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おっちょこちょいのかよちゃん

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149 作動しなかった機械

 
前書き
《前回》
 ネロに続いて現れた敵側からの侵略者・アントワネットと遭遇したかよ子達は彼女の完璧な攻撃と防御に苦労させられる。ハープの音色でかよ子達を失神させたアントワネットは勝利を確信し、杖を奪おうとする。しかし、彼女を妨害する者としてかよ子の友達の一人・長山にまる子の姉、そして熊本から来た中学生・尾藤海斗が現れた!!
 

 
 清水次郎長一派のいる屋敷。その場に森の石松はいた。
(あの者達、既にこの世界に来ている筈であるが・・・)
 その時、戸を叩く音がした。
「はい」
 お蝶が応対する。
「皆様、お元気でしょうか?」
「あ、あんたは!!」
 お蝶が飛び込むように戻って来た。
「皆、フローレンスが来たよ!」
「なぬ!?」
 一同は玄関に現れた。
「フローレンス、どうかしたのか!?」
「前の世界の人々を昨日から招集させ戦いに参加させておりますが、その中で今杖の所有者達はアントワネットと戦っております」
「杖の所有者がアントワネットと戦っていると!?」
 次郎長はアントワネットとは交戦した経験があったので名を忘れる事はなかった。
「貴方達には杖の所有者達の支援をお願い致します。さらに戦争主義の世界の地の何処(いずこ)かに藤木茂君といいます少年がおり、杖の所有者達にその仕事をお任せしております。彼女らとの同行をお願いできますでしょうか?」
「畏まった。行くぞ、皆の者!」
「おう!」
 石松や大政、小政など子分達は異議を全く唱えずに次郎長について行った。

 気絶した杖の所有者達で組成される藤木救出班にまる子の姉、長山、そして尾藤が援護に現れた。
「あんたね、敵ってのは!」
 さきこは威嚇する。
「・・・ん?」
 長山はアントワネットを神通力の眼鏡で透視した。
「赤軍から貰った機械を三つ持っているな!」
「ふん、それが分かったところでどうするというのかしら?」
 アントワネットは菫の香水を出した。
「貴方達全員、浄化させて貰うわよ!」
「させるか!」
 尾藤はボールを蹴った。香水の破壊を試みる。しかし、そのまま跳ね返された。
「ち、あの機械か!」
「ならあの機械を!」
 長山は念力でアントワネットが仕組む機械を破壊する。しかし、効果がない。
「機械の破壊を別の機械で守っているのか!」
「贅沢な事しとんな!」
「とっとと消えなさい!」
 アントワネットが香水で三人を抹殺しようとする。その時、さきこの持つ宝石の一つ、琥珀が光りだす。さきこがアントワネットの香水の能力(ちから)をそのまま発した。
「無駄よ!この道具があれば・・・」
 しかし、香水は破壊された。ただ幸運だったのはアントワネットのドレスの能力(ちから)でアントワネット自身は浄化されなかった事である。
(道具が作動しなかっただと・・・!?)
「ちょっと私、妹達の方を見ていくわ!」
 さきこは紫水晶の能力(ちから)によって心を落ち着かせる事ができた為に、心に余裕が持てた。
「皆、しっかりして!」
 しかし、皆は気絶している。
(はっ、そうだわ。このエメラルドで・・・!!)
 さきこのエメラルドが光り出した。かよ子達が起きる。
「はっ、私達は一体・・・?」
「お、お姉ちゃん!?どうしてここにおるんじゃ!?」
「話は後よ!あの女を倒さないと!」
「あ、そうだった!!」
 かよ子は自身がアントワネットの道具で気絶させられた事を思い出した。
「子供とて許さぬぞ!」
 アントワネットは木の箪笥(たんす)をいきなり出現させた。皆を吸い込もうとする。そして赤軍から貰た機械で攻撃力を高めて消失を試みた。
「てめえ!」
 尾藤はボールを蹴った。
「無駄だ!この道具で跳ね返されるだけ・・・」
 しかし、道具は作動しなかった。箪笥は尾藤のボールで粉々に粉砕された。
「な、なぜだ!?なぜ道具が作動しない!」
 そしてブー太郎の水の石が発動し、水圧を出す。のり子のキャロラインも念力を行使する。まる子も炎の石で火炎放射を、大野もまた草の石で木の葉の手裏剣を、椎名も激流を出し、関根も刀を振りかざす。さきこの七つの宝石全てが光り出す。長山も神通力の眼鏡を使用し、尾藤もボールを蹴る。
(今度こそ・・・!!)
 アントワネットは道具の作動を試みる。今度は皆の攻撃は道具で防御された。
「今度は言う事を聞いたみたいね」
「ならば拙者と戦うか!?」
 また別の声が聞こえた。
「い、石松・・・?いや、沢山いる・・・」
 侠客の集団が現れた。
「お前はいつかのサルども!」
「アントワネットとやら。お主はまた荒らしに来おったのか!」
「違うわ。娘を連れて来たのよ」
「軽率な。貴様の娘が簡単に応じると思っておるのか!」
「嫌でも連れて行くわ」
「それでも貴様らの世界の者共は荒らしておる事に間違いはなかろう!この次郎長が成敗させてくれる!」
「できるかしら?このドレスは硬いのよ!」
「某の刀もお主に負けぬくらいに鍛え上げておる!全員かかれ!」
「おう!」
 全員アントワネットに攻めにかかる。しかし、次々と跳ね返された。
「皆!」
「大丈夫だ!心配するでない!」
(そうだ、私もあの刀を・・・!!)
 かよ子は杖を小政の刀に向けた。杖を剣に変化させた。
「いけえ!」
「あら、貴女が来てくれるのね」
(あの機械を剣で壊せば!)
 かよ子は決死の懸けで機械の破壊を試みた。
「馬鹿ね。私はこの道具で守られるのよ!何度言っても解らないの!?」
 アントワネットは機械で自分も機械そのものも守られるを信じていた。しかし、機械はまた作動しなかった。アントワネットのドレスは破られなかったが、中にしまっていた機械は破壊された。
「何ですって!?どうして言う事を聞いてくれないの!?」
 アントワネットは頭に血が昇り、薔薇の香水を出した。
「同じものをもっとったんか?」
「いいえ、さっきとは別の香水よ!」
 アントワネットは自分に香水を降りかけた。
「この香水は私への愛を注いでくれる者を呼び寄せる効果があるの。ああ、来て!フェルセン!!」
 その時、別の人間が現れた。

