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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第13話 モテ期は不幸と共にやってくる

私は動揺して、状況が把握できないです。

袁紹が私の前に立ち、頬を染めて私を見つめています。

『私は貴方に恋をしてしまいましたわ』

私が最後の1人の暴漢を倒したところで、袁紹は私に告白をしてきました。

・・・・・・。

何故、助けただけで、一足飛びにそういう事になるんでしょうか?

あっ、そうだっ!

先程の言葉は、きっと聞き間違いです。

彼女居ない暦=年齢の私は、とうとう幻聴が聞こえるようになったようです。

私は気を取り直して、袁紹を見ると顔を真っ赤にしクネクネと体を捩らせています。

えーーーと、何か嫌な予感がするので、早く、お爺々様とこの店を出ることにします。

ちょっと惜しいという気持ちがありますが、悪魔の誘惑に乗ったら負けです。

明らかに、不幸になりそうです。

そうと決まれば善は急げです!

「お爺々様、暴漢は仰せの通り片付けました!後のことは、この店主に任せても問題はずです!早く、この店からでましょう!」

私は袁紹が現実に引き戻される前に、一刻も早く、この場を去りたかったので、お爺々様に語気を荒げて言いました。

「何をそんなに慌てておるのじゃ。まだ、料理が残っておるぞ。勿体ないではないか。儂も未だ、食い終わっておらぬ」

お爺々様は人の気も知らないで、飄々とした顔で私に言うと、チャーハンをレンゲで掬って食べていました。

お爺々様はこの状況を判っておられないのですか!

あなたの孫は今、非常にヤバイんですよ!

この天然クルクルパーの金髪娘に関わるのは危険なんです!

私は、あの「バトルジャンキー」孫策で手一杯なのです。

これで、「天然クルクルパーの金髪娘」袁紹が加わるなんて、地獄への片道切符を強制購入させられるようなものです。

将来、覇王様と対立することになります!

私の様な小市民が、三国志の英雄2人を同時に相手にするなんて精神衛生上良くないです。

「あ、あの・・・。そこの貴方。助けて下さってありがとうございます」

後から、今一番聞きたくない声が聞こえました。

聞こえないっ!

あーーー、聞こえない、聞こえないっ!

私は袁紹の声を掻き消そうと必死になりました。

「ま、まさかっ!私の所為でお怪我でもされたのですか?」

声音の変わった袁紹が、私の正面に回ってくると、不安な顔で私の顔を見てきました。

う、流石、綺麗です。

そんな目で私を見るな、惚れてまうやろーーー!

「は・・・、ははっ、怪我はしていないけど・・・」

私は袁紹と会話をしてしまいました。

「本当ですの?本当のことを仰ってくださいまし。お怪我をしているなら、当家の専属医を直ぐによびますわ。ちょっと、何してますの!斗詩さん、屋敷に戻って医者を連れてきなさい!」

あのーーー、袁紹さん。

文醜のことを忘れていないですか。

自分を庇って怪我をした文醜を忘れるのは酷いと思いました。

でも、袁紹ですからね・・・。

「は、はい、麗羽様畏まりました!あの、文ちゃんをお願いしますね!」

顔良は文醜が心配の様でしたが、いずれにせよ医者が必要だと思ったのか、食堂を足早に去っていた。

「あれ、猪々子さんそこでどうしてますの?ああ、足を挫いてらしたのよね・・・」

袁紹はバツが悪そうな顔をしていました。

「姫ー、アタイのことを忘れるなんて・・・。酷いよ」

文醜は呟いて、俯いていました。

「い、猪々子さん。忘れていたわけではないのですのよ。オーホホホ」

袁紹は文醜を忘れていたことを誤摩化そうとしていました。





なんてことですの。

彼の前で、恥をかいてしまいましたわ。

猪々子さんも、猪々子さんさんですわ。

もう少しを気を使ってくれてもよろしいじゃありませんのっ!

「おい、正宗、お前も気の利かぬ奴じゃな。そこの怪我したお嬢さんを介抱してやらんか!お嬢さんも、そこで立ったままなのもなんじゃ。空いている席に座わるとよい」

なんですのこの老人は、私に気安く声を掛けないでいただきたいですわ。

まあ、立ってるのも疲れますので、言う通りに空いている席に座って差し上げますわ。

あれ、さっき気になることを聞きましたわ!

