
やはりウルフさんに相談すべきなんだろう……
でも……何て言えばいいのか……

私は今日何度目かのトイレ駆け込みから、自分に割り当てられたアトリエへの帰り道で、これまた何度目かの重い溜息を吐いて壁にもたれて悩んでいる。
誰かに相談できれば楽になるのだろうが、内容が内容なだけに誰にも相談できないで居る。

「ピクちゃん、如何したの? 体調悪いの?」
アトリエまであと数メートルのところで、後ろから澄んだ声で話しかけられた。
まさかの国王陛下に!

「へ、陛下……い、いえ……体調は大丈夫です。ご心配には及びません」
私は慌てて背筋を伸ばし、陛下に対して元気である事をアピールした……が、急な動きに身体が付いてこず、倒れそうになったあげくに、また吐き気に襲われた。

「おっと、体調悪いのなら無理しn……あぁ、そういう事か!」
俊敏な動きで私を支えてくれた陛下が、何かに気が付き勝手に納得された。
何に気付かれたのかは解らないが、二日酔いで吐き気をもよおしてるだけかもしれませんよ陛下。

「取り敢えずアトリエで休んでるといい。無理して絵なんか描かない方がいいよ。今君に一番必要な奴をここに寄こすから」
そう言うと私をお姫様抱っこして、アトリエまで運んでくださった。ちょっと恥ずかしい。

ってか、誰を寄こすの?

ピクトルSIDE END



(グランバニア城:宰相執務室)
ユニSIDE

「おいウルフ。今すぐ宮廷画家のピクトル・クンストの下へ行け。国王命令な」
突如現れたリュカ様が、何時(いつ)も通り一方的に宰相閣下へ命令をする。
だが彼女が如何したのだろうか? 直属の上司は私だから、問題があるのなら私が赴くべきなのだけど……

「相変わらず藪から棒に何なんっすか?」
先刻(さっき)偶然にだが彼女が転びそうになって、それを支えたんだ。そしたらお前が彼女の下に行く必要が出来た。解ったのなら今すぐ行け」

一個も解らない。
私だけで無く、この部屋に居る誰もが頭の上に“?”を点してる。
それは我々が凡人だからだろうか? 凡人では無い宰相閣下は、リュカ様の言葉を聞いて顔面蒼白になっている。

「い、今すぐ……行って来ます」
そう言うと、あからさまに動揺した足取りで出口へと向かう宰相閣下。
宰相閣下が退出して扉が閉まると、私にしか聞こえないくらいの小声でリュカ様が呟いた。

「隠し事するから問題が大きくなるんだ……僕みたいにオープンなら困らないだろうに」

ユニSIDE END



(グランバニア城:二階廊下)
エウカリスSIDE

気分転換のティータイムを優雅に満喫し、城内カフェから自分のアトリエに帰る途中、あきらかに動揺している平宰相がピクちゃんのアトリエに入っていった。
何だあの野郎……ピクちゃんにセクハラでもするつもりか?

許せん。
ピクちゃんみたいに気の弱い()相手に、権力を笠に着てエロい事をしようなんて……
私は現場を押さえるべく、ピクちゃんのアトリへの扉に右耳を付けて、中の様子を探る。

聞こえない。
この城は何所も重厚な造りをしていて、相当大声で話さない限り中の音は聞きにくくなっている。
もう少し安普請でも良い様な気がする。

そうだ、少しだけ扉を開ければ良いんだわ!
ホントちょっとだけ開ければ、中の声が聞こえるはず。
私は音が出ない様に、ゆっくりとドアノブを回し扉と壁に隙間を作ろうとした……その時!

「やぁサビーネちゃん。何してるの?」
「ひゃ、ひゃいぃぃ!」
突然後ろから肩を叩かれ話しかけられた。

変な声を出してしまったが、慌てて後ろに振り返ると、そこには優しい表情のイケメン……陛下が笑顔で佇んでいた。
しかも更に後ろには王妃陛下も優しい笑顔で佇んでいる。

「暇そうだね。だったらお菓子を持ってきたし、お話でもしようよ」
「紅茶も持って来たわよ」
如何(どう)言い訳をしようか悩む間もなく、私の手を引いてピクちゃんのアトリエから少し離れた位置で腰を下ろし、お菓子を広げる陛下……ここ廊下ですよ?