 かよ子の通う小学校。たまえは隣にいる親友がいなくて寂しがっていた。
(まるちゃんとまた会えないなんて・・・。まるちゃん、早く戻ってきて・・・!!)
 たまえは寂しさで少し涙ぐんでいた。
「たまちゃん」
 とし子がたまえを呼ぶ。
「まるちゃんもかよちゃんも戻って来られるか心配だね」
「とし子ちゃん、うん、私も凄く心配だよ・・・」
 たまえは思い出した。あの異世界では夏休みに出会い、今月にも清水に訪れた安藤りえという女子も赴いている事を。さらには冬田や長山、大野に杉山、ブー太郎もいる。皆無事で戻ってくる事を祈る事しか今のたまえやとし子にはできなかった。その一方、笹山はこの日も藤木が早く戻ってくる事を願っていた。
(お姉さんも大丈夫かしら・・・?)
 笹山の近所に住む女子高生も異世界の戦いに向かっている事を考えるとどうしても心配でたまらなかった。

 フローレンスとイマヌエルが本部に戻って来た。
「イマヌエル、そちらこそお疲れ様です」
「ああ、先代の所有者達は今あの地図のある部屋にいるんだよね?」
「はい、参りましょう」
 二人は地図のある場所に戻る。
「只今戻りました。今どのような状況でしょうか?」
「今、アントワネットとかいう所にまた新しい敵が現れたわ!」
 かよ子の母が報告する。
「なんですって!?」
 フローレンスが驚いた。
(テレーズ、間に合ってくれ・・・!!)
 イマヌエルはアントワネットの娘の到着を祈った。

 アントワネットは生前から愛していた男・フェルセンを召喚した。
「フェルセン、ありがとう、来てくれて!」
「ああ、愛しきアントワネット。大丈夫かい?」
「チッ、一人でも厄介だってのに助けが来やがって!」
 椎名は面倒臭い事になったと思った。
「この下衆共が!我が愛しきアントワネットを!」
 フェルセンが周囲を見る。そしてかよ子に向けた。
「あの子が持っている杖はもしかして・・・?」
「ええ、そうよ、最強の杖よ!」
「じゃあ、レーニン様に渡されたあの杖は偽物って訳か!」
 フェルセンはかよ子の元へ向かう。
「さあ、貰おうか!」
「嫌だ!」
 かよ子は防御特化の武装の能力(ちから)を発動した。しかし、フェルセンにはなぜか効かない。
「山田、この男も機械を持っている!きっと攻撃の武装の能力(ちから)で打ち消したんだ!」
「そ、そうか!」
 しかし、かよ子にはなす術がない。
「君、俺の刀に杖を向けろ!」
 警官の関根が促す。
「うん!」
「させるか!」
 フェルセンがかよ子の腕を弾く。杖がかよ子の手から離れた。
「これで・・・」
 フェルセンが杖に手を伸ばす。しかし、弾かれた。
「何者だ!」
 また別の女性が現れた。
「させませんわ!おばあ様の敵ならば、お母様でもその愛人でも許しません!!」
 長くこの地で母に怯えていたマリー・テレーズだった。アントワネットは娘を睨む。
「テレーズ・・・!!」 
 

 
後書き
次回は・・・
「母と娘の戦い」
 かよ子達の元に援軍として現れたテレーズは宝剣でアントワネットとフェルセンを迎撃する。だが、アントワネットのドレスで完全に防御され続け、誰もとどめを刺す事ができない。この状況を打破する方法は・・・!? 
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