確か、この老人は彼のことを真名らしきもので呼びましたわね。

このお方は彼のお爺々様ということですわねっ!

オーホホホホ、これはきっと運命なのですわっ!

それより猪々子さん、家臣なのにどういうことですの!

彼に怪我の介抱をして貰った上、お姫様だっこされて、羨ましすぎます!

私もしてもらいたいですわ・・・。

私は彼と猪々子さんを恨みがましい目で見てしまいましたわ。





「あのお爺々様、この状況はなんでしょうか?」

私の横にはあの袁紹が陣取っています。

当初、介抱していた文醜を私の横に座らせようとしました。

別に他意はないです。

ただ、面倒だっただけです。

それが袁紹の抗議によって、今に至るわけです・・・。

「立って話すのもなんじゃと思ったのでの。それより、正宗、さっさと残った料理を片付けぬか」

私は冷えて伸びたラーメンと冷えたチャーハンを啜る羽目になりました。

元はと言えば、お爺々様の所為ではないですか。

「あ、あの貴方のお名前をお聞きしてもよろしいですか?私は袁紹、字は本初。真名は麗羽です。麗羽とお呼びくださいまし」

袁紹が私に名前を聞いてきました。

真名を初対面の私に預けるなんて、袁紹はかなり変ですね。

私は真名を受け取れないと言おうかと思ったのだが、袁紹の期待の眼差しを見てしまい言えませんでした。

真名を預けられて、預けないというのは失礼です!

ええ、そうです!

私はヤケクソになんて、成っていませんよ!

「私は劉ヨウ、字は正札。真名は正宗です」

私は袁紹に憮然と言ってしまいました。

「わ、私と真名を交換するのはお嫌でしたでしょうか?」

私の態度が真名の交換を嫌々していると思ったようで、不安な顔つきで私を見ていました。

「い、いえ、先ほど食べたチャーハンが冷めて美味くなかっただけです」

私は少しズレた回答をしてしまいました。

「そうですの・・・。そうですわっ!正宗様!助けていただいたお礼に、当家の屋敷に招きいたしますわ。当家の料理人が腕によりを掛けて、お持て成しいたしますわ。」

「いえ、麗羽さん結構です。大したことはしていませんので」

私は麗羽にこれ以上関わり遭いたくなかったので、必死に断ろうとしました。

「そうじゃの。袁紹と言ったかの?」

「正宗様のお爺々様、私のことは麗羽と及びください」

「それは真名であろう。儂も呼んでよいのか」

「構いませんわ。正宗様のお爺々様ですもの」

「そうか・・・。なら、麗羽。その話は後日、折を見てにせぬかの。儂らも午後より予定があるのじゃ」

「お2人の事情も考えず、申し訳ありませんでしたわ・・・」

お爺々様の言葉に、麗羽は落ち込んでいました。

「まあ、そう落ち込むでない。儂も孫も暫く、洛陽に滞在するのでな。また、会う機会はあろうて。のう正宗?」

おい、お爺々様、あなたは何を言ってるんですか!

余計なことは言わないで下さい!

「本当ですの、正宗様っ!」

麗羽は私の方を振り向き、私を期待に満ちた目で見つめてきました。

「いや、それは無理・・・」

会いたくないので、無理だと言おうとしたら、麗羽がうっすらと涙を浮かべていました。

「・・・そうですねっ!また、会えると思いますよ。はは、はは、は・・・」

「正宗様っ!麗羽は嬉しいですわっ!」

負けてしまいました・・・。

仕方ないじゃありませんか。

私、いままでモテたこと一度もないんですよ。

そんな私が、いくら頭は残念でも、容姿は美人な麗羽に泣かれて、それを突き放せる程、人として強くないです。

はは、ははははははは!

私はこの先どうなるのでしょうか?

このまま行くと私は戦乱の中に身を置くことになりそうです。

打倒、孫策を掲げている時点で私が戦乱に身を置くのは決定なのでしょうけど。

麗羽との出会いは、私の想定を超える程、危険な予感がしてきました。

間違いなく華琳との対決は避けられないと思います。

あの華琳ですよ!

天才である華琳に、努力してやっと秀才の私に勝てるわけないです。

ですが、私も諦めるわけにはいかないです。

私にはハピーライフを送るという悲願があるのです。

まだ、私には時間があります。

何としても破滅の人生を回避しなくてはいけません。

私は絶対に生き残ってやります!
 
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