まさか両陛下のお誘いを断る訳にもいかず、ピクちゃんと平宰相の遣り取りを探るのを続けるわけにも行かず、半ば強制的に廊下に腰を下ろし、国王陛下のお話を聞く事になった。
何やら政治的な話をされると思ってたのだが……

「むか~し、むかし……」
と、奇妙な昔話を始める国王陛下。
だが内容は如何(どう)にも理解不能な話だ。

桃から生まれた男の子が鬼退治をすると言う奇抜な話。
桃から生まれるというのも理解不能だが、お供に『犬』『猿』『雉』なのも理解出来なかった。あと『きびだんご』って何?

そして次の話が、苛められてた亀を助けたが、最終的に不幸になる話だった。
息継ぎもせず海の底に潜れる主人公に理解不能だったし、帰り際に『絶対に開けるな』と手渡される土産に理解出来ない。開けちゃダメなら渡す意味は?

更に国王陛下の話は続き、雪の日に数体並んだ石像に笠を被せるジジイの話だ。
途中まで聞いては居たのだが、流石に我慢の限界が来て「すみません陛下、出来れば描き上げたい絵がありますので、お話はこの辺で……」と言い訳し自分のアトリエに逃げ込んだ。

逃げ込む際「また話を聞きたくなったら部屋から出ておいで。まだいっぱいお話はあるから」と言われ、アトリエから出る事が出来なくなった。
一体何がしたいのだろうか?

エウカリスSIDE END



(グランバニア城:三階中庭)
ビアンカSIDE

「んで、如何(どう)言う結論に達したの?」
二階廊下を通り過ぎる人々の目を気にする事無く、ヘタレ宰相が愛人のアトリエから出てくるのを待ち、出てきた直後に中庭へと連行して第一声が今のリュカの台詞だ。

「……げ、現状維持です」
「意味が解らないな」
流石ヘタレ……全く意味が解らない。

「ですから、現状維持で世間には何も公表せず、ピクトルさんは愛人のまま俺の子を産んで育てるんです」
「マリーにもリューノにも秘密にして、墓場まで持って行くって事?」

「そうです……」
「子供が生まれても、認知もせず、子育てもせず、養育費すら払わないで秘密を維持し続けるって事?」
最低だ。

「い、いえ……養育費だけは払います。あと、宰相である権力を使い、片親家庭に援助金を支給できる様にして、生活を少しでも楽にします」
「勝手に税金使われるの困るんですけどぉ」

「リューノも片親で子育てするんですし、その……(リュカさん)的にも……プラスな援助金ではないですかね?」
「え、なにお前……リューノの子育ても手伝わない気だったの?」
最低のクズだ。

「て、手伝いますよ!」
「ふ~ん……」
多分私もだが、リュカはこれ以上無いくらい白い目でヘタレクズ野郎を見ている。

「俺もピクトルさんの子育てを手伝うつもりだったんだ! だけど彼女に『私達の関係は秘密の関係なのだし、コレまで通り秘密でいましょう』って言われて……その……何も言えなくなって……その……」
うん、最低のヘタレクズ思考だ。

「一応聞くけど、生まれた子供には父親の事を知らせるの?」
「え? か、考えてませんでした……」
最低のヘタレクズ馬鹿だ。

「ピクトルさんと相談しようと思います。 ……っていうか、もう俺達の問題なんですから、干渉しないでください。こ、困ったら助けて欲しいですけど……」
「身勝手だなぁ」

「い、良いじゃ無いですか! リュカさんはその道のプロなんですから」
「僕は秘密にした事無いし、何ら力にはなれないと思うけど」
確かに……全く秘密にしないのは、それはそれで凄いと思う。

「と、兎も角……俺はもう行きます。仕事が滞ってるんです」
「こういう時、仕事に逃げてもミスするだけだよ(笑)」
笑って言ってるが言葉は重い。

「て、天才ですから、そんな事はありません!」
そう言うと勢いよく立ち上がり、逃げる様に職場へと帰っていった。
まだまだ子供だ。そんなのが父親になって大丈夫かしらねぇ?

ビアンカSIDE END



 
 

 
後書き
今回のエピソードは、
私の中ではまだ掲載(書く)つもりは無かったエピソードです。
タイミング的には
ウルフがDQ8の世界から戻ってきた後のエピソードなので、
作者的には、リュカ伝3.8とリュカ伝4(予定)を
書き終えた後のアフターエピソードでした。
でもワクチン接種の待ち時間に、
鼻歌を歌ってたら
テーマソングが出来てしまって
急遽書きました。 
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