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私の中に猫がいる 完結

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第二章
  2-⑴

 「響先輩 私、早坂さんにクリスマスの時、夕食に誘われているんです」

 「あらっ いいじゃない いってらっしゃいよ 私もダーリンが予約してくれているんだ」

 その日、私は、大きな荷物を持って、出勤した。とりあえず、駅のロッカーに預けて、待ち合わせの前に、どこかで着替えるつもりだった。

 退社時間が迫った時、響先輩が

「すずりちゃん ちゃんと、可愛い下着着けてきた?」と、小声で、聞いてきた。

「いぇ 別に 私、そんなこと、また゛」

「ばかね 自分が、可愛いい女になるためよ いきなり、そんなことする人じゃぁ無いと思うけど、固くなんないでいいんだけど、気を抜いたらダメよ 雰囲気に流されて」

「わかりました 気を許しません」と、言ったけど、私、本当は可愛いの着けてきてたんだ。
 
 私は、パウダールームで着替えて、ホテルのロビーに向かった。白いレースの襟でシルクシフォンのピンクのワンピースで、大学卒業の時にお父さんが買ってくれていた。

「すずりちゃん きまってるよ きれいだ もっと、気楽にね」と、プチが声を掛けてくれた。

 早坂さんは、もう、先に来ていた。上の階の鉄板ステーキのお店に連れて行ってくれた。私が、お肉が好きと言っていたから。

 鉄板カウンターの席について、シャンパンで「メリークリスマス」とぃって乾杯したら、シェフの方が、食材を早坂さんに見せていた。もう、先にオーダーしていたみたいだった。ロブスターとテンダーとサーロインが乗っていた。お肉の焼き方だけ聞かれて、私は「ミディアムレァで」と答えていた。

「いゃー この数年 クリスマスと言っても、つまらなかったけど、今年は良い想い出になるよ こんな美人と食事できるなんて」

「私こそ 去年まで、大学の連中と騒いでいるだけだったし こんな豪華なお食事に誘っていただいて、うれしいです」

「さっき、入口で君がコートを取った時、見とれてしまったよ とても、ドレスが似合っているよ ロビーに居た時も、何人かが君に見とれていた」

「そうですか ありがとうございます 早坂さん、お上手ですね」

「いや 正直に言っているんだよ とても、魅力的だ なぁ シェフ」

 シェフも、うなづきながら、指でOKマークを出してくれた。

「すずりさんの楽しみは何ですか?」

「趣味ってことはないんですけど、最近、カメラ持って風景撮っています」

「それはいいなぁー 今度、一緒に付いて行って良いですか?」

「そんな、大袈裟なもんじゃぁないですよ ぷらっと行って 適当に撮っているだけですから」

「いいんですよ 僕は、すずりさんがカメラ構えている姿見ているだけで、良いんですから」

 食べ終わって、ラウンジバーに誘われたけど「私、もう、お酒は・・」とお断りすると、甘いものでもとパーラーに誘われた。私は、フルーツパフェ、早坂さんはアイステイーを頼んだ。

「僕は、大学が京都だったから、人の知らない良い所も詳しいんだ。今度、案内するね」

 なんか、知らないうちにデートの約束させられていたみたい。それからは、大学時代に酒屋の配達のバイトをしていたからって、飲食店の裏話とか、クラブなんかのお姉さんの話なんかも面白く話してくれた。

「すずりさん 僕と付き合ってくれないだろうか」

 私は、下を向いたまま返事が出来なかった。戸惑っていたのだ。

「いや 突然で申し訳ない 考えてみてくれれば良いよ 返事は直ぐでなくても」

「あのー 坂下さんは、私と違って大人を感じますし、優しくて素敵なんですけど・・こうやっていても、楽しいです。でも、私 申し訳ないんですけど、そんな感情にまだ、なれなくて・・」

「わかった じゃぁその気になるまで、こんな調子で付き合ってよ たまに、食事したり、遊びに行ったり、いいかな 僕は、その気になっているし」

 帰り、元町の駅まで送ってくれて、別れたけど、なんか押し切られたような。自分の気持ちもよく解らなかった。

「ダメなんか あの人 良いじゃぁ無いかと思ったけどな」と、プチが言ってきた。

「私 好きって感情ないのよ 考えてみれば、私って小学生の時は、好きって思う子いたけど、中学入ってから、ずーと、そんなこと思った男の子居ないかも おかしいのかも」

「それは無いと思うけどな あの人としばらく付き合ってみれば」

「うん だけどなぁ」

「おい すずりちゃん 又、美浜の前歩いているぞ まさか・・なんか」 
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